ディーパンの闘い

スリランカの内戦で妻子を亡くし、すっかり闘うことに嫌気がさしたディーパン（アントニーターサン・ジェスターサン）が赤の他人の若い女性ヤリニ（カレアスワリ・スリニバサン）、孤児の少女イラヤルと家族になりすまし、フランスに亡命します。パリ郊外の集合団地でささやかな幸せを手に入れようとしたその矢先、3人は新たな暴力に見舞われてしまいます。

フランスの難民問題映画かと思いきや、フレンチ・ウェスタンの香りのする映画でした。
新天地フランスでも、微妙なバランスの上にある、ささやかな幸せ。
擬似家族から真の家族の絆が生まれ、つかず離れずの家族関係からの終盤の展開には驚きました。
寡黙なディーパンが、行動でみせる後半がビックリです。
移民たちの重い現実が暴力により均衡を失った時、デーパンも封印していた暴力性を爆発させたのかもしれません。
後半はいい意味で裏切られた感じがしました。　

移民問題のシネマは いまいくらでもあるけど この映画の世界と
映画が共時的に相互浸透しているような感覚の物 いや我々がそう
感じ始めているとゆう事は ジャックドゥミーの あの美しい
「天使の入江」のニースでトラックテロがあり トルコ軍のクーデタ
が同時に起こるような 第三次世界大戦前夜を生きている我々の
リアルなのだろう

難民問題に焦点を当てた作品かとおもいきや
意外にもクライムアクション的映画だった。
スリランカの内戦を逃れてフランスに亡命した偽装家族のディーパン一家。
新天地は決して楽園ではなく
底辺の中にもはびこる差別。
そしてそこにも新たなギャングの抗争という闘いがあり
巻き込まれていく一家。
ずっと張り詰めたような緊張ある空気感が凄い。
何かが起こりそうでなかなか起きない中で
物語は終盤に動きだす。
ラストの幸せ一杯のシーンは
決してディーパンの夢とかではなく、現実であることを祈ります。

主人公ディーパンを演じたアントニーターサン・ジェスターサン（何て長い名前だ！）は、
実際にスリランカ内戦の元兵士で、フランスに亡命したということです。
現在は作家となっていて、本作で演技にも挑戦したとか。
実直で真面目な男ディーパン（偽装の名前なのだが）を見事に演じきっていました。

スリランカの内戦中、偽装の家族をでっち上げフランスに亡命したディーパン。
言葉も通じない中、懸命に解け込もうと管理人の仕事を請け負う。
妻はフランスに馴染めず再びこの疑似家族からも逃げ様とする。

フランスでの生活も少し落ち着いた頃マフィアの抗争事件に巻き込まれた事で
兵士としてのディーパンの本性が出る。

映画タイトル「ディーパンの闘い」
彼は何と闘うのか？と言う興味があったが・・・
内戦中のスリランカから亡命する為に偽装家族を作り苦労して（闘い）やっと平穏な国に・・・
なんて話かな〜と思っていたけど違いました（笑）

ストーリーや映像や流れはいいんだけど、全て浅い感じで…う〜ん…となってしまった。
鍵になる設定はもう少し深い方が良かった。
ただの暗いアクション？作品として観れば面白いかもしれないが、ストーリーで考えたらそう観れないし難しいところだね。