白いリボン / クリスティアン・フリーデル
白いリボン
/ミヒャエル・ハネケ
平均評価点:
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全体の平均評価点: (5点満点)
(36)
解説・ストーリー
「ピアニスト」の鬼才ミヒャエル・ハネケ監督が、北ドイツの田舎町を舞台に人間の心の闇を痛烈に描き出すミステリー・ドラマ。カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞作。第一次世界大戦前夜、北ドイツの小さな田舎町。地主である男爵が支配するこの町で、ある日、帰宅途中のドクターが落馬して大けがを負う。道に張られていた細い針金が原因だった。その次には、男爵の製材所で女性の事故死が発生する。さらに、男爵のキャベツ畑が荒らされ、挙げ句に男爵の息子が行方不明になる。犯人がわからぬまま、敬虔な村人たちの間に不安と不信が拡がり、次第に村は重苦しく張り詰めた空気に覆われていく。 JAN:4562227880996
「ピアニスト」の鬼才ミヒャエル・ハネケ監督が、北ドイツの田舎町を舞台に人間の心の闇を痛烈に描き出すミステリー・ドラマ。カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞作。第一次世界大戦前夜、北ドイツの小さな田舎町。地主である男爵が支配するこの町で、ある日、帰宅途中のドクターが落馬して大けがを負う。道に張られていた細い針金が原因だった。その次には、男爵の製材所で女性の事故死が発生する。さらに、男爵のキャベツ畑が荒らされ、挙げ句に男爵の息子が行方不明になる。犯人がわからぬまま、敬虔な村人たちの間に不安と不信が拡がり、次第に村は重苦しく張り詰めた空気に覆われていく。 JAN:4562227880996
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「白いリボン」 の解説・あらすじ・ストーリー
解説・ストーリー
「ピアニスト」の鬼才ミヒャエル・ハネケ監督が、北ドイツの田舎町を舞台に人間の心の闇を痛烈に描き出すミステリー・ドラマ。カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞作。第一次世界大戦前夜、北ドイツの小さな田舎町。地主である男爵が支配するこの町で、ある日、帰宅途中のドクターが落馬して大けがを負う。道に張られていた細い針金が原因だった。その次には、男爵の製材所で女性の事故死が発生する。さらに、男爵のキャベツ畑が荒らされ、挙げ句に男爵の息子が行方不明になる。犯人がわからぬまま、敬虔な村人たちの間に不安と不信が拡がり、次第に村は重苦しく張り詰めた空気に覆われていく。 JAN:4562227880996
「白いリボン」 の作品情報
「白いリボン」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ
白いリボンの詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
144分 |
日 |
独:ドルビーデジタル5.1ch |
レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
|
MPF10591 |
2011年06月24日
|
在庫枚数 |
1位登録者: |
2位登録者: |
22枚
|
1人
|
0人
|
白いリボンの詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
144分 |
日 |
独:ドルビーデジタル5.1ch |
レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
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MPF10591 |
2011年06月24日
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在庫枚数 |
1位登録者: |
2位登録者: |
22枚
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1人
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ユーザーレビュー:36件
悪意の“内部被曝”
投稿日:2011/07/17
レビュアー:港のマリー
ネタバレあり。
ハネケにしては節度のある端正な表現、突然家族総出でものを壊したり、ナイフで自分の首を切ったりはしない。
確かに「すでに古典」との評はうなずける。
しかしながらフェリーニやキューブリックやニューシネマのいくつかの作品のように、心から手放しで愛せるか、感覚が喜び、理性が納得し、情動が共振するかと言えば、明らかにノー。
でも気になる、後々まで残る。私は深夜一気に見て、次の晩も同じことをして、三夜目だってやろうと思えばそうできた。緊張感の持続と挑発的な問いの連続は、ハネケならではのもの、そこは変わらずすごい。
