仮面/ペルソナ / リヴ・ウルマン
仮面/ペルソナ
/イングマル・ベルイマン
平均評価点:
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全体の平均評価点: (5点満点)
(7)
解説・ストーリー
分身(ドッペルゲンガー)をテーマにしたイングマール・ベルイマン監督の代表作をHDリマスター化。舞台上で言語障害を起こした女優と彼女を看護する女性が、療養期間中に異常な関係へと変貌、やがて意識を共有するようになり、互いを侵食し合っていく。 JAN:4988003832919
分身(ドッペルゲンガー)をテーマにしたイングマール・ベルイマン監督の代表作をHDリマスター化。舞台上で言語障害を起こした女優と彼女を看護する女性が、療養期間中に異常な関係へと変貌、やがて意識を共有するようになり、互いを侵食し合っていく。 JAN:4988003832919
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「仮面/ペルソナ」 の解説・あらすじ・ストーリー
解説・ストーリー
分身(ドッペルゲンガー)をテーマにしたイングマール・ベルイマン監督の代表作をHDリマスター化。舞台上で言語障害を起こした女優と彼女を看護する女性が、療養期間中に異常な関係へと変貌、やがて意識を共有するようになり、互いを侵食し合っていく。 JAN:4988003832919
「仮面/ペルソナ」 の作品情報
「仮面/ペルソナ」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ
仮面/ペルソナ ≪HDリマスター版≫の詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
82分 |
日 |
スウェーデン:モノラル |
レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
|
KIBR1736 |
2015年10月07日
|
在庫枚数 |
1位登録者: |
2位登録者: |
14枚
|
1人
|
0人
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仮面/ペルソナ ≪HDリマスター版≫の詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
82分 |
日 |
スウェーデン:モノラル |
レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
|
KIBR1736 |
2015年10月07日
|
在庫枚数 |
1位登録者: |
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|
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ユーザーレビュー:7件
女優→仮面の付け剥がしに、壊れる人格
この映画は希少品・・・プラチナ・シネマらしいです。
ベルイマンの作品を2作品(冬の光、と、ある結婚の風景)
しか観てないし、ベルイマンについて、殆ど知りません。
この作品はとても好きです。
1、宗教的では無い点。
2、内容が、分かりやすい(一見・・・ですが、)
出だしの7分間は謎ですね。
ても、とても意味深で効果的です。
ストーリーは、舞台上で突然、失語した有名女優、エリザベートと、
避暑地で寝泊まりの看護をする看護婦アルマの、
2人芝居のようです。
話せない女優はアルマの聞き役になります。
優しい表情で頷くエリザベートに気を許したアルマは、
秘め事を告白してしまいます。
多少の優越感が、あったのでしょうか?
酔いのせいでしょうか?
その告白をエリザベートが、担当医の女医に逐一書いた手紙を、アル
マは、読んでしまいます。
エリザベートへの信頼が、ガタガタと、崩れ落ちます。
45分。2人は黒い衣装に変わっています。
諍い、互いに平手打ちする2人。
そして、いつか2人の心は入れ替わった・・・というか、エリザベートの気持ちをアルマは、ドッペルゲンガーのように語り出します。
2人がその後、どうなったのか、よく分かりません。
とても衝撃的で深い余韻が残りました。
形而上的なことは、まるで分かりませんが、観るたびに新しい作品に、思えるでしょう。
このレビューは気に入りましたか?
