グローリー/明日への行進

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グローリー/明日への行進 / デヴィッド・オイェロウォ
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「グローリー/明日への行進」 の解説・あらすじ・ストーリー

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解説・ストーリー

世界を愛で変えようとしたキング牧師の実話を描いたドラマ。1965年、黒人の選挙権を求める525人の同志と共に、キング牧師はアラバマ州セルマの地でデモ行進を始める。ところが、そこで待ち受けていたのは白人の州警察と民兵隊による弾圧だった。※PG12

「グローリー/明日への行進」 の作品情報

作品情報

製作年: 2014年
製作国: アメリカ
原題: SELMA

「グローリー/明日への行進」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ

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ユーザーレビュー:13件

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1〜 5件 / 全13件

誇りを懸けた行進

投稿日:2015/12/22 レビュアー:ミルクチョコ

アメリカ公民権運動の最中、アラバマ州セルマで起こった「血の日曜日事件」を題材に描いた歴史ドラマ。
1964年にノーベル平和賞に輝いたキング牧師(デヴィッド・オイェロウォ)は、その翌年に525人の同志と、アラバマ州での黒人投票を認めさせるためのデモ行進を開始します。しかし、白人の州警察と民兵隊に襲撃され、この映像が全米中に流れたことで国民は衝撃を受けます。

いくら暴力で抑え込もうとしても、キング牧師は非暴力を貫き良心に訴えて来ます。
非暴力は無力ではなく、むしろ最大の武器なのかもしれません。
世論を武器に大統領すら脅す、策士としての顔も見えて来ます。ただ歩く事で国を、そして歴史をも動かした世紀の大行進に非常に胸が痛くなりました。

彼の崇高な夢は、黒人大統領が実現した今でも「白人警官による黒人殺害」は、なくならないし、これはそんなに遠い過去の話ではないのが哀しいです。

このレビューは気に入りましたか? 17人の会員が気に入ったと投稿しています

闘いは続いているのだろう

投稿日:2020/08/05 レビュアー:ポッシュ

先月、アメリカのジョン・ルイス下院議員の訃報がニュースになり、
公民権運動活動家のルイス氏が先頭に立っていたという、この“セルマの行進”の事を知った。
(本作の原題は「セルマ」)

アホみたいだけど、ただ、このデモ行進の1番前を歩いているルイス氏・・・を確認したくて鑑賞。
(どんな興味や)
「血の日曜日事件」として有名なこのデモ行進。そう、自分もこの名前は知っていたのだけれど、
セルマの行進という黒人の投票権を求めた抗議運動・・・とは結びついていなかったのですね。(恥)

これを主導するのがマーティン・ルーサー・キング牧師なのですが、こうして見てみると
彼の「非暴力主義」は、マルコムXが批判したような「ひ弱な」理想主義なんかじゃなく、
狡猾な戦法という一面もあったのかなーと思ったりした。

セルマでは手始めに群庁舎前で座り込みを行う。
ここで無抵抗の抗議をしつつ、牧師は「ドラマが生まれる」ことを期待している。長嶋監督か!
警官隊のほうがジレて暴力をふるえば、「無抵抗の黒人を痛めつける白人」という絵図がニュースになり、
良心的なアメリカ国民たちの心を動かす・・・という戦略。
この時も、アフリカ系の親子と白人警官が小競り合いになったとき、牧師はハラハラした顔で見ている。
「そ、そこで反抗しちゃいかん!」と心の中で叫んでる感じが見てとれる。
この辺は映画的な演出だったのかもしれないが、とても人間臭くてリアルな行動が
私にはとても理解しやすかった。
「高潔」の一言で済ませられない「戦いの奥義」みたいなものが、そこにはきっとあったのだろうと。

