誰よりも狙われた男

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誰よりも狙われた男 / フィリップ・シーモア・ホフマン

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「誰よりも狙われた男」 の解説・あらすじ・ストーリー

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解説・ストーリー

フィリップ・シーモア・ホフマンの遺作、ハンブルクを舞台にリアルな諜報合戦を繰り広げるサスペンス。ドイツ・ハンブルクの諜報機関でテロ対策チームを率いるバッハマンは、密入国した青年・イッサに目を付ける。バッハマンは彼をわざと泳がせるが…。

「誰よりも狙われた男」 の作品情報

作品情報

製作年: 2013年
製作国: アメリカ/イギリス/ドイツ
原題: A MOST WANTED MAN

「誰よりも狙われた男」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ

関連作品

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1〜 5件 / 全12件

欺かれた真実

投稿日:2015/03/29 レビュアー:ミルクチョコ

スパイ小説の巨匠ジョン・ル・カレの同名小説を「コントロール」のアントン・コービン監督が映画化。
ドイツ、ハンブルクを拠点にする諜報機関でテロ対策チームを率いるバッハマンは、密入国した青年イッサに目をつけます。彼はイスラム過激派として国際指名手配されているイッサ・カルボフ。バッハマンは、彼を泳がせてテロリストの資金源となる大物を狙います。

「裏切りのサーカス」も記憶に新しいル・カレ作品は派手なところは一切無いのに見ごたえ十分でした。
ターゲットを泳がし、イッサの手助けをする弁護士アナベル(レイチェル・マクアダムス)を巻き込んで、イッサのような小物ではなく、テロリストの関与が疑われるもっと大物の動向を追います。

バッハマンは、テロ組織の内部に精通し、コントロールできる人間に鈴をつけ、 その人間を情報源にしてテロリストの動きを掌握するやり方で、それを「世界を平和にする」行為であると、幾分皮肉をこめたニュアンスで語ります。
計画が、ぎりぎりの綱渡りの末に、ついに成就の瞬間を迎えます。ここは、手に汗を握りました。


CIAの介入や、ドイツ諜報部内の主導権争いが複雑に絡み合う現代の諜報戦を描いた、これまでのスパイものとは、一戦を画す作品になっていると思います。
ラスト、バッハマンの不条理な業を背負ってしまった叫びが胸に刺さりました。
急逝したフィリップ・シーモア・ホフマン。組織との軋轢に屈せず、己の信念のためなら、非情に徹するスパイチームを率いる孤高の男を人間臭く、哀愁たっぷりに演じていたと思います。
合掌!

このレビューは気に入りましたか? 19人の会員が気に入ったと投稿しています

見ごたえある作品。フィリップ・シーモア・ホフマンの熱演が光る。 ネタバレ

投稿日:2015/03/07 レビュアー:みなみ

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

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表向きは存在しないことになっている、ドイツのテロ対策組織で働く主人公
(フィリップ・シーモア・ホフマン)は、テロリストと思われる青年の入国情報をつかみ、
彼を泳がせて、その目的を知ろうとするが…

地味だけど見ごたえある作品だった。スリリングで二転三転する展開。
面白いストーリーだった。「裏切りのサーカス」と同じ原作者の作品とは思えない(^^;)

真実を知った上で正しいことをすべきだけれど、現実にはそうならないことが多いのかもしれない。
ラストシーンの主人公の叫びから、悔しさが痛いほど伝わってきた。

とにかくフィリップ・シーモア・ホフマンのリアリティのある役作りがすばらしかった。
不健康そうで、よく見るとかわいいベビーフェイス。
抑え目の演技で、この人物に全くなりきっていた。

亡くなったのは本当に残念だと思う。

このレビューは気に入りましたか? 9人の会員が気に入ったと投稿しています

心にしみるスパイ映画の傑作

投稿日:2015/04/10 レビュアー:カマンベール

CIAに過去にも煮え湯を飲まされたドイツ諜報機関の工作員(フィリップ・シーモア・ホフマン)。
チェチェン人の母親を持つロシア人の男イッサ・カルポフが、ある目的を持って、ドイツに、
入国します。
いかにも不審者のカルポフ。
ホフマンは彼を泳がせることで、超大物を逮捕しようと考えます。
大物は慈善の一部を、アルカイダなどに流している疑惑がもたれてて、
ホフマンたちは、その証拠が、どうしても欲しいのです。

この映画のスパイは派手なことは何もしません。
協力者との接触、対象者への尾行、盗聴と盗撮。
派手なスパイ映画でないのが、9・11位後の世界の現実味があります。

ドイツはハンブルグ。大きな円卓を囲んで格国の諜報機関が、会議する
様子は壮観でした。
あるのは力関係と、駆け引き、腹の探り合いです。

他国で傍若無人に振る舞う大国の姿を、ありありと見せる作品でした。

それにしても、彼にしか演じられないこの役。
フィリップ・シーモア・ホフマンを、もう観られないのは、
本当に残念です。

このレビューは気に入りましたか? 6人の会員が気に入ったと投稿しています

現在、スパイという職種は無力か?