第一次世界大戦前年の、ドイツの片田舎の村を舞台に、ナチス台頭の精神風土の源流に迫るという触れ込みからすぐわかるテーマは、権威主義教育、及びパターナリズム批判。
20世紀初頭のドイツの農村は封建時代そのままに、男爵が経済的に、牧師が精神的に村人に君臨する階級社会だった。社会の強固な上下関係はそのまま家庭に再現され、父親の権威は絶対、体罰は当然、子どもの言い分などまったく聞き入れられない。子どもは、女性は、貧しい小作人は、さも当然のことのように無視され侮辱され殴られる。
しかもその権威の側も空虚で病んでいる。男爵家も牧師一家も、ドクターの家など特に、だ。
歪みが生じるのは当然だろう。しかし怒り、恨み、復讐心は直接「権威」に向かうのではない。屈折し悪意は内部で発酵してより毒性を強め、抵抗できない弱い存在が暴力の血祭りにあげられる。カーリのような。
この映画の子どもたちは哀れであると同時に怖い。白いリボンの純潔さとはうらはらに皆幼くして心砕かれ、すでに罪にまみれている。あの年で疲れ切って死への止みがたい志向すらある。親の権威を振りかざし躾けと称して容赦なく鞭で叩くような教育が、いかに有害か。
20年後ヒトラーはこの子どもたちの屈折した悪意を完全に組織する。
いや、しかし、それだけかと、私は疑う。ハネケはこんな直球投手だったか。言いたいことは別にあるのではないか。
思いついたのが、唯一毒のない善人である(かのようにみえる)本作の語り手、村の教師の存在だ。
彼の、男爵家の乳母だったエヴァに対する愛は微笑ましい。村に起こった不穏な出来事の真相をそれなりに突き止めようとはする。しかし結局、戦争を機にそれ以上の追及はせず村を離れる。
何ひとつ解決していないのに、戦争の始まりに高揚して村人全員、お偉方たちも揃って教会に集うラストシーン、あの溶暗する画面は身震いするほど見事だった。
それに彼は戦争を、エヴァとの結婚が早まるのではないかと、不謹慎にも歓迎したりする。私生活第一主義の小市民ぶり、俗物ぶり。さらに彼は教え子の夢の話を警察に告げた。警察がどんな調べ方をするのかはわかりそうなものだから、私には教え子を「売った」としか、思えなかった。
彼の行動は軽率で思慮に欠ける。ナチスはこういう「自分の悪意を意識しない」人物たちによっても支えられたのではないのか。
あの教師はハネケの仕掛けた罠の一つではないかと、思うのである。罠はまだまだありそう。例えば父に小鳥を差し出す牧師の末っ子の優しさなんか・・・映画は体内に留まって悪意を放ち続ける。
モノクロ画面はロングショットがよかった。麦畑も雪野原も小作人の葬列も深夜の捜索のたいまつも。カメラが近付く場面ではドアを開けた時の部屋の闇の表現が深い。
人間の感情の醜く歪むさまをこれでもかと凝視している点では、ベルイマンに似ているのだけれど、ハネケの方がうんと知的な感じがする。別の言い方をすればベルイマンと違ってハネケは、醜くない感情、愛を、とくに求めてはいないようだ。
この映画は最初から最後まですべてハネケによってコントロールされている。自分の意図を超えて突き抜ける部分が映画にはない(ように見える)。
そこが不満。感じ取れないだけかもしれないが。
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26人の会員が気に入ったと投稿しています
片田舎の平和の村に迫りつつある不穏な空気
この映画を見終わった時、私はものすごい疲労感にとらわれました。と同時になんてハネケらしい映画だろうと思いました。
しかも、映画の中では散々いろいろな事件が起きたのにも関わらず、ラストは「何だかなぁ」と思わずにはいられませんでした。全編モノクロで制作された映画ということもあり、何だかどんよりした重い空気に包まれ、何とも嫌な後味を感じ、ため息をつきながら映画館を後にしました。
が決して面白くないという訳ではありません。
村ではむごたらしい残虐行為や、大人たちの欺瞞が招く事件が絶えず巻き起こっていました。その犠牲となるのは多くは小作人など階級の低い人たちや、その妻や子供たち。即ち、当時の社会における社会的弱者たちなのです。
しかし、大人の男たちは都合の悪いものには完全に蓋をして見て見ぬふりをしています。おかしいと思っていてもそれを口には出さず、教会や雇い主の前ではだんまりを決め込んでいます。しかし、その裏では、自らの閉塞感のはけ口として女性や子供を虐待し、暴力で抑えつけたりしています。何だか最低な男たちで、ちょっと嫌悪感をも感じました。それは家庭内のしつけレベルから人命にかかわるものまで。明らかにおかしな行動を取る男たち。
そんな状況で、村にはどこか歪んだ陰険で不穏な空気が蔓延しています。村人たちは、その不穏な空気の原因を作った者を探すふりをするのですが、誰一人真実を語ることはせず、全く結論は出ません。そうこうしているうち村を出ていった人間が出ると、彼らにすべての責任をなすりつけ、まるで何事も起こらなかったかのように。。。
古い習慣と宗教の締め付けが、何かを、もたらす状況の素であることを感じずにはいられません。
第一次世界大戦の足音が聞こえる状況で、ナチズムを台頭させる土台作りとは、こういう事を言うのでしょうか?
