ザ・クリミナル　合衆国の陰謀

評価７７点（１００点満点）
女性ジャーナリストがニュースソースの秘匿を巡って国家権力に対抗するという社会派ドラマで流れとしてはなかなか面白い。
実際の事件、多分「ブレイム事件」を基にして製作されたフィクション作品。
発端は米大統領暗殺未遂事件で、この件にベネズエラの関与を特定した米政府は報復手段を講じることになる。
女性ジヤーナリストのレイチェルは事件にベネズエラの関与はなかったとするスクープ記事を発表し、その報告書を書いたのがエリカという主婦で実はＣＩＡのエージェントだったという暴露記事で注目を浴びる。
ここで登場するのが特別検察官パットン、彼はレイチェルにエリカの記事に関するニュースソースを開示するように要求、舞台は連邦裁判所へと移る。
記者の秘密保持に関する権利は州法では保護されているが、連邦裁判所では認められていない、しかしレイチェルは頑なに証言を拒否し続ける。
情報源を守ることはジャーナリストの信義、一方では国家の安全を守るというパットンの信念、すなわちエリカがＣＩＡのエージェントであったという国家機密を漏らした人間は国家反逆の犯罪者、その氏名を証言しないレイチェルも「犯人隠匿」の罪人だという論法というわけ。
弁護人と特別検察官とのせめぎあいもなかなか迫力があるが、なんといっても全てを犠牲にしても信念を貫こうとするレイチェルの強さ、そして時々母親としてのレイチェルが印象に残る。
かくして｢法廷侮辱罪」で拘留された後、「犯人隠匿罪」で刑務所に送られるレイチェル、この最後のシーンで真実が明らかになるのだが、今まで彼女が守ろうとした真実にはそれだけの価値があったのだろうかという疑問につきあたってしまう、ストーリーとして最後にあっと言わせたいという意図ならある意味成功なんだろうが、なんとなく釈然としないのは私だけだろうか。

陰謀て言葉にピンとくるのは俺だけだろうか

実話をもとにしただけあって
なかなか見応えありました♪

でも自由の国アメリカでこんなこと
あるなんて・・・・。

アメリカの刑務所、留置所の実態もよくわかりました。
チョット、日本では考えられないこともあったけど・・・ね。

殺されちゃった彼女は可哀そうだった。

告げ口はいけませんよね・・・。

フレンズのロスそのもののダメ夫だったですね
（チョット懐かしかったけど）

自分の生活をなげうってまでかばうのは
やっぱりチョット理解できないな・・・。

特にラストをみたらよけいそう思いました。

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「事実を基にしたフィクション」と冒頭に「わざわざ」ことわりを入れるところが却って「怪しい」ですけど（笑）、最近偶然観た「フェア・ゲーム」（2010年製作、ダグ・リーマン監督、ナオミ・ワッツ、ショーン・ペン主演）と同じ「プレイム事件」を元ネタにしているようです。こちらのほうが2008年製作と2年も前に作られていて「事件」そのものがまだ収束した直後だった頃ですから「わざわざ」ことわりを入れる必要があったんでしょうし、事実オハナシはかなり「フィクション」っぽく「脚色」されてます（大統領暗殺未遂事件とか「右翼」のオッサンによる元CIA職員の女性殺害事件とかは「創作」です）。どちらが「映画」としての出来がイイか？というのは勿論観る人の「好み」によるのですが、私は断然「フェア・ゲーム」のほうが好きですね。あちらの主演ナオミ・ワッツのほうがこちらのケイト・ベッキンセールより私の「タイプ」だということも勿論ありますが（笑）、実はこの2本の映画、同じ「事件」を元ネタにしてるけど「テーマ」が全く違うんですね。
元々「プレイム事件」というのは（私も「フェア・ゲーム」観た後でウィキで調べただけですから詳しいワケではありませんが）何が「事件」なのか？と言うと「CIA職員」、いやハッキリ言えば「スパイ」「秘密工作員」の「身分」を「暴露」することは国家の安全保障上重大な「犯罪」であるので「犯人」を捕らえることは司法的に喫緊の要請なワケですが、さらに「暴露」することの出来る人間は当然国家の重要機密に触れることの出来る立場にいる、つまり政府の中でもかなり高い地位にいる人間（または、スパイ本人、もしくは同僚のスパイ）であることが確実である為に「捜査」は最初から政治スキャンダル色を強く帯びてしまう。そしてその上に、この事件では身分を「暴露」された「スパイ」が若い主婦で２人の子供の母親でもあった、という点がさらにセンセーショナルな話題を呼んで、「暴露」した犯人（政府高官）の動機とその政治的背景、「暴露」された（または、自ら「暴露」したと疑われた）主婦とその家族の社会的立場の危機、「報道」した新聞記者の「報道の自由」と「捜査」する特任検事の「司法圧力」の対立、等々その他にも様々な（関係者それぞれの愛情問題とか経済問題とか）「ドラマの種」を大量に包含する「大事件」だったワケです。
で、「フェア・ゲーム」のほうは「スパイ」の主婦とその夫が書いた「暴露された」被害者としての手記を映画にしてるんですが、こちらの「ザ・クリミナル」は「報道した」女性記者が「情報源の秘匿」を守り抜こうとして「捜査する」特任検事や大陪審判事の「司法圧力」と孤独な戦いを演じる、というオハナシなんですね。「テーマ」としてはこちらのほうが「深刻」で「普遍性がある」かもしれないけど、やはりこの事件の話題性の中心は断然「子持ちの主婦スパイ」でしょう。こちらでもこの役をヴェラ・ファーミガが演じていて、正直私はこの女優既に贔屓リストに加えてあって実はナオミ・ワッツよりもさらに評価高いんですね（笑）。どうせならヴェラのほうを主役にしてもう少し「女スパイ」にフォーカスした「フィクション」を作ってくれてたら「フェア・ゲーム」よりこちらのほうを好感してたかもしれないなぁ(笑)。

国にケンカ売る
考え得る中で最もしんどい行為です。
なんせラスボスですから
絶対的な切り札と
真実という煌びやかな正義を所持して進んだとしても
なかなかゴールにたどり着けない
というかきっとゴールにたどり着けない
国と戦うということは
永遠に出口に辿り着けない迷路を進むようなもの
迷路を進む者は
縦と横だけを頼りに進みますが
迷路を創り出すクリエイター（国）は
俯瞰からその迷路を眺めています。
上から丸見え
縦と横に高さが加わると
その有利性は圧倒的
しかも出口を見つけられそうになると
シレっと迷路を作り変える
そうやって迷路に閉じ込め
真実の光を鈍らせ
切り札の威力を無力化していく
そういう怖さが描かれていました。
いやらしい根回しもあるでしょう
しかもその根回しは一択
提示される答えしか選べないようになっています。

最後の答えは
驚きを狙ったのでしょうが
途中から選択肢の中に浮かび
それほど驚きはありません。
そして、この秘密を守るために
彼女が犠牲にしたもの
その行動を取る意味に
納得できるものがなく
このために彼女はあんな犠牲を払ったのか・・・
それは彼女の選択ミスだろう
と、彼女がやってることを全否定しかねない結末
別の選択をしたほうが
やりようがいくらでもあったように思えました。