少年と自転車

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少年と自転車 / セシル・ドゥ・フランス

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映画賞受賞作品

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「少年と自転車」 の解説・あらすじ・ストーリー

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解説・ストーリー

「息子のまなざし」「ある子供」の名匠ダルデンヌ兄弟が贈る感動のヒューマン・ドラマ。愛する父親に拒絶された現実を受け入れられず、心を閉ざしてしまう少年が、偶然出会った若い女性の献身的な愛によって壊れかけた心を回復させていくさまをリアルかつ丁寧な筆致で綴る。主演の少年役は新人トマ・ドレ、共演に「ヒア アフター」のセシル・ドゥ・フランス。もうすぐ12歳になる少年シリル。父親は彼を児童養護施設に預けたまま行方知れずに。シリルは自分が捨てられたとは露とも思わず、父親を必死で捜し続ける。その過程で美容師のサマンサと出会う。シリルは、サマンサに週末だけの里親になってくれと頼み、2人で父親捜しを続けるのだが…。

「少年と自転車」 の作品情報

作品情報

製作年: 2011年
製作国: ベルギー/フランス/イタリア
原題: LE GAMIN AU VELO/THE KID WITH A BIKE
受賞記録: 2011年 カンヌ国際映画祭 審査員特別グランプリ

「少年と自転車」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ

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ユーザーレビュー:34件

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1〜 5件 / 全34件

併走してくれる人

投稿日:2012/09/28 レビュアー:ミルクチョコ

ダルデンヌ兄弟監督作品。父親に捨てられ孤児院に入れられた少年が、里親の女性と出逢い少しずつ心の傷と癒し成長していく姿を描いています。日本で聞いた逸話を翻案したらしいです。
児童養護施設で暮らす12歳のシリルは、父親が必ず迎えに来ると信じています。けれども父は息子を引き取る気持ちはなく、行先も告げずに引っ越してしまいます。シリルは、偶然知り合った美容師の女性サマンサ(セシル・ドゥ・フランス)に「週末だけ里親になって」と頼みます。

シリルは必死に父を探し、やっとの思いでの再会のシーン。父親に会って自分は捨てられたのではないと確信したかったのだと思います。しかし父に捨てられたと知って、シリルがその辛さに耐えられずに、身体を車の窓に叩きつける姿が痛々しいです。
そして、行き場を失い自転車で疾走してしまいます。

シリルは、サマンサに里親になってもらったにも関わらず彼女の言うことに一々逆らうような行動を取ります。
反抗する、ひねくれる、ついには犯罪に走ってしまいます。
不良の少年が悪の道に誘い込もうとシリルを誘います。多分シリルは嬉しかったのだと思います。同じような境遇で、自分を認めてくれる人間を。お金ではなく、一緒にいてくれる存在が欲しかったのかもしれません。

サマンサはなぜシリルを無条件に受け入れたのでしょうか?恋人を失っても、反抗したシリルに傷つけられても?
サマンサが何故ここまで献身的だったのかについては、映画内では語られません。一体何が彼女をそこまでさせるのか?この辺の描き方がちょっと不可解でした。
それでも、お互いに触れ合うことで心が繋がっていくのが分かりました。

終盤、傷つけられても、それに抗うのではなく、受け流す事ができたシリルが凄いです。
その仕打ちにも、黙って耐えるだけのシリルの姿が嬉しかったです。
ラストはサマンサと自転車で一緒に川辺を走る場面が印象的でした。少年の笑顔にほっとしました。

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僕とパパをつなぐもの ネタバレ

投稿日:2012/08/30 レビュアー:パープルローズ

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児童養護施設で暮らすシリル(トマス・ドレ)。
迎えに来るはずの父親(ジェレミー・レニエ)は引っ越してしまったらしく、連絡が途絶える。
僕の自転車は?パパと自分をつなぐたったひとつの物だった自転車。それをパパが売ってしまったなんて、嘘にきまってる。シリルはどうしても諦めきれない。
そんなとき、ふとしたことで知り合った女性サマンサ(セシル・ドゥ・フランス)が、シリルの自転車を見つけて買い戻してくれる。シリルはサマンサに週末里親になってくれるように頼む。