5人の会員が気に入ったと投稿しています
母性ゆえの罪悪感と、母性の欠如ゆえの罪悪感
投稿日:2023/06/01
レビュアー:ポッシュ
(少しネタバレあり)
町山智弘氏のなんかの文章で気になったのがきっかけで鑑賞。(雑な前フリですいません)
実験的というか現代アートの映像作品みたいなシーンが随所に出てきて、なかなか噛み応えがあります。
観た人それぞれに色んな解釈ができそうですな。
とつぜん緘黙症になってしまった女優が、若い看護師と海辺の静かな場所で静養する。
看護師のほうは憧れも手伝ってか、献身的に世話をしながら女優のことを姉のように慕い、
自分の身の上話などアケスケに語るようになる。
黙って聞いている女優の方も、看護師に対して温かい感情が芽生えているのかと思いきや、
主治医宛ての手紙では、看護師を観察して愉しんでいるんだみたいな冷徹な本音をのぞかせる。
偶然、その手紙を読んでしまった看護師は怒り、落胆し、2人の間に亀裂が生じはじめ・・・。
そんなオハナシですかね。このプロット自体は分かりやすくドラマとして見やすい。
ですが。
まぁストーリーは副次的に見ときゃいいかな。それよりはセリフを噛みしめ、
2人の女優(リヴ・ウルマンとビビ・アンデショーン)の表情や、
2人が一つに溶け合うかのように巧妙に演出されたシーンを味わったりする方が
この作品を楽しめるような気がします。
この映画、大人の男性が一人も出てこないんですよね。
女優のダンナだけちょこっと出てくるけど、あれは女優の幻想っぽい。
そこではダンナは看護師のことを妻と思って話しかけ抱きしめる。それをシラーっと睥睨している女優。
看護師はダンナに「母であることの苦しさ」を吐露。女優は彼女に自分の気持ちを仮託して言わせてる。(たぶん)
看護師は堕胎した過去が、女優は子を持ったことが、自らを苦しめている。
母性ゆえの罪悪感と、母性の欠如ゆえの罪悪感。
なんか、もう、圧倒的に「女であること」で苦しんでる感じ。
妊娠も出産も男がいなきゃ出来ないのに、男の存在感ゼロの不思議。(セリフでしか出てこないのさ、彼らは)
原因の一端を荷ってるのに責任ゼロで良しとされてる物語を、案外フツーに観ちゃってる自分も
こういう世の中に慣らされちゃってる。(ここ掘り下げるとシンドイのでこのまま振り逃げ)
手のひらに釘を打ち付けるインサートカットが印象的で、言わずもがなですが、
イエス・キリストの磔刑を想像させて、人の世の「罪」を思うわけです。
ところが、それに対して神の救済なんてことはトーゼン、ベルイマン先生が仰るはずもなく
言葉を発することを頑なに拒否していた女優に、最後の最後に
「無」
という一言を言わせてこの映画は終わるのですねー。なんつー虚無感。
そして冒頭とラストに、映写機のフィルム。映画もまた人生のごとし。
幻のような虚しいひとときかもしれないけど、この一瞬の輝きに幸福があるのじゃな。
このレビューは気に入りましたか?
4人の会員が気に入ったと投稿しています
ぜ、前衛…
「エレクトラ」を上演中、黙り込んでしまった女優エリザベート。
以来、3ヶ月も黙ったままの状態が続き入院するが、彼女の健康には問題がなかった。
エリザベートは、自分の意思で沈黙しているのだった。
医師の勧めで、エリザベートは看護師アルマと共に海辺の別荘に向かうが…
冒頭、(おそらく十字架に)釘で打ち付けられる手、屠られる羊の血液と内臓、
男性の局部、幼児の絵や手などがノイズと共に映し出される。
サブリミナル映像のようだ…
横たわる老人の遺体に続いて現れるのは、白いシーツに包まれて眠る少年。
目覚めた彼が伸ばした手の先に女性の顔が浮かぶ。
ぜ、前衛…
無言のエリザベートと別荘で過ごすアルマは、自らの過去を饒舌に語る。
少年との乱交、堕胎の経験などだ。
アルマが抱いたエリザベートへの親愛の情は、やがて失われる。
彼女は、「アルマを観察している」と書かれたエリザベートの手紙を読んでしまったのだ。
傷ついたアルマのエリザベートへの態度は、激怒、抗議、謝罪と変遷するが、
本作は普通の展開を許さない。
アルマとエリザベートの人格は複雑に溶け合うかのような様相を呈するのだ。
アルマの堕胎への後悔、エリザベートの出産への後悔、
母殺しを描いた「エレクトラ」上演中に沈黙を始めたエリザベートなど、
色々と考察して楽しむ面もありそうだが、私の脳みそでは無理だったw
ぜ、前衛…
このレビューは気に入りましたか?
