エレニの帰郷 / ウィレム・デフォー
エレニの帰郷
/テオ・アンゲロプロス
平均評価点:
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全体の平均評価点: (5点満点)
(4)
解説・ストーリー
「旅芸人の記録」「シテール島への船出」「霧の中の風景」のギリシャの巨匠テオ・アンゲロプロス監督が「エレニの旅」に始まる3部作の2作目として手がけた映像叙事詩。なお、アンゲロプロス監督は本作に続く第3部を撮影中の2012年1月、突然の交通事故で他界、本作が監督にとっての遺作となってしまった。エレニを軸に、20世紀の激動の歴史に翻弄された男女3人の半世紀にわたる愛の軌跡が、エレニの息子“A”の目を通して語られていく。出演はウィレム・デフォー、イレーヌ・ジャコブ、ブルーノ・ガンツ、ミシェル・ピッコリ。 JAN:4988101177851
「旅芸人の記録」「シテール島への船出」「霧の中の風景」のギリシャの巨匠テオ・アンゲロプロス監督が「エレニの旅」に始まる3部作の2作目として手がけた映像叙事詩。なお、アンゲロプロス監督は本作に続く第3部を撮影中の2012年1月、突然の交通事故で他界、本作が監督にとっての遺作となってしまった。エレニを軸に、20世紀の激動の歴史に翻弄された男女3人の半世紀にわたる愛の軌跡が、エレニの息子“A”の目を通して語られていく。出演はウィレム・デフォー、イレーヌ・ジャコブ、ブルーノ・ガンツ、ミシェル・ピッコリ。 JAN:4988101177851
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「エレニの帰郷」 の解説・あらすじ・ストーリー
解説・ストーリー
「旅芸人の記録」「シテール島への船出」「霧の中の風景」のギリシャの巨匠テオ・アンゲロプロス監督が「エレニの旅」に始まる3部作の2作目として手がけた映像叙事詩。なお、アンゲロプロス監督は本作に続く第3部を撮影中の2012年1月、突然の交通事故で他界、本作が監督にとっての遺作となってしまった。エレニを軸に、20世紀の激動の歴史に翻弄された男女3人の半世紀にわたる愛の軌跡が、エレニの息子“A”の目を通して語られていく。出演はウィレム・デフォー、イレーヌ・ジャコブ、ブルーノ・ガンツ、ミシェル・ピッコリ。 JAN:4988101177851
「エレニの帰郷」 の作品情報
「エレニの帰郷」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ
エレニの帰郷の詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
127分 |
日 |
オリジナル:ドルビーデジタル5.1ch |
レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
PG-12 |
DRTD03732 |
2014年07月11日
|
在庫枚数 |
1位登録者: |
2位登録者: |
6枚
|
0人
|
0人
|
エレニの帰郷の詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
127分 |
日 |
オリジナル:ドルビーデジタル5.1ch |
レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
PG-12 |
DRTD03732 |
2014年07月11日
|
在庫枚数 |
1位登録者: |
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|
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ユーザーレビュー:4件
動乱に翻弄された男女
ギリシアの巨匠テオ・アンゲロプロス監督が2004年の『エレニの旅』に続いて撮りあげた“20世紀3部作”の2作目です。
ところが、3作目を制作中に、事故で帰らぬ人になってしまいました。本作が遺作のようです。
時間軸が行ったり来たりするので、分かりづらいのですが、現代のローマの撮影所チネチッタから始まります。
時代のうねりにに翻弄されながら20世紀を生きて来た母エレニ(イレーヌ・ジャコブ)と二人の男性のドラマを、彼女の息子であるアメリカの映画監督「A」(ウィレム・デフォー)の視点から綴られています。
入れ子構造になっているため、フィクションと現実、記憶と現在の境界が分かりづらいです。
「A」がスタジオ内で行動するのと交互して1953年に、さまざまな検問をくぐり抜けながら離ればなれになったエレニ(イレーヌ・ジャコブ)に会うために列車で向かうスピロス(ミシェル・ピッコリ)のシーンが挟み込まれます
社会活動家だったエレニは大学生の頃、秘密警察に逮捕され、テサロニキ収監所に送られた後、命がけで脱走します。
その後、エレニは、ギリシャ難民の町テミルタウで、恋人スピロス(ミシェル・ピッコリ)と再会するものの、スターリン死去による混乱で、再び逮捕された二人は別々にシベリアへ送られます。
すでにスピロフの子を身ごもっていたエレニを、イスラエル難民のヤコブ(ブルーノ・ガンツ)が支えます。
スターリンの死に始まり21世紀の幕開けまでの別れと再会のドラマを見ていると、波乱万丈な3人の男女の人生が、静かに浮かび上がって来ます。
重苦しい雰囲気で難解なものの、スターリンの死が告知される広場のシーンでは、群衆が散っていくシーンや、国境越えのシーンなど彼らしい映像での語り方が素敵です。
年老いてベルリンで再会した3人がダンスに興じるシーンには切ないまでの親密さが漂っています。
そして、エレニをずっと愛し、支えて来たヤコブの終盤の行動には胸が締め付けられる思いでした。
このレビューは気に入りましたか?
