ザ・スパイ　裏切りのミッション

監督のニコラス・サーダと言えば　カイエの編集に関わっていた一時は良く名前を聞いた批評家ですね　彼もまたオリヴィエ・アサイヤスと同じように　身の周り百メートルの私小説的なフランス映画から離脱するために　こんな素人スパイ映画を撮ったのかしら　面白いです

タイトルと共に青く沈んだ空港の見事な撮影　いい感じの冒頭です　すでに国境を越えることがテーマに出てきます　そこの空港検査官の仕事をしてるらしいのが　「さらば哀しみのスパイ」の業務は金になるものを盗むこと　いやギョーム・カネです　この不正中に同僚が外交官の鞄にあった　ニトロメタンなる可燃物の爆発により死亡　ギョームは早速　国家保安局に利用されて素人スパイになり　ダブルデッカーバスが走るロンドンに舞台が移ります

エレバーターで「キス＆キル」のように標的の妻である　美しいジェラルディン・ペラスに出会います　当然彼女との恋愛が物語の核ともなります　インド人の知的美人の情報部員と夕食に招待され　シリア周辺の暗躍に探りが入れられるのです

落ち着いた演出でまったく飽きずに見ていられますが　自爆テロの背景もスパイ行動も　恋愛事情に関しても　すべて中途半端　曖昧なままにしかし　ギョウムは最後にとんでもない活躍をするのですが　どうでもいいことなんですね　半径百メートルの物語も難しいとしたら　国境を越えた素人のスパイ物語もあり得ないこと　世界はまったく不透過であることをニコラスは言いたいのでしょう　しかし世界はこのようにしか我々に受容されないのです　いやでも裸で世界にこれからは出ていかねばならないのでしょう　もちろん映画もその通りなのです　何も出来ない素人でも世界に飛び出せと

ホテルでギョームが適当に見ていたTVはシナトラの「黄金の腕」かな　キャストは「ユキとニナ」のイポリット・ジラルドとか　なかなか渋めの俳優で脇をがっちり固めていて　物語は曖昧でもしっかりした構成・演出の現代のフランス映画でお勧めです

普通に最後まで観ました。
が、何もなしといった感じです。最後まで何もありませんでした。

このジャケット写真にあるギョームカネの銃を持った写真はなんなのでしょう？ギョームカネが銃を持つシーンは最後のほうにチョコっとあるだけ、しかもサイレンサーなんて付いてません。
もうひとつの爆発する所からスーツ姿で逃げる写真も疑問です。
スーツを着ているシーンがないからです。

明らかに007ジェームズボンドを意識した（スパイ映画ですよといった）詐欺写真でしょう。（そしてスパイ映画でもないです。）（裏ジャケットのスーツ姿にサイレンサー付き銃の写真も詐欺写真です）

内容のほうも、
フランス映画なのは分かりますがそれにしても面白くない。
アクションでもないしサスペンスでもない、
盛り上がりもな ければオチもない、
散々な作品だと思います。