そして、作品の主題となるセルマの行進。
当時まだ学生だったジョン・ルイス(ステファン・ジェームス)は、確かに先頭を歩いていました。
武装した警官隊がムチやこん棒で襲い掛かり、老人であろうが女性であろうが容赦なく殴られ、
コンクリートの上に叩きつけられる。
(ルイス氏はこのとき頭蓋骨骨折の重傷を負っている)
戦場のようなシーンはもう恐ろしくて悲しくて、涙が止まらなかった。
暴動を制圧するという大義名分なんて吹っ飛ぶ、憎悪に満ちた暴虐。
こんな事が、ずっと繰り返されている・・・。
今も、ですね。

惨劇の舞台となったエドマンド・ペッタス橋。
先月執り行われたルイス氏の葬儀で、ご遺体がその橋を渡ったそうです。

このレビューは気に入りましたか? 6人の会員が気に入ったと投稿しています

それでも根底は今も変わらないアメリカ

投稿日:2021/04/02 レビュアー:飛べない魔女

場所にもよるのでしょうけど
次々と報道される黒人へのヘイトクライムを見ると
今もアメリカでの黒人差別意識は
この頃と何ら変わっていないのでは?と思ってしまいます。

選挙権という国民として当たり前の権利。
恐らく州によって違うのでしょうが
アメリカ南部のアラバマ州では
1960年代になっても、一般の黒人には選挙権が与えられていなかったいう事実には驚きでした。
投票権を得るためには、お金を払い、審査を受ける必要があったようです。
その審査もいい加減なもので、頭から『拒否』を前提としているようでした。
黒人の自由と平等を求めて、キング牧師らが市民を先導し、
アラバマ州セルマから州都モンゴメリーまでの80キロを行進します。
「肌の色など関係ない。人は皆平等だと信じるならば共に行進しよう」
キング牧師のその語りかけに人種を超えた人々が集まり
ただ歩くだけの非暴力によるデモはやがては国を動かすことになるのです。
一人では闘うことが出来なくても、皆で力を合わせれば
歴史は動くのだという事実をまざまざと見せられました。

そんな素晴らしい歴史があるのに、
今も尚ヘイトクライムを止めようとしない人が何と多い事か。
最近では、アジア系へのヘイトクライムも加速しているようで
誰かを憎むことしか出来ない心の貧しい人にはなりたくないと
つくづく思う今日この頃です。

このレビューは気に入りましたか? 4人の会員が気に入ったと投稿しています

デモ行進は手段、目的は選挙権獲得

投稿日:2019/06/23 レビュアー:趣味は洋画

グローリー ー明日への行進−(2014年・アメリカ、カラー128分)

アフリカ系アメリカ人公民権運動の指導者、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師(1929〜1968)が提唱した「非暴力主義」の実践。人種差別の撤廃を訴え、公民憲法制定に寄与したキング牧師の実話を、「血の日曜日事件」を絡ませて描いたヒューマン・ドラマ。

この映画のポイントは、「ちゅく」さんのレビュー、「JFK」暗殺の映画を再考する【最終23】「明日への行進」を是非ともお読みいただきたいと思います。

象徴的な出来事が、この映画の冒頭に出てきます。(ちゅくさんも触れられていますが)
アラバマ州の役所にアニー・リー・クーパー(オプラ・ウィンフリー)が選挙権の申請に行くのですが、職員(白人)が憲法の前文を述べるように指示したり、議員数を質問します。アニーは正確に答えるのですが、議員全員の名前を質問されたことには答えられず、申請書類に「却下」が押印されます。

まったくひどい話で、いやがらせのレベルを完全に通り越し、人種差別以外の何物でもありません。
これらのいわれなき迫害を打破するため、キング牧師(デヴィッド・オイェロウォ)は時の大統領ジョンソン(トム・ウィルキンソン)と会談します。しかし大統領は、貧困の根絶を解消することが先決だと答え、まともに聞く耳をもちません。(少なくとも私にはそう映りました)
そこでキング牧師がとった方法は、大規模なデモ行進を行い、マスコミを通じて人々の意識を変えるべきだということ。しかしウォレス州知事(ティム・ロス)の徹底した差別政策で、警官隊や騎馬隊が参加者に凄惨な暴力を振るうのです。多くの死傷者をだしたこの事件は、後に「血の日曜日事件」と云われ、全米にテレビ中継されました。

