夏雪ランデブー

　（ちょっとネタバレあり）

　「花作画監督」って役職を初めて見たな。花屋の話なんで、そこの所はいいかげんにすまい
ということか。今後もドラマはジャンル特化してゆく方向だから、こういう役割が色々細分化して
いくのかもな。

　花屋の美人店長、六花（ろっか）に恋するバイト青年、葉月。主人公は彼で、彼の心理が
独白で語られていく。最初はただの軽薄なバイト青年の思いに過ぎないが、段々と思いが
深化してゆく。語り口はあくまでも軽妙で、美しい花に飾られた“半ファンタジー”なんだけど、
そこかしこに毒が仕込まれているのが分かる。
　いや、毒と言うか、「気づかないようにしていた心の闇」のようなものか。他者を害するのでなく
癌細胞の様にそもそも自分の一部だったものが、ふいに自分を蝕んでくるような。


　現代マンガ界のアンファン・テリブル（おそるべき子供たち）河内遙。この『夏雪ランデヴー』には
彼女の才気が溢れている。「ああ、こういう話ね」と油断させておいて、ふいにズキッとくる描写を
滑りこませてくる。この作品でおそろしいと思うのは、彼女（河内）が女性にして、男の心理の
「ある部分」を知っていて、それをさらりと描写してしまっていることだ。
　これは男の作家にもなかなか出来ないことだし、女流作家ならなおさら、のはずなのだが。
時折、こういうことができる女性が出てきて、男の読者としても困ってしまう。何描いてくれてんだ
って感じで。
　

　六花の前夫、島尾篤の霊に取って代わられる葉月。島尾の“世界”で彷徨いながら、懊悩
する男の心。葉月の恋心は、どこまでもただの思いにすぎないが、強い。深い恋人でも無く、
夫婦でも無い者の恋が＝単純、浅薄と限らない。　根拠の無い恋が、愛に育つこともある。
　それぞれに届かず、乗り越えられない仕掛けになっている三人の思いが切ない。そして、
その思いが届いたとしても、誰かが何かを諦めなきゃいけないんだ。切ないよ、まったく。


　夏雪草の花言葉は「無益、はかなさ、思いがけない出会い」だそうだ。　上手いこと出来てる。

だいすきな旦那さま（島尾くん）からも全力で愛される。

亡きあとも、だいすきすぎて、旅立てなかったという島尾くん。

やきもち全開の島尾くん。

そして、

若い男子（葉月くん）からも繊細かつ大胆に愛される。

毎日毎日、増え続けた植物たち。

「かわいいすぎるんですけど。」という君が、かわいいすぎる。

ベリーショートのお洒落な大人。

お花屋さんの、店長の、六花ちゃん。

チヤホヤチヤホヤ、チヤホヤチヤホヤ。

ずるいことをずるいと思ってるところがまたずるい。

世の中ずるいで回っている。

わたしは、ベリーショートでいかにもお洒落でしょって女性が苦手なので、けっこう冷めた目線で、ふうーーーんって感じで見てました。

途中から展開されるファンタジー的なのもちょっと、は？？？って感じで。

でも結局のところ、

いいなー、六花ちゃん。

結局のところ、

六花ちゃんいいなー。

若い男子にぐいぐいぐいぐい言い寄られたら、そりゃねぇ。

という、リアル３５歳の女目線。

すみません(>人<)



でもね、

これは、旦那さま目線で見たとき、切なすぎてうずくまってしまう。

わたしには、無理。

無理だよう。

＊＊＊＊＊全１１話みての感想＊＊＊＊＊
幽霊の夫、
夫を亡くした未亡人、
未亡人に惚れた男（幽霊夫が見える！？）………
…奇妙な３角関係が描かれたアニメ。

誰が主人公って訳じゃなく、３人ともが主人公って感じ。
それぞれの立場、それぞれの思い……
とてもリアルで、どこか生々しい心が伝わってくる…。

ファンタジーアニメで、生々しい登場人物達……
…なんか新鮮でした。

ただ、ちょっと空気が重たかったかも…

最初から最後まで、
生々しい心ばかりが描かれていて……
リアルなんだけど、ちと疲れるというか……。

気軽に楽しめるってタイプじゃなかったです。

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花屋のショートカットの美人店長に惚れて、その花屋でバイトすることになった、
主人公。


とある日。店長に呼ばれて家に行くと、
２階の居室スペースへ呼ばれる。


そこに入ると、なんと、男がいる。
彼氏、いるのかよって思ってがっくりし、出て行くが、
店長は気にするそぶりもなく、彼氏はいないと言う。


身の上を話すと、死別した夫がいるとのこと。


その男は、その死んだ夫の幽霊で、
主人公にしか見えなかった。


そんな夫の幽霊が、少しでいいから、
体を貸してくれと言う。


という話。
ノイタミア枠として、
丁寧には、作られていて、一定のレベルにある。


感情表現も、悪くない。


ただ、肝心の、体を貸す理由が希薄。
酔っぱらってというのはあるけど、
それほど、同情しているようでもないわけで、
基本的には、敵なわけで、
そのあたりの理由付けは難しいのはわかるが、
そこがつながらなければ、ストーリーとしては、
ご都合主義になってしまう。


そこさえクリアすれば・・・
という感じもするので、
ちょっと残念な感じもした。

リアル未亡人の私から見た感想
店長より早く夫を亡くし早10年、夫の無念さを思うと毎日こなすだけで精いっぱい。恋愛なんてとてもとても
葉月君のまっすぐな気持ちは若い時の自分に、店長の戸惑いはリアルに、島尾君の思いを感じて無く
残された方と残す方どちらが良かったのか、何度も問いただす自分への課題
未亡人って未だ亡くならぬ人なんだよね　未来を見つめずただ現状維持だけで精いっぱい
そんな六花ちゃんが葉月君に引きずられ未来を見られるようになる話
すごく切ない、前向きな話