怪奇蒐集者　第３弾　「安曇潤平」編

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ダ・ヴィンチ系「幽」で噂を聞き、初めて購入した本は「赤いヤッケの男」でした。
山がとても好きな作家さんだそうで、ご自身が山で体験した話はもとより、そこで出会った登山専門の”山や”さんや山小屋や宿のご主人、登山仲間などから聞き集めた”山岳”怪談。

作風はじっくりまったり、読み進むうちに登山など縁のない出不精が、なに？なに？この山のどの辺？なんてふと調べてみたり。
怖い話のはずなのに、一冊読み終える頃にはすごーく行ってみたくなってるんですね、山。

案内役は落語家三代目蜃気楼龍玉氏。
映像は相変わらずの地味な一人語りなんですが、今回は数ヶ所に仕込みがあるようなｗ
一ヶ所は確実に目が合っちゃったんですがｗいや、気のせいかもｗ


「アタックザック」

登山では、山頂を目指す場合、山頂近くの山小屋に重いナップザックを預け、”アタックザック”という小さなザックに最低限のものを詰めたものだけを背負って山頂を一気に目指すのだとか。
北アルプスの「いにしえの道」の山小屋で、カワサキさんが目にしたのは、持ち主不在のまま置き去りにされたアタックザックで・・・。

「赤いヤッケの男」

”山岳怪談”を巷に知らしめ、単著の表題にもなっている、父上のご友人エンドウさんの話。
父上と共に登るはずがやむなく単独登攀となってしまった山で、エンドウさんは猛吹雪に遭遇し、避難小屋に待避することに。
深夜、続く猛吹雪の中、小屋に近づく靴音がしたので扉を開けると、赤いヤッケを着た男が倒れていた。
けれど男には既に息が無く、やむなく彼は登山を断念し、男の遺体と一晩過ごし、翌日救助を呼ぶため山小屋に遺体を残し、下山するが・・・。


「ゾンデ」

山で事故が重なり人手が足りなくなると、ふもとの町の山に長けた男衆も駆り出されるそうで、作者が飛び込みで泊まった山宿のご主人もその１人なのだとか。
その日も、雪崩に巻き込まれた５人の遭難者を、長い棒”ゾンデ”で、ザクザクと雪を突いて探していたところ、４人は無事発見され救助されたが、残る１人がどうしても見つからず・・・。

「花いちもんめ」

３０００ｍ級の山に日帰りのつもりで登ったタキガワさんは、途中雨に降られ、やむなくテント場に簡易テントを張り泊まる羽目に。
けれどその夜、雨のため登山道が崩落したとスタッフから知らされ、結局登山を諦め翌日下山することに。
その途中、天気は晴天となり、予定も大幅に余ったため、休憩所代わりの広場で昼寝をしていると、風の具合か子供の歌う”花いちもんめ”が聞こえはじめ・・・。

「金縛り」

作者が中学生の頃、実家の建替えのため、一時的に古く陰気な借家住まいとなったそうで。
しかしそこで初めて安曇少年は”金縛り”を体験し、赤いチャンチャンコを着た老婆の霊に悩まされることに・・・。

「真夜中の訪問者」

ガイドブックにも無い無名の山に登ったワタナベさんは、道なき道の中に忽然と現れた広場にテントを張り、夜を明かすことに。
夜１０時頃、突然、それまで気持ちの良い山風や虫の声がひたりと止み、あたりは不気味な静寂に包まれ、未開の山には全く似つかわしくない、カタ、カタ、カタ、と機械的な音がして・・・。

登山あるあるとか用具や状況の解説がとても親切なので、山を知らない人でも大変解りやすいと思います。
著作は格別の空気感があるのでそちらもぜひ。

凄く話し上手で話しに吸い込まれて聞きやすかった、そして怖かったですまたいろんな人の話しも聞いて見たいです、シリーズ化になるといいな

怪奇蒐集者　第１弾〜第３弾　まで一気に見ました。
案内人で落語家の蜃気楼龍玉が出てきます。
内容的には、NHKが作ったのかと思う程、真面目な怪談語りＤＶＤです。
出演している人々は、ホラー作家の方々で、語りのプロではないが淡々と実話系の怪談を語る。
三者ともに其々、話に特色があって面白い。
稲川淳二の様な、派手なリアクションとか無いですが、おっとりと怖い話を
語られるのも、なかなか独特の怖さ・雰囲気が味わえます。
私的には、安曇潤平の話が一番好きです。
私は登山をしないので、その一種独特な世界観に、「怪奇な事が起こっても不思議でない」と
思えるからで、それはひとえに、山ってものに非常に神秘的なモノを感じるからです。