有権者登録がなぜ必要なのか。云うまでもなく、裁判(米国では特に多い)に関わる公務員はみな白人ばかり。殺人を犯した者が誰一人有罪とならない現実。全員白人の陪審員が無罪を投じれば、結果は云うに及ばず。セルマ州知事は、‘あるべき姿は何世紀も続く人種隔離政策だ’と平気でうそぶくのです。
これが「当時のアメリカの現実」でした。

青年ジミー(レイキース・スタンフィールド)が射殺された後、キング牧師がジミーの祖父に話しかけるシーンがあります。‘何もお慰めする言葉もありません、何の言葉も。でもこれだけは言えます。神が最初に泣きました。お孫さんのために’...思わず胸が熱くなりました。

デヴィッド・オイェロウォがキング牧師を真摯に演じています。
意識していませんが、彼の出演作品は知らず知らずのうちに観ています。06年「ラストキング・オブ・スコットランド」、2011年「猿の惑星・創世記(ジェネシス)」、2012年「アウトロー」、2012年「リンカーン」、2013年「大統領の執事の涙」、2014年「インターステラー」、といった具合です。

キング牧師の妻役はカーメン・イジョゴですが、個人的には前述のオプラ・ウィンフリーに注目していました。85年「カラーパープル」で、ウーピ・ゴールドバーグやマーガレット・エイヴリーと共にアカデミー助演女優賞にノミネートされたのが31歳ころ。そして還暦を迎えた本作では、社会悪に敢然と立ち向かう女性を演じて素晴らしかった。
本作前年の「大統領の執事の涙」では、フォレスト・ウィテカー演じる主人公の妻を演じ、その長男役がデヴィッド・オイェロウォという配役でした。

出演シーンは短いですが、キューバ・グッディング・Jr、マーチン・シーン(ノンクレジット)といった顔ぶれも興味深いです。

そして、主にドキュメンター映画を手掛けてきた女性監督、エイヴァ・デュヴァーネイ女史が、多くの黒人俳優たちを巧みに操っています。(良い意味で)
佳作です。

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「JFK」暗殺の映画を再考する【最終23】 「明日への行進」

投稿日:2019/05/04 レビュアー:ちゅく

「グローリー 明日への行進」(2014年、米国、カラー、128分)。
マーティン・ルーサー・キング・JR(1929年1月15日〜1968年4月4日)の公民権運動を象徴する、1965年のアラバマ州セルマからモンゴメリーへの行進を描いた作品です。
意外なことに、彼の「I Have a Dream(私には夢がある)」というワシントンDCでの1963年8月28日の演説も、彼の暗殺場面も出てきません。JFKの暗殺も、弟ロバートの政治活動と暗殺(キングが殺された同年1968年6月6日)も出てきません。
映画冒頭は、ノーベル平和賞(1964年10月14日受賞発表)を受けたキングが、ワシントンの壮行会に向かう場面から始まります。キングは、礼服のアスコット・タイを嫌います。衣装はなるべく質素であること、受賞が終ったら、田舎に戻って牧師をする、と妻コレッタに言う。
回想は、1963年9月15日、アラバマ州バーミングハムの「16番通りバプティスト教会」が爆破され、日曜学校に来ていたアフリカ系米国人の4人の少女が死亡する場面を映す。
さらに、アニー・リー・クーパーが、有権者登録に言ったアラバマ州の役所で、受付の白人男の検閲を受け、勤務先を訊かれたあと、憲法の前文を言えと言われて正確に朗読し、州判事が47人と正確に答えたあと、州判事の名前を全員言えと言われ、彼女は答えられない場面がこの映画で描かれている。登録「却下」の判子が提出書類に押される。
キングたちの差別廃止運動、公民権獲得運動は、1964年7月2日の合衆国議会で「公民権法」が成立したときから、始まったのかもしれない。
「公民権」法は1964年に初めて成立し、アフリカ系アメリカ人の選挙権を認めた。制定後、米国内でさまざまな軋轢が起こった。1965年「投票権法」で、州がアフリカ系アメリカ人の有権者登録を不当に妨害した場合、連邦政府が有権者登録を行えるように修正された。

