ソハの地下水道

ソハの地下水道の画像・ジャケット写真

ソハの地下水道 / ロベルト・ウィキウィッチ

全体の平均評価点:(5点満点)

21

全体の平均評価点:

DVD

ジャンル :

「ソハの地下水道」 の解説・あらすじ・ストーリー

DVD

解説・ストーリー

ナチス政権下のポーランドで地下水路にユダヤ人を匿ったひとりの男の姿を描いたサスペンス。下水修理と空き巣稼業で妻子を養っていたソハは、ユダヤ人たちを地下に匿い、その見返りに金をせしめようと思い付くが…。※販売:クロック/アルバト※R15+

「ソハの地下水道」 の作品情報

作品情報

製作年: 2011年
製作国: ドイツ/ポーランド
原題: IN DARKNESS

「ソハの地下水道」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ

関連作品

関連作品

恋するリストランテ

キリング/26日間

ローゼンシュトラッセ

エーミールと探偵たち

ユーザーレビュー:21件

入力内容に誤りがあります。

内容をご確認のうえ、修正いただきますようお願いいたします。

  • 入力内容に誤りがあります。

この作品に関するあなたの感想や意見を書いてみませんか?

1〜 5件 / 全21件

ヒーローとは程遠いソハ

投稿日:2013/04/15 レビュアー:ミルクチョコ

ナチス支配下のポーランドを舞台に、ユダヤ人たちをかくまうために奔走する男の葛藤を描いた人間ドラマ。
下水修理工のソハは、仕事の合間空き巣をして日々の糧を稼いでいるちょっと狡猾な人間。ナチスの迫害から逃れて家の床から地下水道に繋がる穴を掘るユダヤ人の一団と遭遇、ナチスに彼らを売り渡せば報奨金をもらえることは解っている。けれどソハは彼らからお金をせしめようと考え、地下に匿ってやると持ちかけ、保護する代わりに多額の見返りを求めます。

実際に起きた出来事をベースに描かれているそうです。汚物が漂いネズミがうろつく不潔極まりない下水溝。暗く淀んだ地下の描写は、想像を絶する劣悪な環境でも隠れて暮らさなければならない日々。息詰まる空気までもが伝わってくるようです。
気が狂いそうな環境で健気に頑張る幼い子ども。ソハが子供たちに地上の空を見せてあげる短いシーンが印象的でした。
段々と 弱っていく姿に胸が締め付けられます。それでも、彼らは地下の暗闇の中で愛し合い、なんと出産までしてしまうのには、ビックリでした。強い生命力を感じます。

ウクライナ人将校はユダヤ人狩りに夢中で、ソハの怪しい行動を不審に思い一緒に地下水道へと入って行きます。しかしソハはユダヤ人を守り抜くのです。
始めはお金目当てだった行動がだんだん人道的になって行く。悲惨な状況を目にして行動しているうちに、いつしか彼の心に芽生えてくる感情。俗な目的で始まった人助けのソハが善人に変わって行く姿が良いです。命を脅かされる極限状態での、次第に主人公の内面を変化させていく葛藤が見応えありました。
迫りくるウクライナ人将校、豪雨での洪水の危機、ゲットーへの潜入など、サスペンス映画を見ているような緊張感でした。

このレビューは気に入りましたか? 22人の会員が気に入ったと投稿しています

マンホールの下、暗闇という見えない光・・・

投稿日:2013/05/17 レビュアー:パンケーキレンズ

ナチス政権下、地下水路にユダヤ人を匿った一人の男・・・

映画の半分以上が地下のシーンで
視覚的にも、精神的にも、その“暗闇”の描写が
この映画のキーとなってきますが(明るい部屋で見るのは不向きです)
登場人物もやや多めですし
それを考えると、劇場の整った環境で集中して観るのが
一番よかったな〜と思ったのが第一印象でした

というのは
自己と葛藤しながら、迫害を受けるユダヤ人を匿うことで、次第に考えを改める主人公のソハと
恐怖と、絶望に打ちひしがれながら、ソハに頼るしかないユダヤ人たち
その両サイドの、心のアプローチが、かなり丁寧に綴られていたからです