投稿日:2015/04/12 レビュアー:ちゅく

無力だと思います。
しかし、無意味とは言えません。

スパイは、人間が三人いれば、存立する。
人の性根に必ず、諜報はあるのです。

ジョン・ル・カレは、スパイ映画の作家だが、「9.11」以降も、作品を発表しています。
最初に映画されたのが、この「誰よりも狙われた男」です。

「狙われた男」は、この映画でだれのことを指すか?

それは、「イッサ」という青年です。
ドイツに密入国するが、イスラム過激派組織の一員として国際指名手配されている。

彼の目的は、自分の存在証明を明らかにすることであった。

この映画の主人公のスパイ(フィリップ・シーモア・ホフマン)は、影のように「イッサ」に忍び寄る。


ジョン・ル・カレというイギリスの作家は、冷戦下から現在まで、
一貫して、スパイという職業と、人間の性根の深い結び目を、現代の文章にした作家であった。
スパイを職業にした人物の悲劇と、スパイによって、破滅させられた人物の悲劇をを描いています。

以下、映画化された作品を、原作の刊行年、映画化の年に拘らず、並べ替えてみます。
(○は未DVD化の作品です。)


○「寒い国から帰ったスパイ」で、有名になりました。
(1965年公開、マーティン・リット監督、リチャード・バートン主演)
レン・デイトン「ベルリンの葬送」とともに、東西の壁時代のベルリンを描く。
これは白黒映画で、「寒い国」にぴったりだ。お互いに寒い国であったことが、映画の最後で分かる。

●「鏡の国の戦争」(1968年、フランク・ピアソン監督、クリストファー・ジョーンズ主演)
イギリス情報部は、不正入国したポーランド青年を、スパイとして東ドイツに送り込む。
この着想は、「誰よりも狙われた男」も同じだ。
彼は、一つの「チェスの駒」に過ぎない。

○「リトル・ドラマー・ガール」(1984年、ジョージ・ロイ・ヒル監督。ダイアン・キートン主演)
モサド(イスラエルの諜報機関で、世界一優秀とされる)は、舞台女優をスパイに仕立てる。
彼女は「小さな」存在なのだ。ドラマ(劇)は現実になると、彼女は小さな存在になってしまう。

●「裏切りのサーカス」(2011年、トーマス・アルフレッドソン監督、ゲイリー・オールドマン主演)
これは、現実の「MI6」(イギリスの対国外諜報部)のスキャンダルを描いた作品。
「キム・フィルビー事件」が下敷きになっている。
この事件で、イギリスは、カウンターパートナーのCIAから、信頼を無くしてしまう。

●「テイラー・オブ・パナマ」(2001年、ジョン・ブアマン監督、ピアーズ・ブロスナン主演)
中央アメリカの要衝は、スパイ天国だが、とんでもない勘違いによって、「仕立て屋」が悲劇に遭う。
007のブロスナンは、これで、イメージを変えられた。彼の計算なのだ。実にうまい。
仕立て屋を演じる、「シャイン」の役者が名演。
(最近、名前を想起できない。顔はよく見える。あの人、「英国王のスピーチ」の先生のあの人です。))

●「ロシア・ハウス」(1990年、フレッド・スケピシ監督、ショーン・コネリー主演)は、
ペレストロイカ中のロシアを描いています。
頭の良い、そして熱い男が、マスター・スパイたちを煙に巻くところが秀逸だ。
自分を犠牲にして、彼女(ミシェル・ファイファー)を逃がそうとする男。
クラウス・マリア・ブラウンダウアーの眼が良い。

●「ナイロビの蜂」(2006年、フェルナンド・メイレレス監督、レイフ・ファインズ主演)
新しい冷戦は、東西の二極ではなく、もっと複雑だろう。
この映画は、「0(ゼロ)」である。主演の夫婦二人とも、スパイではないが、巻き込まれる。