19人の会員が気に入ったと投稿しています
帰郷
投稿日:2016/01/29
レビュアー:まみもぉ
邦題、素晴らしいと思う。原題『The Dust of Time』とはまるで違っているのに、作品の的を射抜いている。
ひとそれぞれにある帰郷地。ワタシのそこはどこだろう。今いるここでないことは確か。定かではないそこに、いつも思う、帰りたい。
その思いがさらにさらに強く重くなった。
息子を見送る母親の手。
画面に映るその手だけで彼女の感情が一気に伝わってきて息が止まった。前はなかった。
そういう箇所が沸々と弾ける。厚いぶ厚い作品。ひとつの宇宙なんだと思う。真空でない宇宙。
でも、空気が濃すぎて長居するには辛い。
しょっちゅうエレニが誰の誰だかわからなくなってしまった。話しの筋は分かっているのに、わからなくなる。
今作は特にほかの作品で見知った俳優さんが演じられていて、重なってしまうから?とも思う。
そういう吸引力もある。で、それぞれが帰郷地に帰り帰されていく。
ヤコブ、エレニ、スピロス 3人の背中に刺さっている一枚の羽。一枚では飛翔できない。もう一枚、対になる羽がないと。
第三のの羽の在り処、やっぱりわからなかった。
飛べないから歩かなければいけない、けれどそろそろしんどい......
”白”が美しかった。アンゲロプロス監督の白は滲まない。それが雪なら溶けない白。積もって、降り積もって覆い隠したまま待つ。待たされる。
そこから見つけ出される手に会えるまで。
できたらその手になれたらと思う。
ラスト、そんな美しい白い時の結晶が舞っているようだった。
『The Dust of Time〜エレニの帰郷』、
未完という完結を成し遂げた未完生品。
このレビューは気に入りましたか?
6人の会員が気に入ったと投稿しています
激動の歴史の中で生きた両親の物語を静かに描きます。
デフォーが演じる映画監督が
なにやら映画の撮影をしているところからはじまる。
彼が両親の人生を回想してる形式で過去を描き
時に現在の彼の様子も入ってくる。
彼の母親エレニは過去に秘密警察に逮捕され
恋人と離れ離れ。収監されていたのですが、脱出を図る。
かつての恋人スピロスを思いながら
逃亡の先でヤコブと行動を共にするうちに
ヤコブがエレニへ思いを寄せる。
スターリン時代からその後の混乱し激動する環境の中での恋愛メロドラマの様相。
エレニとヤコブ、スピロスの三角関係。
とにかく、この時代、落ち着いて生活できないと言うか、
ずっしり構えて生活できない。
なので、恋人と一緒にすごすどころか、
否応無く遠くに離れてしまうこともあり。
時を経てドラマチックな出会いを果たすも
また事件や悲劇が訪れたりと、
簡単に言えば「波乱万丈」な人生をイヤでも送らざるを得ない。
長年の歳月をさらに経てなお深い3人の絆・・・・
ですが、ダメ押しの悲劇が。
もう、見ていてしんどかった。
というのは、話が悲惨で重苦しいということだけではないはず。
静か過ぎるから・・・・
これだけの山アリ谷あり物語なのに
ほんとに静かなんですよ。
役者の演技で感情に訴えてくる感じなので、
ボーっとみてると、「ほんとに静かで抑揚が無いな・・・」
と思いかねない作りです。
盛り上がるであろう場面もあえて盛り上がりを見せないのか
徹底的に静かに描いてる。
デフォー演じる映画監督の娘にも事情があり、
さらにエレニを思い続けてきたヤコブの姿が
現在になってもなんとも辛く
ちょっとドンヨリする映画でした。
とっても静かでちょっと分かりにくい部分もありますが
見てよかったかも。
このレビューは気に入りましたか?