狭い空間で、光もない・・・
それだけで息が詰まりそうですが
その上、悪臭とネズミ・・・
考えただけで、滅入ってきます
地下に逃げ込んだ彼らは、地上の様子など知る由もなく
地下にいることと、収容所にいること
どちらも地獄に違いありません
そして、暗闇での生活がいつ終わりを告げるのか
その期限が全く見えないというのが、また途轍もなくツライです

コソ泥をしていたソハにとって
始めはお金の為だったユダヤ人への行い
それが、彼らと関わることで少しずつ気持ちが違う方向へと向かってゆく

旧知のウクライナ人将校との関係が
主人公の心の動きを端的に表していました

時代的、政治的な背景で、善と悪を線引きすること

人道的な目線で、善と悪を線引きすること

それが極端に違いすぎる時代であったからこそ
かなり大きな余韻を残してゆきました

「人間は神を利用してまで、お互いを罰したがる」

映画の最後の言葉です

14ヶ月ぶりに地上へと上がった彼ら
青白い血色のない表情が、見物に集まる住人たちとあまりに違いすぎて
壮絶な生活を大いに物語っていました

有名な『シンドラーのリスト』に比べると、規模は遥かに小さいです
ただ、ソハの立場、地下に逃げ込んだユダヤ人の立場
どちらの立場に立ってみても、自分も同じ事ができたかと考えると・・・

それが心打たれる所以なのかもしれません

このレビューは気に入りましたか? 11人の会員が気に入ったと投稿しています

どんな人の心にも根底に優しさがあるということを信じたい

投稿日:2013/06/11 レビュアー:飛べない魔女

これは真実の物語です。
ソハという男は、妻と子供を養っていく為とはいえ、空き巣や人を痛めつけることも否まない粗暴な男。
そんな彼が、お金儲けのためにユダヤ人を地下水道に匿うことになります。
悪臭と汚水、ネズミや死体、こんな劣悪な環境の中で、16か月も生き抜いた人たちのと、彼らの面倒を見ていたソハの真実の記録です。
お金のためとはいえ、危険な行為に手を染めるソハが、次第にユダヤ人たちに心を移していき、
人間本来持つ優しい側面を見せていく様に、心が温かくなりました。
その反面、残虐行為をまるでゲームのようにいとも容易く行うドイツ兵が対照的に描かれています。
いつの時代も、戦争とは、憎しみとは、人種差別とは、人の心をどこまでも残酷にしていくものです。

ラストにソハが言います。

『ぼくの家族だ!』

憎しみを捨て去ることが出来たら、人はみな家族になれるのです。
ずっと暗い場面が続いていく中で、ラストの光は明るく温かく、心温まるものであって良かったです。
最初は登場人物がたくさん出てくるので、誰が誰だかわからなくなり、人間関係もよく理解できなかったのですが、
見て行くうちにそれは解消されますので、最初のうちは我慢して見て下さい。
非常に見ごたえのある144分でしたから。

このレビューは気に入りましたか? 9人の会員が気に入ったと投稿しています

1年4ヶ月の地下生活 ネタバレ

投稿日:2013/04/01 レビュアー:パープルローズ

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

1943年、ナチス占領下のポーランド。
下水道修理工のソハは、生活費を補うためにコソ泥家業に精を出していた。
ある日ソハは、地下水道の中で物音を聞きつける。それはゲットーに閉じ込められたユダヤ人たちが穴を掘る音だった。
地下水道はソハにとっては庭のような場所。
どこが安全かをよく知っているソハは、お金を受け取って11人のユダヤ人たちをかくまい始める。

ソハはオスカー・シンドラーのような英雄ではなく、平凡な貧しい中年男。
もともとお金のために始めたことだから、ユダヤ人狩りが厳しくなるばかりの状況の中で、
自分の命を危険に晒してまでやることではないと、何度も手を引こうとする。
しかし11人のユダヤ人たちと接するうちに、彼らを見捨てられなくなってしまうのだった。