4人の会員が気に入ったと投稿しています
ここでの「ペルソナ」は“仮面”なのかな?
「“ドッペルゲンガー”観について描いたもの」との触れ込みに魅かれ借りてみたものの...そう単純なものではないようで、どうにも解釈に難儀しますねぇ...
町山智浩氏がこの作品について解説を書いてるんだけど、有料なのですね。それを読めば本編前後に置かれた(監督からの)ヒントの意味もわかるはずだけど、お金を払ってまで...と思い自分なりの解釈を書くことにした。
ベルイマン監督は多くの映画監督に影響を与えており、この作品に影響を受けて製作された作品も多いとのこと。そのなかにデヴィッド・リンチ監督があり、彼の『マルホランド・ドライブ』がインスパイアされた作品としてよく挙げられている。しかし私の印象では、これは、むしろ『インランド・エンパイア』がそうなのではないか。もっと言えば、リンチ監督の『インランド・エンパイア』は『ペルソナ』の長大なリメイクではないかと私には思える。
そもそも、病院から別荘へと続く二人の女性のやりとりは現実のことなのか?
私は違うと思う。これはすでに死んだ二人(の魂)が“あの世”に向かう、もしくはあの世とこの世の「踊り場」にいて現世での業を超克し解脱するその過程を描いたものと理解する。
そう思える要因がいくつもある。まずエリザペートのいる病院。物理的にも雰囲気的にも、どうも病院とは思えない空間だ。それに、医師が患者に自分の別荘を貸すのも不自然。エリザペートの主治医はさしずめ導師、いや西洋だからガイドの役を担った天使なのかな。
それに私が最初に「あれ?」と気づいた点。それは別荘での最初のシーンで二人が立派なキノコを採取していることだ。目の前が海の海岸林で、それも日光浴するほど日当たりのいい場所であんなキノコが採れるのか?キノコは内陸の山や林に生えるのがふつうと思うが...
最初と最後になにか着火させるような金属機が映る。これは棺(遺体)を焼く火葬施設の様子ではないのか。
冒頭連続するショットの後に安置された老人の遺体が映る。この老女が現実のアルマだと私は思う。別荘でのアルマの独白のなかに「最近、施設で看護師として一生を送った人のことをよく思い出す」というセリフがある。つまりエリザベートと話すアルマは現世における若い頃のアルマなのであり、同じく最近死亡したエリザベートとともに異世界の「踊り場」で若い頃の業(行きずりの男子と交歓し、妊娠、堕胎したこと)を超克するための追体験をしているのだ。
エリザベートの方は自殺した直後なのかもしれない。冒頭のショットで、女優業(映写機)、血(屠り)、罪(磔刑)などを示すショットがあり、また劇中僧侶の焼身自殺の映像が映される。本編前後に現れる少年はエリザベートの息子と思われ、彼はあの世に来つつある母の幻影を見ているのか、その辺はよくわからない。息子はエリザペートに殺されたのかもしれない。
ただ、エリザベートの業がアルマの口から語られるのは、二人の本質が同一であり、現世で生きた二人は互いに分身だということ(これが『ペルソナ』の意味)なのだと思う。
私は『インランド・エンパイア』を観たときにも思い、またレビューにも書いたのだが、これほど難解に仕上げなければならなかったのだろうか。
確かに人の死生観は、古今東西、宗教・文化の違いにより様々で、人知を超えた異世界、彼岸を明快に描くことは憚られるかもしれない。一神教での価値観の下にあってはなおさらそうだろう。でも、細かい解説がなければ理解できない、楽しめない映画に私は満点をあげられない。なんといっても映画は娯楽なのだ。
もっとも、ベルイマン監督の作品は芸術なのかもしれない。“映画”という手法によった芸術なのだと...