父親役のジェレミー・レニエはダルデンヌ兄弟の作品の常連で、「ある子供」では生まれたばかりの赤ん坊を売り飛ばしてしまう役でした。シリルはあの赤ん坊のその後なのか、と思うような作品です。

サマンサと共に父親に会いにいったシリルは、「もう会いに来ないで欲しい」と言われてショックを受ける
。帰りの車のなかで、自分の頭を窓ガラスに打ち付けるシリルの姿がとてもリアルで、愛情に飢えた子供が人に暴力を振るったり、自分を傷つけたりする、その気持ちが手に取るように伝わってきました。

美容師のサマンサは独身なんだけど、恋人に「俺かこの子か、どっちか選べ。」といわれてシリルの方を選ぶ。
さらにシリルは近所のゴロツキにけしかけられて、とんでもない事件を起こしてしまうのだけど、その後始末も引き受ける。
独身の彼女が、縁もゆかりもない子供のためになぜそこまでできるのか。サマンサの過去については何も語られていないのだけど、ひょっとすると彼女自身も寂しい子供時代を送っていたのかもしれない。

川沿いの道をサイクリングするシリルとサマンサ。変速機がついているサマンサの自転車と、いろんなことがあったシリルの自転車を交換して乗るふたりの背景に映し出される橋は、ふたりの心が通いあったことを象徴しているのだろう。

終盤に起こるある出来事。せっかく好転しはじめたシリルの生活が、ここで断ち切られるのかと本当にハラハラした。生まれ変わった気持ちで生きてと願ったラストだった。

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少年の自転車は何処に向かうのか?

投稿日:2012/09/12 レビュアー:KASPAR

そういえばダルデンヌ兄弟って観たこと無いぞ!ってことで、「少年と自転車」を観ました!
もうしばらくガーデンシネマでは映画を観ないので、これがガーデンシネマでの最後の映画ということになるかも。
良い映画を公開してくれる映画でしたね〜って何の関係も無い話です←

とにかく映画について・・・

うん、素晴しい!!!!

ダルデンヌ兄弟ってこんな映画を撮ってたのか!?
(※調べたら今回だけらしい)

音楽の使い方が不満やったけど、それ以外は文句の付けようが無い素晴しい映画でした。
(※調べたら音楽を使わない監督らしい、なので音楽の使い方は慣れてないみたい)

物語としては子供が主人公ではあるけれども、子供がどうなるか?(子供がどうするのか?)
という子供の物語の結果が映画の結末(オチ)となるのではなく、この子にどう接しますか?で終わる。

観終わった後、この映画が、
「問題の少年」の行動に私達(社会/大人)が対応している映画ではなく、
「問題の社会/大人」に子供が対応している映画であることに気付く。

少年の自転車はサマンサの元へ必ず向かう。
それが当然な事であるのは誰でも解る。

みんなこどもだったのだから・・・
なのになぜこんなことにしてしまったのか・・・

言葉に書くと説教臭く感じる内容ではあるけど、映画は適度に不親切で、
言葉で説明するようなヤボなことはしてないので、すんなり受け入れられるように出来てます。

オススメです!

っと、マジメなレビューをしてしまった←べつにええやん!

個人的満足度 81点!
オススメ度 80点!

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併走上手なセシル・ドゥ・フランスと自転車

投稿日:2012/12/09 レビュアー:まみもぉ

川沿いを自転車で並んで走るふたりは恋人同士のようでした。
そのままの手でランチ、「ツナ?ぼくはチーズ」って。信頼しあっている笑顔。
あと5年もすればシリルの背は伸びて自転車も同じ大きさなって、ふたりは恋人同士にしか見えないでしょう。
診療室の待合室で抱きつかれたサマンサは、シリルに一目惚れしたんだろうな。
自分が求めているものをこの子も求めてる… 肌で感じた女のカンにハズレなし。
リハーサルを重ね懸命に演技するトマス・ドレと、身についている演技力を抑えて彼に併走するセシル・ドゥ・フランス。
このお話しの主人公は、私にはシリルでなくセシル・ドゥ・フランスが演じるサマンサでした。
彼女目線で、シリルを見れるようになってから落ち着いて観れました。

