ウェイバック−脱出６５００ｋｍ−

監督がピーター・ウィアーで出演者も豪華なのに、単館上映の上にあっという間に終わってました。
私はけっこう楽しめました。

1940年、ポーランド人兵士ヤヌシュ（ジム・スタージェス）はスパイの嫌疑をかけられて、シベリアの強制収容所送りに。
劣悪な環境と過酷な労働に耐えかねて、脱走を計画する。
脱走を持ちかけてくるくせに、本当は実行する勇気のない囚人仲間にマーク・ストロング、
収容所の仕切り屋にコリン・ファレル、
過去を抱えた陰のあるアメリカ人の囚人にエド・ハリスと、いささかタイプキャストな感じはします。

厳寒の山岳地から灼熱の砂漠地帯を抜ける過酷な旅。
男ばかりの仲間に、突然現れて合流する少女がシアーシャ・ローナン。
若くてかわいい女の子が加わったら、コリン・ファレルあたりが「やっちまおうぜ。」とか言いそうだけど、
そういうことは一切なく、一行のアイドル的存在になります。エド・ハリスなんかすっかり父親気分です。

寒さに苦しむところよりも、砂漠の中で乾きに苦しむところの方がすごかったです。
この物語のすべてが実話だとはとても思えませんが、それでも最後に「そんなアホな」という気分にはならなかったです。
その点が旅の過酷さと距離の長さが似てる「マイウェイ　12000キロの真実」とは全く違いました。

水、食料、気温、湿度、そして、心・・それらがそこそこの状態に保たれていればこそ人は生きていられる、ってことを、これでもか！これでもか！と観せてくれる映画。
アウトドア派の人には嬉しい映画。雪、砂漠、山の三つをそろえた冒険ものは、この映画が最初ではなかろうか・・？
心の葛藤を描いているので、泣きたい人は途中から泣ける。
主役の兄ちゃんは大したことがなかったが、エド・ハリスは、かなり体重を落としており、砂漠で行き倒れるところはかなりリアルだった。コリン・ファレルは無教養なヤクザ者をリアルに演じていた。シアーシャ・ローナンはいつもどおりのカワイイ女の子でしかなかったが、腫れあがった足がかなりリアルだった。
全体的に、かなりねっとりした映画。
気の遠くなるような長旅をテンポよく編集してあるが、あっけなく終わったというような感じはしない。

いやはや、凄い旅です。
命からがらシベリアの収容所を脱出してきたわけですから
わずかな水と食料だけ
着替えなどあるわけもなく、
ほとんど命ひとつの状態での旅になったわけです。
途中で出会った少女も加わって、ヒマラヤを越えて遥かインドを目指す旅路です。
これが真実の物語であるわけだから、彼らのサバイバルを否定は出来ません。
最初は寒さと飢えに苦しみ、やがて過酷な砂漠での飢えと渇きに悶え、
時には野獣の如く獲物に食らいつき、人間であることを忘れそうになる瞬間さえあったわけです。
そんな中で旅に加わった美しい少女の存在は、彼らに人間としての尊厳を取り戻すきっかけになったのかもしれません。
そして、人間最後まで諦めなければ繋がる命もあるということを、彼らは教えてくれます。

それにしても・・・あれほどまでに飢餓状態なのに
いつまでたってもガタイに良い男たちにはちょっと興ざめでした。
ここは、『キャストアウェイ』のトム・ハンクス並に痩せなきゃダメでしょ！
俳優魂見せてほしかった。
特に主役のジム・スタージェスくん、最後までほっぺ、まるまるのプリプリだったし(；＾＿＾Ａ

