スプリング・フィーバー

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スプリング・フィーバー / チン・ハオ

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「スプリング・フィーバー」 の解説・あらすじ・ストーリー

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解説・ストーリー

前作「天安門、恋人たち」で中国当局から5年間の映画製作禁止処分を受けたロウ・イエ監督が、家庭用デジタルカメラでゲリラ的に撮り上げた作品。どんな相手とも決して満たされることなく、愛を求めて彷徨い続ける5人の男女の姿を、同性愛というテーマにも果敢に踏み込みつつ過激な性愛描写と共に描き出していく。中国の古都、南京。夫ワン・ピンの浮気を疑う女性教師リン・シュエは、探偵ルオ・ハイタオに調査を依頼する。ほどなく、相手がジャン・チェンという青年と判明、妻は激昂し夫婦の関係は破綻、ワン・ピンとチェンも破局を迎える。一方、ハイタオは恋人リー・ジンという存在がありながらチェンに興味を抱き、いつしかお互いに惹かれ合っていくのだが…。

「スプリング・フィーバー」 の作品情報

作品情報

製作年: 2009年
製作国: 中国/フランス
原題: SPRING FEVER/春風沈酔的晩上
受賞記録: 2009年 カンヌ国際映画祭 脚本賞

「スプリング・フィーバー」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ

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1〜 5件 / 全7件

啓蟄の頃 咲くはあだ花

投稿日:2011/04/28 レビュアー:ひろぼう

人がひとを好きになることの、どうしようもなさを描いた作品だと思います。
それが異性であれ同性であれ好きになってしまったら止められない、たとえ
我が身が滅ぼうとも、好きな人と一緒にいられるこの瞬間を刹那に生きる、
ただそのためにだけ命は存在すると訴えかけるような作品でした。
主人公を同性愛者にしたのは、極端な例としての演出なのでしょう。なので、
過激なまでの性描写があり、これに反感を持たれる方もいらっしゃるのでは
と危惧しました。
しかし、迷いなく性愛の激しさを描写するには確固たる意志があり、それは、
上記した、身を滅ぼすまでの激情を表現するには必要だと、考えたうえでの
演出なのです。決して、下世話な興味本位だけの描写ではないと感じました。

セリフは比較的少なく、ゲリラ撮影のためか画質の悪い映像ですが、多くの
シーンにクローズアップを用い、それでもって役者の表情から内面を語らせ
ようとしているようです。
作品の基調は、ざらついた青みがかった暗い画像から、語られる内容から、
常に悲愁感を漂わせます。

春は生命の息吹を一番力強く感じる時季。そのうち啓蟄と呼ばれる一節気は、
冬籠りをしていた虫が地上へと這い出る時季。
虫は、人にとってはちっぽけな存在で、見た目は醜い場合が多い。そして、
長く厳しい冬の時季を堪え、夏を迎える前に短い生涯を終える。
その時季に咲く花は、多くは綺麗な花をつけ実を結び、次の世代へと栄華を
受け継がせる。
しかし、この物語で咲くはあだ花。必ずしも美しいとは思われず、種子を次
へと託すこともできず、ひたすら華美に、一夜の楽しみだけを追い求め散り
逝く花。