細かい仕組みは知りませんが、フランスの児童に対する福祉制度は日本よりはるかに行きとどいているはず。
日本のように後手に回って手遅れになることはない、のでしょうけど、
映画ですから、それこそ細かいところは端折ってあるのはわかるのですが、
育児放棄の親からの引き受けや里親の認め方が迅速過ぎて、返って無責任に見えました。

その育児放棄した父親役がもう子供ではない青年にも見えない大人のジェレミー・レニエ。
自分を慕う息子に接する態度だけは子供のままの、わがままな大人役。
ダルデンヌ兄弟の作品ということでの出演でしょうか。
もったいないなぁと思いました。
    
父親の愛情にすがり、得られぬ愛への不安と怒りをコントロールできない少年。
…にしては彼は大きすぎる。
血気色の赤い服も違和感あって彼の体から浮いているようで、
健気な赤だけが疾走しているようにしか見えませんでした。
父親から贈られたその自転車に固執しているようで、大切に扱ってはいないし、
少年の青春アイテム自転車の使い方が今ひとつ。
軟弱な父の前でシリルのあのおとなしさが不自然でした。
この親にしてこの子ありな甘えた身勝手さを感じてしまい、鑑賞放棄しそうになりましたが、サマンサが止めてくれました。

ダルデンヌ兄弟の、静けさも音に変えてしまう真綿を締められるようなじりじりとした作風。
今作では音楽が、唐突に横入りしてきてかき回して逃げてしまう、わがままな親子のようで、邪魔でした。
楽しみにしすぎたせいか、終わり方もダルデンヌ兄弟が巨匠ダルデンヌ兄弟の過去作品を意識して、
恐縮しながら走り去っていくみたいでした。



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作品に選ばれなかった。

投稿日:2013/07/02 レビュアー:ゆういちろう

一見、テーマがハッキリしてそうなのだが、実のところ僕はいまいちピンとこなかった。
というのも、この作品で最も特殊な存在は、父親に捨てられた主人公シリルではなくて、奇跡のような母性と包容力を持つサマンサだから。
しかし彼女の過去や背景についてはまったく語られないので、その不思議さばかりが浮き立つ。ちょっと穿った言い方をすれば、全てを受け入れてくれる女性に偶々出会えた少年の、単なる(ご都合主義とは違う意味での)都合のいい話のようにも思える。

シリルと僕の少年時代の境遇には、若干共通するものがある。それだけにむしろ、彼の親への固執や他人への無作法な態度が理解できなかった。正直に書くと、イライラした。
他人を精神的にも肉体的にも傷つけておいて、行き場がなくなったから温々とした場所へ戻るというのでは、成長と呼べないだろう。11歳とは、それほど愚かな生き物だろうか?
本作を親(大人)の目線で観られれば、そうした点も子供のいじらしさに感じて胸を打たれたのかもしれないが…。
残念ながら僕は、この映画に選ばれなかったのだと思う。

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少年と自転車

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併走してくれる人

投稿日

2012/09/28

レビュアー

ミルクチョコ

ダルデンヌ兄弟監督作品。父親に捨てられ孤児院に入れられた少年が、里親の女性と出逢い少しずつ心の傷と癒し成長していく姿を描いています。日本で聞いた逸話を翻案したらしいです。
児童養護施設で暮らす12歳のシリルは、父親が必ず迎えに来ると信じています。けれども父は息子を引き取る気持ちはなく、行先も告げずに引っ越してしまいます。シリルは、偶然知り合った美容師の女性サマンサ(セシル・ドゥ・フランス)に「週末だけ里親になって」と頼みます。

シリルは必死に父を探し、やっとの思いでの再会のシーン。父親に会って自分は捨てられたのではないと確信したかったのだと思います。しかし父に捨てられたと知って、シリルがその辛さに耐えられずに、身体を車の窓に叩きつける姿が痛々しいです。
そして、行き場を失い自転車で疾走してしまいます。

シリルは、サマンサに里親になってもらったにも関わらず彼女の言うことに一々逆らうような行動を取ります。
反抗する、ひねくれる、ついには犯罪に走ってしまいます。
不良の少年が悪の道に誘い込もうとシリルを誘います。多分シリルは嬉しかったのだと思います。同じような境遇で、自分を認めてくれる人間を。お金ではなく、一緒にいてくれる存在が欲しかったのかもしれません。