このレビューは気に入りましたか?
4人の会員が気に入ったと投稿しています
冒頭の5分の「挑発」だけでも、見る価値がある。
「仮面/ペルソナ」(1966年、スゥェーデン映画、白黒、82分)。
イングマール・ベルイマン(1918〜2007)の監督作品。
雨、霧笛、ふたりの女。
リブ・ウルマンと、ビビ・アンデルセン(アンデショーン)。
女優エリザベスは、急に失語し、入院する。そして、看護婦のビビ・アンデルセンの付き添いで療養に入る。
ふたりは、相似形になってくる。
人は、仮面をかぶる。それは、当たり前のこと。
マスクは、防疫の役を果たす。
この映画では、今の肉体の素肌の面が「仮面」だから、それを剥ぎ取る。
さて……。(つらい映画だ。)。
そして……、冒頭の5分間が、すばらしい。
「闇」。 漆黒ではなく、手探りできる「夜」。
笛が鳴り、円筒の側面が左上に浮かび、不協和の弦音が鳴る。
そして、指の爪のような物体が、中央下から、円筒に近づくように見えた。
(リドリー・スコットは、「エイリアン」で、これを再現した。)
二つは近づかず、互いの電位が高まり、爪の力が強く、円筒が燃え始める。
弾ける音。光と影が、回転する扇によって激しく点滅する。
円筒を削る爪が、不快で規則的な音を響かせる。
世界は、真っ白になり、破裂する前の電球と、数字を見せる。
「5・4・3・2・1」カウントではなく
サブリナルで、数字の「8」「6」「2」、勃起した男根、破線の「Z]を擦りこむ。
文字は見えるが、決して読めない単語を、人の意識に投入する。
唐子(からこ)の童話のあとのタランチュラ。
鳥の血を絞る人の指。鳥の開いた眼。
映画フィルムの中に、「入ってこい」と、作者は言っている。
最高の挑発である。
掌(てのひら)に釘が打たれ、血はいま、流れ始め、痛みに指はうごいた。
真っ白い、タイトルロール。打楽器で、監督、役者の名前が流れる。
雨、霧笛、ふたりの女。
リブ・ウルマンと、ビビ・アンデルセン(アンデショーン)。
女優エリザベスは、急に失語し、入院する。そして、看護婦のビビ・アンデルセンと二人で養生生活を始める。
ふたりは、相似形になってくる。
劇として、出来ている映画だ。
言葉を失った女優と、看護婦が、入れ替わる。
わが肉体の「素面」を「鏡」に写し、「剥ぎ取るべきか」「明日もこの顔で続けるのか」という不安、迷い、決意。
なかなかの映画であった。
「10点満点中、9点」。
このレビューは気に入りましたか?
3人の会員が気に入ったと投稿しています
ユーザーレビュー
女優→仮面の付け剥がしに、壊れる人格
投稿日
2015/11/17
レビュアー
カマンベール
この映画は希少品・・・プラチナ・シネマらしいです。
ベルイマンの作品を2作品(冬の光、と、ある結婚の風景)
しか観てないし、ベルイマンについて、殆ど知りません。
この作品はとても好きです。
1、宗教的では無い点。
2、内容が、分かりやすい(一見・・・ですが、)
出だしの7分間は謎ですね。
ても、とても意味深で効果的です。
ストーリーは、舞台上で突然、失語した有名女優、エリザベートと、
避暑地で寝泊まりの看護をする看護婦アルマの、
2人芝居のようです。
話せない女優はアルマの聞き役になります。
優しい表情で頷くエリザベートに気を許したアルマは、
秘め事を告白してしまいます。
多少の優越感が、あったのでしょうか?
酔いのせいでしょうか?
