ボクの妻と結婚してください。

癌で死んでゆく夫が、残される妻と息子のために、
「ぼくの妻と結婚してください」って奔走する、お話ですが、
「はい、そうですか。よろしくお願いします」
とは、絶対に行きませんよねそのハードルを、
夫(織田裕二)は、再婚候補者(原田泰造)を説得し、
妻(吉田羊)を説き伏せ・・・って、最後のプレゼントみたいに、
尽くすのてすが、正直、痛々しい。
妻の立場なら、2~3年間は悲しみに暮れたいし、
立ち直った暁には、自分で自分の再婚相手を見つけたいです。
死んだ夫が決めた、再婚相手なんて、束縛じゃありませんこと！？
もっと信用してくれよ。
自分の力で、生きて行きたい。

ぜんぜん先回りし過ぎですよ。
吉田羊は、それ位、シッカリしてて、カッコイイもの。
女手ひとつが似合いそうですよ。

先日観た『永い言い訳』は、妻が亡くなる話。
原作者は、西川美和さん。
そして、本作は夫が膵臓癌で亡くなる話。
原作者は、樋口卓治さん。物語と同じく放送作家さんです。
観ている途中で以前観た『象の背中』を思い出し、（ひとの思いに難癖をつける訳じゃないけど）作者は男性だろうなあと思いました。
ロマンチストと言うのか、自分の思いに酔っていると言うのか、私には独りよがりにしか感じません。
一番気の毒なのは、こんな計画に付き合わされた伊東さん（原田泰造）じゃないでしょうか。
放送作家という職業病かも知れないけど、現実の世界を離れて虚構の世界に逃げちゃったのね。
修治さん（織田裕二）の計画に加担した知多さん（高島礼子）には、「大丈夫。奥さんはそんなに弱くない。」と言って欲しかった。
だって、彩子さん（吉田羊）は、いつでも「やるっきゃない！」って感じで頑張ってきた人ではないですか？
“楽しい”に変換するのも素敵だけど、悲しい、淋しい、という感情を経験してこそ、その“楽しい”ということの意味を実感できるのでは？
結婚式で修治さんが彩子さんの“人となり”を説明するシーンは、ちょっと羨ましかったかな。
こんなに自分の事を見ていてくれる夫は、中々いませんよ。

この映画の何がすごかったって、本来お笑い芸人であるはずのネプチューン・原田泰造の圧巻の演技力。

あんたほんとは俳優でしょ！？って驚くほど、感情移入できるし、素晴らしい演技だった。

個人的には、わざとらしい(と思える)織田裕二の演技を完全に食ってました。

彼の今後の俳優活動をもっと追っていきたくなりました。

あ、映画？あー、ふつーふつー。

彼女いわく「こんな非現実的な家族いるわけねーよ」とのことでしたが、自分も同様の意見。

みんな優しすぎるし、喧嘩もしないし、アットホームすぎる。

実際はもっとドロドロしてるだろ。

織田裕二が演じる時点で、悲しい映画を求めてはいかん。この俳優の泣き顔は演技くさい。笑顔俳優だな。

個人的に一番違和感があったのは、子供の部屋にあるもの。

望遠鏡とか地球儀とか、そんないい子ちゃんいるわけねーだろ！

まずゲームと漫画は置いとかないと。どっちか片方は最低限ないと、全然リアルじゃない。


まーなんだかんだ批判したけど、全ては原田泰造で許せる映画。

オマケの☆4つ！

　誰かを愛することが、心からその人の幸せを願うことだとしたら、こんな物語もあり得るのかもしれない。

　最初は、あり得な〜い、いくら何でもふざけている、と思った。自分の死に直面して、妻の再婚相手、息子のパパ候補を、本気で探すなんて！？　我が身に置き換えると、想像するのも嫌だ。しかし、観ているうちに、主人公の熱意や真意が伝わってきて、こんなことだってあってもいいのかもしれないと、感じられてきた。

　それぞれが、自分の置かれた立場で、深く相手を思いやり、悲しみのなかにも、未来に新たな温かい関係を築いていけるかもしれないと、希望を残してくれる。

　死はどうしても避けられない。それなら、残される家族に、今、自分が一番いいと信じることをするしかないではないか。愛しくて、とても切なくて、いじらしい。幸せって何だろう。人を愛するとは？　ウソっぽい、でもすごくリアルだ、そんな風に思える映画だった。

　俳優陣のアンサンブルもとてもいい。織田裕二の新たな一面を発見した。

話の中間からずっと泣きっぱなしです。
実際には有り得ない話だと思いますが
ワタシもこんなに愛される妻でありたいと思いました。