魚が出てきた日

魚が出てきた日の画像・ジャケット写真
魚が出てきた日 / トム・コートネイ
全体の平均評価点:
(5点満点)

9

  • DVD
ジャンル:

「魚が出てきた日」 の解説・あらすじ・ストーリー

『その男ゾルバ』のマイケル・カコヤニス監督が手掛けたブラックコメディ。ギリシャの小島にふたりのパイロットが不時着。彼らは飛行機の墜落前に落とした2個の原爆と金属製ケースを探して島を右往左往するが、ケースは村人によって拾われ…。

「魚が出てきた日」 の作品情報

製作年: 1967年
製作国: イギリス
原題: THE DAY THE FISH CAME OUT

「魚が出てきた日」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ

魚が出てきた日の詳細

  • 旧作
収録時間: 字幕: 音声:
109分 日本語 1:ドルビーデジタル/モノラル/英語
レイティング: 記番: レンタル開始日:
FXBR1857 2012年01月07日
在庫枚数 1位登録者: 2位登録者:
5枚 0人 0人

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ユーザーレビュー:9件

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1〜 5件 / 全9件

カタストロフィの箱庭。

投稿日:2014/01/15 レビュアー:ぴよさん

 (ややネタバレあり)
 危機というものは、重なって起こるもの。それは時に、喜劇的にさえ見える。「よりによって
なぜこのタイミングで」と、思わず笑ってしまうほど。
 「なぜ、こんな低い場所にタービン建屋を置いていたのか」「そこになぜ堤防を越える津波が
来てしまうのか」「なぜ、このタイミングで首相をあの人がやってたのか」(苦笑)

 冷戦時代、ピークを迎えていた核問題は、そのあまりの深刻さに「もうどうしようもない」という
絶望感を生んでいた。「人類を何回でも滅亡させる核兵器がある」と考えたら、力なく笑うしか
なかったのだ。そんな心理が反映されてか、日本以外の国がこの問題をテーマに物語を作ると
どこかシニカルで、冷笑まじりの作品になってしまった。

 唯一、日本ではそれを被爆の体験記として描くことができた。(『黒い雨』や『ゴジラ』のように)
他の国々にはその方法論が無く、架空の話として描く手法しか無かったのだ。 『渚にて』(59)や
『未知への飛行』(64)はその手法によるシリアス系の快作。そこに『博士の異常な愛情』(64)という
これ以上に無いほど核危機を茶化した作品も生まれた。本作『魚が出てきた日』もその系譜にある。
キューブリックのような湿り気のある狂気で無く、妙に乾いた味わいのブラックコメディ。

 モーリス・ビンダーのポップなタイトルバックや、監督本人のデザインによるサイケファッションが、
物語を現実から遊離させる効果を果たしている。現実にある危機なのに、さしてシリアスなことでは
ないと油断させ、最後にズドンと落とし込む。当時の演出の流行りとも言えるが…案外、西洋人が
「実際の核の恐ろしさ」を実感していない証左でもあるんだろうなぁ。


 核危機という大きな話を、小さな島という舞台でちんまりと矮小化させる。物語をスケール・ダウン
させることで、凝縮度を高めているのだ。最近の映画にありがちな 「一人の少女が世界の命運を
左右する!」みたいな、安易なスケール・アップとは逆ベクトルだ。

 核物質を投棄したパイロット達は、ブリーフいっちょで右往左往し、挙げ句の果てに小銭集め
が主たる目的にすり変わってしまう。 核物質を極秘裡に回収しようと上陸した精鋭部隊も
その役作りがうまくいきすぎて、島のリゾート宣伝に一役買ってしまうという皮肉。
貧乏な山羊飼いの夫婦は、あの手この手でパンドラの箱を開けようとする。イエスを思わせる
赤ん坊の泣く馬小屋(のような家)の中で。 何も知らない人々はええじゃないかええじゃないか
とゴーゴーダンスを踊り狂う…このちょっとした地獄絵図(笑)
 
 巨大な核問題を小さな小さな島の中に閉じ込めて、「ほら、こんなくだらないことを、世界は
やってるんだぞ」と茶化しているのだ。登場人物の滑稽さは、そのまま世界に拡大投影され得る。
そして人類の行く末を「魚たち」に暗示させて、物語は唐突に終わる。
 

 何の因果か日本人は、核兵器による被害も、放射能による汚染水も実感出来てしまう。
世界で唯一、この映画をちゃんと「実感」出来る国民なのかもしれない。

 悲しいことに。



 (ykk1976さんの映画会・第40回)