サマンサはなぜシリルを無条件に受け入れたのでしょうか?恋人を失っても、反抗したシリルに傷つけられても?
サマンサが何故ここまで献身的だったのかについては、映画内では語られません。一体何が彼女をそこまでさせるのか?この辺の描き方がちょっと不可解でした。
それでも、お互いに触れ合うことで心が繋がっていくのが分かりました。

終盤、傷つけられても、それに抗うのではなく、受け流す事ができたシリルが凄いです。
その仕打ちにも、黙って耐えるだけのシリルの姿が嬉しかったです。
ラストはサマンサと自転車で一緒に川辺を走る場面が印象的でした。少年の笑顔にほっとしました。

僕とパパをつなぐもの

投稿日

2012/08/30

レビュアー

パープルローズ

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児童養護施設で暮らすシリル(トマス・ドレ)。
迎えに来るはずの父親(ジェレミー・レニエ)は引っ越してしまったらしく、連絡が途絶える。
僕の自転車は?パパと自分をつなぐたったひとつの物だった自転車。それをパパが売ってしまったなんて、嘘にきまってる。シリルはどうしても諦めきれない。
そんなとき、ふとしたことで知り合った女性サマンサ(セシル・ドゥ・フランス)が、シリルの自転車を見つけて買い戻してくれる。シリルはサマンサに週末里親になってくれるように頼む。

父親役のジェレミー・レニエはダルデンヌ兄弟の作品の常連で、「ある子供」では生まれたばかりの赤ん坊を売り飛ばしてしまう役でした。シリルはあの赤ん坊のその後なのか、と思うような作品です。

サマンサと共に父親に会いにいったシリルは、「もう会いに来ないで欲しい」と言われてショックを受ける
。帰りの車のなかで、自分の頭を窓ガラスに打ち付けるシリルの姿がとてもリアルで、愛情に飢えた子供が人に暴力を振るったり、自分を傷つけたりする、その気持ちが手に取るように伝わってきました。

美容師のサマンサは独身なんだけど、恋人に「俺かこの子か、どっちか選べ。」といわれてシリルの方を選ぶ。
さらにシリルは近所のゴロツキにけしかけられて、とんでもない事件を起こしてしまうのだけど、その後始末も引き受ける。
独身の彼女が、縁もゆかりもない子供のためになぜそこまでできるのか。サマンサの過去については何も語られていないのだけど、ひょっとすると彼女自身も寂しい子供時代を送っていたのかもしれない。

川沿いの道をサイクリングするシリルとサマンサ。変速機がついているサマンサの自転車と、いろんなことがあったシリルの自転車を交換して乗るふたりの背景に映し出される橋は、ふたりの心が通いあったことを象徴しているのだろう。

終盤に起こるある出来事。せっかく好転しはじめたシリルの生活が、ここで断ち切られるのかと本当にハラハラした。生まれ変わった気持ちで生きてと願ったラストだった。

少年の自転車は何処に向かうのか?

投稿日

2012/09/12

レビュアー

KASPAR

そういえばダルデンヌ兄弟って観たこと無いぞ!ってことで、「少年と自転車」を観ました!
もうしばらくガーデンシネマでは映画を観ないので、これがガーデンシネマでの最後の映画ということになるかも。
良い映画を公開してくれる映画でしたね〜って何の関係も無い話です←

とにかく映画について・・・

うん、素晴しい!!!!

ダルデンヌ兄弟ってこんな映画を撮ってたのか!?
(※調べたら今回だけらしい)

音楽の使い方が不満やったけど、それ以外は文句の付けようが無い素晴しい映画でした。
(※調べたら音楽を使わない監督らしい、なので音楽の使い方は慣れてないみたい)

物語としては子供が主人公ではあるけれども、子供がどうなるか?(子供がどうするのか?)
という子供の物語の結果が映画の結末(オチ)となるのではなく、この子にどう接しますか?で終わる。

観終わった後、この映画が、
「問題の少年」の行動に私達(社会/大人)が対応している映画ではなく、
「問題の社会/大人」に子供が対応している映画であることに気付く。

少年の自転車はサマンサの元へ必ず向かう。
それが当然な事であるのは誰でも解る。

みんなこどもだったのだから・・・
なのになぜこんなことにしてしまったのか・・・

言葉に書くと説教臭く感じる内容ではあるけど、映画は適度に不親切で、
言葉で説明するようなヤボなことはしてないので、すんなり受け入れられるように出来てます。

オススメです!

