ノスフェラトゥ / クラウス・キンスキー
ノスフェラトゥ
/ベルナー・ヘルツォーク
平均評価点:
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全体の平均評価点: (5点満点)
(11)
解説・ストーリー
ドイツ映画の古典であり、ドラキュラ映画の元祖であるF・W・ムルナウの「吸血鬼ノスフェラトゥ」(22)を、W・ヘルツォークがリメイクした作品。透明感をたたえた映像と怪奇ムードが合わさって何とも言えない雰囲気を醸し出している。
ドイツ映画の古典であり、ドラキュラ映画の元祖であるF・W・ムルナウの「吸血鬼ノスフェラトゥ」(22)を、W・ヘルツォークがリメイクした作品。透明感をたたえた映像と怪奇ムードが合わさって何とも言えない雰囲気を醸し出している。
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「ノスフェラトゥ」 の解説・あらすじ・ストーリー
解説・ストーリー
ドイツ映画の古典であり、ドラキュラ映画の元祖であるF・W・ムルナウの「吸血鬼ノスフェラトゥ」(22)を、W・ヘルツォークがリメイクした作品。透明感をたたえた映像と怪奇ムードが合わさって何とも言えない雰囲気を醸し出している。
「ノスフェラトゥ」 の作品情報
「ノスフェラトゥ」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ
ノスフェラトゥ<HDリマスター版>の詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
103分 |
日本語 |
英語・モノラル |
レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
|
CSVT0107 |
2013年01月23日
|
在庫枚数 |
1位登録者: |
2位登録者: |
15枚
|
1人
|
0人
|
ノスフェラトゥ<HDリマスター版>の詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
103分 |
日本語 |
英語・モノラル |
レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
|
CSVT0107 |
2013年01月23日
|
在庫枚数 |
1位登録者: |
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ユーザーレビュー:11件
鳴り響く聲明(しょうみょう)と、群れる鼠。
投稿日:2013/04/07
レビュアー:ぴよさん
禍々しい、なのに詩的。 これは尋常で無い映画だ。今となっては、嫌というほどに陳腐化された
ドラキュラ物だが、これほどの解釈で料理されていたことに驚く。
ベラ・ルゴシやクリストファー・リーに代表されるアメリカ的ドラキュラ像は、「美女の生き血を
すする悪鬼」だが、この『ノスフェラトゥ』で強調されるのは、「疫病の先駆」としてのドラキュラだ。
美しかった街を死の街へと変貌させてゆく群れ集るネズミの群れ(本物)には、ぞっとする。
ヨーロッパに壊滅的な被害を与え続けてきたぺストは、ネズミを「吸血する」ノミを媒介として
広まった。ヨーロッパ人にとって、「吸血」に対する恐怖は根深いものだったろう。
対してアメリカン・ドラキュラは、コウモリの親玉のイメージが強い。これは単純に伯爵として
の体裁を重視しての脚色だろうが、ペストに対する恐怖の少なさもあるのだろう。
ヨーロッパ版でネズミが多用されているのとは、そこに差があるのだと思う(私見)
そしてやはり、音楽に触れないわけにはいかない。ポポル・ヴゥはヘルツォーク映画の常連
