ビッグ・ピクチャー　顔のない逃亡者

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サスペンス風ですが、どちらかというと人間ドラマです。
きちんと作られた作品ではありますが、登場人物に共感できず、終わり方もビミョーなので、
私はイマイチでした。もやもやした作風が好きではない人には向いてないかも。

↓以下、完全ネタバレですm(__)m

主人公の男は家庭がうまくいってないから精神的に不安定。（あるいは不安定だから妻とうまくいかない？）
写真家になる夢を持っていたが、弁護士になっている。
妻は仕事を辞めて小説家をめざすもうまくいかず、それを夫のせいにして、手近な隣の家の男と浮気。
隣の男も写真家志望で、隣の主婦を「都合のイイ女」だと思っている（もちろん遊びである）

…といった状況で、登場人物の誰にも共感できないんですよね^^;

浮気に気づき、カッとなった主人公は、男を殺害してしまう（というより、事故のような感じ）
死体を片付け、死なせた男になりすました主人公は、外国に渡り写真家として新しい生活を始める。

…ってそう簡単に他人の人生乗っ取れるわけないですよね(・.・;)

自分は死んだように見せかけ、家族を捨てていったのだが、さすがの彼も幼い子供と別れるのは辛かったようだ。
新生活が始まり、皮肉にも彼の写真が評価される。でも周囲を気にしておびえる日々。
有名になりそうになり、なりすましの発覚を恐れた彼は、また海外に逃亡。
旅の途中に彼は人助けをするが、その後唐突にこの物語は終わる。

フランスではヒットしたらしいのですが、なんで？という感じです。
欠点だらけの人間の方が、共感できるのかな？？
人を助けたからって罪は消えないし、一生逃げ回る日々を送るなんて。

イマイチ、何が言いたいのかわからなかったです…

でもちょうどこの作品を見た頃、日本でも病死した男が逃げていた指名手配犯だとわかったというニュースがあったし
オウム指名手配犯も長年隠れていたし、自分を消したい人は現実にも少なからずいるのですね。
だけど過去は絶対に消せない…って、これが言いたかったのかな？？

　偶然、「幸福」に続いて、再びフランス映画を観る。しかも、どちらも幼い子どもがふたりいて、夫婦関係が壊れる話。前者は身勝手なのは夫だが、こちらは妻のないものねだり。

　妻のサラは、仕事を辞めて家事をしながら作家を志すが、上手くいかず、自分の才能に限界を感じて苛立っている。一方、夫ポールは家族のために写真家の夢を諦め弁護士として懸命に働き、成功している。子ども（解説では娘となっていますが、息子です）を溺愛する良きパパであり、夜泣きをする息子を起きてあやすのも彼の役目。

　妻は経済的に豊かな生活をしているのに、アーティストではない夫に不満で、隣人の売れない写真家と浮気をし、悪びれるどころか離婚を言い出す始末。本意を確かめようと隣家を訪れた夫は、口論の末、アクシデントで相手を死なせてしまう。

　ポールは、子どものために殺人を隠蔽し、殺した写真家になりすまし、国外に逃亡する。どんな僻地に行こうと、どんなに巧みに正体を隠しても、何でもすぐ検索できるネット時代、逃げ隠れするのは極めて不利な状況。それだけ恐怖と危険が増す。たとえ写真が評価されたとしても、他者の成功でしかないという皮肉。しかも危うさはますます募る。

　途中で物語が途切れたように終るのも、生きている限り、逃亡には終りがないということなのだろう。主演のロマン・デュラスは振幅の大きな役をそつなく演じて、さすがの存在感。彼のファンなら見逃せない作品だろうと思う。

（2010年制作・フランス）
原題は「THE BIG PICTURE」、（決定的な写真）の意。

ウォール街の法律事務所、弁護士のポール（ロマン・デュリス）は裕福な住宅地に住み、
妻のサラ、子供二人と不自由なく暮らしていた。が、写真家になりたかったという満たされぬ思いはあった。
妻も小説家になりたかったが夢をあきらめ、安定した生活を選んだ。
ある日、妻の小さなウソから浮気が発覚。
相手とおぼしき隣家の庭へ、ポールは吸い寄せられるように侵入すると、その男グレゴワールと
言い争いになり、ワインの瓶でグレゴワールの頭を殴打してしまった。

ポールは深い後悔の思いにとらわれながら、帰れない道へ足を踏み出す。
死体の始末、パスポートの再発行、アルバイのためのメール・・・、
カメラマンだったグレゴワールに成りすまし、北米に向けて逃亡するのだった。
「顔のない〜」というのは、もはやポールでもグレゴワールでもないから。

小さな漁村の、朽ちかけた家を借り無心に写真を取り続けるポール。
皮肉にもポールの才能が開花し、個展まで開くようになるが自分の事を打ち明けられなかった。
ニューイングランドからモンタナへ。
やがて、南米行きの船に乗り込み、偶然、犯行現場を写真に治めてしまった。
その手柄も、無償で他人に渡してしまう。
ひとつ所にいられないけども、作品から感ずるのはポールの生きる強さだった。
何があっても、切り抜けて生きてゆく。明日になれば、警察がきて牢獄の中かもしれない。
楽しいシーンでも、目には悲しみを秘めているロマン・デュリスの演技が胸に迫った。

本作をご紹介くださったレビュアー様、ありがとうございました。

思いもせず写真の才能が認められて有名になり、逃亡先から逃亡することに。最後はフランスに逆戻りだが・・・カトリーヌ・ドヌーブの役柄は不要。