ファミリーズ・シークレット　秘密を抱えた家族

ブロンクスで暮らす刑務官ヴィンス（アンディ・ガルシア）には「秘密」があった。
実は、昔から役者に憧れていて演劇クラスに通っているのだ。
そんなある日、勤務先に新しい受刑者トニーが収監される。彼は、なんとヴィンスの息子だった。
引受人のいないトニーを不憫に思い、息子を捨てたことに対する罪悪感もあってか
ヴィンスは自らがトニーの引受人に名乗り出て、自宅に招く。
自立した美しい妻、奨学金で大学に通う優秀な長女、思春期でへらず口をきくが可愛げのある長男・・・と
一見、幸せそうな一家ではあるが、それぞれ人には言えない「秘密」を抱えている。
それが、トニーという闖入者によって一つひとつ暴かれていく・・・みたいなストーリー。

トニーは“トリックスター”（秩序や規律を破って引っかき回すことで物語を牽引する者）なんだろうけど、
そこまで厄介者ではなく。
トニー役のスティーヴン・ストレイトという役者さん、私は初めてお目にかかるのですが、
ワイルドでクールな犯罪者、影があるけど、どこか人の好さを感じさせる青年・・・といった風貌が、
おばさんクラッときましたよ。で、ポーっとなって、ドキドキして・・・って、あの、
更年期障害の動悸・眩暈（めまい）、ほてり、じゃないぜ。

楽しかったのはヴィンスのオーデョション・シーン。
マーロン・ブランドのモノマネには噴き出しちゃいました。
家族それぞれの秘密も、まぁ、マイルドな感じで（苦笑）、見やすくて良かったですね。
そうそう、長女役の子はアンディ・ガルシアの娘さん。濃ゆい顔が似てる。
長男役はエズラ・ミラー。「IQ高めのクセ者」演技は盤石です。

ホントは「家族のヒリヒリ」系が好きだけど、お行儀のいいファミリードラマも、
登場人物が魅力的であれば楽しめる。
日曜の午後にまったり鑑賞するにはうってつけでした（笑）。

お父さんのアンディ・ガルシアは看守の仕事の傍ら、妻に内緒で昔からの夢で役者なる為に教室通い。遂に「マーティン・スコセッシ監督＆ロバート・デ・ニーロ主演作」のオーディションに合格するが、いつもこそこそしてる姿に妻は浮気してると決めつけてしまう。更に新入り受刑者の若者が元彼女の息子＝昔別れた後に産まれた自分の息子と分かり、身元引受人となって仮釈放中は自宅に住まわすが、何も事情を知らない家族は訝しがる。

そしてその若者が一緒に暮らし始めたことによりファミリーに変化が生まれ、大学生の娘の秘密のバイト・高校生の息子のド変態性癖・浮気を勘違いした妻の暴挙と、それぞれの抱える秘密が明らかに・・。まあそれぞれの秘密といっても大した秘密でなく話は重くはないし大した盛り上がりもないけど、アンディ・ガルシア主演と言いつつ実際はちょい役なんていうB級映画でもなく、とりあえずきちんと観れる佳作という言葉がぴったりの作品。