１７歳

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

１７歳。
女性の一生の中で、おそらく最も美しく、はかなく、そして残酷な時。
自分が放つ輝きにまだ気づかず、無邪気でいられる１４歳とはもう違う。
男たちが自分に向ける視線の意味も知っている。
けれども、自分の中で湧き上がる欲望に、どう対処すればいいのかわからず戸惑う頃。
美しく、恵まれた少女イサベル（マリーヌ・ヴァクト）の、１７歳の四季。

夏。
家族とバカンスに訪れた海辺の町で、イサベルは初めて男性を知る。
相手はドイツから来た同年代の男の子。
夜の浜辺で初めてのセックスをするイサベルを見つめる、もうひとりの自分。
女の子って意外と初体験を冷静に受け止め、ちょっと覚めた目で見てるんだよね。
このあたりの気持ち、すごくわかる。

秋。
いつもの生活に戻ったイサベルは、ネットで知り合った複数の男性を相手に、売春を始める。
ここはちょっと極端すぎて、私にはその気持ちがわからないけど、
自分が男にとってどれほどの価値があるのか、知りたいってことなのかな。
イサベルの売春相手の中には、酷い扱いをしたうえに、「おまえには価値はない。」と言い放つ奴もいて、
なんでこんな奴を相手にしなければいけないの？と腹がたったりしたんだけど、
それが自分の価値なんだと受け止めているのかな？

冬。そして事件は起こる。

彼女の気持ちはとてもよくわかることもあれば、全く理解できないこともあるんだけど、
季節ごとに挟まれる歌の歌詞が、それをすごくよく表しているように思えた。

春。普通の１７歳らしい生活を取り戻したかにみえたイサベルに、ある出会いが。

終盤に登場するシャーロット・ランプリングのせりふ。
「若くて美しい頃に、お金をもらってセックスしてみたかった。今じゃお金を払わなきゃいけないけど。」
１７歳がはるか昔のことになってしまった私には、このせりふがいちばんグサッときました。

フランソワ・オゾン監督が、少女と女の狭間で揺れ動く17歳の性を繊細につづった青春ドラマ。名門高校に通いながら何不自由のない生活を送る17歳の少女イザベル（マリーヌ・ヴァクト）。バカンスに訪れたビーチで初体験を済ませた彼女は、やがて不特定多数の男たちを相手に売春を重ねるようになります。

主人公のイザベルは初体験は、恋にはならず、彼女の中の何かを変えたのかもしれません。男に対して、冷めた感覚を持ち続けているようにも感じます。
ＳＮＳを通じて不特定多数の男たちと密会を重ねるようになり、何かに駆られるように売春に精を出します。ところが、初老の常連客が行為の最中に死亡という事件で、秘密はすべてバレてしまいます。
彼女はお金のために売春をするのでも、快楽が欲しいのでもなさそうです。なぜ、そんな道に進むのでしょう？
彼女の心理描写はほとんど語られません。
ところが、精神科医には「待ち合わせをするのが好き」と語ります。

彼女との行為の最中に亡くなったジョルジュ（ヨハン・レイゼン）はイザベルに取っては他の男達とは違う存在だった事は分かります。
謎めいて魅力的な中年紳士と父性を彼に重ね合わせたのでしょうか？
次にイザベルが一番ワクワクしたのは、ジョルジュの妻（シャーロット・ランプリング）との出会いかもしれません。
イザベルは、「服を脱ぎましょうか？」とまで。それほど彼女に魅せられたのでしょう。
彼女を理解するのが母親ではなく、亡くなった老紳士の妻というのが興味深いです。

17歳のイザベルが一番したい事はセックス。大好きな事がセックス。
同世代の男の子では、物足りない。つまんない。刺激がない。
ヒリヒリするスリル。危険が多いほど、ヤバイほどの快感があった。
彼女は感じない・・・なんてクールに言うけどホントかな？
実年齢22歳のクールビューティー。マリーヌヴァルクの存在感無しでは成立
しなかった映画。彼女の魅力だけを映像にした映画。
彼女のヌードがすべて。あとは何にも無い。
3曲掛かった歌(イザベルの心境を現す)噴飯ものでした。

フランソワーズオゾン監督ともあろう方が何を血迷ったのでしょう！
少女が身体を売ることに哲学も理由も、いらない。

最近低調のフランソワ・オゾン。年を経るにつれて、題材は分かり安く過激に、しかし図式的になっているのをどう見てよいのかどうか悩む。
今回は、援助交際する女子高生の話。
といって貧困や、家庭が不幸とか、あるいはもしかしてニンフォマニア？といった分かり安い動機は明示されない。
もしかして、主人公の彼女本人にも分かっていないということなのだろうか。
中年男とホテルでセックスをし、お金を受け取る。
思いがけない事件やひどい目に会うし、親にもバレる。
彼女はそれで変わらない。ある日突然、闇に落ち込んだか化けたかという感じなのだ。
半端な解釈をすれば、何か空虚なものを抱えていて、その空虚さを埋めるためにということだろうか。
といって何か言ったようなつもりになるが、実は何も言っていない解釈である。
この映画を観て何か考えること、そのものが空虚であり、そのことがこの映画のもつリアルさなのさ、とちょっとヒネてみてもいいかもしれない。
美しくスレンダーな少女の体当たり演技という紋切型の一文を書いても、意味がありそうに思えない。
その空しさが、リアルと言えばリアルなのかもしれない。
しかしそれで面白いのかといえば、面白くない。
エンコーの場面はサスペンスフルなところもあって観てしまうのだが、普通の場面があまりにもよくない。
例えば事実を知った母親が娘を叩き、なじるシーンのひどいこと。
どうしてこんなふうになってしまうのか、うんざりしてしまう。40点。

若くてキレイな女の子ってそれだけで絵になる。
思わず目を奪われて、ずっと見ていたいなという気分になる。
ってな訳で、本作は主演のマリーヌ・ヴァクトちゃんを愛でる映画、
それ以上でもそれ以下でもないかなぁと。ふむ、同様意見ありますね。

頭が良くてルックスにも恵まれてる女子が、スルッと援交してしまう。
お金に困ってるのでもないし、自己実現がどうのとかそういう話でもなさそう。
でも、別にそれって「衝撃的」なことでもないと思えてしまうなー。
なんだろ、「今」という時代は、この程度のオハナシよりもっと「先」を行ってる気がする・・・。
どっちかと言うとレトロ感覚というか、昔のいかにもな「おフランス映画」って雰囲気。
でも、個人的には嫌いじゃないです。
リアルな「今」を描いたらもっと気持ちの悪いハナシになりそうで。
フランソワ・オゾンはクラシカルな美意識を持っていそうだな。
妙な感想だけど山田太一あたりが書きそうな物語だなーと思った。
特にシャーロット・ランプリングとマリーヌちゃんが会うシーンなんて、そんな感じ（笑）。