春の息吹に酔いしれる、ただそれだけの物語なのかもしれません。★4

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春風沈酔的晩

投稿日:2011/03/05 レビュアー:よふかし

 春風沈酔的晩――なんともうっとりする文字の連なりではないだろうか。『スプリング・フィーバー』も悪くはないけれど、原題には、春の夜の甘い香りに誘われて、ふらふらと彷徨い歩く、ついそんな情景が目に浮かぶ。いやこの「春風」は、そんなロマンチックにやわらかくはなく、荒っぽく、痛んだ心を揺り動かす。もしかしたら、吹き飛んでしまう。
 トム・フォードの『シングルマン』と同時期に上映していたのには、ちょっと奇妙なシンクロニシティが感じられた。どちらも同性愛が取り上げられているということはもちろんだけど、それ以上に、都会の孤独な精神のあり方が、どこか共通するようにも思えた。
 端正なプロフィールの『シングルマン』は、もう一度見直してから感想が書けると思う。映像のルックは似ても似つかない。『スプリング・フィーバー』は、ハンディなビデオカメラでゲリラ撮影したそうで、荒々しくザラついている。
 妻―夫―孤独な男―探偵―その恋人。
 急速に近代化――いや消費社会が進んだ中国で、喪失感を抱える男と女、5人の物語。
 たとえばジャ・ジャンクーが現代中国を描くとき、それがドキュメンタリーであろうと劇映画だろうと、中国の歴史や大地に根差した悠然としたリズムを刻んでいるような気がする。
けれども、ロウ・イエのこの映画や前作にあたる『天安門、恋人たち』はそんな中国の大地や歴史から切り離されて、ふわふわと漂うようだ。突然、根なし草になって旅することになる若者たちの視線は焦点が定まらず、横顔には未来への希望や喜びよりも、哀しみが浮かんでいる。激しく、むさぼるような性描写は、悦びよりも、美しさよりも、やはり痛々しい。このヒリヒリとした、いまを生きることの切なさは、近頃の映画のなかでは抜きん出ているように思った。75点。

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長所がみつからなかった。

投稿日:2015/03/30 レビュアー:カマンベール

セリフが極端に少ない。画質が荒い。映像が暗い。
挿入される役者のカラオケがヘタ過ぎる。
漢詩だか、詩だかが、やたらと、言ってることが旧い。
女性2人の顔の区別と男性2人の役者の顔の区別が付かない。
1人だけは目鼻立ちがクッキリしてるので、まあ区別はつくけれど。

と退屈でした。他人事です。
それだけ、現実味がないのでしょう。
公開から5年以上経て、鮮度が落ち、賞味期限が切れた映画でした。

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痛い、めっちゃ痛い

投稿日:2011/04/22 レビュアー:蘭丸

ロウ・イエに関して、何の知識もなく、鑑賞しました。

最初、画面がえらくグラグラ、ゆらゆらする感じを受けて、おまけにザラっとした質感が「昔の映画みたい」と思たりしました。
あとで、特典映像を見て、あんな経緯があったんを知り、なるほどな、って思った。

冒頭から激しい男男のラブシーンで、「お〜!」と喜びましたが(笑)、画面が暗くてその後に出てくる登場人物の見分けが、自分は最初難しかった。
夫・ワンピンの浮気相手で恋人のジャン・チョン、ワンピンの浮気を疑って探偵(もどき?)に調査依頼する妻のリン・シュエ、2人を調査してる内にジャンに魅かれるルオ・ハイタオ・その彼の恋人リー・ジン。
この5人が、色々と絡み合っていくんやけど、痛々しいのんは、2人の女達。
どっちも男であるジャンに、夫や恋人を取られてまう。
確かにジャンは、正体のわからんセクシーな男。見かけもかっこいい。イラっとしたんが、ハイタオ。こいつ、ジャンかリー・ジンかはっきりせえへん!気持ち的にはジャンなんやろうけど、リージンの前では、そんな風に見せへん。結局、気付くのは女のほうで、潔いんも、女の方やった。

この作品、登場人物が自分の気持ちを言葉で説明する場面が殆んどない。だから、必死で画面に見入って、感情を読み取らなあかん。だから、見るだけで疲れました。
そして、5人の心も体も、‘痛い’!気持ちもセックスも喪失感も、何もかも「痛い…」と感じました。

まだまだ同性愛がタブー視されてる中国で、ここまでの作品を作ったのは凄いですね。
最後の、ジャンだけのシーンはまたその他の人達のその後を想像するのに、難しかった。

めっちゃ、集中して、ご鑑賞ください(笑)