だが、彼らによるノスフェラトゥのテーマは、まるで仏教の“聲明”(仏典の合唱)のように始まる。
ドラキュラ城に向かう途上でもこのテーマが流れ、それに続いて、ワーグナーが鳴る。
それはもはや、場面のバランスを崩してしまうほどの強さだが、とにかく圧倒されてしまう。既に
序盤で、絶対的な絶望を予感させられてしまうのだ。
原作のブラム・ストーカー版では描かれない、「ドラキュラの上陸とともに街が滅んでゆく様」が、
退廃美たっぷりに描かれている。蒼白の体で彷徨うイザベル・アジャーニ。最後の晩餐に狂う街
の人々。実体しない者のように立ち現れるノスフェラトゥ(不死者)…。
これは、もはや単なる吸血鬼映画ではない。美しき滅亡の物語だ。
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美しく白い喉に魅せられる吸血鬼
私の場合、吸血鬼と聞いて思い浮かぶのは、断然クリストファー・リーのドラキュラなのですが、本作でキンスキーが演じるドラキュラ伯爵は、クリストファー・リーとは全然イメージが違います。
普通、吸血鬼が喉に噛み付くのは犬歯で、八重歯が長く尖った感じなのに、本作のドラキュラは前歯2本が尖って伸びています。
喉の咬み傷の形状(刺さった痕が二つくっ付いている)から見ると、前歯の方が理屈に合ってるのですが、尖った前歯のドラキュラは、ちょっと間が抜けているというか可笑しいです。
「ノスフェラトゥ」とは不死者のことで、吸血鬼やバンパイアのように永遠の命を持つ者のことらしいです。
オープニングでのたくさんのミイラの姿は、かつて生きていた人々の身体から、魂が抜けてしまった後の姿なのだと思います。
そして、死して尚、魂が宿り続けた肉体がノスフェラトゥなのではないでしょうか。
本作のドラキュラ伯爵は、「何世紀もの間を屍同様の肉体とともに生き続けなければならない」という自分の永遠の命を呪ってさえいます。
ドラキュラ伯爵は昼間は棺の中で眠り、彼以外の棺の中は墓場の汚れた土とネズミで一杯でした。
そのネズミが、ペストという疫病を蔓延させ、それらの支配者が吸血鬼なのだという説明で、私の知っている吸血鬼の話とは全く違う趣なのが新鮮でした。
ですから、吸血鬼が夜な夜な美女の生き血を求めて現れるという設定ではなく、ドラキュラ伯爵と共にやってきた大量のネズミによって人々が次々に亡くなり、町が廃墟のようになっていく光景が描かれています。
人々の最後の晩餐の様子や棺を担いだ葬列、誰もいなくなった街並みに流れる寒々と陰気な空気感は、ホラーというよりも文芸的な雰囲気を湛えていました。
不動産屋のジョナサンが、新しい館の契約を結ぶためにトランシルヴァニアのドラキュラ城に赴くシーンは、険しい道のりと秘境のような美しさですが、途中で立ち寄った宿の人々によって伝説を聞かされ、行くことを反対されるなど、怪奇めいた雰囲気が漂い始めます。
ドラキュラ伯爵の奇妙な風貌もさることながら、ドラキュラ城の高い天井、真っ白な壁、埃っぽくて黴臭い佇まいも雰囲気がありました。
ジョナサンの妻・ルーシーの写真を見たドラキュラ伯爵が、彼女の美しい喉に魅せられ、海路を使ってルーシーの元へと旅路を急ぐシーンも怪しい雰囲気がよかったです。
ルーシーが夫の日記や吸血鬼に関する本を読み、吸血鬼退治のために自らを生贄として差し出しますが、あの結末は皮肉なことでした。
本作のオリジナルである『吸血鬼ノスフェラトゥ』も観てみたくて予約リストに入れましたが、手元に届くのは一体いつになることでしょう。
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グノーのミサ曲が流れる美しいラスト・シーンは、何を意味するのか…
港町ヴィスマールの不動産業者ジョナサン(ブルーノ・ガンツ)は、
ドラキュラ伯爵と家の売買契約を結ぶため、ルーマニアの古城を訪ねる。
