天国は、ほんとうにある

天国を旅してきたと話す少年とその家族の実話をつづった同名ベストセラーを映画化。
ネブラスカ州の田舎町インペリアルで妻や3人の子どもたちと一緒に暮らす牧師トッドは、小さな修理会社を営みながら、高校レスリング部のコーチや市の消防隊員など多忙な毎日を過ごしています。ある日、3歳の長男コルトンが虫垂炎で病院に緊急搬送されます。2回の手術で生死の境をさまよいながらも奇跡的に一命を取りとめたコルトンは、やがて父親に天国を旅してきたという驚くべき話を打ち明けます。

コルトンは、本人が知り得ない手術中の様子や、３歳の子供が知っているはずのない事を語ります。
無垢な男の子が天国の見たままを純粋に話すと、息子を信じようとするものの、迷う父もまた良かったと思います。学者に会ったり、本を調べたりと真実を模索しながら自らを問うていく姿が良かったです。
その結果、息子を信じたいという真っ直ぐな父親の姿がとても良かったように思いました。
コルトンの見たそのままを映像化し、奇跡を強調したり、否定もせずに描いたところが良かったように思います。

牧師が日曜日の説教壇で、息子コルトンに起きたことを語ることによって、教会側がオカルト的な好奇の目にさらされると、不快に感じる人もいるかもしれないと危惧するのも分かるような気もします。 オカルトに傾倒しやすいそんな牧師を戒める教会側も良かったように思いました。

久々、良作に出会いました。
あまり派手さはないですが、感動的な作品になっています。
「ある」「なし」にこだわず、作品を味わって見られたらどうでしょう。

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ネブラスカの田舎町の牧師をしているトッド（グレッグ・キニア）の４歳の息子コルトンは、
虫垂破裂で生死の境をさまようが、奇跡的に回復。
コルトンはトッドに、
「天国でイエスに会ってきた。パパとママが僕を心配している様子も見ていた。」
と告げる。

実在の牧師一家の本をもとにした、いわゆる「臨死体験」の話ですが、
まあ信じるかどうかはその人しだいじゃないかな。

それより私がおもしろいと思ったのは、牧師さんとその家族がどんなふうに生活をしてるのかってこと。
たぶん教区の雇われ牧師なので薄給なんでしょうが、
小遣い稼ぎに修理仕事を請け負ってたり、地域の消防団として活動してたり、なんでも屋さんみたいな存在。
奥さん（ケリー・ライリー）は常にお金の心配をしながら暮らしているんだけど、
この奥さんが牧師の妻らしからぬセクシーさ。
「今これをしてくれたら、あとでサービスしてあげるわよ。」「そりゃ楽しみだな。」みたいな会話が夫婦間で交わされていて、
牧師夫婦といえども普通の夫婦と全然かわらないんですね。

食前の祈りをささげるシーンが出てこないんですが、プロテスタント系ってお祈りしないの？
この牧師さん、食べ残しが多くて、あまり食べ物を大事にしていない感じでした。

そして、息子が天国の話を始めると、父であり牧師であるトッドも、説教でその話を聞かされた信者たちも困惑。
こんなに熱心に教会に通ってる人たちが、実は天国の存在を信じていないってことにまたびっくり。
びっくりしたけど、みんながみんな狂信的に神を信じてるわけではないんだってことがわかって、ちょっとほっとしました。

けれど、最後のトッドのお説教のどこが感動的なのかはいまいち理解できず。
あと、何万ドルも借金があるって言ってた一家だったのに、借金のことはうやむやのうちに終わってしまったのが納得いかず。

「神は死んだのか」という映画も同時に上映してましたが、宗教ものは１本で充分な気がしてパスしました。

う〜ん、これも宣教映画ぽいなぁ〜...
牧師の息子の臨死体験に基づいた話ってことだけど...

私は人知を超えた異世界がある可能性を否定しない。だから臨死体験なるものも、人体の脳内現象にすぎないと決めつけるつもりはないのだが、メディアの特番で紹介されるものやこうした“作品”にはやや懐疑的である。
ひねくれてると非難されるのを承知で、穿った見方をすれば、この牧師一家はかなりの借金に困窮していた。息子の不思議な体験を本にしたりして広めたのは、困窮から脱却するためだったと考えたくもなる。もっといえば、教会を中心に住民間の緊密なつながりのあるこの街そのものの宣伝と思えなくもない...

作品のなかでも議論があったように、天国やイエスの実在を見たという体験には信者の間でもその真偽について意見が分かれるだろう。
原始キリスト教の時代以降も奇跡とされる事跡はいろいろある。フランス南西部のルルドの泉とかね。最初に何かの良き事実があって、それが厳かに言い伝えられ、その後今日まで信仰の拠り所として尊ばれてきたもので、これはよいと思う。しかし、まったくの作り話ではないとしても、今日の商業主義に則ってそれをメディアで商品化するってのはどうなのかなぁ...それなら、むしろ実話を基に巧みな脚色を施してミステリー映画に仕上げた方がいいのではないかと私は思う。

コルトンと同じ体験をした少女が描いたイエスの絵にはハッとさせられた。あれが２０００年前に人々の間にいた彼の顔？
う〜ん...イエスの一ファンであるとともに、ニヒリストでもある私は、フェイクでは？との疑いを払拭できない...

実話だそうで、あまりドラマチックな展開はない。
登場人物の日常をだらだら描いてる部分が多く、間ノビした雰囲気がある。
とにかく、クライマックスが牧師の説教だってんだから地味な映画である。
でも、まあ、あきずに観られた。
バイブルをネタにして毎週毎週なにか面白い話を披露せねばならない牧師って仕事もけっこう大変だろうなと思った。人気が出ないとクビになるってところなどは、場末の芸人みたいである。そういう牧師の境遇を、美化せずに、そのまま描いているところがよかったように思う。
ちなみに、天国がほんとうにあるのかどうかは私にはわからないが、あると思っておいた方が人生が楽しいように思う。