実話に基づいたお話なのだそうで、暗くて不衛生な地下水道で1年4ヶ月もの間生き抜いたことには、驚くしかありません。
極限状態に置かれていても不倫関係に陥るカップルがいて、あのような場所で出産に至るというのはちょっとひいてしまったけど、
これが生きていくということなのかなと思ったりしました。

彼らが細々と命をつないでいる一方で、地上では恐るべき殺戮が繰り広げられています。
帽子をなくしたとか些細な理由で簡単に殺されてしまうユダヤ人たち。
ドイツ兵がひとり殺されると、その報復として10人のポーランド人が殺される。命の軽さに寒々とした気持ちになりました。
また、ソハのある行動の結果として、相棒だった男が殺されてしまう場面はやりきれない気持ちでした。

ユダヤ人たちの救出後も、ソハの行動は必ずしも賞賛されたわけではなかったようで、本人は戦後すぐ事故で亡くなっているというもの皮肉です。

なかなか見ごたえがあってよかったのですが、ひとつどうしても気になったことが。
ユダヤ人狩りに精を出すウクライナ人将校が出てきて、この人の名前が字幕やパンフでは「ボートニック」ということになってしましたが、
この人とソハがお互いに「ボートニック」と呼び合っているので混乱しました。
ひょっとしてこれは「同志」とかいう意味で、固有名詞ではないのではないかと思うのですが、どうなんでしょう。
(レンタルされる予定の方、教えてもらえると助かります。)


このレビューは気に入りましたか? 9人の会員が気に入ったと投稿しています

先の見えない暗闇の中、何を観る ネタバレ

投稿日:2013/11/06 レビュアー:ykk1976

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

なにしろ、上映時間が長いです、144分。およそ2時間半。長い映画が最近増えたと言っても、やはり長い時間であることは間違いありません。
そして、この映画は、邦題が示すように舞台は地下水道、暗いシーンが多いのです。
登場人物たちと同じように、懐中電灯の明かりの中で、私たちは物語を追わなければならないのです。

私には、映画の時間が相当長く感じました。
主人公のソハ(ロベルト・ヴェッキーヴィッチ)とその相棒、妻ヴァンダ(キンガ・プレイス)はすぐ顔覚えましたが、
ユダヤ人の方はがムンデク(ベンノ・フユルマン)以外は、ゲットーの混乱の後、すぐ地下に逃げ込み、暗いシーンばかりなので、
人間関係の相関図をつかむのに、目と頭を使い、なんとなくそれらがつかめたころには、この調子であと2時間も映画が進むのかと
その時間の長さに、途方にくれました。

しかし、観終わってみると、この映画の長さは制作者側には、意図ではなかったかと思うのです。
地下水道(地下水道と聞くと、きれいな水の流れている場所とも受け取りかねませんが、要は汚物の流れる下水です)に14か月間も過ごすユダヤ人たちと、
それを影で支援したソハたちにとっては、気の遠くなるほどの時間であったことでしょう。
いつ終わるともしれない、その時間を過ごす彼らに、映画を観る私たちは映画の長さで少しでも汲み取れるようにしてくれたのではないかと
思いました。

年齢制限のある映画ですが、そうでしょうそうでしょう。
成人して幾年、心のひだがずいぶん固いはずで、その時代その場所であったことをある程度認識しているわたしでも、
冒頭のユダヤ人の状況の細かい描写には、心にかなりの「かささぎ」を残します。
やはり、こういう映画を観ると毎回思いますが、その事実を「知っていること」と、目の前で見ることには、長くて深い簡単には渡りきれない大河が存在します。

人間描写も細かいです。
下水管理が仕事のソハは片手間にが最初は金目当てでユダヤ人を匿う手伝いをするという、とても善人とは言えない男です。
匿われるユダヤ人たちも、一筋縄ではいきません。
命が簡単に失われてしまうゲットーの環境の中で、夫は不倫をし、その浮気相手か、娘と自分を選ぶのかとせまり、なんと浮気女と地下に入ってしまったり、
汚物の漂う下水の中でも、善良な姉は、ワガママ気ままな妹を心配し、良識ある妻である女性は不倫をする女性を罵倒し、髭をそり、お祈りをし、
祝祭日を祝い、セックスをし、果ては出産もするのです。