ドラキュラ(クラウス・キンスキー)の異様な姿と言動に不審を抱くジョナサンは、
地下の棺で眠る彼を発見し、その正体を知る。
ドラキュラはジョナサンを城に軟禁し、ヴィスマールに向かう。
ジョナサンは城を脱出し妻ルーシーの待つ家に戻るが、重病に罹り記憶を失っていた…
ベルナー・ヘルツォーク監督作品。
彼が最高の映画だと評価するF.W.ムルナウ監督「吸血鬼ノスフェラトゥ」をリメイク。
ドラキュラの造形や動き、建物に浮かびあがる黒い影などは、ムルナウ版を踏襲したものだろう。
(私はムルナウ版ノスフェラトゥを視聴していないわけですが…)
ラスト・シーンが美しい。
だが、ドラキュラの悲しみや苦痛、ルーシーの献身はなんだったのか…とも思う。
グノーのミサ曲が流れる中、どこまでも続く砂地を男が馬に乗って駆けていく。
彼は生気に満ち、何かを成そうとする気概に溢れていた。
なんだかんだ言っても、生きているって素晴らしい…
ドラキュラは、ヴィスマールの町に黒死病・ペストを蔓延させる。
死に覆われ、ネズミの群れが蠢くヴィスマールで、人々は享楽に耽る。
ドラキュラに対峙するのは、清らかな魂の持ち主ルーシーだけだ。
原作で吸血鬼に対抗する存在だったヘルシング教授は、科学と文明の信奉者であり、
吸血鬼の存在を信じない。
彼には皮肉な結末が待っていた…
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長年憧れの作品
投稿日:2013/01/30
レビュアー:カプチーノ
この映画で音楽を担当しているポポル・ヴゥ(故フローリアン・フリッケのワンマンバンド)のファンだったので
この映画の存在は知っていましたが、発表された当時は今と違ってドイツの個性的な作品を観ることは容易ではなかったため、
ある意味憧れのある作品でした。ようやく観ることができて感激。
ヴァンパイア役のクラウス・キンスキーの風貌、イザベル・アジャーニの見開かれた眼が強烈な印象を残します。
俳優だけでなく、映画のどこを切り取っても絵になる凄さ。
全体を覆う妖しいムードがお見事。深閑とした静けさを湛えたドラキュラ伯爵の城の室内の様子など鳥肌が立つぐらいに雰囲気抜群。
まるでそこに自分が立ち、城内の機械仕掛けの時計をはじめとする妖しげな調度品の数々に震えてしまいそうになってしまいました。
お城だけではなく、町並みなど、あらゆる点に神経が使われていて、その時代、その場所にタイムスリップしたように感じます。
こんな映像を作れるのはまさに天才。傑作。
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ひたすら不毛の日々を生き永らえる苦痛
投稿日:2022/02/05
レビュアー:趣味は洋画
ノスフェラトゥ(1978年、西ドイツ・フランス、カラー、103分)
−−−不死者ノスフェラトゥ−−−
獲物の血をすすり、犠牲者をさまよえる亡霊に変える。影のごとく鏡に映らず、壁や扉をすり抜け、コウモリの姿で寝室に忍び込み、狼の姿で逃げ惑う者を狩る。狙われた者は一切の望みを絶たれる。
ドイツのサイレント映画にして古典的名作である、1922年「吸血鬼ノスフェラトゥ」のリメイク。
監督は、重厚な作風で知られるドイツ映画界の異端児ヴェルナー・ヘルツォークで、ドラキュラ伯爵に扮した異色の性格俳優クラウス・キンスキーの、底知れぬ哀感が襲い掛かる。
