ボーイ・ソプラノ　ただひとつの歌声

複雑な家庭環境に育った少年が、名門少年合唱団での合唱団団長との出会いにより、自身の人生を切り開いていく物語。
母子家庭に育ち、トラブルを起こしてばかりのステット（ギャレット・ウェアリング）は、類い稀な美声の持ち主だった事から名門少年合唱団に入学。仲間からイジメに遭いながらも厳格な教師カーヴェル（ダスティン・ホフマン）の指導の下、次第に歌う事に魅了されていったステットはコンサートでソロを歌うチャンスを掴みます。

ボーイ・ソプラノは，少年が変声期前の限られた時間だけ神様から授けられた歌声。
制限つきの神からの贈り物はあまりに美しくまた短時間故に儚く、歌を愛することを知った少年にとって何と過酷なことでしょう？

ステットの存在を妻子に秘密にしていた実父が息子を誇りに思い始める表情が印象的です。
彼が歌を極めた体験は，ボーイ・ソプラノが失われた後も，きっと心の豊かさとなって残る事でしょう。
高音ソプラノの歌声が美しく、心洗われました。

　音楽映画はいいなあ。この映画も心が洗われるようで、すごく好きだ。この映画のことを考えながら電車に乗っていて、突然涙がとまらなくなり、とても困った。

　音楽を愛する人々によって制作された映画だろうと感じる。合唱団で主人公の少年を温かく見守る若き先生ウーリー役を演じているのは、確か『グリー』に出演していた人だし、主演のダスティン・ホフマンも、初監督作品（『カルテット!』）で引退した音楽家たちの人生を描いたことを考えると、相当に音楽が好きなのではないだろうか。ピアノを弾くシーンもおそらく彼自身で弾いている。

　いったいどちらが親なんだか、アル中の母親を気遣い健気に世話をする少年の、孤立無援の孤独な心。どんなに困っても、泣き言を言ったり人に頼ったり媚びたりしない、負けん気の強いまっすぐな心。彼に賦与された美しく澄んだボーイソプラノの声は、神様の憐れみか慈愛のように思える。荘厳な祈りの音楽を歌うことは、彼の鋭く深い孤独を慰め、癒したのではないだろうか。彼が社会と和解し、本当の意味でひとりで生き抜く力を身に付けたとき、その天使の歌声は彼からそっと去っていく。世俗に染まらない彼のピュアな強くて負けない心は相互的で、周りのおとなたちをも動かし変えていく。

　すてきな音楽シーンがいっぱい、すてきな（すてきになる）おとなたちもいっぱい、という映画でもある。ジョシュ・グローバンの歌うエンディング曲 The secret of your gift も、優しさ溢れるとてもすてきな曲で、クレジットの最後の最後まで動けない。

　映画館で観たかった。心残りです。

　本質を見ようとしなければ気付かない人生！
少年ステッド（ギャレット・ウエアリング）は、心から慕っていた前科持ちでアル中の母親を突然事故で失った。。。
まだ声変わりもしていない少年が、他人に迷惑や心配を懸けないよう意地を張り必死に努力する姿勢に胸がうたれる(´；ω；`)
途中で一番好きな映画”素晴らしき哉、人生！”のラストが流れるし、カーベル（ダスティン・ホフマン）の不器用で厳しくも、生きていく過程の本質を見る大事さを教える姿も素晴らしかった(^-^)
キャストには懐かしいＤ・ウィンガー、ミザリーでオスカー女優のキャシー・ベイツ、ひそかに格好いいジョシュ・ルーカスが脇を固める...

THAT'S MUSIC・・・音楽映画ですね。
国立少年合唱団の指導法も、とても専門的です。
主人公の少年ステット(ギャレット・ウェアリング・・・不良っぽくて
可愛い)も、貧しい母子家庭ですが、宗教曲とかの教養が、
あったのでしょうか？
とても、そこらの貧しい育ちの少年とは思えません。
(音楽的土台は何処で培われたのかな？)
と、少し疑問になるほどの素養です。
譜面が読めなくても、その上達の速い事。

やがて海外講演ののメンバーに選ばれます。
ステットが自室で、演奏会のユニホーム(ブレザースーツですけど)
を、見つけた時の目の輝き！！
好きな事に、才能がある・・・なんて幸せな事でしょう！

ソロを歌う少年合唱団のスターが発熱して、代役がステットに回ってきます。
たった一日で、超高音域の難曲を、歌いこなすステット。
いいな〜羨ましいな〜
何が欲しいか？と聞かれたら、『才能』と答えますね。
私が、もっと若かったらだけど・・・。

指揮者で可愛がって厳しく指導してくれるカーヴェル先生(ダスティン・ホフマン)
音楽家のようでしたね。
抑制の効いた演技、そしてステットへのこれまた抑制の効いた接し方、とても自然で良かったです。
デブラ・ウインガーが、ステットの才能を見出す中学校の校長先生役で、綺麗で素敵でした。
少年合唱団のトップ役のキャシー・ベイツが、要所、要所を引き締めてくれて、とても貫禄で素敵でした。

　すみません。エンディング曲のタイトルを間違えました。The mystery of your gift です。