人間らしい環境などみじんもない状況でも、たくましく生き抜くのもまた人間だと強く感じ入りました。
コソ泥であるが彼らを救ったソハは解放後、苦難を共にしたユダヤの彼らを「自分の家族だ」と言い、強いきずなを感じます。

しかし、その後のソハには思いもよらぬ運命を待ち受けています。それは、決してハッピーエンドとは言い難い運命です。
人間は明日をも知らぬ運命に身をよだねているのだと改めて感じいるとともに、この映画が「実話」を基にした物語だと、
幾たびも思うことになるのです。

このレビューは気に入りましたか? 5人の会員が気に入ったと投稿しています

1〜 5件 / 全21件

ソハの地下水道

ユーザーレビュー

入力内容に誤りがあります。

内容をご確認のうえ、修正いただきますようお願いいたします。

  • 入力内容に誤りがあります。

ユーザーレビュー:21件

ヒーローとは程遠いソハ

投稿日

2013/04/15

レビュアー

ミルクチョコ

ナチス支配下のポーランドを舞台に、ユダヤ人たちをかくまうために奔走する男の葛藤を描いた人間ドラマ。
下水修理工のソハは、仕事の合間空き巣をして日々の糧を稼いでいるちょっと狡猾な人間。ナチスの迫害から逃れて家の床から地下水道に繋がる穴を掘るユダヤ人の一団と遭遇、ナチスに彼らを売り渡せば報奨金をもらえることは解っている。けれどソハは彼らからお金をせしめようと考え、地下に匿ってやると持ちかけ、保護する代わりに多額の見返りを求めます。

実際に起きた出来事をベースに描かれているそうです。汚物が漂いネズミがうろつく不潔極まりない下水溝。暗く淀んだ地下の描写は、想像を絶する劣悪な環境でも隠れて暮らさなければならない日々。息詰まる空気までもが伝わってくるようです。
気が狂いそうな環境で健気に頑張る幼い子ども。ソハが子供たちに地上の空を見せてあげる短いシーンが印象的でした。
段々と 弱っていく姿に胸が締め付けられます。それでも、彼らは地下の暗闇の中で愛し合い、なんと出産までしてしまうのには、ビックリでした。強い生命力を感じます。

ウクライナ人将校はユダヤ人狩りに夢中で、ソハの怪しい行動を不審に思い一緒に地下水道へと入って行きます。しかしソハはユダヤ人を守り抜くのです。
始めはお金目当てだった行動がだんだん人道的になって行く。悲惨な状況を目にして行動しているうちに、いつしか彼の心に芽生えてくる感情。俗な目的で始まった人助けのソハが善人に変わって行く姿が良いです。命を脅かされる極限状態での、次第に主人公の内面を変化させていく葛藤が見応えありました。
迫りくるウクライナ人将校、豪雨での洪水の危機、ゲットーへの潜入など、サスペンス映画を見ているような緊張感でした。

マンホールの下、暗闇という見えない光・・・

投稿日

2013/05/17

レビュアー

パンケーキレンズ

ナチス政権下、地下水路にユダヤ人を匿った一人の男・・・

映画の半分以上が地下のシーンで
視覚的にも、精神的にも、その“暗闇”の描写が
この映画のキーとなってきますが(明るい部屋で見るのは不向きです)
登場人物もやや多めですし
それを考えると、劇場の整った環境で集中して観るのが
一番よかったな〜と思ったのが第一印象でした

というのは
自己と葛藤しながら、迫害を受けるユダヤ人を匿うことで、次第に考えを改める主人公のソハと
恐怖と、絶望に打ちひしがれながら、ソハに頼るしかないユダヤ人たち
その両サイドの、心のアプローチが、かなり丁寧に綴られていたからです

狭い空間で、光もない・・・
それだけで息が詰まりそうですが
その上、悪臭とネズミ・・・
考えただけで、滅入ってきます
地下に逃げ込んだ彼らは、地上の様子など知る由もなく
地下にいることと、収容所にいること
どちらも地獄に違いありません
そして、暗闇での生活がいつ終わりを告げるのか
その期限が全く見えないというのが、また途轍もなくツライです