中世ドイツ・ブレーメン。不動産業を営むレンフィールド(ローラン・トポール)は、ルーマニアのトランシルバニアに住むドラキュラ伯爵から新しい邸の購入依頼を受け、契約のためにジョナサン・ハーカー(ブルーノ・ガンツ)をドラキュラ邸に向かわせた。ジョナサンの妻ルーシー(イザベル・アジャーニ)は不吉な予感を解除できなかった。ジョナサンは旅の途中に立ち寄った食堂で、主人から ‘ドラキュラ邸には悪霊が潜んでおり、二度と生きて帰った者はいない’ と忠告された。しかも送りを引き受ける馬車がおらず、ジョナサンは歩いて向かった。やがて通りかかった馬車に乗り、ドラキュラ邸に着くと伯爵(クラウス・キンスキー)が出迎えた。夕食の際、ジョナサンはパンを切ろうとして指を切ってしまい、流れ出た血を伯爵に吸われる。伯爵は契約書にサインするが、そのときジョナサンが持っていたペンダントの中のルーシーの写真に注目した。伯爵の表情が憑りつかれたように変わっていく。同じ頃、ルーシーは悪夢にうなされ、熱病に冒されて夢遊病者のようになっていた...。
ドラキュラ伯爵の面相が不気味だ。
血の気がなく白い顔、坊主頭(つるッパゲ)で目が落ち込んでおり、尖った前歯が2本口から飛び出ている。そして両手の爪が異様に長い。(クリストファー・リーのドラキュラとはまったく異なる)
ドラキュラはジョナサンに言う。‘年をとれない。数世紀を生きる苦痛がわかるか?死ねないことは残酷だ’
演じたクラウス・キンスキーは役になりきっているが、彼自身の顔そのものが、一度見たら忘れられない顔であり、個性的なキャラクターをヘルツォークは上手く生かしきっている。
ヘルツォーク監督作品では、82年「フィツカラルド」を観ている。
暗たんたる雰囲気のなかにも一種の神々しさが感じられ、とても印象に残っている。蒸気船が川を上っていくシーンがあったが、本作でもドラキュラが眠る棺を乗せた帆船が黒海を渡っていく。
特に帆船でのシーンはヘルツォークのこだわりが感じられ、細部まで妥協を許さない姿勢がみてとれる。
そのヘルツォーク監督が、トム・クルーズ主演の2012年「アウトロー」に悪役で出演しているのだから、わからないものだ。
この頃のイザベル・アジャーニは22歳とまだ若かったが、トリュフォーにオファーされた「アデルの恋の物語」で世界的に知られていた。失礼ながら、もともと病的な表情を感じる彼女の顔立ちは、ドラキュラに魅入られたヒロインにピッタリだったのではないか。ペストがはびこる街を、青白い顔をして彷徨うシーンや、血を吸われて衰えていく姿には鬼気迫るものがあった。
ブルーノ・ガンツも出番が多く、準主役級の扱いで印象的だが、レンフィールドを演じたローラン・トポールという俳優が出色だ。とにかく奇妙な笑い方をする。何度も、何度も。それが気持ち悪いほど。
ドラキュラ伯爵がブレーメンに着いたときには、完全に下僕となっているのが可笑しい。
この俳優はまったく知らなかった。
吸血鬼は自然を超越した存在だが、越えられない掟がある。十字架を恐れ、聖さん式のパンに怯える。
女の清らかな魂に捕らわれて夜明けを忘れ、朝日を浴びれば滅びる。
(冒頭の一文と共に、ルーシーが読んだ「ドラキュラの解説書」より)
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6人の会員が気に入ったと投稿しています
ユーザーレビュー
鳴り響く聲明(しょうみょう)と、群れる鼠。
投稿日
2013/04/07
レビュアー
ぴよさん
禍々しい、なのに詩的。 これは尋常で無い映画だ。今となっては、嫌というほどに陳腐化された
ドラキュラ物だが、これほどの解釈で料理されていたことに驚く。
ベラ・ルゴシやクリストファー・リーに代表されるアメリカ的ドラキュラ像は、「美女の生き血を
すする悪鬼」だが、この『ノスフェラトゥ』で強調されるのは、「疫病の先駆」としてのドラキュラだ。
美しかった街を死の街へと変貌させてゆく群れ集るネズミの群れ(本物)には、ぞっとする。
ヨーロッパに壊滅的な被害を与え続けてきたぺストは、ネズミを「吸血する」ノミを媒介として
広まった。ヨーロッパ人にとって、「吸血」に対する恐怖は根深いものだったろう。
対してアメリカン・ドラキュラは、コウモリの親玉のイメージが強い。これは単純に伯爵として