映画の冒頭の4番目の場面では、ジョンソン大統領(トム・ウィルキンソン)と、FBIのJ・エドガー・フーヴァー長官(ディラン・ベイカー)の会話が語られる。フーヴァーは、ルーサー・キングの存在を恐れていて、彼の女性スキャンダルをジョンソンに見せ、そのあとキング夫人にリークする。夫人は、夫のことを昔から知っていて、傷ついたが、夫を守ろうとする。つまり、フーヴァーは負けたのだ。

JFKが宣言した「公民権」確立運動は、JFKが生きている限り、議会成立は難しかった。
多数党の民主党の上院・下院の議員でさえ、ケネディが弟ロバートを司法省の長官に据え、ホワイトハウスを、ケネス・オドンネルたちの「アイリッシュ」で固めているのが、不満だった。ケネディ兄弟と「アイリッシュ」の側近は、キューバ危機を奇跡的に乗り切ったが、その後、キューバ、ソ連との関係は緊迫していた。
JFK暗殺後、ケネディが公約に挙げた「公民権」確立は、後継のジョンソン大統領の政治課題の半分になる。ジョンソンは「公民権」確立に積極的な民主党の上院議員だった。彼の政治的「老師」ジョン・ラッセル上院議員は、民主党の中でもっとも保守的で、アフリカ系アアメリカ人の「公民権」に反対していた。ジョンソンは、まず、JFK暗殺究明の「ウォーレン委員会」に、「老師」とその政敵ウォーレンを送り込んだ。

マーティン・ルーサー・キングのアラバマ州の行進は、何度も試行錯誤をして、暴力による対立で自分たちが不利にならないように計画されて、成功した。
この行進を指揮したのは、キング一人ではなく、キングはその参謀とともに、行進の経路を走査して、最も効果的で最も衝突のない経路を選んだ。彼らは、賢明だった。

キングとジョンソンがホワイトハウスで対立する場面がある。
キングは、推進者として公民権法を早く成立させたいが、ジョンソンには大統領としての政治立場上、議会への根回しが必要だった。

長々書いてきた「JFK暗殺」に関連する映画のレビューは、これで終わります。
ご高覧いただいた皆様、ありがとうござました。

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グローリー/明日への行進

ユーザーレビュー

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誇りを懸けた行進

投稿日

2015/12/22

レビュアー

ミルクチョコ

アメリカ公民権運動の最中、アラバマ州セルマで起こった「血の日曜日事件」を題材に描いた歴史ドラマ。
1964年にノーベル平和賞に輝いたキング牧師(デヴィッド・オイェロウォ)は、その翌年に525人の同志と、アラバマ州での黒人投票を認めさせるためのデモ行進を開始します。しかし、白人の州警察と民兵隊に襲撃され、この映像が全米中に流れたことで国民は衝撃を受けます。

いくら暴力で抑え込もうとしても、キング牧師は非暴力を貫き良心に訴えて来ます。
非暴力は無力ではなく、むしろ最大の武器なのかもしれません。
世論を武器に大統領すら脅す、策士としての顔も見えて来ます。ただ歩く事で国を、そして歴史をも動かした世紀の大行進に非常に胸が痛くなりました。

彼の崇高な夢は、黒人大統領が実現した今でも「白人警官による黒人殺害」は、なくならないし、これはそんなに遠い過去の話ではないのが哀しいです。

闘いは続いているのだろう

投稿日

2020/08/05

レビュアー

ポッシュ

先月、アメリカのジョン・ルイス下院議員の訃報がニュースになり、
公民権運動活動家のルイス氏が先頭に立っていたという、この“セルマの行進”の事を知った。
(本作の原題は「セルマ」)

