ボーイズ・ライフ

以前娘と話をしていて、「ディカプリオってブサイクだから嫌い。」と言われてしまい、ショックを受けたことがあります。
青年期のハンサムなディカプリオを知らない若い人にとっては、彼ってそういう評価になるんだと。
ディカプリオにとって「タイタニック」はよくも悪くも転換点となった作品で、あれがなければ今頃もう少し違った路線を進んでいたのではないかという気もします。

この映画は、２０年前ディカプリオがまだ少年だった頃の作品ですが、若い頃から演技は確かだったことがわかります。

両親が離婚し、母親側についた少年ジャック（ディカプリオ）。
新しい父親になったドワイト（ロバート・デ・ニーロ）は強権的な男で、ジャックに理不尽な仕打ちを繰り返す。
新聞配達をさせられるが、稼いだお金は全く使わせてもらえない。
大事にしていた銃と交換に、欲しくもなかったペットを押し付けられる。
そんな継父のもとを離れたくて、進学しようとするジャックを、ドワイトはとことん邪魔する。

不良仲間をつるんだり、成績を偽造するあたりは褒められた話ではありませんが、それにしても継父の仕打ちが酷すぎます。

母親（エレン・バーキン）は男を見る目がなくて、男運も悪い。
ダメな相手だとわかっていても、それを捨てて不安定な生活を選ぶのはやはり大変なことです。

実話に基づいた作品で、紆余曲折の末ジャックは後年シラキュース大学で教鞭をとります。
そこで出会った教え子が「ラブリーボーン」の原作者で、レイプというとんでもなく酷い体験をした彼女に、「どんな些細なことでも記録しておきなさい。」と助言したのがこの映画の原作者なのだそうです。過酷な体験をしたもの同士、わかりあえる部分があるのかもしれません。

ディカプリオのお友達役専門だったトビー・マグワイアが、この映画にも登場しています。

１９９３年公開となっていますが、おそらく撮影当時の年齢は１３歳か１４歳ぐらい？
幼さが沢山残るかわいらしいレオ様です。
そしてかわいいだけでなく、当時から既に演技が完成されていたことに驚きました。
デ・ニーロとの共演にも、物怖じすることなく堂々の演技。
大好きな母と威圧的で暴力的な継父との間で揺れ動く少年の心の痛みを
全身で余すところなく表現する渾身の演技に、見入ってしまいました。
作家で大学教授のトバイアス・ウルフの自伝の映画化だそうです。
１９５０年代のアメリカ。
母と二人暮らしのちょっと悪がき少年トビー　(友達にはジャックと呼ばせてる）
母が再婚することになり、その再婚相手の住む町、コンクリートに移り住みます。
始めは紳士ズラしていた母親の再婚相手ドワイトは次第にその本性を現していきます。
威圧的で暴力的、それでいて卑屈で嫉妬深い男。
トビーにとことん辛くあたり、何かにつけて邪魔をするドワイトが
もう憎らしくて憎らしくて。。
殺したくなるほど憎らしい男を演じるデ・ニーロが本当にうまい！怪演です。
少年の苦しみで心が痛くなる話ですが、
最後の決断にはスッキリしました。

あと、エンドロールでトビー・マグワイアの名前を発見。
どこに出ていたの全くかわからず！(笑)

よくある離婚、よくある少年、よくある母親なのかなとも思う。
義理父もそうそうひどいというわけでもなく？
３者不器用なりに生きているということではないだろうか。

ギルバートグレイプでも評価されたがディカプリオの演技は
すでに確立している。１７才くらいかな。
一生懸命すぎる演技との評価でオスカーまではまだ長い道のり。

虐待ものとまではいわないけれど、将来に希望の見える、
義理の父との和解や母親が落ち着いて暮らせるようになることを
願いたくなるような映画。同じ思いを抱いた若い人たちも多いだろう。