ジャッカルズ

1984年、カルト信者のジャスティンは、男たちに襲撃され拉致される。
ジャスティンを拉致したのは、元海兵隊の男・ジミー、彼の父と兄だった。
彼らは、ジャスティンを山奥の別荘へ運び、洗脳を解こうと試みる。
ところが、夜が更けた頃、カルト信者たちが現れ…

本作は、マテオというカルト信者が、自分の家族を皆殺しにするシーンで始まる。
彼の目的は、殺人と金だった。
ジャスティンが信奉している教団は、そういう団体である。

カルトの教義は「無価値な人間を一掃し、地球を浄化する」って、陳腐なもの。
なぜ、ジャスティンは、こんな中二病丸出しの教義にはまったのか？
両親の不和、兄との確執などがチラッと語られるのみで、衝撃的な家族の秘密もない。
彼の心の闇は、伝わってこなかった。

家族や恋人から愛を伝えられても、心を動かさないジャスティン。
椅子に縛り付けられた彼は、呪詛の言葉を吐き、改心したかと思わせて反撃し、
仲間に遠吠えで呼びかけ、精いっぱいの抵抗をするのだ。
まあ、『拉致』とか強引な事されてるし、心を開けって方が無理があるかも…

カルト信者だけでなく、ジャスティンの家族たちも命の危機の前に殺人者と化す。
カルトの恐怖の前に、倫理観は打ち砕かれる。
殺人行為の恐ろしさで押してくる作品で、後味も悪いです…
けっこう残酷な内容なのに、Ｒ指定がなくて意外。

ジミーの腕には、海兵のモットーであるセンパーファーイ（常に忠実に）が彫られている。
尋問のエキスパートであるとか、精神医療のライセンスがあるとかは語られない。
人を腕力で拉致することはできても、宗教の洗脳を解くという繊細な作業ができるのか。
不安しかない人物だったが、案の定な展開で泣けた…

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これは……。
まず、鑑賞前にあらすじを把握する事が必須です。ディスカスさんが明記している物でもOKですが、必ずあらすじに目を通して下さい。
予備知識なしで観ると…オープニングから完全に意味不。頭の中を「？」が飛び交う事になります。

いきなりPOV的な演出からスタート。深夜、ごく普通の家の屋内を主観で怪しげに彷徨う男。その足はベッドルームへ。何かを物色し(ヘソクリ的な金を拝借)、夢心地の夫婦を吟味。目的が見えないまま、先に気配に気付いた妻を殺害し、次いで夫。
その後向かったのはどうやら娘の部屋。寝顔を覗き込むレンズの向こうで目を覚ます娘。驚愕した表情。その口元から漏れた言葉は男の名。どうやらこの男、家族の一員らしい。この娘にとって兄か弟かは不明。問答無用で殺害されます。その手にはタイトルの「ジャッカル」をモチーフにした黒い面が。

そして場面は一転。BGMと共に野郎達の乗った一台の車が走るロードムービー風な展開に。
ご機嫌な様子で走る車は不意にパンク。仕方なくタイヤ交換を始めた最中、一台のワンボックスが横付けしたと同時に覆面男2人が襲撃。乱闘の末、1人の若者を拉致して覆面男達はワンボックスで撤退。

同時に、あるファミリー。母親と長男、そして赤ちゃんを抱く若い女性。誰かを待ち望んでる様子。
やがてそこに現れたのはあのワンボックス。拉致してきた若者を引きずり込み、何やら深刻な面持ちに。
ここで、覆面男はその家の主人(夫であり父親)で、もう一人は雇われの元軍人(何故軍人か不明)と判明。
拉致されてきたのはこの家の次男であり、赤ちゃんを抱く女の夫。
で、あらすじを把握していると、この次男がカルト教団に洗脳されて……とわかります。

ここまでがだいたい15分ぐらい。長い。説明不足すぎて本当に意味不。
この後、次男の扱いに手こずり、説得を含めた押し問答。それがまた長い。
だいたい開始30分を過ぎた頃、ようやく軍人が動き出し一気に展開します。この辺りからはなかなか面白い。
カルト教団というよりは殺人鬼の集団的な「ジャッカルズ」が意外に不気味。
クライマックス近くで拘束した長男の手にガソリンをかけ、手だけを燃やす拷問じみたシーンはなかなか新しかった。

でもこの家族(両親と次男の妻)……ただそんな長男を呆然と傍観しているだけ。いやいやいや、なすすべないのもわかる、怖いのもわかる！でも助ける努力はしてやれよー。
結局、妙なタイミングで長男の元へ歩み寄る母親、それを助けるべく飛び出して格闘する父親、赤ちゃんを抱いて無我夢中で逃げた妻……全滅しました。

何度もいいますが、あらすじ把握必須。スタート30分を堪えて下さい。そうすればなかなか悪くない展開が待ってます。

途中、オオカミの遠吠えでコンタクトを取る次男とジャッカルズ達が不気味でした。