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退廃と熱気と

投稿日:2012/12/16 レビュアー:港のマリー

冒頭の男同士の激しいラブシーンに喧嘩を売られたような気分になった。何だ?『光音座』にかかるような映画なのか!
でもこれを買わなければ先には進めない。
結論として買ってよかった。性と愛の衝動は映画の普遍的なテーマ、美しく幸せに描くこともできれば苦しみや痛みに焦点を合わせて表現されることもある。
本作は“痛み”の映画として秀逸。格闘技のようにからだを絡ませ合う男たちには、愛を確かめるのではなく、自分のなかの孤独と必死に闘っているような痛ましさがあった。
いくら肉体を密着させてもけっして埋まることのない孤独。ワンの妻は、夫を奪った男ジャンに、男同士の愛なんてしょせん「白昼夢よ」と吐き捨てる。
ゲイのカップルを設定したことは、孤立感や孤独感、成就することのない白昼夢のような虚しさを際立たせるためか。
しかし虚しさに気付けばそれだけ、もっともっとと、絶望的に相手にすがり求める。古書店を営むロマンティックなワンは、それで自滅していった。
その一途さ、純情もまことに痛い。
いっぽう、旅行代理店に勤めつつ夜はゲイクラブに通うジャンは、別の相手との白昼夢を求めてさまよい続ける。
映画の後半は、ジャンと探偵のルオ、ルオの恋人リー・ジンとの三人旅。ルオはジャンによって目覚めさせられたかたちだが、いわゆるバイセクシュアルであったらしい。
ジャンとリーのあいだで揺れ、リーもまたジャンとルオとの関係を知って悩む。張りつめた気まずい旅は、カラオケボックスで三人、同じ歌を歌うことによって均衡を得たと思われたが、結局は破綻する。ジャンは再び独りになる。この過程のいたたまれない気まずさも、ちくちくと痛い。
絆だなんて、そうかんたんには言えない。どうしようもなく傷つけあってしまい、相手は泣きながら去っていく。こちらも泣いて、でも止めようとはしない場合だってある。粗い映像、野暮ったい演出が、逆に真に迫る。人生はそんなイタイ関係のくり返しだ。
政府によって映画制作を禁じられた中国の監督の問題作、という肩書きはいったん括弧に入れて、孤独の痛みと喪失感と、それでも愛を求めてさすらい続ける魂の物語として見て忘れがたい印象を残した。

南京の街並みが古びているせいか、ファッションがいまいち垢抜けないためか、携帯電話の登場する70年代の映画といった雰囲気。
そういえば本作に出てくる人々は、みなせかせかして、いら立ち、怒り、叫び、よく泣く。うっとりと酔うような春の夜に、夜通し町を彷徨するといった退廃的で気怠い気分の裏に、高度経済成長社会中国の喧噪と熱気を、確かに感じる。
賄賂が横行し警察では拷問まがいのことが行われているらしいこともちらりと出てくる。
個人としての人間のあり方を、性というもっともパーソナルな領域に限って描きながら、社会が透けて見えるのもお国柄か。

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スプリング・フィーバー

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啓蟄の頃 咲くはあだ花

投稿日

2011/04/28

レビュアー

ひろぼう

人がひとを好きになることの、どうしようもなさを描いた作品だと思います。
それが異性であれ同性であれ好きになってしまったら止められない、たとえ
我が身が滅ぼうとも、好きな人と一緒にいられるこの瞬間を刹那に生きる、
ただそのためにだけ命は存在すると訴えかけるような作品でした。
主人公を同性愛者にしたのは、極端な例としての演出なのでしょう。なので、
過激なまでの性描写があり、これに反感を持たれる方もいらっしゃるのでは
と危惧しました。
しかし、迷いなく性愛の激しさを描写するには確固たる意志があり、それは、
上記した、身を滅ぼすまでの激情を表現するには必要だと、考えたうえでの
演出なのです。決して、下世話な興味本位だけの描写ではないと感じました。

セリフは比較的少なく、ゲリラ撮影のためか画質の悪い映像ですが、多くの
シーンにクローズアップを用い、それでもって役者の表情から内面を語らせ
ようとしているようです。
作品の基調は、ざらついた青みがかった暗い画像から、語られる内容から、
常に悲愁感を漂わせます。