その告白をエリザベートが、担当医の女医に逐一書いた手紙を、アル
マは、読んでしまいます。
エリザベートへの信頼が、ガタガタと、崩れ落ちます。
45分。2人は黒い衣装に変わっています。
諍い、互いに平手打ちする2人。
そして、いつか2人の心は入れ替わった・・・というか、エリザベートの気持ちをアルマは、ドッペルゲンガーのように語り出します。
2人がその後、どうなったのか、よく分かりません。
とても衝撃的で深い余韻が残りました。
形而上的なことは、まるで分かりませんが、観るたびに新しい作品に、思えるでしょう。
母性ゆえの罪悪感と、母性の欠如ゆえの罪悪感
投稿日
2023/06/01
レビュアー
ポッシュ
(少しネタバレあり)
町山智弘氏のなんかの文章で気になったのがきっかけで鑑賞。(雑な前フリですいません)
実験的というか現代アートの映像作品みたいなシーンが随所に出てきて、なかなか噛み応えがあります。
観た人それぞれに色んな解釈ができそうですな。
とつぜん緘黙症になってしまった女優が、若い看護師と海辺の静かな場所で静養する。
看護師のほうは憧れも手伝ってか、献身的に世話をしながら女優のことを姉のように慕い、
自分の身の上話などアケスケに語るようになる。
黙って聞いている女優の方も、看護師に対して温かい感情が芽生えているのかと思いきや、
主治医宛ての手紙では、看護師を観察して愉しんでいるんだみたいな冷徹な本音をのぞかせる。
偶然、その手紙を読んでしまった看護師は怒り、落胆し、2人の間に亀裂が生じはじめ・・・。
そんなオハナシですかね。このプロット自体は分かりやすくドラマとして見やすい。
ですが。
まぁストーリーは副次的に見ときゃいいかな。それよりはセリフを噛みしめ、
2人の女優(リヴ・ウルマンとビビ・アンデショーン)の表情や、
2人が一つに溶け合うかのように巧妙に演出されたシーンを味わったりする方が
この作品を楽しめるような気がします。
この映画、大人の男性が一人も出てこないんですよね。
女優のダンナだけちょこっと出てくるけど、あれは女優の幻想っぽい。
そこではダンナは看護師のことを妻と思って話しかけ抱きしめる。それをシラーっと睥睨している女優。
看護師はダンナに「母であることの苦しさ」を吐露。女優は彼女に自分の気持ちを仮託して言わせてる。(たぶん)
看護師は堕胎した過去が、女優は子を持ったことが、自らを苦しめている。
母性ゆえの罪悪感と、母性の欠如ゆえの罪悪感。
なんか、もう、圧倒的に「女であること」で苦しんでる感じ。
妊娠も出産も男がいなきゃ出来ないのに、男の存在感ゼロの不思議。(セリフでしか出てこないのさ、彼らは)
原因の一端を荷ってるのに責任ゼロで良しとされてる物語を、案外フツーに観ちゃってる自分も
こういう世の中に慣らされちゃってる。(ここ掘り下げるとシンドイのでこのまま振り逃げ)
手のひらに釘を打ち付けるインサートカットが印象的で、言わずもがなですが、
イエス・キリストの磔刑を想像させて、人の世の「罪」を思うわけです。
ところが、それに対して神の救済なんてことはトーゼン、ベルイマン先生が仰るはずもなく
言葉を発することを頑なに拒否していた女優に、最後の最後に
「無」
という一言を言わせてこの映画は終わるのですねー。なんつー虚無感。
そして冒頭とラストに、映写機のフィルム。映画もまた人生のごとし。
幻のような虚しいひとときかもしれないけど、この一瞬の輝きに幸福があるのじゃな。
ぜ、前衛…
投稿日
2020/05/06
レビュアー
コタロウ(!)
