エゴン・シーレ　死と乙女

エゴン・シーレは、存在をまったく知りませんでした。

クリムトと並べ称されるエゴン・シーレは、その捩れたような構図、
モデルとほとんど似てなくても、モデルは必要なのですね。

16歳の妹のヌード絵からして、背徳の香りがします。
この映画では、エゴンシーレ役が、かなり美形な俳優さんなのです。
それでポイントは、高くなりますが、ご本人の写真を見ると、
本当に、一癖も二癖もありそうな、到底、人格者とは思えない人物ですね(笑)
映画の中で、小児性愛者の疑いで、24日間も拘留されています。
若い少女が好きだったらしく、この映画の準主役ともいえる、
モデルのヴァリ。
ヴァリは17歳から22歳まで同棲して数々の作品のモデルを勤めて、
しかも、木の葉のように、捨てられます。
後半は、ヴァリが、哀れでした。
失意から従軍看護婦に志願して、病死してしまうのです。

多くの女を踏み台にして、芸術を優先した狂気の男。
28年の生涯で、300点を超える油絵を残し、数千点のデッサン画を
描いた。
優しいハンサムさんが、エゴン・シーレを演じてますので、
天才の狂気を垣間見ることは、出来ないのが
残念です。

wikipediaで作品を見ましたが、多彩で「死と乙女」は、素晴らしいです。まるで、廃臭や死臭がするようです。
クリムトが、後援者だったそうです。

　シーレとクリムトの区別がつかない私は本作で違いがなんとなく理解できた。クリムトはシーレの師匠であったこと。
　この時代、ゴッホやマティスの画面を埋め尽くすような完成主義が主流にあって、シーレやクリムトの余白を残した装飾品とも卑猥とも受け取れる画風は、美術界ではひときわ異端に映っていたことだろう。
　シーレは女性には不自由はなかったように思うが、彼のテーマはセックスの快楽よりも女の肢体から滲み出る内面であり、それがセックスの最中であっても中断して筆を取ってしまうという、一般人には理解できない行動になってしまう。女の外見だけでなくエロスの深淵まで到達したいという欲求か。
　しかし数多の女性の中でもっともシーレを理解し支えた女性は、妹のゲルティであろう。これをたんに仲の良い兄妹という関係としてみるのか、芸術家が人を惹きつける理由の言い表しがたい不思議な一面に感じられる。ゴッホのテオもまた然り。
　シーレの生涯はあまり知ることはなかったが、本作は伝記としても興味を持って観ることができた。彼の短い生涯は多くのタブローとデッサンを残した。仮に長生きしていたらどんな作品を産みだしていたか想像してしまうほど惜しい人物である。本作の後に画集などで作品を眺めると、また違った印象を持つのではないだろうか。★★★☆

今一つ集中してみることができなかった一本