コソ泥をしていたソハにとって
始めはお金の為だったユダヤ人への行い
それが、彼らと関わることで少しずつ気持ちが違う方向へと向かってゆく

旧知のウクライナ人将校との関係が
主人公の心の動きを端的に表していました

時代的、政治的な背景で、善と悪を線引きすること

人道的な目線で、善と悪を線引きすること

それが極端に違いすぎる時代であったからこそ
かなり大きな余韻を残してゆきました

「人間は神を利用してまで、お互いを罰したがる」

映画の最後の言葉です

14ヶ月ぶりに地上へと上がった彼ら
青白い血色のない表情が、見物に集まる住人たちとあまりに違いすぎて
壮絶な生活を大いに物語っていました

有名な『シンドラーのリスト』に比べると、規模は遥かに小さいです
ただ、ソハの立場、地下に逃げ込んだユダヤ人の立場
どちらの立場に立ってみても、自分も同じ事ができたかと考えると・・・

それが心打たれる所以なのかもしれません

どんな人の心にも根底に優しさがあるということを信じたい

投稿日

2013/06/11

レビュアー

飛べない魔女

これは真実の物語です。
ソハという男は、妻と子供を養っていく為とはいえ、空き巣や人を痛めつけることも否まない粗暴な男。
そんな彼が、お金儲けのためにユダヤ人を地下水道に匿うことになります。
悪臭と汚水、ネズミや死体、こんな劣悪な環境の中で、16か月も生き抜いた人たちのと、彼らの面倒を見ていたソハの真実の記録です。
お金のためとはいえ、危険な行為に手を染めるソハが、次第にユダヤ人たちに心を移していき、
人間本来持つ優しい側面を見せていく様に、心が温かくなりました。
その反面、残虐行為をまるでゲームのようにいとも容易く行うドイツ兵が対照的に描かれています。
いつの時代も、戦争とは、憎しみとは、人種差別とは、人の心をどこまでも残酷にしていくものです。

ラストにソハが言います。

『ぼくの家族だ!』

憎しみを捨て去ることが出来たら、人はみな家族になれるのです。
ずっと暗い場面が続いていく中で、ラストの光は明るく温かく、心温まるものであって良かったです。
最初は登場人物がたくさん出てくるので、誰が誰だかわからなくなり、人間関係もよく理解できなかったのですが、
見て行くうちにそれは解消されますので、最初のうちは我慢して見て下さい。
非常に見ごたえのある144分でしたから。

1年4ヶ月の地下生活

投稿日

2013/04/01

レビュアー

パープルローズ

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

1943年、ナチス占領下のポーランド。
下水道修理工のソハは、生活費を補うためにコソ泥家業に精を出していた。
ある日ソハは、地下水道の中で物音を聞きつける。それはゲットーに閉じ込められたユダヤ人たちが穴を掘る音だった。
地下水道はソハにとっては庭のような場所。
どこが安全かをよく知っているソハは、お金を受け取って11人のユダヤ人たちをかくまい始める。

ソハはオスカー・シンドラーのような英雄ではなく、平凡な貧しい中年男。
もともとお金のために始めたことだから、ユダヤ人狩りが厳しくなるばかりの状況の中で、
自分の命を危険に晒してまでやることではないと、何度も手を引こうとする。
しかし11人のユダヤ人たちと接するうちに、彼らを見捨てられなくなってしまうのだった。

実話に基づいたお話なのだそうで、暗くて不衛生な地下水道で1年4ヶ月もの間生き抜いたことには、驚くしかありません。
極限状態に置かれていても不倫関係に陥るカップルがいて、あのような場所で出産に至るというのはちょっとひいてしまったけど、
これが生きていくということなのかなと思ったりしました。

彼らが細々と命をつないでいる一方で、地上では恐るべき殺戮が繰り広げられています。
帽子をなくしたとか些細な理由で簡単に殺されてしまうユダヤ人たち。
ドイツ兵がひとり殺されると、その報復として10人のポーランド人が殺される。命の軽さに寒々とした気持ちになりました。
また、ソハのある行動の結果として、相棒だった男が殺されてしまう場面はやりきれない気持ちでした。

