太秦ライムライト

５０年以上も時代劇の『斬られ役』を演じ続け、
『５万回斬られた男』として知られる
福本清三さんの初主演作品だそうです。(*´∀`*)

一応、フィクションですが、
作中の主人公の香美山清一も齢７０を超える斬られ役だったりして、
どこかドキュメンタリーを思わせる作りになっています。

真面目で堅苦しい作品かもと心配もありましたが、
まるでアニメを思い起こさせるスタイリッシュなオープニングだったり、
新しさと古臭さが絶妙に組み合わさった素敵な作品でした。

時代劇製作における舞台裏の、
さらに裏を描いたような斬られ役業界エピソードも
興味深くてタメになったし、おもしろかったです♪


私は時代劇自体は好きだけど、
いわゆる昔ながらの『チャンバラ』というものが
あまり好きではなくて、全員で一斉に斬りかかればいいのに。とか。
日本刀で何十人も連続で斬れるはずがないのに。とか。
どうしても矛盾を指摘したくなって醒めてしまいます。(;´д｀)

変わらずに続けていくことがえらいとも思わないし、
たとえお年寄りの方であっても、常に目標を持って
新しいことにチャレンジされる方が好感を持てるのですが
この作品を見ると、自分の想いだけでは
どうにもならないということがよく伝わってきました。

同世代の老優が、一人、また一人と引退し、
後輩の役者は次のステージへと巣立っていく一方、
若い監督と衝突し、今どきの作品に対する感性も理解できず、
見た目にも体力的にも斬られ役を続けることが難しくなっていきます。

まるで自分以外の全ての存在から、
早く消えろ！と否定されているような心境に陥る中、
それでも生涯役者であり続けようとする
主人公の生き様に心を打たれます。(/_<。)

ラストはややあっさりした感もありますが、
５０年という重みをひと塊りに凝縮した一世一代の斬られ演技には
まばたきする時間も惜しんで見入ってしまいました。

福本清三ありきの名作。
立ち回りの美しさはもちろん、時代劇ファンには たまらない見どころ満載。
しかし、時代劇の衰退が避けられない現状では、喜んでばかりもいられない。
最後のあがき、「一花咲かせよう」ではなく「散り際を目に焼き付けておけ！」な作品。

実際、京都の撮影所は開店休業状態。
撮影する作品も激減。
スキル等の維持を含めて、毎年「戦隊」や「仮面ライダー」もタイムスリップネタなどで使用している。

で、本作。唐沢寿明主演の「イン・ザ・ヒーロー」の時代劇版といったイメージ。
個人的にはコチラの方が見ごたえありました。
両方に出演している松方弘樹が、適任過ぎて説得力あり！

妙にリアルな描写と、そんなのありえん! エピソードが混在。
まぁ、ドラマとして展開するためには仕方がないか…
若手監督とアイドル俳優が、いかにも過ぎて陳腐。
さらに元俳優でテレビ局社長の娘と結婚したというプロヂューサーが、意味不明。

福本清三を知る人は、フィクションなのか？再現なのか？
混乱してしまうほど感情移入できます。

そして、クライマックス！　殺陣の美しさ、ココに極まれり！　
息を呑むほどの素晴らしさです！

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　時代劇が廃れてきた撮影所で大部屋俳優として生きてきた老俳優がしだいに仕事が亡くなって時代の流れについていけずに引退を決意するまでの話。

　主演の福本清三さんのイメージがそのままの斬られ役俳優を主役に描いた作品で、時代の流れで昔からの伝統の時代劇がなくなって自分には理解できない流れがあってついていけなくなっていく。ただでさえ少ない大部屋俳優たちは1人辞め2人辞め。
　そんな中、若い女優に殺陣のレッスンをして、その女優さんがスターになるのを見守って自らは体力の衰えで引退を決意する。

　時代劇が少なくっていくという1つの時代が終わるもの悲しさ。それに戸惑いつつ受け入れて去っていく老俳優。福本清三さんの台詞も少なく渋い表情と背中だけで語る雰囲気が最高の映画でした。
　斬られ役としてクライマックスではスター俳優との殺陣。ここの劇中劇としての面白さもあって迫力あってよかったです。

　ただカタキ役みたいにイマドキのアイドルと若い監督、みたいなのが出てきますが。この人たちがいかにもなステレオタイプの嫌な奴なのが安っぽくなってしまっているのが残念でした。だいたい「ODANOBU」なんて映画、誰も観たくないです。

　とはいえ、最後の見事な斬られっぷりでなぜだか泣けてしまう映画でした。

時代劇が好きな方なら知らない人はいなかったであろう、福本清三さん。
インターネットが普及していなかった頃では、
この愛すべき役者さんがどのぐらい世間的に認知されていたのか不明ですが、
『ビッグコミックスピリッツ』で連載されていた『江戸むらさき特急』で度々ネタにされており、
私だけではなかったのだと好んでこの4コマ漫画をチェックしていたことを思い出しました。

爆発的に認知されたのは、やはり『探偵ナイトスクープ』で取り上げられ、
桂小枝さんによるパロディ演出から本当に『徹子の部屋』に出演されたことと記憶していますが、
本作品はそこらの流れをリアルタイムで見届けていた方には堪らない
ドキュメント作品のように感じられるのではないかと。

主演なんだけど、その他大勢の役者の一人という役どころがセンセイらしくていいですね。
”どこかで誰かがみていてくれる”真面目にコツコツがんばろうという気分になれる作品なのかも。

　小さい時から時代劇の殺陣が好きで暴れん坊将軍や水戸黄門をよく見てました。
福本清三さんはちょくちょく悪役として登場され、お顔が濃いせいか印象的でしたね、
たまに正義の味方側で登場される回とかをご褒美回なのかなとよくニヤニヤしながら見たものですｗ

その福本清三さんの主演作ということで見ましたが格好よく魅せるのではなく、背中で哀愁を魅せる感じでした。
娯楽作品ではない映像作品を見た気分です。