「エレクトラ」を上演中、黙り込んでしまった女優エリザベート。
以来、3ヶ月も黙ったままの状態が続き入院するが、彼女の健康には問題がなかった。
エリザベートは、自分の意思で沈黙しているのだった。
医師の勧めで、エリザベートは看護師アルマと共に海辺の別荘に向かうが…
冒頭、(おそらく十字架に)釘で打ち付けられる手、屠られる羊の血液と内臓、
男性の局部、幼児の絵や手などがノイズと共に映し出される。
サブリミナル映像のようだ…
横たわる老人の遺体に続いて現れるのは、白いシーツに包まれて眠る少年。
目覚めた彼が伸ばした手の先に女性の顔が浮かぶ。
ぜ、前衛…
無言のエリザベートと別荘で過ごすアルマは、自らの過去を饒舌に語る。
少年との乱交、堕胎の経験などだ。
アルマが抱いたエリザベートへの親愛の情は、やがて失われる。
彼女は、「アルマを観察している」と書かれたエリザベートの手紙を読んでしまったのだ。
傷ついたアルマのエリザベートへの態度は、激怒、抗議、謝罪と変遷するが、
本作は普通の展開を許さない。
アルマとエリザベートの人格は複雑に溶け合うかのような様相を呈するのだ。
アルマの堕胎への後悔、エリザベートの出産への後悔、
母殺しを描いた「エレクトラ」上演中に沈黙を始めたエリザベートなど、
色々と考察して楽しむ面もありそうだが、私の脳みそでは無理だったw
ぜ、前衛…
ここでの「ペルソナ」は“仮面”なのかな?
投稿日
2017/10/17
レビュアー
哲郎
「“ドッペルゲンガー”観について描いたもの」との触れ込みに魅かれ借りてみたものの...そう単純なものではないようで、どうにも解釈に難儀しますねぇ...
町山智浩氏がこの作品について解説を書いてるんだけど、有料なのですね。それを読めば本編前後に置かれた(監督からの)ヒントの意味もわかるはずだけど、お金を払ってまで...と思い自分なりの解釈を書くことにした。
ベルイマン監督は多くの映画監督に影響を与えており、この作品に影響を受けて製作された作品も多いとのこと。そのなかにデヴィッド・リンチ監督があり、彼の『マルホランド・ドライブ』がインスパイアされた作品としてよく挙げられている。しかし私の印象では、これは、むしろ『インランド・エンパイア』がそうなのではないか。もっと言えば、リンチ監督の『インランド・エンパイア』は『ペルソナ』の長大なリメイクではないかと私には思える。
そもそも、病院から別荘へと続く二人の女性のやりとりは現実のことなのか?
私は違うと思う。これはすでに死んだ二人(の魂)が“あの世”に向かう、もしくはあの世とこの世の「踊り場」にいて現世での業を超克し解脱するその過程を描いたものと理解する。
そう思える要因がいくつもある。まずエリザペートのいる病院。物理的にも雰囲気的にも、どうも病院とは思えない空間だ。それに、医師が患者に自分の別荘を貸すのも不自然。エリザペートの主治医はさしずめ導師、いや西洋だからガイドの役を担った天使なのかな。
それに私が最初に「あれ?」と気づいた点。それは別荘での最初のシーンで二人が立派なキノコを採取していることだ。目の前が海の海岸林で、それも日光浴するほど日当たりのいい場所であんなキノコが採れるのか?キノコは内陸の山や林に生えるのがふつうと思うが...
