変身

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

生体間　脳移植をされた男性の人格がだんだん変化していく…。
角膜移植でこういうパターンの映画を見たことがあるし、設定は既出感があるけれど
演出がとてもスリリング！

移植した脳が殺人犯のものだったので、そのせいで凶暴な性格へと変化してくのかと思ったら
そんな単純な話ではなく、予想外の展開！
さすが東野圭吾原作ですね、物語が面白い。

（以下、重大ネタバレです）

最終話、とにかくすごかった！！
悲しい結末だったけど、私は納得。
救えばいいってもんじゃないのかもしれない。
殺人犯はまだ生きていたわけだし、移植は殺人になる。
「上」の意向で真実はうやむやにされ、医師は罪に問われることはない…
…現実はそんなものかもしれない。

そして演出・展開以上に、主要キャストふたりがすばらしかった！！
二階堂ふみの抑え目の演技もよかったし、主演の神木隆之介は神がかってました。

とにかく、数ある優れた「ドラマW」の中でも群を抜いてすばらしかったです。
展開は読めるようで読めないし、最後までパワーダウンすることなく、引き込まれました。

このドラマを見て感じたのは
医療の進歩はすばらしいことだけど、そこに「心」がないといけないということ。
そして「上の力」ってこわいな…ということ。

「変身」（2014年、WOWOW、カラー、全５話：60分×５話＝300分）。

東野圭吾の同名原作を、神木隆之介、二階堂ふみの主演で、作った作品。
監督は、永田琴（ながた こと）。「分身」（2012、WOWOW）も、この原作者・この監督です。

原作は未読です。（講談社文庫・382ページ。）

この映像作品は、とても素晴らしかったと思います。


電子製品を作る工場に勤める青年・成瀬純一（神木隆之介）は、クリスマス・イヴの日、定時で工場の生産ラインを出て、
恋人・葉村恵（二階堂ふみ）の待つ、自宅に帰る予定だった。

しかし、工場でその日のノルマが達成できなかったため、上司から残業を求められる。

「今から帰る」と、電話した直後だった。
家では、恵が、ケーキもロースト・チキンも、彼の好きなミートボールのスパゲティも用意してくれている。

「１時間、いや、30分でもいいから。」
気の弱い彼は、受ける。受けざる得ない立場であったのだ。

この時間の「ずれ」が、彼に悲劇をもたらす。
彼はまっすぐ家に帰ったのではない。
遅れて、宝飾店に行く。
恵とともに選んだ婚約指輪を受け取り、今夜、すぐ、彼女の指に渡すのだ。

その店で、彼は強盗（京極瞬介：渡部豪太）に遭遇し、女児をかばおうとして、頭を撃たれる。弾は貫通していた。

彼は、死ななかった。

搬送された病院で、画期的な手術が施され、彼は、三週間後に、覚醒する。

恵は、毎日、病院（東和大学附属病院）に行って、純一（純）の術後経過を聴きにいったが、彼の覚醒後も追い返され続ける。
彼女は、純と正式な婚姻関係がなく、純は天涯孤独だった。

唐突に記者会見が開かれ、病院で彼の手術を「執刀」した堂元（どうげん）東和大学医学部脳神経外科教授（伊武雅刀）が、
画期的な手術であったこと、この手術は、患者自身の脳幹細胞を、新しい薬剤によって活性化し、つないで成功したのだと述べる。

その前、堂元教授の病院の部屋に行ったとき、彼女は入室を禁じられていたが、「生体間脳移植」という教授の言葉を聞く。

この病院の暗黒に注目していた築地中央警察署の刑事・倉田（村上淳）は、怪しいと思う。

今の法制度では、心臓や肝臓などの臓器移植を行うためには、ドナー（生前に臓器提供を申請した人）の「脳死」が条件なのだ。
では、脳死した脳を、別の生体に移植する手段はあるのか？
今の医学では不可能だろうと、倉田は堂元教授に言う。「これは、殺人でしょう」と。

たとえ犯罪であったとしても、「生体間脳移植」などは、そもそもあり得ない話だ。
心臓移植、肝臓移植は、ドナーのと適合で、長期生存するほうに希望が拓かれている。

最近、クリント・イーストウッドの「ブラッド・ワーク」を見て、分かった。
彼は、適合する心臓を「奇跡的」に与えられたが、５年待っても、７年待っても、見つからぬこともあろう。

ここからは、原作者特有のトリックに誘われる世界と言っていいだろう。

純が、変わってくる。
以前の温順な性格が、徐々に、暴力的になってくる。
それを、恵も気づく。

事件の前までは、二人は、「絵画」を通して巡り合い、純が恵を描いた未完成の肖像画があった。
術後、覚醒した純は、今まで美しいと思っていた恵に興味を失っていく。

純を撃った強盗犯も、彼と同じ病院に搬送され、死亡していた。
同じ時間帯に、もう一人、交通事故で搬送されていた青年がいた。

ドラマは、怖くなってくる。

心理ドラマになる。

神木隆之介、二階堂ふみ。

二人は上手いというより、すごい俳優だ。

最後の肖像画で、僕は少し、泣いた。

”誰かの脳が、僕の中に生きている。”
125万部を超える東野圭吾の戦慄のベストセラー医療サスペンスを
ドラマに定評のあるWOWOWが制作。
全5話構成としたことで、神木隆之介さんと二階堂ふみさんの感情の変化を繊細に描かれています。

人の心というものは、どこにあるのでしょうか?

医学の進歩と共に人の命の在り方も変化してきているように感じますが、
生きているということはどういったことをいうのか、

松重豊さん演じるヒロインの父親の言葉、
相島一之さん演じるドナー登録していた息子を持つ父親の言葉に深く考えさせられました。

まるで映画のようなレベルの高さでした。
現代の医療の進歩なら脳移植も普通に出来ちゃうんじゃないか!?と錯覚するほど…。
他人の脳が移植された事で人格が変わってゆく恐怖…というストーリーは今までにもあったけど、この作品はそんな単純ではなかった。主人公の二人の演技も良かったです。まだ若いのにスゴい。
協力者の刑事さんがもっと二人に深く絡むのかと思ったけど、そうでもなかった〜。
ラストは悲しかったけれど、きっとそれで良かったんでしょうね…。主人公の恋人の最後のセリフ…その一言につきると思います。

めちゃくちゃよかったです！
完成度高いです！