ユダヤ人たちの救出後も、ソハの行動は必ずしも賞賛されたわけではなかったようで、本人は戦後すぐ事故で亡くなっているというもの皮肉です。

なかなか見ごたえがあってよかったのですが、ひとつどうしても気になったことが。
ユダヤ人狩りに精を出すウクライナ人将校が出てきて、この人の名前が字幕やパンフでは「ボートニック」ということになってしましたが、
この人とソハがお互いに「ボートニック」と呼び合っているので混乱しました。
ひょっとしてこれは「同志」とかいう意味で、固有名詞ではないのではないかと思うのですが、どうなんでしょう。
(レンタルされる予定の方、教えてもらえると助かります。)


先の見えない暗闇の中、何を観る

投稿日

2013/11/06

レビュアー

ykk1976

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

なにしろ、上映時間が長いです、144分。およそ2時間半。長い映画が最近増えたと言っても、やはり長い時間であることは間違いありません。
そして、この映画は、邦題が示すように舞台は地下水道、暗いシーンが多いのです。
登場人物たちと同じように、懐中電灯の明かりの中で、私たちは物語を追わなければならないのです。

私には、映画の時間が相当長く感じました。
主人公のソハ(ロベルト・ヴェッキーヴィッチ)とその相棒、妻ヴァンダ(キンガ・プレイス)はすぐ顔覚えましたが、
ユダヤ人の方はがムンデク(ベンノ・フユルマン)以外は、ゲットーの混乱の後、すぐ地下に逃げ込み、暗いシーンばかりなので、
人間関係の相関図をつかむのに、目と頭を使い、なんとなくそれらがつかめたころには、この調子であと2時間も映画が進むのかと
その時間の長さに、途方にくれました。

しかし、観終わってみると、この映画の長さは制作者側には、意図ではなかったかと思うのです。
地下水道(地下水道と聞くと、きれいな水の流れている場所とも受け取りかねませんが、要は汚物の流れる下水です)に14か月間も過ごすユダヤ人たちと、
それを影で支援したソハたちにとっては、気の遠くなるほどの時間であったことでしょう。
いつ終わるともしれない、その時間を過ごす彼らに、映画を観る私たちは映画の長さで少しでも汲み取れるようにしてくれたのではないかと
思いました。

年齢制限のある映画ですが、そうでしょうそうでしょう。
成人して幾年、心のひだがずいぶん固いはずで、その時代その場所であったことをある程度認識しているわたしでも、
冒頭のユダヤ人の状況の細かい描写には、心にかなりの「かささぎ」を残します。
やはり、こういう映画を観ると毎回思いますが、その事実を「知っていること」と、目の前で見ることには、長くて深い簡単には渡りきれない大河が存在します。

人間描写も細かいです。
下水管理が仕事のソハは片手間にが最初は金目当てでユダヤ人を匿う手伝いをするという、とても善人とは言えない男です。
匿われるユダヤ人たちも、一筋縄ではいきません。
命が簡単に失われてしまうゲットーの環境の中で、夫は不倫をし、その浮気相手か、娘と自分を選ぶのかとせまり、なんと浮気女と地下に入ってしまったり、
汚物の漂う下水の中でも、善良な姉は、ワガママ気ままな妹を心配し、良識ある妻である女性は不倫をする女性を罵倒し、髭をそり、お祈りをし、
祝祭日を祝い、セックスをし、果ては出産もするのです。

人間らしい環境などみじんもない状況でも、たくましく生き抜くのもまた人間だと強く感じ入りました。
コソ泥であるが彼らを救ったソハは解放後、苦難を共にしたユダヤの彼らを「自分の家族だ」と言い、強いきずなを感じます。

しかし、その後のソハには思いもよらぬ運命を待ち受けています。それは、決してハッピーエンドとは言い難い運命です。
人間は明日をも知らぬ運命に身をよだねているのだと改めて感じいるとともに、この映画が「実話」を基にした物語だと、
幾たびも思うことになるのです。

1〜 5件 / 全21件