4人の会員が気に入ったと投稿しています
「旅」の続きは、「帰郷」でなかった!
テオ・アンゲロプロス監督(1935〜2012)の20世紀を題材とした3部作。
第1作「エレニの旅」(2004)の次が、この第2作「エレニの帰郷」(2008年)。監督は、第3作「THE OTHER SEA (もう一つの海)」の撮影中、交通事故で亡くなりました。最後の撮影がどこまで進んでいたのかは分かりませんが、他の監督や製作者により、公開される日が来るかもしれません。
3部作の三つの作品が、連続した物語ではなかったことは、「エレニの旅」「エレニの帰郷」の2本を見比べても明らかです。
邦題や、どちらの映画にも「エレニ」という中心人物が出てくることから、私自身も誤解していたのです。
ギリシア語の原題の意味が分からず、英語の題名で比較するのみですが、「エレニの旅」は「THE WEEPING MEADOW(涙を流す〔嘆く〕草原〔牧草地〕)となっています。
「エレニの帰郷」は、「The Dust of Time(時〔時間〕の塵〔埃〕)」となります。
また、「The Dust of Time」に決まる前の仮題が、「第三の翼(英訳未詳)」とされていた時期もありました。この言葉は、映画の終盤、ある登場人物が叫ぶ言葉でもあります。
「旅」は俳優もギリシア人、セリフもギリシア語でした。
欧米の名優を多く起用した「帰郷」は、セリフも英語中心になっています。
二つの作品を比較してみましょう。(以下、「旅」「帰郷」とします。)
●時代背景と場所
・「旅」:1919年ころから始まり、第2次大戦を経て、ギリシア内戦の終結(1949)までを描きます。舞台はギリシア。ロシアから帰郷したギリシアの移民たちは、未開墾の荒れ地を切り拓いて牧草地にし、村を築く。この後、村を襲う災害、村長一族の困難な歴史が丁寧に語られていきます。
・「帰郷」:1953年、旧ソ連で始まり、ベルリンの壁の崩壊後までの半世紀。舞台も東西ヨーロッパ、旧ソ連、アメリカと広いです。監督「A」は、二十世紀末の映画現在、ローマの撮影所で、中断された映画を完成しようとしていた。その作品は、ベルリンを舞台にしたものでしたが、完成は困難なものでした。彼は、両親の人生を知る旅に出て、死者を鎮魂することでしか、それはできないと思ったのでしょうか?