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直ちに人体に影響がないネタバレ

投稿日:2014/01/15 レビュアー:ykk1976

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原発事故の折、当時の官房長官が繰り返し「直ちに健康、人体に影響がない」と繰り返し、
逆に、そしたら長い目で見ると影響があるってことではないのか・・・と怖気たわたしです。
現首相は「状況はコントロールされている」と発言し、東京五輪を誘致いたしました。
でも、この状況のどこに「コントロールされているというのか」とその国民が思うほど、毎日にニュースで汚染問題は報道され続けています。
日本人にとっては、とてもシニカルなブラックコメディでは笑えない「今そこにある危機」そのものなのです。
喜ばしいはずの五輪誘致でさえ、肝心で大切な「真実」からの目隠しに感じさせられるのは、いぶかしすぎなのでありましょうか。

爆弾と放射能物質が落下したことで、島民にも見捨てられアイスランドへ移住を考えるほど、
落ちぶれたギリシアの小さな島カロス島に一大観光ブームが訪れます。軍関係者が爆弾や放射性物質を「パロマレス米軍機墜落事故」を踏まえ、
島民や世間を欺くために観光視察を装っただけなのに。
それまでは貧しい羊飼いや貧しい漁師ばかりで「居心地のいいカフェ」というカフェの2階には患者が雄叫びを挙げる歯医者があるばかりの小さな島に、
世界中から人がどっと押し寄せ、豊かなリゾート地へと変貌してきます。
この人の習性をもあざ笑うかのようなブラックジョーク・・・しかし笑えないラストへ導かれていきます。

60年代に作られたせいかサイケデリックな衣装や音楽が、今観ると目新しくとても新鮮です。
前衛的に見え、映画の魅力を増しますね。
色鮮やかなその絵柄が、何も知らず浮かれ騒ぐ狂乱のただ中にいる人々のから騒ぎを彩り、
とても映画を効果的に魅せています。時代の妙を感じさせます。

それにしても、意味深なタイトルです。
鑑賞前は、それほど深く考えておりませんでしたが、観た後はゾッとするタイトルです。
あの踊り騒ぐ人たちを笑えない現実を鑑み、愕然とするラストでもあります。

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正月は冥土の旅の一里塚

投稿日:2014/01/15 レビュアー:さっちゃん

 映画会新年第1回がめでたく40回であります。まぁ途中、東日本大震災などで休みもありましたが、続いていることは嬉しい限りであります。今後とも末永く続けていきたいものです。
 さて、本題に移りまして、今回のお題『魚が出てきた日』であります。冒頭に実際に起こった、核爆弾を積んだアメリカの爆撃機がスペイン沖に墜落した事故の言及があり、それに続いてタイトルに移ります。このタイトルがセンスが良いので、クレジットを見ているとモーリス・ビンダーでしたね。道理でと納得。
 エーゲ海の小島カロスに故障した爆撃機から2発の核爆弾と正体不明の特殊合金製の箱がパラシュートで投下され、それを秘匿したい米軍(ペンタゴンをオクタゴンと言い換えてるのはコメディゆえか、それとも同盟国ということで製作者側が遠慮したのか)が観光業者に化けた捜索隊を派遣する。一方、墜落した爆撃機からパン一で島に泳ぎ着いた乗員は島民に見つからないように基地に連絡を取ろうと悪戦苦闘する。というのがおおまかなプロットですが、これも『博士の異常な愛情』などに通じるブラックヒューモアがあります。
 物語を駆動するのは秘密と欲望でしょうか。爆弾の存在を秘密にしようとするためにパンツだけで空きっ腹を抱えたまま岩山で隠れている搭乗員や、ホテル業者にカムフラージュして爆弾を捜索に来る軍関係者などの行動自体が核兵器というシリアスな存在とのギャップを生んで笑いにつながるという構造になっております。これに島民の欲望が絡んでお話はとんでもない方向へ転がり出す訳です。観光客を呼び込んで金を儲けようとする町長はじめ島民たち、箱を拾った山羊飼いは金目の物が入っていると思い込み、なんとか箱を開けようとする。それに米軍がホテル用地と偽って購入した土地から古代遺跡が見つかるに至って、瓢箪から駒で観光客がカロスに押しかける破目になる。全てがカタストロフへ向かって一直線に進行する怖さ。それがラストの爆撃機の搭乗員の笑いにつながる。これはあれですね。恐怖が極限に達して限界を突破すると、あとは笑うしかない。ブラックでヒステリックな笑いでも。
 ラストで繰り返される「アテンション・プリーズ」は『博士の異常な愛情』の「また逢いましょう」や『渚にて』の「まだ遅くない」という皮肉なメッセージも連想させます。この時期、熱核戦争が現在よりも更に身近だったのだなと改めて思いました。そういえば冷戦の最終形態がMAD(相互確証破壊)というのも笑えないジョークですね。

