エル・ブリの秘密　世界一予約のとれないレストラン

スペインのカタルーニャ地方にある「エル・ブリ」というレストランの、新作メニューを創作する過程を描いたドキュメンタリーです。
たった４５席しかない小さなレストランには年間２００万件もの予約希望が殺到し「世界一予約のとれないレストラン」と呼ばれているそうです。
単に美味しいというだけではなくて、斬新で驚かされるものを求め、何と半年間も休業し、来シーズン用の新メニューの研究に没頭すると聞いてびっくり。
「創造は朝起きたら湧いて出るものじゃない。創造とは日々の積み重ねだ。」と言うオーナー・シェフのフェランの言葉は、天才シェフと言えども、ひらめきや感性で勝負する訳じゃないのですね。
数々の食材を、様々な方法で試作し、メニューを模索していく過程には、何度も何度も作っては試みるという、創造の積み重ねから生まれて来るものだと。何事も、努力が不可欠なんですね。

そして出来上がったものは、これは料理じゃなくてむしろアートですね。彼らの研究意欲は失敗を恐れず、まるで科学者が実験をしているかのようでした。
そしてフェラン・アドリアの、客に驚きと喜びを与えるというモットーは、料理人としてのプライドを感じます。
フェランの下で働く彼らは試作品をフェランが試食する際の反応を伺う時の緊張感も、並々ならぬものでしょう。
地道な努力の結果生まれた作品が、店で美味しいと客たちに喜ばれる事が、一番嬉しいのじゃないでしょうか？
私も、料理をして家族に美味しいと言われる事が一番嬉しいです。人間って単純なもので、そう言われるとまた頑張って作ろうという気になるものですよね。

彼らの料理も、決して妥協はせずに、これで終わりという訳ではなく、常に進化し続ける彼らの姿勢が素晴らしいと思いました。
彼らが日本の食材ゆずや抹茶を使った料理や、日本料理を研究しているところが、ちょっと嬉しいですね。
残念ながら２０１１年の７月３０日でエル・ブリは閉店し、料理研究財団へと姿を変えるそうです。

年末に「シェフ〜３つ星レストランの舞台裏」というフランス映画を観たのですが、その映画の中に分子料理なるものが出てきて、どうやら超有名レストラン「エルブリ」とそのシェフを皮肉っているようだったので、それが一体どんな料理なのか知りたくてレンタルしてみました。

レストランを休業して、新メニュー開発のためにさまざまな試行錯誤を繰り返すシェフとその弟子たち。
どうやら食材を真空にすることがポイントのようです。
何通りもの食材と調理法の組み合わせを考え、試食を繰り返しているのですが、なんだか料理というより化学実験みたい。きっと凡人の舌には味の違いなんかわからないだろうな。

そんな超プロフェッショナルなシェフたちが、コンピュータのデータの消失にはあたふた。
「紙でファイルしてるから大丈夫です。」
「そんなもん信用できるか。コンピュータに残せ。」
と言い争っている姿がなんだかおかしかったです。

延々と続く実験に正直途中で飽きてしまって、私好みのハンサムなアシスタントシェフさんを目当てに観るしかなくなってしまいました。

エンドクレジットで、完成したメニューが紹介されていますが、びっくりしたのがラビオリの皮にオブラートを使った「皮の溶けるラビオリ」。
全然おいしそうに思えず、ジョークですか？と言いたくなりました。
「水」がコンセプトということで、やたらと砕いた氷を使った料理が出てきて、なんだか寒そう。
湯気や熱があまり感じられない料理ばかりで、きれいだけどおいしそうには見えませんでした。
まあ、私なんかが食べる機会は一生ないでしょうが。

予約に入れ続けているがいっこうに届く気配がない。在庫を増やして欲しい。

１年に半年しか営業しないミシュラン３つ星店のオープン準備から営業開始までのドキュメント
店内４５席に対して年間２００万人の予約希望者が出るという世界屈指のスペインの超有名店である
毎年違う料理を出すため、６ヶ月間を新メニューの創作期間に、残り６ヶ月を営業にあてる

ストーリーテラーが居るわけでもなく、ただ淡々と２００９年の営業スタートに向けてスタッフ達が奔走する様子を記録
余計な注釈やBGMもない。なので、エル・ブリという超有名レストランの存在を知らずにこれを見れば退屈至極になるかも

逆に、この世界一前衛的な料理を出す店の存在を何らかの情報で知っていれば非常に興深く見られる
エル・ブリのカリスマシェフ、フェラン・アドリア率いるフタッフ達が試行錯誤の上、新メニューを創作する風景がメイン内容

内容が内容なので、面白い、面白くないという問題ではなく、興味があるかないかで評価が別れますね
興味がなければBGV映像にしか映りません

このエル・ブリは、２０１１年７月３０日をもって既にレストランを閉店しており、２０１４年からは料理研究財団という形で運営してゆくらしい

豪華な料理を堪能して下さい的なコメントがケースに書いてあったような気がする。
故に、勝手に想像して２時間近い時間を美味しい料理を見続けるのかと期待してしまった。

自前の夕飯を食べながら超豪華な料理を肴に…なんて思ったのが間違い。
内容は、料理ができるまでを収録しています。一つの素材を色々な調理方法で、どれが一番適しているか。味、食感、見栄え等を考慮する。

盛り付け方や大きさ、皿まで細かにチェック。レシピ作りは大変な作業です。時間が経過すると忘れてしまうから、すぐに書くようにと先輩シェフがせかす。そんなの君がやればいい…なんて事を言う、もう一人のシェフ。でも、君が考えたのだから君がやるべきだだろ、と説得。

そしてそれをＰＣに書き込む。今や、どの業界もＰＣを使えないと職にありつけないと知る。
そしてやっと、出来上がった料理との対面。それはメニュー作りの画面。実に綺麗な料理ばかり。

うっとりしていたら、エンディングで終わり。なんだか「おあずけ」を喰った気分です。