※「旅」は、映画の場面が、時間とともにまっすぐ進行する、ある意味「長回し」のような設定です。
※「帰郷」は、時間も場所も自在に変化する、複雑な構造をもった作品です。
「DAST(塵)」が舞い上がり、飛び、落ちて溜り、ふたたび吹き上げられるように……。
●「監督」という登場人物
・「旅」:そういう人物は、登場しない。この映画で「エレニ」が産んだ双子の男の子は、別々の家の養子になり、最後の内戦で敵同士になってしまう。
・「帰郷」:「A」(ウィレム・デフォー)。「エレニ」の息子である。
映画中の「エレニ」と「スピロス」の間に生まれる。
※映画監督の役は、「シテール島への船出」「こうのとり、たちずさんで」などにも登場します。その時々における、アンゲロプロス監督の分身であると言えるのでしょう。
●「エレニ」
・「旅」:ギリシア移民の孤児(アレクサンドラ・アイディニ)。ロシア革命前の混乱を逃れ、オデッサからギリシアへ戻る移民に同行する。
・「帰郷」:監督「A」の母(イレーヌ・ジャコブ)。旧ソ連時代の軍事政権下のギリシアで、大学生の時、秘密警察に逮捕され、テサロニキ収監所に送られる。脱走するが、再び捕まり、シベリアの収容所へ送られる。
※同じ名前だが、別人であることが分かる。
●「スピロス」
・「旅」:「エレニ」の命の恩人で、移民の村の長(ヴァシリス・コロヴォス)。彼女と愛し合う「アレクシス」の父である。エレニとは親子ほど年が違うが、妻亡き後、「エレニ」を、当然のように後妻にしようとする。駆け落ちした息子とエレニを執拗に追跡する。
・「帰郷」:エレニと同年代の恋人(ミシェル・ピッコリ)。何度も離れ離れになり、再会する。「時」に翻弄されるように……。
※同じ名前だが、別人であることが分かる。
さて、「帰郷」だけに登場し、この映画の軸となる人物がいます。
●もう一人の名優
ブルーノ・ガンツというドイツの名優が演じる「ヤコブ」という人物です。
テサロニキの収監所を脱走した「エレニ」は、難民の町で、イスラエル難民の「ヤコブ」と出会います。「エレニ」と「スピロス」は逮捕され、別々の車でシベリアの収容所へと送られます。その後、エレニとの関係によってヤコブも同じ収容所へと送られます。
「永遠と一日」に出ていましたが、この名優……。荒れ地に立つ一本の樹木のように、慈愛をもって、存在しています。
「エレニ」にとって、「ヤコブ」はどういう存在であったか──これを知るのが、この映画を見る意味かもしれません。
このレビューは気に入りましたか?
2人の会員が気に入ったと投稿しています
ユーザーレビュー
動乱に翻弄された男女
投稿日
2014/07/10
レビュアー
ミルクチョコ
ギリシアの巨匠テオ・アンゲロプロス監督が2004年の『エレニの旅』に続いて撮りあげた“20世紀3部作”の2作目です。
ところが、3作目を制作中に、事故で帰らぬ人になってしまいました。本作が遺作のようです。
時間軸が行ったり来たりするので、分かりづらいのですが、現代のローマの撮影所チネチッタから始まります。
時代のうねりにに翻弄されながら20世紀を生きて来た母エレニ(イレーヌ・ジャコブ)と二人の男性のドラマを、彼女の息子であるアメリカの映画監督「A」(ウィレム・デフォー)の視点から綴られています。
入れ子構造になっているため、フィクションと現実、記憶と現在の境界が分かりづらいです。
「A」がスタジオ内で行動するのと交互して1953年に、さまざまな検問をくぐり抜けながら離ればなれになったエレニ(イレーヌ・ジャコブ)に会うために列車で向かうスピロス(ミシェル・ピッコリ)のシーンが挟み込まれます
社会活動家だったエレニは大学生の頃、秘密警察に逮捕され、テサロニキ収監所に送られた後、命がけで脱走します。
その後、エレニは、ギリシャ難民の町テミルタウで、恋人スピロス(ミシェル・ピッコリ)と再会するものの、スターリン死去による混乱で、再び逮捕された二人は別々にシベリアへ送られます。
すでにスピロフの子を身ごもっていたエレニを、イスラエル難民のヤコブ(ブルーノ・ガンツ)が支えます。
スターリンの死に始まり21世紀の幕開けまでの別れと再会のドラマを見ていると、波乱万丈な3人の男女の人生が、静かに浮かび上がって来ます。
重苦しい雰囲気で難解なものの、スターリンの死が告知される広場のシーンでは、群衆が散っていくシーンや、国境越えのシーンなど彼らしい映像での語り方が素敵です。
年老いてベルリンで再会した3人がダンスに興じるシーンには切ないまでの親密さが漂っています。
そして、エレニをずっと愛し、支えて来たヤコブの終盤の行動には胸が締め付けられる思いでした。
帰郷
投稿日
2016/01/29
レビュアー
まみもぉ
邦題、素晴らしいと思う。原題『The Dust of Time』とはまるで違っているのに、作品の的を射抜いている。
ひとそれぞれにある帰郷地。ワタシのそこはどこだろう。今いるここでないことは確か。定かではないそこに、いつも思う、帰りたい。
その思いがさらにさらに強く重くなった。
息子を見送る母親の手。
画面に映るその手だけで彼女の感情が一気に伝わってきて息が止まった。前はなかった。
そういう箇所が沸々と弾ける。厚いぶ厚い作品。ひとつの宇宙なんだと思う。真空でない宇宙。
でも、空気が濃すぎて長居するには辛い。
しょっちゅうエレニが誰の誰だかわからなくなってしまった。話しの筋は分かっているのに、わからなくなる。
今作は特にほかの作品で見知った俳優さんが演じられていて、重なってしまうから?とも思う。
そういう吸引力もある。で、それぞれが帰郷地に帰り帰されていく。
ヤコブ、エレニ、スピロス 3人の背中に刺さっている一枚の羽。一枚では飛翔できない。もう一枚、対になる羽がないと。
第三のの羽の在り処、やっぱりわからなかった。
飛べないから歩かなければいけない、けれどそろそろしんどい......