まるで村人全員が同罪であると言わんばかりです。この不穏な空気が大戦に繋がっていったのでしょうか?
片田舎の小さな平和な村に、不安な状況の足音が不気味に迫ってきているのを、如実に物語っています。
ハネケ監督の真骨頂は、決定的な場面を見せることなく、映像上の現象の背後に渦巻く得体の知れない「何か」をあぶり出す点にあるような気がします。
住民が次々と消えたり死んだりするこの呪われた村のミステリー劇では、ハネケ監督の演出が絶大な効果を発揮し、全編に異常な緊迫感がみなぎっています。
エピソードの積み重ねで、見るものをゾクゾクさせるものを持っているような気がします。
不穏なムード満々の北ドイツの村で展開するどろどろの人間モザイク模様。
神の存在または不在を感じさせるモノクロームの映画には、世界のゆるやかな崩壊を透徹したイジワル目線で描き切る完成度は、やっぱり凄いと思います。
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18人の会員が気に入ったと投稿しています
無音で始まり、無音で終わる。間にあるものは不快な雑音・・・
※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
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『キックアス』を観たついでに、ミヒャエル・ハネケ監督の最新作にして、カンヌ映画祭パルムドール受賞作品の『白いリボン』を観てきました!
『キックアス』→『白いリボン』・・・振り幅でかっ!!!
えー・・・良い作品です・・・が、結構重いです・・・
いつもに増して直接的(?)な不快さは無いので、誰でも問題なく観れる作品なんすけど、
かなり深く人間を描いておきながら、諦めにも近い感じで人間を突き放した作品なので、かなり好みが分かれる作品かもしれません・・・。
【なにがネタバレになる難しい作品ですが、観方に影響を与えてしまうかも知れませんので、真っ白な状態で観たい方は読まないでください】
無音で始まり、人間を映し出し、無音で終わる。
無音の中に、人間が映し出され始めると、たちまちノイズが発生し、空気は澱み、汚れていく・・・
ラストで無音へと戻るとき、なんて人間の居ない無音が美しく汚れていないかを思い知らされる・・・
この映画には、一応ストーリーの核となる事件が存在し、主人公の教師が存在し、戦前ドイツ、小さな田舎町、などの設定が存在する。
しかし、全ては象徴的に存在するだけであり、細かい説明は何もされない。
この映画は、距離感、位置関係、時間経過、人間関係、時代背景、など全てがあやふやに映し出されている。
観客が一点だけを注視することが無い様に細心の注意を払って個性を消している。
誰がどうという個の問題ではなく、時代や場所の問題でもない。
ごくごくありきたりな人間の行動を、冷静に客観的に映し出すだけ・・・
解決策を提示することもなく・・・
人間の在り方を問うわけでもない・・・
ハネケはただ提示するのみ・・・
コレが人間です・・・
コレが人間です・・・
コレがノイズです・・・
◇◆◇
どのように捉ええるかは人それぞれであり、どのように観なければいけないということは無いので、
このレビューもまた一人の人間の感じた一つの観方に過ぎないと思ってください((φ(・д・。)
個人的に、ハネケの作品の中では一番見やすくて、一番面白かったですね(」°□°)」<マジで!?
まぁ、始まって15分ほどで、前から寝息が聞こえて、始まって30分ぐらいで後ろから寝息が聞こえてたので、ほんとに感じ方は人それぞれですが(((((((ノ・д・)ノ
個人的満足度 78点! オススメ度 70点!
このレビューは気に入りましたか?