の体裁を重視しての脚色だろうが、ペストに対する恐怖の少なさもあるのだろう。
ヨーロッパ版でネズミが多用されているのとは、そこに差があるのだと思う(私見)
そしてやはり、音楽に触れないわけにはいかない。ポポル・ヴゥはヘルツォーク映画の常連
だが、彼らによるノスフェラトゥのテーマは、まるで仏教の“聲明”(仏典の合唱)のように始まる。
ドラキュラ城に向かう途上でもこのテーマが流れ、それに続いて、ワーグナーが鳴る。
それはもはや、場面のバランスを崩してしまうほどの強さだが、とにかく圧倒されてしまう。既に
序盤で、絶対的な絶望を予感させられてしまうのだ。
原作のブラム・ストーカー版では描かれない、「ドラキュラの上陸とともに街が滅んでゆく様」が、
退廃美たっぷりに描かれている。蒼白の体で彷徨うイザベル・アジャーニ。最後の晩餐に狂う街
の人々。実体しない者のように立ち現れるノスフェラトゥ(不死者)…。
これは、もはや単なる吸血鬼映画ではない。美しき滅亡の物語だ。
美しく白い喉に魅せられる吸血鬼
投稿日
2014/04/23
レビュアー
kazupon
私の場合、吸血鬼と聞いて思い浮かぶのは、断然クリストファー・リーのドラキュラなのですが、本作でキンスキーが演じるドラキュラ伯爵は、クリストファー・リーとは全然イメージが違います。
普通、吸血鬼が喉に噛み付くのは犬歯で、八重歯が長く尖った感じなのに、本作のドラキュラは前歯2本が尖って伸びています。
喉の咬み傷の形状(刺さった痕が二つくっ付いている)から見ると、前歯の方が理屈に合ってるのですが、尖った前歯のドラキュラは、ちょっと間が抜けているというか可笑しいです。
「ノスフェラトゥ」とは不死者のことで、吸血鬼やバンパイアのように永遠の命を持つ者のことらしいです。
オープニングでのたくさんのミイラの姿は、かつて生きていた人々の身体から、魂が抜けてしまった後の姿なのだと思います。
そして、死して尚、魂が宿り続けた肉体がノスフェラトゥなのではないでしょうか。
本作のドラキュラ伯爵は、「何世紀もの間を屍同様の肉体とともに生き続けなければならない」という自分の永遠の命を呪ってさえいます。
ドラキュラ伯爵は昼間は棺の中で眠り、彼以外の棺の中は墓場の汚れた土とネズミで一杯でした。
そのネズミが、ペストという疫病を蔓延させ、それらの支配者が吸血鬼なのだという説明で、私の知っている吸血鬼の話とは全く違う趣なのが新鮮でした。
ですから、吸血鬼が夜な夜な美女の生き血を求めて現れるという設定ではなく、ドラキュラ伯爵と共にやってきた大量のネズミによって人々が次々に亡くなり、町が廃墟のようになっていく光景が描かれています。
人々の最後の晩餐の様子や棺を担いだ葬列、誰もいなくなった街並みに流れる寒々と陰気な空気感は、ホラーというよりも文芸的な雰囲気を湛えていました。
不動産屋のジョナサンが、新しい館の契約を結ぶためにトランシルヴァニアのドラキュラ城に赴くシーンは、険しい道のりと秘境のような美しさですが、途中で立ち寄った宿の人々によって伝説を聞かされ、行くことを反対されるなど、怪奇めいた雰囲気が漂い始めます。
ドラキュラ伯爵の奇妙な風貌もさることながら、ドラキュラ城の高い天井、真っ白な壁、埃っぽくて黴臭い佇まいも雰囲気がありました。
ジョナサンの妻・ルーシーの写真を見たドラキュラ伯爵が、彼女の美しい喉に魅せられ、海路を使ってルーシーの元へと旅路を急ぐシーンも怪しい雰囲気がよかったです。
ルーシーが夫の日記や吸血鬼に関する本を読み、吸血鬼退治のために自らを生贄として差し出しますが、あの結末は皮肉なことでした。
本作のオリジナルである『吸血鬼ノスフェラトゥ』も観てみたくて予約リストに入れましたが、手元に届くのは一体いつになることでしょう。
グノーのミサ曲が流れる美しいラスト・シーンは、何を意味するのか…
投稿日
2020/10/11
レビュアー
コタロウ(!)