”白”が美しかった。アンゲロプロス監督の白は滲まない。それが雪なら溶けない白。積もって、降り積もって覆い隠したまま待つ。待たされる。
そこから見つけ出される手に会えるまで。
できたらその手になれたらと思う。
ラスト、そんな美しい白い時の結晶が舞っているようだった。
『The Dust of Time〜エレニの帰郷』、
未完という完結を成し遂げた未完生品。
激動の歴史の中で生きた両親の物語を静かに描きます。
投稿日
2014/05/26
レビュアー
MM3
デフォーが演じる映画監督が
なにやら映画の撮影をしているところからはじまる。
彼が両親の人生を回想してる形式で過去を描き
時に現在の彼の様子も入ってくる。
彼の母親エレニは過去に秘密警察に逮捕され
恋人と離れ離れ。収監されていたのですが、脱出を図る。
かつての恋人スピロスを思いながら
逃亡の先でヤコブと行動を共にするうちに
ヤコブがエレニへ思いを寄せる。
スターリン時代からその後の混乱し激動する環境の中での恋愛メロドラマの様相。
エレニとヤコブ、スピロスの三角関係。
とにかく、この時代、落ち着いて生活できないと言うか、
ずっしり構えて生活できない。
なので、恋人と一緒にすごすどころか、
否応無く遠くに離れてしまうこともあり。
時を経てドラマチックな出会いを果たすも
また事件や悲劇が訪れたりと、
簡単に言えば「波乱万丈」な人生をイヤでも送らざるを得ない。
長年の歳月をさらに経てなお深い3人の絆・・・・
ですが、ダメ押しの悲劇が。
もう、見ていてしんどかった。
というのは、話が悲惨で重苦しいということだけではないはず。
静か過ぎるから・・・・
これだけの山アリ谷あり物語なのに
ほんとに静かなんですよ。
役者の演技で感情に訴えてくる感じなので、
ボーっとみてると、「ほんとに静かで抑揚が無いな・・・」
と思いかねない作りです。
盛り上がるであろう場面もあえて盛り上がりを見せないのか
徹底的に静かに描いてる。
デフォー演じる映画監督の娘にも事情があり、
さらにエレニを思い続けてきたヤコブの姿が
現在になってもなんとも辛く
ちょっとドンヨリする映画でした。
とっても静かでちょっと分かりにくい部分もありますが
見てよかったかも。
「旅」の続きは、「帰郷」でなかった!