アホみたいだけど、ただ、このデモ行進の1番前を歩いているルイス氏・・・を確認したくて鑑賞。
(どんな興味や)
「血の日曜日事件」として有名なこのデモ行進。そう、自分もこの名前は知っていたのだけれど、
セルマの行進という黒人の投票権を求めた抗議運動・・・とは結びついていなかったのですね。(恥)

これを主導するのがマーティン・ルーサー・キング牧師なのですが、こうして見てみると
彼の「非暴力主義」は、マルコムXが批判したような「ひ弱な」理想主義なんかじゃなく、
狡猾な戦法という一面もあったのかなーと思ったりした。

セルマでは手始めに群庁舎前で座り込みを行う。
ここで無抵抗の抗議をしつつ、牧師は「ドラマが生まれる」ことを期待している。長嶋監督か!
警官隊のほうがジレて暴力をふるえば、「無抵抗の黒人を痛めつける白人」という絵図がニュースになり、
良心的なアメリカ国民たちの心を動かす・・・という戦略。
この時も、アフリカ系の親子と白人警官が小競り合いになったとき、牧師はハラハラした顔で見ている。
「そ、そこで反抗しちゃいかん!」と心の中で叫んでる感じが見てとれる。
この辺は映画的な演出だったのかもしれないが、とても人間臭くてリアルな行動が
私にはとても理解しやすかった。
「高潔」の一言で済ませられない「戦いの奥義」みたいなものが、そこにはきっとあったのだろうと。

そして、作品の主題となるセルマの行進。
当時まだ学生だったジョン・ルイス(ステファン・ジェームス)は、確かに先頭を歩いていました。
武装した警官隊がムチやこん棒で襲い掛かり、老人であろうが女性であろうが容赦なく殴られ、
コンクリートの上に叩きつけられる。
(ルイス氏はこのとき頭蓋骨骨折の重傷を負っている)
戦場のようなシーンはもう恐ろしくて悲しくて、涙が止まらなかった。
暴動を制圧するという大義名分なんて吹っ飛ぶ、憎悪に満ちた暴虐。
こんな事が、ずっと繰り返されている・・・。
今も、ですね。

惨劇の舞台となったエドマンド・ペッタス橋。
先月執り行われたルイス氏の葬儀で、ご遺体がその橋を渡ったそうです。

それでも根底は今も変わらないアメリカ

投稿日

2021/04/02

レビュアー

飛べない魔女

場所にもよるのでしょうけど
次々と報道される黒人へのヘイトクライムを見ると
今もアメリカでの黒人差別意識は
この頃と何ら変わっていないのでは?と思ってしまいます。

選挙権という国民として当たり前の権利。
恐らく州によって違うのでしょうが
アメリカ南部のアラバマ州では
1960年代になっても、一般の黒人には選挙権が与えられていなかったいう事実には驚きでした。
投票権を得るためには、お金を払い、審査を受ける必要があったようです。
その審査もいい加減なもので、頭から『拒否』を前提としているようでした。
黒人の自由と平等を求めて、キング牧師らが市民を先導し、
アラバマ州セルマから州都モンゴメリーまでの80キロを行進します。
「肌の色など関係ない。人は皆平等だと信じるならば共に行進しよう」
キング牧師のその語りかけに人種を超えた人々が集まり
ただ歩くだけの非暴力によるデモはやがては国を動かすことになるのです。
一人では闘うことが出来なくても、皆で力を合わせれば
歴史は動くのだという事実をまざまざと見せられました。

そんな素晴らしい歴史があるのに、
今も尚ヘイトクライムを止めようとしない人が何と多い事か。
最近では、アジア系へのヘイトクライムも加速しているようで
誰かを憎むことしか出来ない心の貧しい人にはなりたくないと
つくづく思う今日この頃です。

デモ行進は手段、目的は選挙権獲得

投稿日

2019/06/23

レビュアー

趣味は洋画

グローリー ー明日への行進−(2014年・アメリカ、カラー128分)