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実在のポーランド兵士の回顧録を基に描かれた壮絶なサバイバルドラマです。
シベリアの労働収容所は極寒の中で作業を強いられる。吹雪でもお構いなしに苛酷な労働を強いられ凍え死ぬものも続出する。
そんな中、スパイ容疑で逮捕されたポーランド人兵士ヤヌシュ (ジム・スタージェス) は、アメリカ人のミスター・スミス (エド・ハリス)に脱走を持ち掛ける。
そして、ロシア人俳優カバロフ (マーク・ストロング)とポーランド人で画家志望のトマシュ (アレクサンドル・ポトチェアン) 、夜盲症の若者カジク (セバスチャン・アーツェンドウスキ)
ラトビア人牧師ヴォス(グスタフ・スカルスガルド) 、ユーゴスラビア人ゾラン(ドラゴス・ブクル) ロシア人ヴァルカ(コリン・ファレル) と共に脱走を実行します。
彼らは自由を得るためインドを目指します。６,５００キロの過酷な道程です。ここから外に出れば自由の中で死ねると言う者も・・・。
真冬のシベリアなので猛吹雪も襲って来ます。そんな時は白樺の樹皮を切り取り仮面にし風よけにして歩きます。
最初に凍死してしまうのは夜盲症のカジクでした。薪を集めに行き暗くなり道に迷ってしまったのです。そんな最悪の状況の中歩き続ける。
ようやく雪の中を脱出しある村に到着する。村民に見つかっては収容所に戻されるので気は許せないのです。
そんな中、集団農場から脱走した少女イリーナ(シアーシャ・ローナン) と出会います。一緒に連れて行ってと言われる。バイカル湖の手前だった。
バイカル湖を過ぎるとモンゴルのゲートがあった。ロシア人のヴァルカとはここで別れる。また過酷な試練が・・・行けども行けども砂漠、灼熱のゴビ砂漠だ。
ここで1人また1人と・・・息を引き取る。ヒマラヤ山脈をを越えチベットに着いたときは4人だった。
チベットで温かく迎えて頂いた一行。それからインドに辿り着き苛酷な旅は終わりを迎えるのです。

★想像を絶するような過酷でリアルなサバイバルドラマでした。
すっかりスクリーンの中に引き寄せられ自分も実際経験してるような錯覚に陥り、ラストでは感動で涙が溢れました。
ヤヌシュ役のジム・スタージェスは美形で芯が強く優しい役を見事に演じていました。ミスター・スミス 役のエド・ハリスは、最高の演技で安心して観ていられました。
また、ヴァルカ役でブラピ似のコリン・ファレルは、個性的な役を演じてましたが、ピリッと辛いスパイスのような感じで良かったです。
シアーシャ・ローナンは唯一女性出演者で、とっても可愛らしかったです。主演の「ハンナ」は好きな作品です。
と言うことで、皆さま感動すること間違いないと思います。おススメいたします！！

『刑事ジョンブック』とか『いまを生きる』とかのオーストラリア出身ピーター・ウィアーもなんだか久しぶりです。
作風がどうも生真面目なところがあって、今一つ乗れない人ですが、本作も同様。
実話をもとにしていて、その過酷な旅を描いた本も邦訳されています（タイトル忘れました）。
びっくりするようなアドヴェンチャーなんですが、収容所からの脱出とサバイバルをやっぱり生真面目に映画は追います。
そりゃ過酷な旅なんだけど、映画的な色気ってのがないのが残念。
二時間ほどの間にシベリアから南下してはるかインドまでいく、吹雪に始まり砂漠を越えて、ヒマラヤ越えて……てすごい旅なんですけどね。凄すぎてどこにインパクトを置いていいのか映画も自信なさそうな感じです。
風景は美しいけれど、脱走のサスペンスや逃亡アクションは少々、むしろ人間ドラマに――登場人物たちの内面のドラマみたいのに――関心があります。
コリン・ファレルやエド・ハリスは脇に回っていて、主人公はジム・スタージェス。
途中から合流する少女はあまりに都合のいい役柄過ぎて、おそらくフィクションではないかと想像します。
歴史的な背景に知識はなくても大丈夫とは思いますが、面白いとは言いかねました。40点。