春は生命の息吹を一番力強く感じる時季。そのうち啓蟄と呼ばれる一節気は、
冬籠りをしていた虫が地上へと這い出る時季。
虫は、人にとってはちっぽけな存在で、見た目は醜い場合が多い。そして、
長く厳しい冬の時季を堪え、夏を迎える前に短い生涯を終える。
その時季に咲く花は、多くは綺麗な花をつけ実を結び、次の世代へと栄華を
受け継がせる。
しかし、この物語で咲くはあだ花。必ずしも美しいとは思われず、種子を次
へと託すこともできず、ひたすら華美に、一夜の楽しみだけを追い求め散り
逝く花。

春の息吹に酔いしれる、ただそれだけの物語なのかもしれません。★4

春風沈酔的晩

投稿日

2011/03/05

レビュアー

よふかし

 春風沈酔的晩――なんともうっとりする文字の連なりではないだろうか。『スプリング・フィーバー』も悪くはないけれど、原題には、春の夜の甘い香りに誘われて、ふらふらと彷徨い歩く、ついそんな情景が目に浮かぶ。いやこの「春風」は、そんなロマンチックにやわらかくはなく、荒っぽく、痛んだ心を揺り動かす。もしかしたら、吹き飛んでしまう。
 トム・フォードの『シングルマン』と同時期に上映していたのには、ちょっと奇妙なシンクロニシティが感じられた。どちらも同性愛が取り上げられているということはもちろんだけど、それ以上に、都会の孤独な精神のあり方が、どこか共通するようにも思えた。
 端正なプロフィールの『シングルマン』は、もう一度見直してから感想が書けると思う。映像のルックは似ても似つかない。『スプリング・フィーバー』は、ハンディなビデオカメラでゲリラ撮影したそうで、荒々しくザラついている。
 妻―夫―孤独な男―探偵―その恋人。
 急速に近代化――いや消費社会が進んだ中国で、喪失感を抱える男と女、5人の物語。
 たとえばジャ・ジャンクーが現代中国を描くとき、それがドキュメンタリーであろうと劇映画だろうと、中国の歴史や大地に根差した悠然としたリズムを刻んでいるような気がする。
けれども、ロウ・イエのこの映画や前作にあたる『天安門、恋人たち』はそんな中国の大地や歴史から切り離されて、ふわふわと漂うようだ。突然、根なし草になって旅することになる若者たちの視線は焦点が定まらず、横顔には未来への希望や喜びよりも、哀しみが浮かんでいる。激しく、むさぼるような性描写は、悦びよりも、美しさよりも、やはり痛々しい。このヒリヒリとした、いまを生きることの切なさは、近頃の映画のなかでは抜きん出ているように思った。75点。

長所がみつからなかった。

投稿日

2015/03/30

レビュアー

カマンベール

セリフが極端に少ない。画質が荒い。映像が暗い。
挿入される役者のカラオケがヘタ過ぎる。
漢詩だか、詩だかが、やたらと、言ってることが旧い。
女性2人の顔の区別と男性2人の役者の顔の区別が付かない。
1人だけは目鼻立ちがクッキリしてるので、まあ区別はつくけれど。

と退屈でした。他人事です。
それだけ、現実味がないのでしょう。
公開から5年以上経て、鮮度が落ち、賞味期限が切れた映画でした。

痛い、めっちゃ痛い

投稿日

2011/04/22

レビュアー

蘭丸

ロウ・イエに関して、何の知識もなく、鑑賞しました。

最初、画面がえらくグラグラ、ゆらゆらする感じを受けて、おまけにザラっとした質感が「昔の映画みたい」と思たりしました。
あとで、特典映像を見て、あんな経緯があったんを知り、なるほどな、って思った。

冒頭から激しい男男のラブシーンで、「お〜!」と喜びましたが(笑)、画面が暗くてその後に出てくる登場人物の見分けが、自分は最初難しかった。
夫・ワンピンの浮気相手で恋人のジャン・チョン、ワンピンの浮気を疑って探偵(もどき?)に調査依頼する妻のリン・シュエ、2人を調査してる内にジャンに魅かれるルオ・ハイタオ・その彼の恋人リー・ジン。
この5人が、色々と絡み合っていくんやけど、痛々しいのんは、2人の女達。
どっちも男であるジャンに、夫や恋人を取られてまう。
確かにジャンは、正体のわからんセクシーな男。見かけもかっこいい。イラっとしたんが、ハイタオ。こいつ、ジャンかリー・ジンかはっきりせえへん!気持ち的にはジャンなんやろうけど、リージンの前では、そんな風に見せへん。結局、気付くのは女のほうで、潔いんも、女の方やった。

