ＴＡＫＥ　ＤＯＷＮ／テイクダウン

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スコットランドのウエストソアイ島。きれいな島だ。
ここに大金持ちの親からサジを投げられた不良息子、娘が教育のため送り込まれたとなると、
プロットとしてはそれだけでワクワクするじゃありませんか。
ある日、船で誘拐犯たちが上陸する、施設の大人たちを惨殺、若者たちを人質にとるのだが、偶然カイル（ジェレミー・サンプター）だけはその場におらず、脱出に成功する。
人質を殺したら金は取れないから殺さないはずだ、と考える息子たち。
だがカイルは窓の外で「金を取ったら殺す」という会話を聞いてしまう。
一方、若者たちの親たちは10億ドルという巨額の身代金を要求され、その対応に迫られていた。親たちの中には金を払いたくないと思う者もおり、意見の対立が生まれる。
犯人たちが上陸してから私はどうも怪しいとにらむ。
金持ちの子供が揃っているこの島。まとめて脅迫すれば、こんな都合の良い話はない。
どこかにワナ、裏切ってる人間が、どこかにいるはずだ・・。
と、思うのだが、島では犯人たちと子供たちとの壮絶な戦いが続く。
意味がよくつかめないなりに、緊迫感があって面白い。
ヘラヘラしていた金持ちの息子がいつのまにかマッチョになっている。
ラストは感動的だ。
犯人の考えや計画がもう少し具体的だと、より楽しめたと思う。

ジャケットは、『ハンガーゲーム』と素晴らしく良く似ている。けれど、どちらかと言うと『Ｄ―ＴＯＸ』のセルフ・リメイクみたいな作品だった。

監督は、ジム・ギレスピー。シルベスター・スタローン主演の『Ｄ―ＴＯＸ』、ヒット作『ラストサマー』等を撮った方で、久しぶりに名前を見たような気がする。(苦笑)　この監督さんの作品は、ほどほどのエンターテイメントに仕上がっているが、いつも何かに欠けていて、まとめ方がヘタクソで、肝心なところがスカスカな上、ガチャガチャしている。(溜息)

――カイルは贅沢で怠惰な日々を送っていたが、或る日、運転していた車で自損事故を起こし、同乗していた女性に怪我をさせてしまう。無軌道な素行に手を焼いた父親は、彼を孤島で行われる更生プログラムに参加させることにする。
そこでは、裕福な家庭の問題児ばかりを預かり、３ヶ月間のサバイバル訓練を行っていた。厳しい訓練を通して自立させることが目的だった。
ところが、その島を武装集団が襲い、訓練の参加者を人質として拘束してしまう。彼らの目的は、身代金。参加者の親は皆、金持ちだ。史上最高額の身代金を手に入れる計画だった。
ところが、たまたま夕食の席を外していたカイルだけが、拘束を免れていた。意気地なしで卑怯者のカイルだったが、人質になっている仲間たちを救うために孤軍奮闘することになる。
……というお話し。

ロケーションが素晴らしく、雰囲気は抜群だった。森の中や岸壁、海、灯台、崩れた石造りの建造物……、どれもこれも魅力的だ。カメラのアングルも多彩で、見応えがあった。
撮影は、『ラストサマー』でＪ．ギレスピー監督と組んだデニス・クロッサン。ラッセル・マルケイ監督と組んだ『ブロンディー／女銀行強盗』が記憶に残っている。

でも、決定的に脚本が脆弱で、肝心なところで「？」が出てしまう。(溜息)
武装した誘拐犯は、何であんなに人数が少ないんだ？　たった数日訓練しただけのカイルに、ああも簡単にやられてしまうなんて、誘拐犯の資格ないんじゃないか？（資格があればだけど）　それに、あのオチは月並み過ぎないか？
このヒドい脚本を書いたのは、アレクサンダー・イグノン。メル・ギブソン主演の『身代金』を書いた方だが、20年で随分と“劣化”したものだ。と言うより、他に書いてないところを見ると、もともと脚本家ではないのかも知れない。

カイルを演じるのは、ジェレミー・サンプター。『ピーターパン』や『ソウル・サーファー』に出演していた若手俳優さん。ちょっと小粒だが、悪い役者さんではなさそうだ。

カイルの車に乗っていて事故に遭うエイミー役を演じるのは、フィービー・トンキン。『パニック・マーケット３Ｄ』に出演していた。近年はＴＶシリーズ『オリジナルズ』にレギュラー出演している。

カイルの父親役には、セバスチャン・コッホ。『ブラックブック』『ダイ・ハード／ラスト・デイ』に出演していた助演クラスの俳優さん。

日本人女性のオシモトケイコ役を演じるのは、山下結穂さん。ここ10年は、海外で活動している女優さん。応援したくなってしまった。

最後にダメ押しで、吹き替えの声優さんのヘタクソさが際立つ作品だった。

特別オススメしたいとは思えないけど、たらたら流しっぱなしにしておくには最適かも知れない。(笑)

まあまあのストーリーでした