ホワイトアウト　フローズン・リベンジ

　イントロにもほとんど何も書いてなくて、レビューも無し、というのは観る前に不安でしたが、凄く面白い良質のサスペンス映画だったと思います。警察側の視点と、測候所に居た人達の視点、両方が交合に描かれ、最後は一つになって全ての謎が解ける、その構成とほとんど無駄の無い演出が、非常に良かったと思います。こういう分野の作品でも、アイデアさえあれば、まだまだ面白い映画が撮れる、ということでしょう。

　最後は一応ハッピーエンドですが、主人公の人物設定をもう少し工夫してくれていたら、もっと感情移入できたと思います。

　この映画は、事前に情報をインプットしないで観ましょう。

「ホワイトアウト」は、ケイト・ベッキンセール主演と織田裕二主演の2作が思い出されますが、
今作はロシア製作の最新作で、正確には「ホワイトアウト　フローズン・リベンジ」です。

ある極寒の地で測量などの仕事についている3人と泊めて欲しいと訪れたカップルが、SOSの信号を送った後、消息不明になった。
警察陣がヘリでやって来る。捜索後、2人の刑事が残り、迎えに来ると言い残しヘリは飛び立った。
なぜ３人とカップルが忽然と消えたのか、２人の刑事は測量所で残留物等を手掛かりに推理をして行きます。
それと交合に、消えた５人のメンバーの様子が映し出される。こちらがメインストーリーですが、ラストで居残りの刑事と、えーーっ？！そうだったのか、と絡んできます。

・・・辺り一面凍っている雪原で測量などをしている気象学者のイワノフとドロゾフそして新米のロマシュ。ロマシュは19歳で雑用や食事の支度をしています。
ある日、カップルが泊めて欲しいとやってきます。翌日、洞窟で過ごすと言い残し出掛けたカップルだったが、その後、女性だけが助けを求め戻ってきた。一体何があったのか・・・。
ロマシュは女性の看病するが・・・。一方、イワノフとドロゾフは何か様子が変だが・・・。彼らとロマシュそして女性が消えた理由とは・・・。

極寒の地でのサスペンスは静かで登場人物も少なかったのですが、適度の緊張感があり、意外と退屈せずにラストまで観ることが出来ました。。。

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ロシア製のサスペンス・ミステリー。フツーに面白かった。

でも、ロシア映画の常で、分かり難い。(苦笑)　場面の切り替えが唐突だ。然も、本作品は、過去（犯行）と現在（捜査）が交互に描かれ、境界線も曖昧模糊としている。
それに、ロシア人って私たちと同じものを見て、同じように笑ったり泣いたりしているように思えないのだ。根本的には同じなのだろうけど、もっと表層の部分では異なるような気がする。何かが違う。

私たちが泣くような場面で彼らは怒り、彼らがマジメな顔をしていると私たちはコメディかと思ってしまう。彼らがコメディを演じると私たちはシラケる。
おそらく、ノルウェーやデンマークなどの北欧の人たちの方が、日本人の感性に近いと私は思っている。(苦笑)

――雪の原野に建つ測候所。３人の男たちが勤めている。マッチ棒でエッフェル塔の模型を作る所長のイワノフ、イエティの研究をしている気象学者のドロゾフ。そして、料理と雑用係の少年ロマシュ。いつもと変わらぬ日常が繰り返されていた。
或る日、測候所が閉鎖されると言うニュースがもたらされる。上層部に陳情しようとするイワノフに対して怒りをぶつけるドロゾフ。
そこへ、裕福な旅行者夫婦バディムとイリーナが、洞窟探検のために測候所にやって来る。しかし、彼らには別な目的があった。
……というお話し。

結局、バディムとイリーナの素性について明かされることはなかった。おおよそのところは推測できるのだが、どうも観客としては居心地が悪い。然も、終盤でセルゲイなる人物が突然現れる。バディムらの仲間らしいが、こちらは目が点である。
「誰、コイツ？」
だいたい洞窟を目指した理由からして判らない。洞窟なんかで何をしようとしていたのか？　フラストレーションがたまる一方だった。

