人生は四十二から

( ネタばれあり　)

　長年執事をしてきたラグルスだったが、仕えていた伯爵がアメリカの成金富豪とポーカーをして負け、ギャンブルのカタにされていたため、アメリカに渡る羽目に。
　富豪の妻はアメリカの田舎に帰ったら奥さまと呼ばせて自慢できると喜ぶが、夫のほうはパリの街へ連れ出し、堅苦しいのはやめて酒につきあえと言う。
　最初は固辞していたが、主人には逆らえず酔っぱらってしまって・・・。

自分を抑えていたきまじめな男がこわれていく過程はちょっと鬼気迫るような狂気も垣間見せて、それがまたおかしい。　　　こわれちゃって、いいんです。(　川平慈英をマネする博多華丸風　)
　１９３０年代のアメリカらしいおおらかな自由賛歌。
　レビューすくないですが先行のお二人も高評価。　観て損はないと思います。

　
　監督は『　わが道を往く　　』のレオ・マッケリー。

　主演はチャールズ・ロートン。
　史上初めてエルキュール・ポワロを演じた人。
　僕が『　情婦　』をわかっていてもついついヒッチコック作品と勘違いしてしまうのは、チャールズ・ロートンのぽっちゃり体形とユーモラスな演技のため。(　監督したのはビリー・ワイルダー)

　１９３３年『　ヘンリー八世の私生活　』で誰しもが恐れる絶対君主の暴君だが、宮廷の女性たちに振り回される男のこっけいさを演じアカデミー主演男優賞受賞。
　１９３５年はコメディーの本作の他、『　レ・ミゼラブル　』では敵役ジャベール(　ちなみにジャン・バルジャンはフレデリック・マーチ。)、アカデミー作品賞となった『　戦艦バウンティ号の叛乱　』( 日本公開時邦題『　南海征服　』 )ではこれも敵役の艦長役( ちなみに叛乱を起こす主役はクラーク・ゲーブル )
　他の代表作は『　スパルタカス　』。　カーク・ダグラス、トニー・カーティス、ローレンス・オリヴィエ、ピーター・ユスティノフに伍して、さすがの貫禄の演技を見せました。

　妻は『　フランケンシュタインの花嫁　』のエルザ・ランチェスター。
　唯一の監督作『　狩人の夜　』は公開当時不評だったものの、現在はカルト映画として人気を博す。

　余談ですがレビュアーネームを「ロキュータス」とするか、ぽっちゃり体形に親近感を抱いて「老豚」とするか、考えましたが、自嘲的なのでやめました。

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チャールズ・ロートンは「情婦」や監督作品「狩人の夜」でも才能にびっくりしましたが、この映画の執事役も実にチャーミングで魅力的。同じく執事の人生を描いた「日の名残り」で、彼らの仕事の在り方を先にご覧になってもよいかもしれません。アメリカ人の田舎の成金にポーカーのかたに取られた英国貴族バーンステッド卿の執事ラッグルズは、アメリカに連れてこられ思いもかけない違う人生が開けます。階級社会で、仕える人生に徹してきたのにいきなり対等なアメリカ社会に。カルチャーショックもさることながら、初めて自分の等身大の人生を考え始め実行に移します。さらっと描かれるお料理好きの未亡人との関係も品がよく好感が持てます。金持ちなのにとてもいいやつアメリカ人のご主人や太っ腹のママも素敵です。こんな楽しい映画を掘り当てて幸運でした。

　英国紳士であるバーンステッド卿（ローランド・ヤング）の完璧な執事ラッグルズ（チャールズ・ロートン）は、ポーカーの賭けの代償でアメリカの金持ちで酒ばかり飲んでとても紳士とは言えないエグバード（チャールズ・ラグルス）の執事になってしまった。
　アメリカに渡り自由な国の存在を知り、飲めないお酒を飲んでハチャメチャに。。。
ブラックジョークや品の無い言葉が無く、逆にお洒落で上品な仕上がりのこの1930年代映画・・・GOODです（笑）