アフリカ系アメリカ人公民権運動の指導者、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師(1929〜1968)が提唱した「非暴力主義」の実践。人種差別の撤廃を訴え、公民憲法制定に寄与したキング牧師の実話を、「血の日曜日事件」を絡ませて描いたヒューマン・ドラマ。

この映画のポイントは、「ちゅく」さんのレビュー、「JFK」暗殺の映画を再考する【最終23】「明日への行進」を是非ともお読みいただきたいと思います。

象徴的な出来事が、この映画の冒頭に出てきます。(ちゅくさんも触れられていますが)
アラバマ州の役所にアニー・リー・クーパー(オプラ・ウィンフリー)が選挙権の申請に行くのですが、職員(白人)が憲法の前文を述べるように指示したり、議員数を質問します。アニーは正確に答えるのですが、議員全員の名前を質問されたことには答えられず、申請書類に「却下」が押印されます。

まったくひどい話で、いやがらせのレベルを完全に通り越し、人種差別以外の何物でもありません。
これらのいわれなき迫害を打破するため、キング牧師(デヴィッド・オイェロウォ)は時の大統領ジョンソン(トム・ウィルキンソン)と会談します。しかし大統領は、貧困の根絶を解消することが先決だと答え、まともに聞く耳をもちません。(少なくとも私にはそう映りました)
そこでキング牧師がとった方法は、大規模なデモ行進を行い、マスコミを通じて人々の意識を変えるべきだということ。しかしウォレス州知事(ティム・ロス)の徹底した差別政策で、警官隊や騎馬隊が参加者に凄惨な暴力を振るうのです。多くの死傷者をだしたこの事件は、後に「血の日曜日事件」と云われ、全米にテレビ中継されました。

有権者登録がなぜ必要なのか。云うまでもなく、裁判(米国では特に多い)に関わる公務員はみな白人ばかり。殺人を犯した者が誰一人有罪とならない現実。全員白人の陪審員が無罪を投じれば、結果は云うに及ばず。セルマ州知事は、‘あるべき姿は何世紀も続く人種隔離政策だ’と平気でうそぶくのです。
これが「当時のアメリカの現実」でした。

青年ジミー(レイキース・スタンフィールド)が射殺された後、キング牧師がジミーの祖父に話しかけるシーンがあります。‘何もお慰めする言葉もありません、何の言葉も。でもこれだけは言えます。神が最初に泣きました。お孫さんのために’...思わず胸が熱くなりました。

デヴィッド・オイェロウォがキング牧師を真摯に演じています。
意識していませんが、彼の出演作品は知らず知らずのうちに観ています。06年「ラストキング・オブ・スコットランド」、2011年「猿の惑星・創世記(ジェネシス)」、2012年「アウトロー」、2012年「リンカーン」、2013年「大統領の執事の涙」、2014年「インターステラー」、といった具合です。

キング牧師の妻役はカーメン・イジョゴですが、個人的には前述のオプラ・ウィンフリーに注目していました。85年「カラーパープル」で、ウーピ・ゴールドバーグやマーガレット・エイヴリーと共にアカデミー助演女優賞にノミネートされたのが31歳ころ。そして還暦を迎えた本作では、社会悪に敢然と立ち向かう女性を演じて素晴らしかった。
本作前年の「大統領の執事の涙」では、フォレスト・ウィテカー演じる主人公の妻を演じ、その長男役がデヴィッド・オイェロウォという配役でした。