――測候所からのＳＯＳ信号を受けて、警察がやって来る。刑事のアンドレイとスラバらは、誰もいない測候所の様子に不可思議なものを感じる。変わり者の所員たちは？　旅行者たちは、どこに行ったのか？
発電室の隠し部屋、施設のあちらこちらに描かれた奇妙な木の絵、屋根裏にも人がいた痕跡があり、ドアには弾痕が残されていた。一体、測候所で何があったのか？　皆目見当がつかなかった。
ヘリの定員オーバーで測候所に残ることになったアンドレイとスラバの２人。
しかし、スラバは、アンドレイの罪に気づいてしまう。昔、警察連隊長とその妻を殺害したのは、彼だ。今また、連隊長の息子らしいロマシュを殺しに来たのではないかと疑い始める。
……というお話し。

アンドレイがヘリで測候所に到着した時、スラバと鑑識の面々は既に捜査を始めていた。ここで疑問が生じる。彼らは、どうやって測候所に来た？　ヘリが二往復したのであれば、一度に皆が乗って帰れないのは当然だ。押収した証拠品等もあるだろうし、何で帰りも二往復する段取りをしなかった？　かなりマヌケな連中だ。私なら全員クビだな。よしんば、先発隊が車で来たなら、車で帰ればいいし、どうも腑に落ちない展開だ。アンドレイを現地に残すための急拵えの言い訳でしかない。

一番釈然としなかったのは、アンドレイの行動だろう。ロマシュを殺そうと、ＳＯＳ以前に測候所に来たのは確かなようだが、たった数時間で往復するのは不可能じゃないか？　説明不足なのか、私が見落としたのか、どうもスッキリしない。

全体の雰囲気は良いし、ロケ地の景観も見応えがある。何も考えなければ、面白い作品だろう。でも、一度気になりだすと、フラストレーションがたまる１本だった。(苦笑)

紅一点の女優さんは、ロシア映画の『ストリート・レーサー』でヒロインのカーチャを演じた方。ずいぶん大人になられて、最初は分からなかった。ロシア人女性って老けるのが早いなぁ。（ヒドイ言い方だ）

面白かったけど、フラストレーションが溜まるようでは、オススメ出来ません！(笑)

舞台はロシアの僻地にある測候所。
気象学者２人、雑用１人の男所帯。
ここに来たのが金持ち夫婦。
この５人が消息不明となり捜査が始まった模様。
さて、何が起こったんでしょうね。という流れ。

捜査パートと事件パートが併行する進行。
全編、静かに展開し、エログロともに無いものの、
コンパクトに纏まっており、楽しむことができました。
静かめの作品と承知の上で観るには良いかと。

サスペンスとしては十分に及第点をあげられる内容。
しかし、なんともロシア的な色と雰囲気で、人間や社会の暖かさを感じる部分があまり無いですね。
ロシアは、モスクワのような大都市や連邦政府が特に力を入れている地域を除いて、多くの辺境地域がまだ貧しいと聞いている。あの酷寒の地で経済的にも厳しい暮らしともなれば、自ずと人柄も社会の雰囲気も殺伐とした寒〜いものになってしまうのかな...
また、社会の歪みが統治機構の中にまで深く及んでおり、権力闘争が警察内部での同僚による暗殺にまで至るなんて日本じゃちょっと考えられない。「他人を信じちゃ生き残れねえぜ」...そんな西部劇のガンマンが吐くようなセリフが今もそのまま通じてしまいそう...創作なんだけど、実際にあってもおかしくないリアリティを感じるんですね。
『オーケストラ！』に主演で出ていたアレクセイ・グシュコブがいてよかった。ワインやウィスキーの樽みたいな体形した荒くれロシア男だけだったら、きっと不愉快になって途中で観るのをやめてたね。