ハッピーエンドが書けるまで

　「ハッピーエンドが書けるまで」というラブコメのような軽い邦題はこの作品のイメージにはそぐわなくて、かえって損をしているのではないだろうか。自分の道に迷った人が周囲の人々との絆や失敗から学んで、自分らしく新たに歩き出す物語だ。『はじまりのうた』が音楽家版だとすれば、この映画はその作家版と言えるのではないだろうか。描き方は違うけれど、家族再生の物語になっているという点でもこのふたつの作品は似ているような気がする。

　父親は離婚した妻にストーカー行為を繰り返し、娘は恋愛不信に陥ってゆきずりの体だけの関係を重ね、息子は臆病で、好きな相手がデートするのをただ見ているだけ。しかも彼女は薬物中毒から抜け出せないでいるし、娘の友人の母親は重病で死期が近い。描きようによってはとても悲惨な現実を深刻にはならず、どこか清潔に明るく描いている。表面的だと批判する人がいるかもしれないが、人間に対する深い信頼ゆえだと感じる。逆説的な言い方だけれど、単なるきれいごとにはしていない。

　『きっと、星のせいじゃない』もそうだが、どんな状況に陥ってもポジティブで、心の純粋さを失わない、この監督の作品世界が好きだ。

　また、音楽の趣味もとてもいい。どの楽曲もすてきです。

　

『きっと星のせいじゃない』でスマッシュ・ヒットを飛ばした、
ジョシュ・ブーンの監督・脚本の3年前の処女作です。

3年前に離婚したのにいまだに別れた妻(ジェニファー・コネリー)を
待ち続けている父親、作家のビル(グレッグ・キニア)
ビルの娘のサマンサ(リリー・コリンズ)は、父親を捨てて若い男と暮らす母親を憎んでいる。

そのせいで愛を信じない娘(リリー・コリンズ)
愛を失った父親(まだ待っているんだげ けど・・・)
愛に臆病な息子ラスティ。
3人の人生に新しい展開が開け、新しい一歩を踏み出せるのか？が
描かれます。

ラブストーリーというより、【作家たちの家族】
というのがキーポイントに思えました。
第一、全米ナンバーワン作家の□□□さんが声の出演をしているのすよ！本人だそうです。
(どういうツテかは分かりませんが、ビックリ！)

ビル(有名作家)
サマンサ(18歳にして処女作を出版)
ラスティも短編小説を書いています。
なんか別世界みたいでしょ！

イマイチ盛り上がらなくてね。
グレッグ・キニアが、いい味だしていたのが印象的で、好きでした。

愛を失った父親
夫も子供も捨てて、若い愛人のもとに行った母親
その母親を許せず（うん、子供としては許せないでしょ！普通）、人を愛することに不信感を抱く娘
愛に臆病だが、母にも父にも優しい息子

そんな４人の家族再生の物語。
ありがちな題材なれど、どこか新鮮な感じがしたのは
若い俳優二人、リリー・コリンズとナット・ウルフの瑞々しい演技の所以かもしれない。

４人はそれぞれの人生に於けるHAPPY ENDが書けるのか？
家族間のわだかまりがなくなって、万事まるくおさまれば、それでハッピーエンドなのか？
まあ、私が旦那だったら、子供置いて、男作って出て行った妻は絶対待たないし、
何があっても許せないよ！
ましてやストーカーよろしく覗き見を繰り返すとは！情けない(笑)
まあ、そこが男たるもの、可愛らしいところなのかもね。

いろいろなことを乗り越えて、信頼を取り戻していく家族愛にはウルッときた。
いい映画でした。

感想･総評：こういう家族関係もよさそう。バラバラのようで心は通い合っている。心あたたまる作品

対象年齢：高校生以上（多少暴力場面あり。Ｈ場面あり）

食事中に見られるか：大丈夫でしょう

一つの家族のお話で一人一人丁寧に描かれていたから感情移入しやすくて見やすかったです。
ドラマのような大きな出来事はないけど、ないから余計に普通の日常の大切さや、少しの幸せが嬉しく感じる気がしました。
ラストの終わり方も良かったです。家族の愛情をすごく感じました。