港町ヴィスマールの不動産業者ジョナサン(ブルーノ・ガンツ)は、
ドラキュラ伯爵と家の売買契約を結ぶため、ルーマニアの古城を訪ねる。
ドラキュラ(クラウス・キンスキー)の異様な姿と言動に不審を抱くジョナサンは、
地下の棺で眠る彼を発見し、その正体を知る。
ドラキュラはジョナサンを城に軟禁し、ヴィスマールに向かう。
ジョナサンは城を脱出し妻ルーシーの待つ家に戻るが、重病に罹り記憶を失っていた…
ベルナー・ヘルツォーク監督作品。
彼が最高の映画だと評価するF.W.ムルナウ監督「吸血鬼ノスフェラトゥ」をリメイク。
ドラキュラの造形や動き、建物に浮かびあがる黒い影などは、ムルナウ版を踏襲したものだろう。
(私はムルナウ版ノスフェラトゥを視聴していないわけですが…)
ラスト・シーンが美しい。
だが、ドラキュラの悲しみや苦痛、ルーシーの献身はなんだったのか…とも思う。
グノーのミサ曲が流れる中、どこまでも続く砂地を男が馬に乗って駆けていく。
彼は生気に満ち、何かを成そうとする気概に溢れていた。
なんだかんだ言っても、生きているって素晴らしい…
ドラキュラは、ヴィスマールの町に黒死病・ペストを蔓延させる。
死に覆われ、ネズミの群れが蠢くヴィスマールで、人々は享楽に耽る。
ドラキュラに対峙するのは、清らかな魂の持ち主ルーシーだけだ。
原作で吸血鬼に対抗する存在だったヘルシング教授は、科学と文明の信奉者であり、
吸血鬼の存在を信じない。
彼には皮肉な結末が待っていた…
長年憧れの作品
投稿日
2013/01/30
レビュアー
カプチーノ
この映画で音楽を担当しているポポル・ヴゥ(故フローリアン・フリッケのワンマンバンド)のファンだったので
この映画の存在は知っていましたが、発表された当時は今と違ってドイツの個性的な作品を観ることは容易ではなかったため、
ある意味憧れのある作品でした。ようやく観ることができて感激。
ヴァンパイア役のクラウス・キンスキーの風貌、イザベル・アジャーニの見開かれた眼が強烈な印象を残します。
俳優だけでなく、映画のどこを切り取っても絵になる凄さ。
全体を覆う妖しいムードがお見事。深閑とした静けさを湛えたドラキュラ伯爵の城の室内の様子など鳥肌が立つぐらいに雰囲気抜群。
まるでそこに自分が立ち、城内の機械仕掛けの時計をはじめとする妖しげな調度品の数々に震えてしまいそうになってしまいました。
お城だけではなく、町並みなど、あらゆる点に神経が使われていて、その時代、その場所にタイムスリップしたように感じます。
こんな映像を作れるのはまさに天才。傑作。
ひたすら不毛の日々を生き永らえる苦痛
投稿日
2022/02/05
レビュアー
趣味は洋画
ノスフェラトゥ(1978年、西ドイツ・フランス、カラー、103分)
−−−不死者ノスフェラトゥ−−−
獲物の血をすすり、犠牲者をさまよえる亡霊に変える。影のごとく鏡に映らず、壁や扉をすり抜け、コウモリの姿で寝室に忍び込み、狼の姿で逃げ惑う者を狩る。狙われた者は一切の望みを絶たれる。
ドイツのサイレント映画にして古典的名作である、1922年「吸血鬼ノスフェラトゥ」のリメイク。
監督は、重厚な作風で知られるドイツ映画界の異端児ヴェルナー・ヘルツォークで、ドラキュラ伯爵に扮した異色の性格俳優クラウス・キンスキーの、底知れぬ哀感が襲い掛かる。
