小さなバイキング　ビッケ

　いやぁ、嬉しいったら無い。『小さなバイキング　ビッケ』は７０年代、日本で制作されたアニメ
（一応、ドイツとの共同作品だが、作ったのは『ハイジ』のズイヨー映像）として有名だ。
あのアニメは輸出という形で、ヨーロッパを中心に全世界で愛されたらしい。

　原作は、スウェーデンのルーネル・ヨンソンの児童文学　『Vicke Viking』シリーズ。
バイキングの族長ハルバルの一人息子ビッケは、細くて小さくて、外見は女の子のようだが、
何しろ知恵者。　どんな困難も、知恵と工夫を使って切り抜けていく。
　
　明らかに日本アニメ版をベースにしているので、ビジュアルがそのまんまなのが嬉しい。
例の、アイディアが閃く時に鼻をこするアクションも（バックに飛ぶ星まで）そのまんまだ。
彼らの装束も無理なく再現され、バイキング船の帆の柄まで同じ。二匹のアシカも出る。
ビッケはもちろん、チッチ、ハルバル、ウローブじいさん、ファクセなど、バイキング達の再現度も
これまでに無いほどに高レベル。従来のアニメの実写化では、ベストワンかも。（『ハイジ』や
『フランダースの犬』の実写版では、あまりにイメージが違うんで、入り込めなかった）
　　
　ビッケが先行した敵船隊を先回りする方法は、『海皇記』でロナルディアが封鎖してた
海峡を回避するのにファン・ガンマ・ビゼンが用いた奇策、いや、大元はオスマン海軍の
コンスタンティノープル進撃か。

　まあ、アニメ『ビッケ』に思い入れが無い人にとっては、なんてことはない子供向けフィルムに
見えるかもしれないな。ギャグもそんなに笑えるものでもないし、刺激もアクションも少ない。
　私は楽しめたけれど、今の子供に受けるかどうか。海賊モノったって、『ONE　PIECE』とは
わけが違うから。

　

アニメのDVDの1巻も借りていっしょに見ましたが、アニメのキャラのイメージをそのまま実写化したような作品で、そういう点でもけっこう笑いました。アニメは1巻しか見ていないので中国の雑技団云々っていうのが出てくるのかどうかわかりませんが、こちらに出てくるチャイニーズ系美女キャラははっきりいって不要だと思いましたし、心持ち不快でした。この映画のストーリー自体はアニメ版の第1話〜第6話あたりの話を切り貼りしてつなぎ合わせたような感じで、破綻などは別にありませんが、かといって特に面白いわけでもありませんでした。いずれにしても、アニメ版を見ていた人には再現度の高いヴィジュアルを楽しめる！というだけの作品だと思います。