この作品、登場人物が自分の気持ちを言葉で説明する場面が殆んどない。だから、必死で画面に見入って、感情を読み取らなあかん。だから、見るだけで疲れました。
そして、5人の心も体も、‘痛い’!気持ちもセックスも喪失感も、何もかも「痛い…」と感じました。

まだまだ同性愛がタブー視されてる中国で、ここまでの作品を作ったのは凄いですね。
最後の、ジャンだけのシーンはまたその他の人達のその後を想像するのに、難しかった。

めっちゃ、集中して、ご鑑賞ください(笑)

退廃と熱気と

投稿日

2012/12/16

レビュアー

港のマリー

冒頭の男同士の激しいラブシーンに喧嘩を売られたような気分になった。何だ?『光音座』にかかるような映画なのか!
でもこれを買わなければ先には進めない。
結論として買ってよかった。性と愛の衝動は映画の普遍的なテーマ、美しく幸せに描くこともできれば苦しみや痛みに焦点を合わせて表現されることもある。
本作は“痛み”の映画として秀逸。格闘技のようにからだを絡ませ合う男たちには、愛を確かめるのではなく、自分のなかの孤独と必死に闘っているような痛ましさがあった。
いくら肉体を密着させてもけっして埋まることのない孤独。ワンの妻は、夫を奪った男ジャンに、男同士の愛なんてしょせん「白昼夢よ」と吐き捨てる。
ゲイのカップルを設定したことは、孤立感や孤独感、成就することのない白昼夢のような虚しさを際立たせるためか。
しかし虚しさに気付けばそれだけ、もっともっとと、絶望的に相手にすがり求める。古書店を営むロマンティックなワンは、それで自滅していった。
その一途さ、純情もまことに痛い。
いっぽう、旅行代理店に勤めつつ夜はゲイクラブに通うジャンは、別の相手との白昼夢を求めてさまよい続ける。
映画の後半は、ジャンと探偵のルオ、ルオの恋人リー・ジンとの三人旅。ルオはジャンによって目覚めさせられたかたちだが、いわゆるバイセクシュアルであったらしい。
ジャンとリーのあいだで揺れ、リーもまたジャンとルオとの関係を知って悩む。張りつめた気まずい旅は、カラオケボックスで三人、同じ歌を歌うことによって均衡を得たと思われたが、結局は破綻する。ジャンは再び独りになる。この過程のいたたまれない気まずさも、ちくちくと痛い。
絆だなんて、そうかんたんには言えない。どうしようもなく傷つけあってしまい、相手は泣きながら去っていく。こちらも泣いて、でも止めようとはしない場合だってある。粗い映像、野暮ったい演出が、逆に真に迫る。人生はそんなイタイ関係のくり返しだ。
政府によって映画制作を禁じられた中国の監督の問題作、という肩書きはいったん括弧に入れて、孤独の痛みと喪失感と、それでも愛を求めてさすらい続ける魂の物語として見て忘れがたい印象を残した。

南京の街並みが古びているせいか、ファッションがいまいち垢抜けないためか、携帯電話の登場する70年代の映画といった雰囲気。
そういえば本作に出てくる人々は、みなせかせかして、いら立ち、怒り、叫び、よく泣く。うっとりと酔うような春の夜に、夜通し町を彷徨するといった退廃的で気怠い気分の裏に、高度経済成長社会中国の喧噪と熱気を、確かに感じる。
賄賂が横行し警察では拷問まがいのことが行われているらしいこともちらりと出てくる。
個人としての人間のあり方を、性というもっともパーソナルな領域に限って描きながら、社会が透けて見えるのもお国柄か。

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