(ykk1976さんの映画会:第40回)

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ぷかぷか

投稿日:2014/01/15 レビュアー:まりこ

先の大震災の際、原発の政府・東電発表に、
「まさか100%情報開示してると信じている、オメデタイ人間はいないだろう。」
と言うと、「え?」と真顔で反応した人がいたのは驚きだった。(それもイイトシの大人がである。)
何事も「知る」事から始まる。
知らねば事の真偽が見極められず、自分の考えを持てず、まして声も上げられない。
しかし為政者に「もの申す民衆」は煙たく、願わくば「ご都合発表」を鵜呑みにして大人しくしていて欲しいのが本音だろう。
それには事実を明らかにしないのが一番で、「無用の混乱を避ける為」と称し口をつぐんだ事例が過去にどれほどあっただろう。
確かに「無用」で「異常」な混乱を無理に招く必要は無いが、こと「核」に於いてそれは許されないのでは無いか。
先ずは真実を明らかにしなければ。
起きてしまった事は仕方が無い、如何に最善の処置をとれるかが肝心なのだから。

過疎の島に「核」が落ちる。(「落とす」と言うべきか。敢えてギリシャってのに偏見の匂い。)
遭難し人目を避けてうろつくパンツ一丁のパイロット。(生々しさが阿呆らし過ぎて、情け無い。)
開発業者を名乗り、密かに「核」回収に乗り込む軍人達。(このファッションじゃあ、まるでゲイ集団…笑。)
新リゾートに群がる観光客。(目先のハヤリにテも無く熱狂、サイケな衣装で連日狂気のパーティには唖然。)
遺跡目当てに考古学者までが上陸。(これがまた、かなりの俗物。)
思わぬ「金儲け」に浮き足立つ島民達。(純朴な俗物集団。)
偶然拾った「宝箱」(実は核廃棄物?)に目が眩み、必死のヤギ飼い夫婦。(こちらは欲と無知の象徴。)
夫婦に禁断の箱を開けさせる「手段」を持ち込んだのが、ただの不節操なおネエさんなのには苦笑する。(それとも彼女は悪魔の使いか?)
延々続く猛毒含有のユルユル・ドタバタ・コメディ、合間々々にハラハラのサスペンス。
そして最後は、断崖絶壁からストンと突き落とされるこの顛末。
そんなもん、そんなところに放り込んじゃ駄目でしょう!
ぷかぷか浮かぶ魚の死骸に、それでもなお「ダイナマイトでしょ」のお気楽さには可笑しいやら情け無いやら。
「無知」もここに極まれり……でもね、無心に踊り狂ってるのが楽しいじゃない、都合良く考えた方が楽じゃない。
人間がぷかぷか浮いて初めて目が醒めるのは、自分も同様なのだろう。
笑うに笑えず、ぞっとするのが正直なところ。

遠い国の話じゃ無い、他人事じゃ無い現実。
内には原発、外には核保有の厄介な隣国と、問題山積の我が日本。
原発をいきなりゼロとは乱暴な気がするが、将来的には進めるべきなのかも知れない。
(技術を保持しながら「脱原発」というのは、無理な相談なのだろうか。)

キャンディス・バーゲンは久しぶり。
子供の頃観た『砲艦サンパブロ』だの『グループ』だのを、懐かしく思い出す。
相変わらず下手くそだけど(素人目にもこの人のダイコン具合はよく分かる…笑)、宇宙人的コスチュームがやたら似合って、シャープな美貌には見惚れてしまう。

あれ? もしかしてこれはSFだったんだろうか。

(ykk1976さんの映画会・第40回)

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生き地獄にカタルシスはない

投稿日:2014/01/15 レビュアー:ロキュータス

( ネタばれあり)
1967年作。 1972年という「近未来に起こるかもしれない」という設定ですが、冒頭に出てくるスペインでの事故は実際に起こったことで、「パロマレス米軍機墜落事故」でネット検索できますが、この作品を観るまで知りませんでした。

社会派ブラック・コメディですが、あまりに生々しくて笑えないし、まあ地味なキャストです。 ( 笑 )

