蜘蛛女

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　（本作もネタバレしないまま観たほうがよいです。未見の方は注意）

　ジョージ・シーゲル・スコットのほうの『チェンジリング』と並ぶ、ピーター・メダックの秀作の登場。予備知識なく映画館で観た時にはレナ・オリンの魅力にひっくり返りましたね。人を殺そうとしながらの高笑いがほんといいんですが、やっぱり、後ろ手に手錠をかけられたまま足でフロントガラスを蹴破り、書類を口にくわえて走り去っていくところが凄い。片方だけ残っていたヒールを宙に飛ばす瞬間が素晴らしい！　と思います。サイボーグか？　と思いました（笑）。
　このマフィアの女殺し屋モナ役のレナ・オリンがあんまり素晴らしいので、邦題も『蜘蛛女』とされてしまいました。彼女が見せつける美しい脚のイメージが、男を食いつくすようなメス蜘蛛のイメージなんでしょうね。ちなみに原題は『ロメオは出血中』。しかしま、ほんとは主人公はゲーリー・オールドマンで、ブルージーなムードたっぷりのダメ男ノワールなので、このタイトルで「エロ？」と思われてはもったいないと思います。
　意外にキャストも豪華なんですよ。オールドマンの妻にアナベラ・シオラ、愛人に若きジュリエット・ルイス。マフィアのボスにロイ・シャイダー。ジョージ・クロムウェルやチョイ役でロン・パールマンなんかも出てきます。ゲイリー・オールドマンはこの映画が僕はいちばん好きです。
　お話としては、ダメな汚職デカが破滅していくというもので、このチンピラ刑事が苦悩するところがナルシスティックなモノローグでつづられていくので、ちょっと鬱陶しく感じる人もいるかもしれませんね。妻も愛人もマフィアのボスも女殺し屋も、なんだかんだ言いながらみんなこのしょうもないチンピラ刑事のことを気にしてくれていて（なぜ？）、自己中心的でナルシスティックな主人公がとてもいいと思います。妻や愛人には相当ひどいことしているクズなんですけどね笑。彼が庭の穴に金を突っ込まずにいられないという性的とも思える強迫神経症のあたりをもうちょっと突っ込んでくれたら本当に傑作になったかもしれませんが……。
　ノワールらしく物語はちょっとヒネリ過ぎな感じもしますが、ダメ男の夢を見せられているようで、それはそれで面白いです。原題通り、かなり流血はありますし、随所にあるホラーっぽい演出もいいです。僕は『レザボア・ドッグス』は本作をずいぶん参考にしていると思います。
　オールドマンの家や、ＦＢＩが証人を匿う安ホテル、遊園地など、舞台も魅力的です。７５点。

ゲイリー出演作で気になってた映画。最近レンタル化されたんですね。

マフィアに裏情報を流して金を稼ぎ、
妻がいながら不倫もしてるというダメ警官ジャック。

ジャックは、マフィアのドンから、
組織内で敵対する女殺し屋モナを始末する仕事を依頼されますが・・・。

モナがえげつない、とんでもない悪女怪女！！！（汗
10代で殺しの味を知り、
マフィアの中では周りを蹴落として台頭してきた様子。
色気でジャックを絡め取るような場面も、なんだか恐ろしい。
そして、すごくパワフル。
手錠をかけられ流血してる状態で
ジャックが運転する車の後部座席に押し込まれても、
両足で運転席のジャックのクビをしめる！！！？？？
当然運転を誤り車をぶつけ、ジャックが朦朧としてる間、
足でガラスを蹴り破り、大金が入ったかばんを口にくわえて
そのまま逃げる。

マフィアのドンを始末する際
自分の手は下さずに、最終的にはジャックにやらせるあたり・・・
しかも、殺すんじゃなくて、生き埋めってのも、
えげつないです（笑

ダメ警官で、女をもてあそんできたジャックが、
とんでもない女に人生を翻弄されてしまった、ということでしょうか。

その後のジャックはすっかりおとなしくなった、というよりも
なにかまるで抜け殻のよう。
誰もいない家で、手にしたお金も葬ってしまい・・・。
妻が戻ってくるの待ってるんだろうか。
ジャックの表情だけは不思議と暗くなかったですけどね。
あのときに比べれば、今は孤独だけど静かだからかな。

モナを演じてる女優さん、本作とドラマ「エイリアス」
でしか観たことないんですが、
どちらも、パワフルで怖い女性でした・・・・・
エイリアスでも、１クセも２クセもある
かなり手ごわいシドニーの母さん役だったし。
顔つきからしてそういう役がハマるんでしょうね。

話の内容とか俳優の並びからしてゲイリーが主役っぽいんですが、
完全にモナ役のレナ・オリンのインパクト勝ちです。
そう考えると、「蜘蛛女」というダサい邦題もハズしてないですね。
なかなか面白かったです♪

