カルロス 第3部 完結篇
「カルロス 第3部 完結篇」 の解説・あらすじ・ストーリー
逮捕されるまでの20年間でテロ14件、殺害83人、負傷者100人以上の事件に関与した伝説のテロリスト“カルロス”の半生を描いたアクション3部作の第3部。米ソ冷戦の終結で世界秩序の変化が起こり、カルロスは革命家としての役割を大きく変貌させていく。
「カルロス 第3部 完結篇」 の作品情報
製作年: | 2010年 |
---|---|
製作国: | フランス/ドイツ |
原題: | CARLOS |
「カルロス 第3部 完結篇」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ
監督: | オリヴィエ・アサイヤス |
---|---|
製作総指揮: | ラファエル・コーエン |
出演: | エドガー・ラミレス 、 ファディ・アビ・サムラ 、 アーマッド・カーブル 、 クリストフ・バック 、 ノラ・フォン・ヴァルトシュテッテン 、 ロドニー・エル・ハッダード 、 アレクサンダー・シェアー 、 タラル・エル・ジョルディ 、 カタリーナ・シュットラー 、 アフマド・カーブル |
関連作品
ユーザーレビュー:1件
入力内容に誤りがあります。
内容をご確認のうえ、修正いただきますようお願いいたします。
- 入力内容に誤りがあります。
この作品に関するあなたの感想や意見を書いてみませんか?
1〜 1件 / 全1件
テロリストの末路
フリーランスの傭兵となったカルロスが次第に各国から邪魔者にされ、国際情勢の変化に伴い堕ちていく様を描く第3部完結編。
それにしてもカルロスが関わっている国や組織の多様なこと、その関係の錯綜していることに驚きます。ハンガリーの情報部、ETA(バスク自由と祖国)、リビア情報部、東ドイツの秘密警察シュタージ、シリア情報部、イラン、スーダン……。
都合のいい時に利用されるだけのカルロスですが、彼らに資金や拠点や偽造パスポートを供与したり、武器を提供したり、それを外交行嚢として運んだりした東欧陣営の各国政権はその後冷戦の終了とともに崩壊。リビアやシリアにも昨今のアラブの春によって訪れている大変革を見るとき、まさに隔世の感があります。カルロスをうまく厄介払いしたつもりになっている者たちも、時代の波に容赦なく翻弄されることになります。
第3部でのカルロスらの行動にはもはや口先だけの大義名分しかなく、カルロス自身兵士としての精悍さを失い、でっぷりと太り、脂肪吸引手術まで受けています。長年の同志に裏切られてのフランスDSTによる逮捕というのは、まさに時代から弾かれたテロリストの末路に相応しいでしょう。僕は90年代前半に日本人拉致―よど号赤軍―日本赤軍という流れで興味を持ち、関係書籍や新聞記事など読んでいたのですが、94年になってカルロスがスーダンで逮捕された時には驚きました。資料の中で見聞きしていた人物が、急に現実世界に躍り出たからです。逮捕に至る背景について、この作品を見てよく分かりました。フィクション混じりにせよ、真実味にあふれています。
実際にあった爆破や暗殺といったテロの再現も迫真に迫っており、特に女性闘士フレーリッヒの毅然とした行動が印象に残りました。カルロスは例によって虚無を抱えているように表現されていて、3部作を振り返ってこの男の人生とはなんだったのかという空しさを感じさせます。だから僕は、映画の真ん中にぽっかり穴が開いているように感じます。それは欠点ではなく、真ん中が空であるからこそ、たとえばブタペストで行われたカルロス30歳の誕生パーティで踊るカルロスとマグダレーナの、刹那的で狂騒的で、高揚に満ちたシーンがとても素晴らしいと感じるのではないかと思うのです。
時代にこだわらなかった音楽のセンスも、アサイヤスらしくとても素晴らしいと思います。80点。
このレビューは気に入りましたか? はい 3人の会員が気に入ったと投稿しています
1〜 1件 / 全1件
カルロス 第3部 完結篇