っと、マジメなレビューをしてしまった←べつにええやん!

個人的満足度 81点!
オススメ度 80点!

併走上手なセシル・ドゥ・フランスと自転車

投稿日

2012/12/09

レビュアー

まみもぉ

川沿いを自転車で並んで走るふたりは恋人同士のようでした。
そのままの手でランチ、「ツナ?ぼくはチーズ」って。信頼しあっている笑顔。
あと5年もすればシリルの背は伸びて自転車も同じ大きさなって、ふたりは恋人同士にしか見えないでしょう。
診療室の待合室で抱きつかれたサマンサは、シリルに一目惚れしたんだろうな。
自分が求めているものをこの子も求めてる… 肌で感じた女のカンにハズレなし。
リハーサルを重ね懸命に演技するトマス・ドレと、身についている演技力を抑えて彼に併走するセシル・ドゥ・フランス。
このお話しの主人公は、私にはシリルでなくセシル・ドゥ・フランスが演じるサマンサでした。
彼女目線で、シリルを見れるようになってから落ち着いて観れました。

細かい仕組みは知りませんが、フランスの児童に対する福祉制度は日本よりはるかに行きとどいているはず。
日本のように後手に回って手遅れになることはない、のでしょうけど、
映画ですから、それこそ細かいところは端折ってあるのはわかるのですが、
育児放棄の親からの引き受けや里親の認め方が迅速過ぎて、返って無責任に見えました。

その育児放棄した父親役がもう子供ではない青年にも見えない大人のジェレミー・レニエ。
自分を慕う息子に接する態度だけは子供のままの、わがままな大人役。
ダルデンヌ兄弟の作品ということでの出演でしょうか。
もったいないなぁと思いました。
    
父親の愛情にすがり、得られぬ愛への不安と怒りをコントロールできない少年。
…にしては彼は大きすぎる。
血気色の赤い服も違和感あって彼の体から浮いているようで、
健気な赤だけが疾走しているようにしか見えませんでした。
父親から贈られたその自転車に固執しているようで、大切に扱ってはいないし、
少年の青春アイテム自転車の使い方が今ひとつ。
軟弱な父の前でシリルのあのおとなしさが不自然でした。
この親にしてこの子ありな甘えた身勝手さを感じてしまい、鑑賞放棄しそうになりましたが、サマンサが止めてくれました。

ダルデンヌ兄弟の、静けさも音に変えてしまう真綿を締められるようなじりじりとした作風。
今作では音楽が、唐突に横入りしてきてかき回して逃げてしまう、わがままな親子のようで、邪魔でした。
楽しみにしすぎたせいか、終わり方もダルデンヌ兄弟が巨匠ダルデンヌ兄弟の過去作品を意識して、
恐縮しながら走り去っていくみたいでした。



作品に選ばれなかった。

投稿日

2013/07/02

レビュアー

ゆういちろう

一見、テーマがハッキリしてそうなのだが、実のところ僕はいまいちピンとこなかった。
というのも、この作品で最も特殊な存在は、父親に捨てられた主人公シリルではなくて、奇跡のような母性と包容力を持つサマンサだから。
しかし彼女の過去や背景についてはまったく語られないので、その不思議さばかりが浮き立つ。ちょっと穿った言い方をすれば、全てを受け入れてくれる女性に偶々出会えた少年の、単なる(ご都合主義とは違う意味での)都合のいい話のようにも思える。

シリルと僕の少年時代の境遇には、若干共通するものがある。それだけにむしろ、彼の親への固執や他人への無作法な態度が理解できなかった。正直に書くと、イライラした。
他人を精神的にも肉体的にも傷つけておいて、行き場がなくなったから温々とした場所へ戻るというのでは、成長と呼べないだろう。11歳とは、それほど愚かな生き物だろうか?
本作を親(大人)の目線で観られれば、そうした点も子供のいじらしさに感じて胸を打たれたのかもしれないが…。
残念ながら僕は、この映画に選ばれなかったのだと思う。

1〜 5件 / 全34件