墜落機のパイロット・コンビ。
トム・コートネイ。 デビュー作の『長距離走者の孤独』を僕は観てないですが、『 ドクトル・ジバゴ 』『 将軍たちの夜 』『 ドレッサー 』などに出演。 最近また『 モネ・ゲーム 』などに出ていますが、どちらかというと舞台俳優かな。
コリン・ブレイクリーは『 オリエント急行殺人事件 』に出てましたね。
隠ぺい工作のリーダーを演じるサム・ワナメーカーは赤狩りの時はブラックリストに載りイギリスで活動。 『 さすらいの航海 』『 真実の瞬間 』など出ていました。

キャンディス・バーゲン。 当時20歳だから大人っぽいというか、老けてるというか。
前年出た『 砲艦サンバブロ 』の清楚さとはガラッと違ったキャラクター。
父親がエドガー・バーゲンというアメリカでトップの腹話術師ですが、14歳でスイス留学しフランス語も堪能なインテリ女優。 本作でも流暢なイタリア語のセリフを言っています。  『ソルジャー・ブルー』にも出ていてまじめでカタいイメージでしたが、後年コメディエンヌとして成功しました。
写真家でもあり、ミノルタ・カメラのCMに出てましたし、『 ガンジー 』では写真家マーガレット・ホワイト役をしていましたね。 そしてルイ・マルと結婚してました。

監督のマイケル・カコヤニス。 前の年に『 その男ゾルバ 』を監督。 他にキャサリン・ヘップバーン主演で『 トロイアの女 』を撮ってますが、これも地味な作品なのでDVD化はなし。

さて本作、核をテーマにしたブラック・コメディということで『 博士の異常な愛情 』と比較可能ですが、名作で今も人気と評価が高い前者と比べ、正直に申しますと笑えないし、あまりおもしろくない。

キューブリックの創作力の違いも大きいでしょう。 
しかし、それ以外にはシチュエーションが決定的に違います。

『 博士の異常な愛情 』が描く、冷戦時代の米ソによる全面核戦争は、短時間で人類滅亡してしまう緊張の高さがあり、それだけに笑うことができ、そのカタストロフィーにはある意味で後腐れのなさ、カタルシスがありました。

代わって、今は地域核戦争や核兵器テロの可能性があるのに、世界に緊張感はないですねえ。 仮にどこかの街で使われても人類滅亡になる可能性は低く、それを契機に核廃絶には向かわず、逆に疑心暗鬼を抱えたまま核にしがみつく恐怖の現実、そして恐怖に耐えきれず他人事と忘れてしまう現実が進行しそうです。
チェルノブイリも結局他人事でした。 フクシマ後でも、京都に住む僕は現地ほどの危機意識は薄く、ニュースへの関心も緊張感もないですね、 福井にはたくさんあるのに。

日本は唯一の被爆国と言われるが、被害者意識とアレルギーのように核への嫌悪感はあっても、意識も知識も高いと言えるだろうか。  ヒロシマ、ナガサキのとこ、第五福竜丸のことどれだけ知っていて、次の世代に継承しているだろうか。

原発事故に対する嫌悪感、政治家、官僚、学者、マスコミに強い不信感を持ちながら、この期に及んで、ぼくはまだ原発ゼロは非現実と漠然と思っていて、それどころか反原発を叫ぶタレントや活動家、政治家に偏見や嫌悪感がある。
オーウェルの「1984」の二重思考そのままに矛盾する二つの考えを受け入れる。
食品添加物でも、放射能でも、戦争でも悲惨さ難しさ重さに、まともに考えたらウツになってしまいそうで、心は折れ頭は関心と思考を拒否してしまう。

この作品は生々しく笑えない。 
ブリーフ姿のまぬけな姿、トム・コートネイは頭にまでかぶってがんばっているのに笑えない。
俳優たちの生白い体が赤く日焼けして大変だったろうなと思わせても、痛々しくて笑えない。
プカリと浮かぶ魚、腐臭が匂ってきそうで笑えない。

一瞬で世界が滅ぶカタストロフィーのカタルシスでなく、じわじわとゆっくりと悲惨な事態が限られた場所で進行していく。 悲惨なことは考えたくなくて、その場しのぎでごまかしていく。 生き地獄にカタルシスはない。

そうした現実を投影した本作が、映画としては面白くなく萎えてしまい、人気がないのもまた当然のことかもしれません。

( ykk1976さんの映画会 第40回のレビュー )

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