映画は、「諜報」の世界の冷徹なことを映し出す以上に、その滑稽さを描くことを自然に描いている。

それは、実に健全な作法である。

この「誰よりも狙われた男」を見て考えたことを、書きます。

「9.11」以降、世界は変わり、諜報の世界は変わったのだ。

この映画の昔からの職人スパイも、背後から監視をされていて、彼の最後の「良心」も
油揚げのようにさらわれてしまう。

より精密で、巨大な監視システムをもった国家がアメリカ合衆国であるのは間違いない。
しかし、合衆国大統領も監視されているのである。


使い捨てにされることを最初から十分に意識していて、格闘する役を演じるホフマンが名演だった。

このレビューは気に入りましたか? 3人の会員が気に入ったと投稿しています

本物のスパイ映画

投稿日:2015/06/23 レビュアー:趣味は洋画

これはなかなか緊迫感のあるスパイ映画ですね。 「カマンベール」さんのレビューを拝見して鑑賞しました。
最近は本物のスパイ映画といえる作品が少なくなりました。 スパイ映画に無理やりアクションを絡ませて、しかもCGで早回し...これじゃあスパイ映画は堪能できません。

原作がジョン・ル・カレと知って迷わず鑑賞。65年「寒い国から帰ったスパイ」、68年「鏡の国の戦争」、90年「ロシア・ハウス」、05年「ナイロビの蜂」、そして2011年「裏切りのサーカス」と観ましたが、ナイロビ...を除いて、スパイ映画を堪能しました。 もちろん「007シリーズ」もスパイ映画に違いありませんが、いわゆる‘静かな緊迫感’の感じられるスパイ映画とは一線を画しますから。

舞台がドイツのハンブルグというのもリアルです。かつて、9.11事件の実行犯たちが潜伏してテロを計画していた街だそうですから尚更です。

諜報機関のスパイたちをリードする練達のスパイ、フィリップ・シーモア・ホフマンの静かな語り口が絶品で、諜報合戦のなかに、食うか食われるかの瀬戸際の感じがよくでています。
国際指名手配されている人物に対し、すぐさま逮捕せず、泳がせて大物に迫り、大物の更なる大物が蠢く組織の壊滅を図るホフマン。
一度はCIAのマーサ・サリヴァン(ロビン・ライト)を信用するも、最後は裏切りにあってしまう。
邦題タイトルの「誰よりも狙われた男」は、やっぱりP・S・ホフマンだったのですね。

ラストシーンには逆の意味で‘感嘆’させられましたが、無表情のホフマン...何を考えていたのでしょう。

スパイ映画ですから盗聴シーンも度々でてきますが、フランシス・フォード・コッポラの74年「カンバセーション...盗聴」を思い出しました。
また、81年「Uボート」(ウォルフガング・ペーターゼン監督)で、初めてUボートに乗り込む報道部記者ヴェルナー少尉に扮したヘルバート・グリューネマイヤーが出演しています。(スコアも担当)

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誰よりも狙われた男

ユーザーレビュー

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欺かれた真実

投稿日

2015/03/29

レビュアー

ミルクチョコ

スパイ小説の巨匠ジョン・ル・カレの同名小説を「コントロール」のアントン・コービン監督が映画化。
ドイツ、ハンブルクを拠点にする諜報機関でテロ対策チームを率いるバッハマンは、密入国した青年イッサに目をつけます。彼はイスラム過激派として国際指名手配されているイッサ・カルボフ。バッハマンは、彼を泳がせてテロリストの資金源となる大物を狙います。

「裏切りのサーカス」も記憶に新しいル・カレ作品は派手なところは一切無いのに見ごたえ十分でした。
ターゲットを泳がし、イッサの手助けをする弁護士アナベル(レイチェル・マクアダムス)を巻き込んで、イッサのような小物ではなく、テロリストの関与が疑われるもっと大物の動向を追います。

バッハマンは、テロ組織の内部に精通し、コントロールできる人間に鈴をつけ、 その人間を情報源にしてテロリストの動きを掌握するやり方で、それを「世界を平和にする」行為であると、幾分皮肉をこめたニュアンスで語ります。
計画が、ぎりぎりの綱渡りの末に、ついに成就の瞬間を迎えます。ここは、手に汗を握りました。


CIAの介入や、ドイツ諜報部内の主導権争いが複雑に絡み合う現代の諜報戦を描いた、これまでのスパイものとは、一戦を画す作品になっていると思います。
ラスト、バッハマンの不条理な業を背負ってしまった叫びが胸に刺さりました。
急逝したフィリップ・シーモア・ホフマン。組織との軋轢に屈せず、己の信念のためなら、非情に徹するスパイチームを率いる孤高の男を人間臭く、哀愁たっぷりに演じていたと思います。
合掌!