17人の会員が気に入ったと投稿しています
白い不浄のリボン
投稿日:2011/12/23
レビュアー:まみもぉ
ハネケ顔の少年。
無表情なその頬には涙。
左腕には作品タイトルの白いリボン。
モノクロのこのジャケ写、作中のワンシーンですが、
この作品のないようである真意そのもの…のように見えます。
”そういうことなんです”という、注釈声も聞こえてくるようです。
黒の薄い寒々としたモノクロ映像は美しいです。
白いリボンのための黒。
アンゲロプロス作品の黒と真逆。
あたたかみというか、希望のない黒です。
こうい村は世界中どこにでも、今もあると思います。
一見、長閑で穏やかな田舎の人々、
助け合ってはいますが、コミュニケーションは要所要所で断絶されている。
噂話と憶測で充満していても破裂はしないのは、
時々訪れるヨソモノがたまったガスを抜いてくれるから。
ここでのヨソモノは、クリスチャンとエヴァ。
クリスチャンの回想語りでお話しは始まります。ということはあの後、生き続けたということ。
エヴァといっしょでなくひとりで?
それにしても、仕立て屋とエヴァ…。
後にこの村のある国を支配する独裁者とその愛人を連想させる微妙な設定、
で、そのふたりがこの村のヨソモノとは。
様々な細部が、隅からスミまで綿密に織り込まれていて、観ていて次第に重くしんどくなっていく…。
ハネケ監督の手中に取り込まれていく不愉快な快感も、久しぶり。
今までのハネケ作品が様々な方向から、ここへ、この村に流れ込んできて、
混ざりながら溜まっていくような感じでした。
ハネケ監督お得意の不快な暴力シーンも今までとは違う重苦しさでした。
見せてくれないのですから。
語られるだけの暴力シーン。
様々なリアルをも超越しだ暴力グロ映像ありますが、
目を背けたくなるようなそれら映像は、
目を背けることができる映像。
それすらできない暴力シーン。
しかも、無垢なる子供を媒体として。
見せつけらるより、見えないことでそのシーンを想像させられ、不快なストレスがたまっていきます。
ここまでして、
映画作品として伝えたかったものは?
史実としてあるこの先の悲劇の土台は、このように作られました、ということでしょうか。
小鳥を亡くした父親に純粋に同情しながら、
怯えたつぶらな瞳のグスティのその後は想像に耐え難い。
村人と並列して賛美歌を歌う牧師のラストは、とどめの重石。
硬い鋼のような糸で織り込まれ、仕上がった肌触りだけは柔らかい織物。
柔らかいその感触ののまま、身にまとえば重みであっというまに潰される。
潰されました…ので、もうちょっと強くなって、しっかりと踏ん張って観たい、たぶん、傑作です。
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13人の会員が気に入ったと投稿しています
抑圧と非寛容
第1次世界大戦がはじまる頃の、ドイツの小さな村。
村の医者の落馬事故に続き、次々と起こる不可解な出来事が、新任教師の目線で語られます。
ハネケの作品はそれほどたくさん観ているわけではありませんが、これらの不可解な事件の顛末が全く明らかにされずに映画は終わり、観客は放り出されてしまうところが、いかにもハネケなのかなと思ったりしました。
子供たちの腕に巻かれた白いリボン。
「白」は純真で無垢だということの象徴で、「いいこと」だと思い込んでいた私は、リボンが無知で未熟で矯正されるべき存在を象徴しているということに、軽いショックを覚えました。
抑圧と非寛容。
リボンを巻かれた子供たちは、大人が考える理想的な子供に矯正されてゆくのですが、絶対的な存在の大人たちが決して高潔ではなく、むしろ影では人間として許せないような行為を平気でしていたりするのです。その理不尽さが子供たちの上に暗くのしかかります。
小さな村の、とるに足らないような出来事。しかし、重苦しい空気は小さな村から少しずつ広がってゆく。ドイツという国がこのあと進む暗い歴史の事実に繋がってゆくのだと思わされました。
このレビューは気に入りましたか?