投稿日
2014/07/15
レビュアー
ちゅく
テオ・アンゲロプロス監督(1935〜2012)の20世紀を題材とした3部作。
第1作「エレニの旅」(2004)の次が、この第2作「エレニの帰郷」(2008年)。監督は、第3作「THE OTHER SEA (もう一つの海)」の撮影中、交通事故で亡くなりました。最後の撮影がどこまで進んでいたのかは分かりませんが、他の監督や製作者により、公開される日が来るかもしれません。
3部作の三つの作品が、連続した物語ではなかったことは、「エレニの旅」「エレニの帰郷」の2本を見比べても明らかです。
邦題や、どちらの映画にも「エレニ」という中心人物が出てくることから、私自身も誤解していたのです。
ギリシア語の原題の意味が分からず、英語の題名で比較するのみですが、「エレニの旅」は「THE WEEPING MEADOW(涙を流す〔嘆く〕草原〔牧草地〕)となっています。
「エレニの帰郷」は、「The Dust of Time(時〔時間〕の塵〔埃〕)」となります。
また、「The Dust of Time」に決まる前の仮題が、「第三の翼(英訳未詳)」とされていた時期もありました。この言葉は、映画の終盤、ある登場人物が叫ぶ言葉でもあります。
「旅」は俳優もギリシア人、セリフもギリシア語でした。
欧米の名優を多く起用した「帰郷」は、セリフも英語中心になっています。
二つの作品を比較してみましょう。(以下、「旅」「帰郷」とします。)
●時代背景と場所
・「旅」:1919年ころから始まり、第2次大戦を経て、ギリシア内戦の終結(1949)までを描きます。舞台はギリシア。ロシアから帰郷したギリシアの移民たちは、未開墾の荒れ地を切り拓いて牧草地にし、村を築く。この後、村を襲う災害、村長一族の困難な歴史が丁寧に語られていきます。
・「帰郷」:1953年、旧ソ連で始まり、ベルリンの壁の崩壊後までの半世紀。舞台も東西ヨーロッパ、旧ソ連、アメリカと広いです。監督「A」は、二十世紀末の映画現在、ローマの撮影所で、中断された映画を完成しようとしていた。その作品は、ベルリンを舞台にしたものでしたが、完成は困難なものでした。彼は、両親の人生を知る旅に出て、死者を鎮魂することでしか、それはできないと思ったのでしょうか?
※「旅」は、映画の場面が、時間とともにまっすぐ進行する、ある意味「長回し」のような設定です。
※「帰郷」は、時間も場所も自在に変化する、複雑な構造をもった作品です。
「DAST(塵)」が舞い上がり、飛び、落ちて溜り、ふたたび吹き上げられるように……。
●「監督」という登場人物
・「旅」:そういう人物は、登場しない。この映画で「エレニ」が産んだ双子の男の子は、別々の家の養子になり、最後の内戦で敵同士になってしまう。
・「帰郷」:「A」(ウィレム・デフォー)。「エレニ」の息子である。
映画中の「エレニ」と「スピロス」の間に生まれる。
※映画監督の役は、「シテール島への船出」「こうのとり、たちずさんで」などにも登場します。その時々における、アンゲロプロス監督の分身であると言えるのでしょう。
●「エレニ」
・「旅」:ギリシア移民の孤児(アレクサンドラ・アイディニ)。ロシア革命前の混乱を逃れ、オデッサからギリシアへ戻る移民に同行する。
・「帰郷」:監督「A」の母(イレーヌ・ジャコブ)。旧ソ連時代の軍事政権下のギリシアで、大学生の時、秘密警察に逮捕され、テサロニキ収監所に送られる。脱走するが、再び捕まり、シベリアの収容所へ送られる。
※同じ名前だが、別人であることが分かる。
●「スピロス」
・「旅」:「エレニ」の命の恩人で、移民の村の長(ヴァシリス・コロヴォス)。彼女と愛し合う「アレクシス」の父である。エレニとは親子ほど年が違うが、妻亡き後、「エレニ」を、当然のように後妻にしようとする。駆け落ちした息子とエレニを執拗に追跡する。
・「帰郷」:エレニと同年代の恋人(ミシェル・ピッコリ)。何度も離れ離れになり、再会する。「時」に翻弄されるように……。
※同じ名前だが、別人であることが分かる。
さて、「帰郷」だけに登場し、この映画の軸となる人物がいます。
●もう一人の名優
ブルーノ・ガンツというドイツの名優が演じる「ヤコブ」という人物です。
テサロニキの収監所を脱走した「エレニ」は、難民の町で、イスラエル難民の「ヤコブ」と出会います。「エレニ」と「スピロス」は逮捕され、別々の車でシベリアの収容所へと送られます。その後、エレニとの関係によってヤコブも同じ収容所へと送られます。
「永遠と一日」に出ていましたが、この名優……。荒れ地に立つ一本の樹木のように、慈愛をもって、存在しています。
「エレニ」にとって、「ヤコブ」はどういう存在であったか──これを知るのが、この映画を見る意味かもしれません。
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エレニの帰郷