見ごたえある作品。フィリップ・シーモア・ホフマンの熱演が光る。

投稿日

2015/03/07

レビュアー

みなみ

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

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表向きは存在しないことになっている、ドイツのテロ対策組織で働く主人公
(フィリップ・シーモア・ホフマン)は、テロリストと思われる青年の入国情報をつかみ、
彼を泳がせて、その目的を知ろうとするが…

地味だけど見ごたえある作品だった。スリリングで二転三転する展開。
面白いストーリーだった。「裏切りのサーカス」と同じ原作者の作品とは思えない(^^;)

真実を知った上で正しいことをすべきだけれど、現実にはそうならないことが多いのかもしれない。
ラストシーンの主人公の叫びから、悔しさが痛いほど伝わってきた。

とにかくフィリップ・シーモア・ホフマンのリアリティのある役作りがすばらしかった。
不健康そうで、よく見るとかわいいベビーフェイス。
抑え目の演技で、この人物に全くなりきっていた。

亡くなったのは本当に残念だと思う。

心にしみるスパイ映画の傑作

投稿日

2015/04/10

レビュアー

カマンベール

CIAに過去にも煮え湯を飲まされたドイツ諜報機関の工作員(フィリップ・シーモア・ホフマン)。
チェチェン人の母親を持つロシア人の男イッサ・カルポフが、ある目的を持って、ドイツに、
入国します。
いかにも不審者のカルポフ。
ホフマンは彼を泳がせることで、超大物を逮捕しようと考えます。
大物は慈善の一部を、アルカイダなどに流している疑惑がもたれてて、
ホフマンたちは、その証拠が、どうしても欲しいのです。

この映画のスパイは派手なことは何もしません。
協力者との接触、対象者への尾行、盗聴と盗撮。
派手なスパイ映画でないのが、9・11位後の世界の現実味があります。

ドイツはハンブルグ。大きな円卓を囲んで格国の諜報機関が、会議する
様子は壮観でした。
あるのは力関係と、駆け引き、腹の探り合いです。

他国で傍若無人に振る舞う大国の姿を、ありありと見せる作品でした。

それにしても、彼にしか演じられないこの役。
フィリップ・シーモア・ホフマンを、もう観られないのは、
本当に残念です。

現在、スパイという職種は無力か?

投稿日

2015/04/12

レビュアー

ちゅく

無力だと思います。
しかし、無意味とは言えません。

スパイは、人間が三人いれば、存立する。
人の性根に必ず、諜報はあるのです。

ジョン・ル・カレは、スパイ映画の作家だが、「9.11」以降も、作品を発表しています。
最初に映画されたのが、この「誰よりも狙われた男」です。

「狙われた男」は、この映画でだれのことを指すか?

それは、「イッサ」という青年です。
ドイツに密入国するが、イスラム過激派組織の一員として国際指名手配されている。

彼の目的は、自分の存在証明を明らかにすることであった。

この映画の主人公のスパイ(フィリップ・シーモア・ホフマン)は、影のように「イッサ」に忍び寄る。


ジョン・ル・カレというイギリスの作家は、冷戦下から現在まで、
一貫して、スパイという職業と、人間の性根の深い結び目を、現代の文章にした作家であった。
スパイを職業にした人物の悲劇と、スパイによって、破滅させられた人物の悲劇をを描いています。

以下、映画化された作品を、原作の刊行年、映画化の年に拘らず、並べ替えてみます。
(○は未DVD化の作品です。)


○「寒い国から帰ったスパイ」で、有名になりました。
(1965年公開、マーティン・リット監督、リチャード・バートン主演)
レン・デイトン「ベルリンの葬送」とともに、東西の壁時代のベルリンを描く。
これは白黒映画で、「寒い国」にぴったりだ。お互いに寒い国であったことが、映画の最後で分かる。

●「鏡の国の戦争」(1968年、フランク・ピアソン監督、クリストファー・ジョーンズ主演)
イギリス情報部は、不正入国したポーランド青年を、スパイとして東ドイツに送り込む。
この着想は、「誰よりも狙われた男」も同じだ。
彼は、一つの「チェスの駒」に過ぎない。

○「リトル・ドラマー・ガール」(1984年、ジョージ・ロイ・ヒル監督。ダイアン・キートン主演)
モサド(イスラエルの諜報機関で、世界一優秀とされる)は、舞台女優をスパイに仕立てる。
彼女は「小さな」存在なのだ。ドラマ(劇)は現実になると、彼女は小さな存在になってしまう。

