はじまりは５つ星ホテルから

世界の高級ホテルの格付けを行う覆面捜査員の女性が、様々な体験を通して人生を見つめ直します。
超一流の高級ホテルをチェックする覆面調査員の女性イレーネ（マルゲリータ・ブイ）。普通の客を装って５つ星の高級ホテルに泊まり、ホテルのサービスをチェックするのが仕事。430軒以上の一流ホテルが加盟する世界的なホテル協会「ザ・リーディングホテルズ・オブ・ザ・ワールド」が全面協力し、実在の5つ星ホテルで撮影が行われたらしいです。実在する７つの高級ホテルが登場します。
高級ホテルは目の保養になったのと、素敵な旅をしている気分になりました。

イレーネがホテルで素敵な人と出会い、恋に落ちるのかな？と思いきや、そういうこともなく、非常に厳しい現実を見せられました。
40歳を迎えたイレーネが自らの孤独と自由に向き合います。
結婚しないイレーネを心配するのが妹のシルヴィア。
地に足のついた暮らしをしている妹夫婦や、元恋人のアンドレア。以前は自由を謳歌し、誰もが憧れる仕事で、うらやましがられていたはずが、いつの間にか憐みの目で見られています。ホテルのチェックリストは完璧なのに、何故か自分のチェックリストは？？誰でもこんなものだと思いますが。

世界中を巡る高級ホテル暮らしは優雅なようですが、年齢を重ねると、やっぱり物足りなさを感じるのでしょうね。
さらに、ホテルの高級感と普段の地味な生活の対比が主題を際立たせます。
たまに帰った自宅の植物が枯れているとか、冷凍食品を温めて食べるとか。現実に引き戻された見せ方が上手いです。

自由と孤独は常に隣り合わせなのかもしれませんね。
一人の女性が迷いながら一歩を踏み出す王道ドラマで、ありがちな恋話に逃げず良かったです。

私たちは普段
毎日
何かの役割を演じていることが多いような気がします
母　父　上司　部下　生徒　教師　生産者　消費者　ETC　ETC

永いことそれを続けていると
気づかないうちに元々の自分が
役割の陰で小さくなっているのを発見します

ほかの人を見るときも　その人自身ではなく
役割を見て　その役割をその人だと思ってしまいます

そして
それぞれの役割に応じた物語を作り上げ
その物語の中での幸せを求めるようになっていくのです

自分で物語を作り
人からも物語を作られ
がんじがらめの物語の中でしか　生きていけなくなるのです

幸せは
一瞬の輝きです

幸せは
永遠に続く光の帯です

幸せは
常に容を変えながら
現れ　そして消え　そしてまた
現れるのです

幸せに
一つとして同じかたちはありません
人の数だけ　幸せはあるのです

ひとの幸せを求めることはありません
あなたの幸せは
あなたの元にしか　やって来ないのですから

主人公は超高級ホテルの覆面調査員の女性イレーネ。

シーツや枕にシミや汚れはないか？
サイドテーブルやヘッドボードの上にほこりはないか？
ルームサービスで運ばれてくるシャンパンやスープは適温か？
などなど、調査の様子はなかなか興味深く観ました。

昔、泊ったホテルの対応に不満を持った友人が、
連泊中にシーツがちゃんと変えられているかを確認するために、シーツにこっそり印をつけたと言うのを聞いて、
そこまでしなくてもいいんじゃないか？と思ったんだけど、
５つ星ホテルともなれば「エコ」なんて関係なし。
完璧な清潔さでなきゃだめなのね。だって、「非日常の空間」なんだから。

しかし、イレーネにとってははそんな「非日常の空間」が「日常」。
そのせいかプライベートがあまりうまくいっていない。
お仕事中は自分の身分を明かせないから、素敵な出会いがあっても踏み込むわけにはいかないし、
友だちも作りにくいし、ちょっと気の毒。

妹が選んだドレスはなかなか素敵なのに、なぜあれほどけなすのかすごく不思議だったけど、
要はイレーネ自身はああいうドレスを着る機会が全くなかったってことなんですよね。

そんな彼女がひとりの女性として一歩を踏み出すってところの描き方は、
正直物足りなさが残りましたが、時間も短いし、まあこんなものかな。

イレーネが調査のチェック項目をパソコンで見てるところに
一切字幕がなくて何が書かれてるのかわからなかったのが残念でした。

皆様のレビューで主人公のイレーネはタカビーで自己中心。妹さんが言うように、[なんでいつも、あなたのスケジュールに合わせなきゃならないの？]
は、至極ごもっともです。
でも私がイレーネで、世界中の5つ星ホテルの覆面調査員なら、思い上がるに違いないよ。
世界中の空港と都市を何十回も移動して、最上級のホテルで、最高級のご馳走を食べる。
5カ国語位は堪能で、おまけに美人。歳を食っちゃったのが難点だけど、自分は一般人とは違うのよね
.・・・と勘違いする、と思う。
でも私なら3年この仕事をしたら、飽きると思う。

ホテルなんて、いっくら痒い所に手が届くサービスをされたって、居心地悪いよ。
結構、ホテルに泊まるのが趣味・・・って時期があった。
どんな眺めの良い、そうガラス張りの凄い部屋にも泊まった。

だけど寝心地が良いのは家のベッド。どんなチャンネルも見れるのは家の
テレビ。自宅がベスト。

この映画、以外と急ぎ足で、ホテルの隅々まで舐めるように見れなかった。
ホント、イレーネは余裕が無い生活だね。
5つ星ホテルの凄い建造物感は、行かなくては、分からない、ということが
分かった。

イレーネさんの再出発は、もう始まりましたね。

じわじわと感涙。。。してしまった。

いつもは封印しているここそこに、はまりこんでくる台詞。
次々に、というわけでなく、ひと呼吸、一休みしながらぴったりはまるソコにはいりこんでくる。
登場人物のそれぞれの行き方、生き様、人生のちょっとした節々に共鳴。
まいったなぁ......見終わってしばらくそのまま、とれない疲れがいつまでもそのままな状態と同じ。どんどんとだるくなっていった。
生きてるのが単純にやになった。
観て良かったけど観なければもっとよかったと、当分思っていそう。だるいだるい佳作。

宿泊するならホテルより旅館。掃除の行き届いたひろい和室で、目が覚めるまで眠りたい。