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自分自身を奇妙な過去の持ち主だと語るジャック・グリマルディ(ゲイリー・オールドマン)は、現在”ジム”と名乗りダイナーのマスターをやっている。
そして、万年巡査部長で汚職デカ”ジャック”だった頃の波乱に飛んだ破滅的人生をしみじみと回想します・・・。

ジャックは万年巡査部長の生活から抜け出すため、ドン・ファルコーネ率いる犯罪組織の犬となり情報を提供していた。高額謝礼は誰も知られない庭のある場所に隠している。
私生活では妻ナタリー、愛人シェリーとまぁ幸せな毎日を送っていた。しかし、そんな生活が続くわけがない。ある日、殺し屋モナ・デマルコフ(レナ・オリン)をFBIに護送する任務を任される。
ドンはモナを恐れていてジャックにホテルに拘束しろと命令する。ホテルに入りジャックが20万ドルと白い肌に誘惑されている時、FBIに踏み込まれ失敗に終わる。モナは捜査員を殺し逃げた。
その後、ドンは失敗したジャックの弱みに付け込み脅しモナを探し始末しろと命令する。殺しはやりたくないジャックだが・・・。
そんな彼の前に自分からモナが近づいて来た。そして、莫大なお金を見せ誘惑をし始める・・・。

とても面白かったです。蜘蛛女モナのレナ・オリンは姉御肌で美人で迫力に圧倒されました。素敵でした。
ジャック役のゲイリー・オールドマンもなかなかクールで私好みの素敵な俳優さんでした。お薦めいたします!!

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なんでこれレンタルにないんだろ〜って、ずっと不思議だった。
いつの間にか、レンタルされてたんですね。

ゲイリー・オールドマン狙いで見た、
女マフィアと汚職警官のサスペンスなんだけど、
ゲイリーが霞んでしまいました。
ついでにジュリエット・ルイスもちょっと出てたけど、ほぼ記憶にないです。
女マフィア役を演じたレナ･オリンの怪演の前では、ただの脇役にしか見えない。

そんぐらい、このレナ・オリンのインパクトが凄い。

パトカーの後部座席で、後ろ手に手錠をされてる状態で、
運転手の首を足で絞め、車を横転させ、
深くスリットの入ったタイとスカートを捲し上げて、裸足で逃亡するんですよ。

そんで手錠が邪魔だからと、自分の手首を切り落とし、
縄張り争いで邪魔だからと、自分のボスもぶっ殺す。

真っ赤なルージュを引いた大きな口で高笑い。
悪女なんて甘っちょろいもんでなくて、
デビルってカンジ。

残念ながらこの女優さん、これ以外の目立った代表作がなく。
もう1作品ぐらい、同じようなキャラを演じてくれてたら、
もっと出番があったんではないかと。残念。

マフィアに情報を流して報酬を得ている汚職警官・ジャック。
ある日、マフィアの裏事情に通じている殺し屋・モナが逮捕された。
ジャックは、証人保護が適用されたモナをホテルに移送した後、マフィアに情報を流す。
しかし、モナは警官から銃を奪い、逃走してしまった。
ジャックは「嘘の情報を流した」とマフィアに厳しく咎められ、窮地に陥る。

モナ（レナ・オリン）が美しくも恐ろしい。
華奢な体、扇情的に大きく足を開いて座った様子はウェルカム状態…
だが、モナは非常に危険な存在。気を抜いた瞬間に殺られる！
しゃがれた声で嘲るように哄笑するモナ。
16歳で初めての殺人に手を染めた…と涙を流すモナ。だが、ほだされてはいかん！
後ろ手に手錠をかけられたまま、ハイヒールを蹴り飛ばすように脱ぎ捨て、
前傾姿勢で滑稽に走り去る姿に、彼女の本性が現れている。
生き抜くためなら「何でもする」人間なのだと…

ジャック（ゲイリー・オールドマン）は罪深い男だが、哀愁があった。
殺人現場に臨場するよりも、監視業務を好む男。
汚れた金をコツコツ溜め込み、庭の片隅に隠している。
同僚からは「ロミオ」と揶揄されるほど女好きだ。
恐ろしい殺し屋と知りながら、モナの誘いを断れない。
若い愛人もいる。
それでいて、妻・ナタリーを深く愛している。
ナタリーはカメラが好きだが、撮った写真をジャックに見せようとしない。
彼女の心情がこめられた写真を見つめるジャックの表情が悲しく、やるせない…

マフィアのボス、ファルコーネ（ロイ・シャイダー）も良かった。
「やがて私も倒されるだろう」と達観し、「豊かに生きろ」と言うファルコーネ。
成果を出さないジャックに無慈悲な報復をし、いかにもマフィアの大物という風情だ。
だが、窮地に陥った時の彼の表情は「にんげんだもの」だった。あぁ…