殺人の疑惑

韓国三大未解決事件のひとつ『イ・ヒョンホ君誘拐殺人事件』を
モチーフにしたという触れ込みのミステリーです。

この事件に関して、あまり知識がないのですが、
残りの２つは『カエル少年失踪事件』と『華城連続殺人事件』ですから
本国の方にとってはいたたまれない事件だったことでしょう…

ストーリーは、まもなく時効を迎える誘拐事件を題材にした
映画を観に行った主人公の女性・ダウンが
エンドロールで流れた犯人の肉声を聞いて、
父親の声にそっくりだと気づく場面から始まります。

※その作中で流れる映画は、
同じく『イ・ヒョンホ君誘拐殺人事件』をモチーフにした
「あいつの声」という作品。だと思います。

あんなにも優しい父親が犯人であるわけがないと葛藤するダウン、
そして実際に娘を大切に想いやっている父親、、、
徐々に明らかになっていく事実に翻弄されながら
物語はクライマックスへとひたはしっていきます。

はたしてこの作品は、
凶悪な殺人犯の裏表を描いたものなのか、
それとも苦難を乗り越えて親子の絆を確かめる感動作なのか、
どちらにもなりえるストーリー構成にヤキモキします。

ただ、いつまでもじらして引っ張ったわりに
ラストはあっさりしていて、ちょっと拍子抜けしました。(^_^;

もっと意外性が欲しかったのと
結局、実在する事件はあまり関係なかったっていうのが…う〜ん。

ちなみに日本語吹き替えはありません。

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韓国三大未解決事件は、「殺人の追憶」、「カエル少年失踪殺人事件」、「あいつの声」と
事件を描いた作品が映画化されているが、「あいつの声」でも描かれていた「故イ・ヒョンホ君誘拐事件」を
モチーフに作成されたサスペンスフィクションって事らしいです。

父と娘ふたりの家庭、この父親が娘を「我が宝物」として大切に育てています。
どこから見てもやさしい父親で、人間的にも善い人であり、娘もそれに応えて、
親子関係の仲睦まじさが描かれています。
そんな関係がある日突然、生じた疑惑がだんだんと確信に近づきます。

発端は、娘が見た「故イ・ヒョンホ君誘拐事件」を描いた映画のエンドロールで流れる、誘拐犯の肉声。
身近な人間ならば「ピン」と来る、声質や口癖。
あの優しい父親が、非道な誘拐犯でないかと疑問を持ちます。
映画を見ていると「まさか、こんな良い人が・・・。」と思うように。
この父親と、犯罪が中々結びつかない設定に、誰もがこのギャップは何なのかって事に考えを廻らせます。
又、母親の立場も良く分からない。

父親はキム・ガプス、裏がありそうな善人の演技が上手いです、なんだか日本でいえば田村高廣みたいな感じ．．．。
結局、犯行に及んだ経緯とかは描かれず、最終的にエンディングでの義弟とのやり取りが少しだけ描かれているが、
肉声テープでの不敵な笑いとか、子供に指示メモを書かせたり、この誘拐犯の不敵さが、
単に義弟から脅されて止む無く犯行に及んだだけとは思えない設定。

それを意識するかしないかで、見終わった後味が大きく変わる。

結果から言うと、愛情はあるんだけど、社会常識というか教養のない人の素朴さから生み出された悲劇のようなお話になってます。
主人公の目を通して、家族が容疑者になったときの気持ちを追体験できるところが興味深く、スピーディな演出と巧みな伏線によって魅せて行くところはさすが。疑い、悩み、葛藤、愛情・・・色々な気持ちがないまぜになりながら、あるべきところに突き進んでいく主人公の態度にはすがすがしさすら感じられます。

で、最後の最後に、エンディングが始まってから、悪人側である父親と義弟のエピソードがちらっと出てくるのですが、もうこれはわかりきったことを映像化しているくらいのエピソードなのですが、そのあまりの素朴さに、個人的には非常にショックを受けました。単純で素朴で、愛情がたっぷりで、でもそれだけではいけないのが人間なわけで・・・それをどうして「それだけではいけない」と理解することができるのか、あるいは理解することができない人がいるのかということについて、今更ながら考えさせられる映画でした。

まさか自分のお父さんが...という疑惑がじわじわと主人公を襲い
追い詰められていく様に最後まで引き込まれます。

記者を目指す主人公のダウンは勉強の為にともう直ぐ時効になる少年の殺人事件の映画を見る。
ラストで流れる犯人の肉声が父親とそっくりだった。
そして・・・その口癖も・・・
ダウン命の優しい父が犯人である訳が無いと思いながらもだんだん疑念が大きくなる。

最後の最後まで犯人は解からずに引き込まれます。
真実を知った時のダウンの行動にも心が痛みます。

全ての真実がわかった時にはもうどうする事も出来ない事に苛立ちを覚えます。
ダウンの出生の秘密も明らかになりますが・・・
何だかスッキリしない終わり方です。