●「裏切りのサーカス」(2011年、トーマス・アルフレッドソン監督、ゲイリー・オールドマン主演)
これは、現実の「MI6」(イギリスの対国外諜報部)のスキャンダルを描いた作品。
「キム・フィルビー事件」が下敷きになっている。
この事件で、イギリスは、カウンターパートナーのCIAから、信頼を無くしてしまう。

●「テイラー・オブ・パナマ」(2001年、ジョン・ブアマン監督、ピアーズ・ブロスナン主演)
中央アメリカの要衝は、スパイ天国だが、とんでもない勘違いによって、「仕立て屋」が悲劇に遭う。
007のブロスナンは、これで、イメージを変えられた。彼の計算なのだ。実にうまい。
仕立て屋を演じる、「シャイン」の役者が名演。
(最近、名前を想起できない。顔はよく見える。あの人、「英国王のスピーチ」の先生のあの人です。))

●「ロシア・ハウス」(1990年、フレッド・スケピシ監督、ショーン・コネリー主演)は、
ペレストロイカ中のロシアを描いています。
頭の良い、そして熱い男が、マスター・スパイたちを煙に巻くところが秀逸だ。
自分を犠牲にして、彼女(ミシェル・ファイファー)を逃がそうとする男。
クラウス・マリア・ブラウンダウアーの眼が良い。

●「ナイロビの蜂」(2006年、フェルナンド・メイレレス監督、レイフ・ファインズ主演)
新しい冷戦は、東西の二極ではなく、もっと複雑だろう。
この映画は、「0(ゼロ)」である。主演の夫婦二人とも、スパイではないが、巻き込まれる。

映画は、「諜報」の世界の冷徹なことを映し出す以上に、その滑稽さを描くことを自然に描いている。

それは、実に健全な作法である。

この「誰よりも狙われた男」を見て考えたことを、書きます。

「9.11」以降、世界は変わり、諜報の世界は変わったのだ。

この映画の昔からの職人スパイも、背後から監視をされていて、彼の最後の「良心」も
油揚げのようにさらわれてしまう。

より精密で、巨大な監視システムをもった国家がアメリカ合衆国であるのは間違いない。
しかし、合衆国大統領も監視されているのである。


使い捨てにされることを最初から十分に意識していて、格闘する役を演じるホフマンが名演だった。

本物のスパイ映画

投稿日

2015/06/23

レビュアー

趣味は洋画

これはなかなか緊迫感のあるスパイ映画ですね。 「カマンベール」さんのレビューを拝見して鑑賞しました。
最近は本物のスパイ映画といえる作品が少なくなりました。 スパイ映画に無理やりアクションを絡ませて、しかもCGで早回し...これじゃあスパイ映画は堪能できません。

原作がジョン・ル・カレと知って迷わず鑑賞。65年「寒い国から帰ったスパイ」、68年「鏡の国の戦争」、90年「ロシア・ハウス」、05年「ナイロビの蜂」、そして2011年「裏切りのサーカス」と観ましたが、ナイロビ...を除いて、スパイ映画を堪能しました。 もちろん「007シリーズ」もスパイ映画に違いありませんが、いわゆる‘静かな緊迫感’の感じられるスパイ映画とは一線を画しますから。

舞台がドイツのハンブルグというのもリアルです。かつて、9.11事件の実行犯たちが潜伏してテロを計画していた街だそうですから尚更です。

諜報機関のスパイたちをリードする練達のスパイ、フィリップ・シーモア・ホフマンの静かな語り口が絶品で、諜報合戦のなかに、食うか食われるかの瀬戸際の感じがよくでています。
国際指名手配されている人物に対し、すぐさま逮捕せず、泳がせて大物に迫り、大物の更なる大物が蠢く組織の壊滅を図るホフマン。
一度はCIAのマーサ・サリヴァン(ロビン・ライト)を信用するも、最後は裏切りにあってしまう。
邦題タイトルの「誰よりも狙われた男」は、やっぱりP・S・ホフマンだったのですね。

ラストシーンには逆の意味で‘感嘆’させられましたが、無表情のホフマン...何を考えていたのでしょう。

スパイ映画ですから盗聴シーンも度々でてきますが、フランシス・フォード・コッポラの74年「カンバセーション...盗聴」を思い出しました。
また、81年「Uボート」(ウォルフガング・ペーターゼン監督)で、初めてUボートに乗り込む報道部記者ヴェルナー少尉に扮したヘルバート・グリューネマイヤーが出演しています。(スコアも担当)

1〜 5件 / 全12件