11人の会員が気に入ったと投稿しています
ユーザーレビュー
悪意の“内部被曝”
投稿日
2011/07/17
レビュアー
港のマリー
ネタバレあり。
ハネケにしては節度のある端正な表現、突然家族総出でものを壊したり、ナイフで自分の首を切ったりはしない。
確かに「すでに古典」との評はうなずける。
しかしながらフェリーニやキューブリックやニューシネマのいくつかの作品のように、心から手放しで愛せるか、感覚が喜び、理性が納得し、情動が共振するかと言えば、明らかにノー。
でも気になる、後々まで残る。私は深夜一気に見て、次の晩も同じことをして、三夜目だってやろうと思えばそうできた。緊張感の持続と挑発的な問いの連続は、ハネケならではのもの、そこは変わらずすごい。
第一次世界大戦前年の、ドイツの片田舎の村を舞台に、ナチス台頭の精神風土の源流に迫るという触れ込みからすぐわかるテーマは、権威主義教育、及びパターナリズム批判。
20世紀初頭のドイツの農村は封建時代そのままに、男爵が経済的に、牧師が精神的に村人に君臨する階級社会だった。社会の強固な上下関係はそのまま家庭に再現され、父親の権威は絶対、体罰は当然、子どもの言い分などまったく聞き入れられない。子どもは、女性は、貧しい小作人は、さも当然のことのように無視され侮辱され殴られる。
しかもその権威の側も空虚で病んでいる。男爵家も牧師一家も、ドクターの家など特に、だ。
歪みが生じるのは当然だろう。しかし怒り、恨み、復讐心は直接「権威」に向かうのではない。屈折し悪意は内部で発酵してより毒性を強め、抵抗できない弱い存在が暴力の血祭りにあげられる。カーリのような。
この映画の子どもたちは哀れであると同時に怖い。白いリボンの純潔さとはうらはらに皆幼くして心砕かれ、すでに罪にまみれている。あの年で疲れ切って死への止みがたい志向すらある。親の権威を振りかざし躾けと称して容赦なく鞭で叩くような教育が、いかに有害か。
20年後ヒトラーはこの子どもたちの屈折した悪意を完全に組織する。
いや、しかし、それだけかと、私は疑う。ハネケはこんな直球投手だったか。言いたいことは別にあるのではないか。
思いついたのが、唯一毒のない善人である(かのようにみえる)本作の語り手、村の教師の存在だ。
彼の、男爵家の乳母だったエヴァに対する愛は微笑ましい。村に起こった不穏な出来事の真相をそれなりに突き止めようとはする。しかし結局、戦争を機にそれ以上の追及はせず村を離れる。
何ひとつ解決していないのに、戦争の始まりに高揚して村人全員、お偉方たちも揃って教会に集うラストシーン、あの溶暗する画面は身震いするほど見事だった。
それに彼は戦争を、エヴァとの結婚が早まるのではないかと、不謹慎にも歓迎したりする。私生活第一主義の小市民ぶり、俗物ぶり。さらに彼は教え子の夢の話を警察に告げた。警察がどんな調べ方をするのかはわかりそうなものだから、私には教え子を「売った」としか、思えなかった。
彼の行動は軽率で思慮に欠ける。ナチスはこういう「自分の悪意を意識しない」人物たちによっても支えられたのではないのか。
あの教師はハネケの仕掛けた罠の一つではないかと、思うのである。罠はまだまだありそう。例えば父に小鳥を差し出す牧師の末っ子の優しさなんか・・・映画は体内に留まって悪意を放ち続ける。
モノクロ画面はロングショットがよかった。麦畑も雪野原も小作人の葬列も深夜の捜索のたいまつも。カメラが近付く場面ではドアを開けた時の部屋の闇の表現が深い。
人間の感情の醜く歪むさまをこれでもかと凝視している点では、ベルイマンに似ているのだけれど、ハネケの方がうんと知的な感じがする。別の言い方をすればベルイマンと違ってハネケは、醜くない感情、愛を、とくに求めてはいないようだ。
この映画は最初から最後まですべてハネケによってコントロールされている。自分の意図を超えて突き抜ける部分が映画にはない(ように見える)。
そこが不満。感じ取れないだけかもしれないが。
片田舎の平和の村に迫りつつある不穏な空気
投稿日
2011/07/13
レビュアー
ミルクチョコ
この映画を見終わった時、私はものすごい疲労感にとらわれました。と同時になんてハネケらしい映画だろうと思いました。
しかも、映画の中では散々いろいろな事件が起きたのにも関わらず、ラストは「何だかなぁ」と思わずにはいられませんでした。全編モノクロで制作された映画ということもあり、何だかどんよりした重い空気に包まれ、何とも嫌な後味を感じ、ため息をつきながら映画館を後にしました。
が決して面白くないという訳ではありません。
村ではむごたらしい残虐行為や、大人たちの欺瞞が招く事件が絶えず巻き起こっていました。その犠牲となるのは多くは小作人など階級の低い人たちや、その妻や子供たち。即ち、当時の社会における社会的弱者たちなのです。
しかし、大人の男たちは都合の悪いものには完全に蓋をして見て見ぬふりをしています。おかしいと思っていてもそれを口には出さず、教会や雇い主の前ではだんまりを決め込んでいます。しかし、その裏では、自らの閉塞感のはけ口として女性や子供を虐待し、暴力で抑えつけたりしています。何だか最低な男たちで、ちょっと嫌悪感をも感じました。それは家庭内のしつけレベルから人命にかかわるものまで。明らかにおかしな行動を取る男たち。
そんな状況で、村にはどこか歪んだ陰険で不穏な空気が蔓延しています。村人たちは、その不穏な空気の原因を作った者を探すふりをするのですが、誰一人真実を語ることはせず、全く結論は出ません。そうこうしているうち村を出ていった人間が出ると、彼らにすべての責任をなすりつけ、まるで何事も起こらなかったかのように。。。
古い習慣と宗教の締め付けが、何かを、もたらす状況の素であることを感じずにはいられません。
第一次世界大戦の足音が聞こえる状況で、ナチズムを台頭させる土台作りとは、こういう事を言うのでしょうか?