出演シーンは短いですが、キューバ・グッディング・Jr、マーチン・シーン(ノンクレジット)といった顔ぶれも興味深いです。

そして、主にドキュメンター映画を手掛けてきた女性監督、エイヴァ・デュヴァーネイ女史が、多くの黒人俳優たちを巧みに操っています。(良い意味で)
佳作です。

「JFK」暗殺の映画を再考する【最終23】 「明日への行進」

投稿日

2019/05/04

レビュアー

ちゅく

「グローリー 明日への行進」(2014年、米国、カラー、128分)。
マーティン・ルーサー・キング・JR(1929年1月15日〜1968年4月4日)の公民権運動を象徴する、1965年のアラバマ州セルマからモンゴメリーへの行進を描いた作品です。
意外なことに、彼の「I Have a Dream(私には夢がある)」というワシントンDCでの1963年8月28日の演説も、彼の暗殺場面も出てきません。JFKの暗殺も、弟ロバートの政治活動と暗殺(キングが殺された同年1968年6月6日)も出てきません。
映画冒頭は、ノーベル平和賞(1964年10月14日受賞発表)を受けたキングが、ワシントンの壮行会に向かう場面から始まります。キングは、礼服のアスコット・タイを嫌います。衣装はなるべく質素であること、受賞が終ったら、田舎に戻って牧師をする、と妻コレッタに言う。
回想は、1963年9月15日、アラバマ州バーミングハムの「16番通りバプティスト教会」が爆破され、日曜学校に来ていたアフリカ系米国人の4人の少女が死亡する場面を映す。
さらに、アニー・リー・クーパーが、有権者登録に言ったアラバマ州の役所で、受付の白人男の検閲を受け、勤務先を訊かれたあと、憲法の前文を言えと言われて正確に朗読し、州判事が47人と正確に答えたあと、州判事の名前を全員言えと言われ、彼女は答えられない場面がこの映画で描かれている。登録「却下」の判子が提出書類に押される。
キングたちの差別廃止運動、公民権獲得運動は、1964年7月2日の合衆国議会で「公民権法」が成立したときから、始まったのかもしれない。
「公民権」法は1964年に初めて成立し、アフリカ系アメリカ人の選挙権を認めた。制定後、米国内でさまざまな軋轢が起こった。1965年「投票権法」で、州がアフリカ系アメリカ人の有権者登録を不当に妨害した場合、連邦政府が有権者登録を行えるように修正された。

映画の冒頭の4番目の場面では、ジョンソン大統領(トム・ウィルキンソン)と、FBIのJ・エドガー・フーヴァー長官(ディラン・ベイカー)の会話が語られる。フーヴァーは、ルーサー・キングの存在を恐れていて、彼の女性スキャンダルをジョンソンに見せ、そのあとキング夫人にリークする。夫人は、夫のことを昔から知っていて、傷ついたが、夫を守ろうとする。つまり、フーヴァーは負けたのだ。

JFKが宣言した「公民権」確立運動は、JFKが生きている限り、議会成立は難しかった。
多数党の民主党の上院・下院の議員でさえ、ケネディが弟ロバートを司法省の長官に据え、ホワイトハウスを、ケネス・オドンネルたちの「アイリッシュ」で固めているのが、不満だった。ケネディ兄弟と「アイリッシュ」の側近は、キューバ危機を奇跡的に乗り切ったが、その後、キューバ、ソ連との関係は緊迫していた。
JFK暗殺後、ケネディが公約に挙げた「公民権」確立は、後継のジョンソン大統領の政治課題の半分になる。ジョンソンは「公民権」確立に積極的な民主党の上院議員だった。彼の政治的「老師」ジョン・ラッセル上院議員は、民主党の中でもっとも保守的で、アフリカ系アアメリカ人の「公民権」に反対していた。ジョンソンは、まず、JFK暗殺究明の「ウォーレン委員会」に、「老師」とその政敵ウォーレンを送り込んだ。

マーティン・ルーサー・キングのアラバマ州の行進は、何度も試行錯誤をして、暴力による対立で自分たちが不利にならないように計画されて、成功した。
この行進を指揮したのは、キング一人ではなく、キングはその参謀とともに、行進の経路を走査して、最も効果的で最も衝突のない経路を選んだ。彼らは、賢明だった。

キングとジョンソンがホワイトハウスで対立する場面がある。
キングは、推進者として公民権法を早く成立させたいが、ジョンソンには大統領としての政治立場上、議会への根回しが必要だった。

長々書いてきた「JFK暗殺」に関連する映画のレビューは、これで終わります。
ご高覧いただいた皆様、ありがとうござました。

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