最初と最後になにか着火させるような金属機が映る。これは棺(遺体)を焼く火葬施設の様子ではないのか。
冒頭連続するショットの後に安置された老人の遺体が映る。この老女が現実のアルマだと私は思う。別荘でのアルマの独白のなかに「最近、施設で看護師として一生を送った人のことをよく思い出す」というセリフがある。つまりエリザベートと話すアルマは現世における若い頃のアルマなのであり、同じく最近死亡したエリザベートとともに異世界の「踊り場」で若い頃の業(行きずりの男子と交歓し、妊娠、堕胎したこと)を超克するための追体験をしているのだ。
エリザベートの方は自殺した直後なのかもしれない。冒頭のショットで、女優業(映写機)、血(屠り)、罪(磔刑)などを示すショットがあり、また劇中僧侶の焼身自殺の映像が映される。本編前後に現れる少年はエリザベートの息子と思われ、彼はあの世に来つつある母の幻影を見ているのか、その辺はよくわからない。息子はエリザペートに殺されたのかもしれない。
ただ、エリザベートの業がアルマの口から語られるのは、二人の本質が同一であり、現世で生きた二人は互いに分身だということ(これが『ペルソナ』の意味)なのだと思う。
私は『インランド・エンパイア』を観たときにも思い、またレビューにも書いたのだが、これほど難解に仕上げなければならなかったのだろうか。
確かに人の死生観は、古今東西、宗教・文化の違いにより様々で、人知を超えた異世界、彼岸を明快に描くことは憚られるかもしれない。一神教での価値観の下にあってはなおさらそうだろう。でも、細かい解説がなければ理解できない、楽しめない映画に私は満点をあげられない。なんといっても映画は娯楽なのだ。
もっとも、ベルイマン監督の作品は芸術なのかもしれない。“映画”という手法によった芸術なのだと...
冒頭の5分の「挑発」だけでも、見る価値がある。
投稿日
2015/11/08
レビュアー
ちゅく
「仮面/ペルソナ」(1966年、スゥェーデン映画、白黒、82分)。
イングマール・ベルイマン(1918〜2007)の監督作品。
雨、霧笛、ふたりの女。
リブ・ウルマンと、ビビ・アンデルセン(アンデショーン)。
女優エリザベスは、急に失語し、入院する。そして、看護婦のビビ・アンデルセンの付き添いで療養に入る。
ふたりは、相似形になってくる。
人は、仮面をかぶる。それは、当たり前のこと。
マスクは、防疫の役を果たす。
この映画では、今の肉体の素肌の面が「仮面」だから、それを剥ぎ取る。
さて……。(つらい映画だ。)。
そして……、冒頭の5分間が、すばらしい。
「闇」。 漆黒ではなく、手探りできる「夜」。
笛が鳴り、円筒の側面が左上に浮かび、不協和の弦音が鳴る。
そして、指の爪のような物体が、中央下から、円筒に近づくように見えた。
(リドリー・スコットは、「エイリアン」で、これを再現した。)
二つは近づかず、互いの電位が高まり、爪の力が強く、円筒が燃え始める。
弾ける音。光と影が、回転する扇によって激しく点滅する。
円筒を削る爪が、不快で規則的な音を響かせる。
世界は、真っ白になり、破裂する前の電球と、数字を見せる。
「5・4・3・2・1」カウントではなく
サブリナルで、数字の「8」「6」「2」、勃起した男根、破線の「Z]を擦りこむ。
文字は見えるが、決して読めない単語を、人の意識に投入する。
唐子(からこ)の童話のあとのタランチュラ。
鳥の血を絞る人の指。鳥の開いた眼。
映画フィルムの中に、「入ってこい」と、作者は言っている。
最高の挑発である。
掌(てのひら)に釘が打たれ、血はいま、流れ始め、痛みに指はうごいた。
真っ白い、タイトルロール。打楽器で、監督、役者の名前が流れる。
雨、霧笛、ふたりの女。
リブ・ウルマンと、ビビ・アンデルセン(アンデショーン)。
女優エリザベスは、急に失語し、入院する。そして、看護婦のビビ・アンデルセンと二人で養生生活を始める。
ふたりは、相似形になってくる。
劇として、出来ている映画だ。
言葉を失った女優と、看護婦が、入れ替わる。
わが肉体の「素面」を「鏡」に写し、「剥ぎ取るべきか」「明日もこの顔で続けるのか」という不安、迷い、決意。
なかなかの映画であった。
「10点満点中、9点」。
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仮面/ペルソナ