まるで村人全員が同罪であると言わんばかりです。この不穏な空気が大戦に繋がっていったのでしょうか?
片田舎の小さな平和な村に、不安な状況の足音が不気味に迫ってきているのを、如実に物語っています。
ハネケ監督の真骨頂は、決定的な場面を見せることなく、映像上の現象の背後に渦巻く得体の知れない「何か」をあぶり出す点にあるような気がします。
住民が次々と消えたり死んだりするこの呪われた村のミステリー劇では、ハネケ監督の演出が絶大な効果を発揮し、全編に異常な緊迫感がみなぎっています。
エピソードの積み重ねで、見るものをゾクゾクさせるものを持っているような気がします。
不穏なムード満々の北ドイツの村で展開するどろどろの人間モザイク模様。
神の存在または不在を感じさせるモノクロームの映画には、世界のゆるやかな崩壊を透徹したイジワル目線で描き切る完成度は、やっぱり凄いと思います。
無音で始まり、無音で終わる。間にあるものは不快な雑音・・・
投稿日
2011/05/25
レビュアー
KASPAR
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『キックアス』を観たついでに、ミヒャエル・ハネケ監督の最新作にして、カンヌ映画祭パルムドール受賞作品の『白いリボン』を観てきました!
『キックアス』→『白いリボン』・・・振り幅でかっ!!!
えー・・・良い作品です・・・が、結構重いです・・・
いつもに増して直接的(?)な不快さは無いので、誰でも問題なく観れる作品なんすけど、
かなり深く人間を描いておきながら、諦めにも近い感じで人間を突き放した作品なので、かなり好みが分かれる作品かもしれません・・・。
【なにがネタバレになる難しい作品ですが、観方に影響を与えてしまうかも知れませんので、真っ白な状態で観たい方は読まないでください】
無音で始まり、人間を映し出し、無音で終わる。
無音の中に、人間が映し出され始めると、たちまちノイズが発生し、空気は澱み、汚れていく・・・
ラストで無音へと戻るとき、なんて人間の居ない無音が美しく汚れていないかを思い知らされる・・・
この映画には、一応ストーリーの核となる事件が存在し、主人公の教師が存在し、戦前ドイツ、小さな田舎町、などの設定が存在する。
しかし、全ては象徴的に存在するだけであり、細かい説明は何もされない。
この映画は、距離感、位置関係、時間経過、人間関係、時代背景、など全てがあやふやに映し出されている。
観客が一点だけを注視することが無い様に細心の注意を払って個性を消している。
誰がどうという個の問題ではなく、時代や場所の問題でもない。
ごくごくありきたりな人間の行動を、冷静に客観的に映し出すだけ・・・
解決策を提示することもなく・・・
人間の在り方を問うわけでもない・・・
ハネケはただ提示するのみ・・・
コレが人間です・・・
コレが人間です・・・
コレがノイズです・・・
◇◆◇
どのように捉ええるかは人それぞれであり、どのように観なければいけないということは無いので、
このレビューもまた一人の人間の感じた一つの観方に過ぎないと思ってください((φ(・д・。)
個人的に、ハネケの作品の中では一番見やすくて、一番面白かったですね(」°□°)」<マジで!?