中世ドイツ・ブレーメン。不動産業を営むレンフィールド(ローラン・トポール)は、ルーマニアのトランシルバニアに住むドラキュラ伯爵から新しい邸の購入依頼を受け、契約のためにジョナサン・ハーカー(ブルーノ・ガンツ)をドラキュラ邸に向かわせた。ジョナサンの妻ルーシー(イザベル・アジャーニ)は不吉な予感を解除できなかった。ジョナサンは旅の途中に立ち寄った食堂で、主人から ‘ドラキュラ邸には悪霊が潜んでおり、二度と生きて帰った者はいない’ と忠告された。しかも送りを引き受ける馬車がおらず、ジョナサンは歩いて向かった。やがて通りかかった馬車に乗り、ドラキュラ邸に着くと伯爵(クラウス・キンスキー)が出迎えた。夕食の際、ジョナサンはパンを切ろうとして指を切ってしまい、流れ出た血を伯爵に吸われる。伯爵は契約書にサインするが、そのときジョナサンが持っていたペンダントの中のルーシーの写真に注目した。伯爵の表情が憑りつかれたように変わっていく。同じ頃、ルーシーは悪夢にうなされ、熱病に冒されて夢遊病者のようになっていた...。
ドラキュラ伯爵の面相が不気味だ。
血の気がなく白い顔、坊主頭(つるッパゲ)で目が落ち込んでおり、尖った前歯が2本口から飛び出ている。そして両手の爪が異様に長い。(クリストファー・リーのドラキュラとはまったく異なる)
ドラキュラはジョナサンに言う。‘年をとれない。数世紀を生きる苦痛がわかるか?死ねないことは残酷だ’
演じたクラウス・キンスキーは役になりきっているが、彼自身の顔そのものが、一度見たら忘れられない顔であり、個性的なキャラクターをヘルツォークは上手く生かしきっている。
ヘルツォーク監督作品では、82年「フィツカラルド」を観ている。
暗たんたる雰囲気のなかにも一種の神々しさが感じられ、とても印象に残っている。蒸気船が川を上っていくシーンがあったが、本作でもドラキュラが眠る棺を乗せた帆船が黒海を渡っていく。
特に帆船でのシーンはヘルツォークのこだわりが感じられ、細部まで妥協を許さない姿勢がみてとれる。
そのヘルツォーク監督が、トム・クルーズ主演の2012年「アウトロー」に悪役で出演しているのだから、わからないものだ。
この頃のイザベル・アジャーニは22歳とまだ若かったが、トリュフォーにオファーされた「アデルの恋の物語」で世界的に知られていた。失礼ながら、もともと病的な表情を感じる彼女の顔立ちは、ドラキュラに魅入られたヒロインにピッタリだったのではないか。ペストがはびこる街を、青白い顔をして彷徨うシーンや、血を吸われて衰えていく姿には鬼気迫るものがあった。
ブルーノ・ガンツも出番が多く、準主役級の扱いで印象的だが、レンフィールドを演じたローラン・トポールという俳優が出色だ。とにかく奇妙な笑い方をする。何度も、何度も。それが気持ち悪いほど。
ドラキュラ伯爵がブレーメンに着いたときには、完全に下僕となっているのが可笑しい。
この俳優はまったく知らなかった。
吸血鬼は自然を超越した存在だが、越えられない掟がある。十字架を恐れ、聖さん式のパンに怯える。
女の清らかな魂に捕らわれて夜明けを忘れ、朝日を浴びれば滅びる。
(冒頭の一文と共に、ルーシーが読んだ「ドラキュラの解説書」より)
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