クロエ

産婦人科医キャサリン(J・ムーア)と、大学教授の夫デビッド(R・ニーソン)と息子と３人で平穏に暮らしてたが、夫の携帯電話に女性の写真をみつけたことから、キャサリンは夫の浮気を疑い始め、偶然出会った美しい娼婦のクロエ(アマンダ)に、夫を誘惑させようとしたことから、彼女の平穏な日常が狂い出します。

フランス映画の「恍惚」のリメイクらしいですね。
アマンダ・セイフライドは、若くて可愛いらしいのですが、魔性の娼婦というのは、どうなんでしょう？
息子のマイケルは誘惑できても、この熟年夫婦を掻き回すほどの恐ろしい女という風には見えませんでした。
クロエがどんな恐ろしいことを仕掛けてくるのかと、ちょっと期待してしまいました。
そして、この映画で扱われているのは狂気でも何でもなくて、“真相”が段々と分かって来た辺りで、ちょっとがっかりしてしまいました。
J・ムーア演じるキャサリンが、夫の裏切りを疑うあまりに、思わぬ行動にでてしまった熟年女性の悲しさが伝わって来ましたね。
キャサリンの思い込みと疑惑の連鎖は思わぬ展開へ進むのかと思いきや、むしろ、空想が人をどう変えて行くか？という事ですか？

キャサリンの悲観する顔が、クロエはきっとお気に入りなんですね。
サスペンスや官能という点では弱いですが、キャサリンの不安定な気持ちの描写がメインなのかもしれません。
ジュリアン・ムーアの演技力のおかげで、この映画は救われていますね。彼女の後ろ姿に秘めた愛情を感じてしまいました。

産婦人科医のキャサリン（ジュリアン・ムーア）は、出張中の夫デヴィッド（リーアム・ニーソン）のためにサプライズパーティを企画するが、夫は予定の飛行機に乗り遅れパーティは流れてしまう。かすかな疑念を抱いたキャサリンだが、夫の携帯に若い女性とふたりで撮った写真を発見したことで、彼女の疑念は膨らんでゆく。

年をとるにつれて渋さが増し、魅力的になってゆく男。
一方、女にとって年齢は少しもプラスにはならない。衰えてゆく一方の容姿にコンプレックスを持つあまり、夫に自分の裸を見せることすらできなくなる女。
更年期を迎えた女の不安と焦りを、ジュリアン・ムーアは見事に表現していたと思います。

キャサリンは偶然見かけた美しい娼婦クロエ（アマンダ・セイフライド）に、夫を誘惑してその詳細を報告するよう依頼する。クロエはデヴィッドとの逢瀬を事細かに語り始めるのだが・・・。

フランス映画の「恍惚」が元ネタ。
エマニエル・ベアール演じる娼婦が妻ファニー・アルダンに語る情事の一部始終は、語りだけでじゅうぶんエロチックでしたが、こちらは映像も加えられているのにそれほどエロチックではないのは、娼婦役のアマンダが少し若すぎたのかもしれません。

オリジナルで妻と娼婦の間に芽生えた奇妙な友情のような感情もこちらにはもちろんありません。
そのかわり、終盤は意外な方向に物語が展開してゆくのには、ちょっと驚きました。
なぜ、クロエはあんな行動にでたのか？
そして、ラストでキャサリンがあの髪飾りをさしていた意味は？？

このところ大活躍のアマンダ・セイフライドの若くて美しい裸体もいいけれど、「キッズ・オールライト」といい、これといい、ジュリアン・ムーアの潔い脱ぎっぷりには感服です。

アマンダ・セイフライドといえば、『マンマ・ミーア』や『ジュリエットからの手紙』『親愛なるきみへ』などのイメージから
かわいくて清純派のお譲さんっぽいタイプだとばかり勝手に思っていた私。
だから、まさかまさか、冒頭からいきなり彼女のヌードが出てくるとは！愕然としてしまった。
そしてさらには、ジュリアン・ムーアとの大胆な濡れ場。
なんかこの映画は、あのシーンを二人に演じさせたかっただけなんじゃぁないかしら？などど思ってしまったほど内容が薄っぺらい。
せっかくのリーアム・ニーソンは二人の添え物のようだったしね。

妻は年を重ねた自分に自身を失くして、日々老いていくだけの体を持て余し、夫は若い娘と浮気しているのではないだろうかという妄想にとりつかれ、
一方、夫は年を重ねる毎に重厚さを増して、ますます魅力的な男になっていくのを止められない。
このギャップに悩み傷つく妻の心情は痛々しく、ジュリアン・ムーアはさすがの演技だと思うし、
５０歳近くになっても大胆に脱いで見せる彼女は相変わらずあっぱれだと思う。
では、何がいけなかったのか？
アマンダが娼婦にしてはあどけなく幼い感じがするから？
彼女のとった行動が最後まで不可解だから？
ラストの意味もすっきりしないから？
と、まあいろいろあげられそうだけど、材料はそろっているのに、味付けを間違えてしまった料理のような出来だったように思う。

それにしても、あの幼げな顔で、あの体は罪作りだろう、アマンダちゃんよ((+_+))

（ちょっとネタバレあり）

　大好物のアトム・エゴヤン。今回も、静謐なサスペンスを作りあげている。
オリジナルの『恍惚』は未見だが、エマニュエル・ベアールと、アマンダ・セイフライド
を頭の中で並べてみると、娼婦という職業も「世につれて」なんだなぁという感慨。
　アマンダはいかにも小娘すぎるが、キャサリンがコンプレックスを抱いているのは
ひとえに「若さ」なわけだから、これはこれでいいのだろう。

　デヴィッドはドン・ジョヴァンニなのか…？　静かなドラマのあちこちに仕掛け
が仕込まれていて、じわじわ、じわじわと「ああ、いけない」という方向に向かう。
（あくまでも静かに）ドラマがキャサリンの目線で進むので、クロエの心がどのよう
に動いていったのかは想像するしかない。見えないから、怖い。

　これはある意味エゴヤン演出の特徴でもあるのだが、クロエという女性の感情描写が
最小限にされていて、分りにくい。いや、あえて分らせまいとしている。
　これが普通の演出だと、クロエの感情が動いたポイントを見せるカットを入れたり
何らかの形で説明がされる。ところがエゴヤンはそういう描写を嫌うので、普段通り
のサスペンスと思って観ていると、「ん？なんで？」と戸惑うことになる。
　だからクロエの思惑や行動について、どうしても唐突に感じてしまう人も多かろう。
（特に最後の行動については）　これはエゴヤン演出の功罪の部分だと思う。

　しかし、カフェの「あの一瞬の表情」で全てを明らかにさせたのは、見事だと思う。
あれはオリジナルでは、どう描写されているのだろう。

　話が割りにストレートなゆえに、エゴヤン風味が裏目に出てしまったキライはある。
ただ、リアルさで言うなら、こういう状態に陥った人間の行動は、論理的でないし
かといってそんなにドラマチックなものでもない。その割り切れない部分を描いて
みせた…という見方も出来るかな。
　

　

クロエはこんなに美人だったか？