まぁ、始まって15分ほどで、前から寝息が聞こえて、始まって30分ぐらいで後ろから寝息が聞こえてたので、ほんとに感じ方は人それぞれですが(((((((ノ・д・)ノ
個人的満足度 78点! オススメ度 70点!
白い不浄のリボン
投稿日
2011/12/23
レビュアー
まみもぉ
ハネケ顔の少年。
無表情なその頬には涙。
左腕には作品タイトルの白いリボン。
モノクロのこのジャケ写、作中のワンシーンですが、
この作品のないようである真意そのもの…のように見えます。
”そういうことなんです”という、注釈声も聞こえてくるようです。
黒の薄い寒々としたモノクロ映像は美しいです。
白いリボンのための黒。
アンゲロプロス作品の黒と真逆。
あたたかみというか、希望のない黒です。
こうい村は世界中どこにでも、今もあると思います。
一見、長閑で穏やかな田舎の人々、
助け合ってはいますが、コミュニケーションは要所要所で断絶されている。
噂話と憶測で充満していても破裂はしないのは、
時々訪れるヨソモノがたまったガスを抜いてくれるから。
ここでのヨソモノは、クリスチャンとエヴァ。
クリスチャンの回想語りでお話しは始まります。ということはあの後、生き続けたということ。
エヴァといっしょでなくひとりで?
それにしても、仕立て屋とエヴァ…。
後にこの村のある国を支配する独裁者とその愛人を連想させる微妙な設定、
で、そのふたりがこの村のヨソモノとは。
様々な細部が、隅からスミまで綿密に織り込まれていて、観ていて次第に重くしんどくなっていく…。
ハネケ監督の手中に取り込まれていく不愉快な快感も、久しぶり。
今までのハネケ作品が様々な方向から、ここへ、この村に流れ込んできて、
混ざりながら溜まっていくような感じでした。
ハネケ監督お得意の不快な暴力シーンも今までとは違う重苦しさでした。
見せてくれないのですから。
語られるだけの暴力シーン。
様々なリアルをも超越しだ暴力グロ映像ありますが、
目を背けたくなるようなそれら映像は、
目を背けることができる映像。
それすらできない暴力シーン。
しかも、無垢なる子供を媒体として。
見せつけらるより、見えないことでそのシーンを想像させられ、不快なストレスがたまっていきます。
ここまでして、
映画作品として伝えたかったものは?
史実としてあるこの先の悲劇の土台は、このように作られました、ということでしょうか。
小鳥を亡くした父親に純粋に同情しながら、
怯えたつぶらな瞳のグスティのその後は想像に耐え難い。
村人と並列して賛美歌を歌う牧師のラストは、とどめの重石。
硬い鋼のような糸で織り込まれ、仕上がった肌触りだけは柔らかい織物。
柔らかいその感触ののまま、身にまとえば重みであっというまに潰される。
潰されました…ので、もうちょっと強くなって、しっかりと踏ん張って観たい、たぶん、傑作です。
抑圧と非寛容
投稿日
2011/06/30
レビュアー
パープルローズ
第1次世界大戦がはじまる頃の、ドイツの小さな村。
村の医者の落馬事故に続き、次々と起こる不可解な出来事が、新任教師の目線で語られます。
ハネケの作品はそれほどたくさん観ているわけではありませんが、これらの不可解な事件の顛末が全く明らかにされずに映画は終わり、観客は放り出されてしまうところが、いかにもハネケなのかなと思ったりしました。
子供たちの腕に巻かれた白いリボン。
「白」は純真で無垢だということの象徴で、「いいこと」だと思い込んでいた私は、リボンが無知で未熟で矯正されるべき存在を象徴しているということに、軽いショックを覚えました。
抑圧と非寛容。
リボンを巻かれた子供たちは、大人が考える理想的な子供に矯正されてゆくのですが、絶対的な存在の大人たちが決して高潔ではなく、むしろ影では人間として許せないような行為を平気でしていたりするのです。その理不尽さが子供たちの上に暗くのしかかります。
小さな村の、とるに足らないような出来事。しかし、重苦しい空気は小さな村から少しずつ広がってゆく。ドイツという国がこのあと進む暗い歴史の事実に繋がってゆくのだと思わされました。
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