最後の猿の惑星

『猿の惑星』５作品目。タイトル通り、シリーズ完結編である。１作目の公開が1968年、1970年からは年に一本、公開されている。かなりのハイペースだ。すべての製作をアーサー・Ｐ．ジェイコブスが勤めている。きっと、毎日、“猿”のことを考えていたんだろうなぁ。(笑)

チンパンジーのシーザーが革命を起こしてから十数年、核戦争を生き延びた人類と猿類は、森の中に集落を築いていた。
或る日、シーザーは人間のマクドナルドから両親について聞かされる。嘗て猿類管理局があった廃墟の地下には、地球の未来について語ったコーネリアスとジーラ博士の姿を収録した映像が残されているというのだ。赤ん坊の時に両親を殺されたシーザーにとって、それは抗い難い誘惑だった。
シーザーは、マクドナルドと知恵者のバージル（オラウータン）を伴って、自分自身で立ち入りを禁じた地区に足を踏み入れる。
確かに、廃墟の地下には記録が残されていた。初めて見る両親の姿にシーザーは感銘を受けるが、3950年にはゴリラが起こした戦争によって地球が消滅するという内容にショックを受ける。
……というお話し。

本作品は、何度か劇場で観たが、当時は局所的な戦闘シーンに「スケール感に乏しいな」と思った。生存者は、彼らだけではあるまい。まだ文明の残骸を利用できるのであれば、他の生存者たちを求めて旅に出るとか、或いは、他の集落との交易が始まっているとか、広がりのある物語を描けなかったのだろうか？　――そんなことを思っていた。

あらためて観ると、シーザーの作り上げた小さな社会の胎動＝王の誕生を描いていることが、よく分かる。
オープニングとエンディングで、子供たちを前に立法者のオラウータンが歴史を語るシーンがある。シーザーたちが築いた社会は、人類の物質文明の再構築ではなく、自然や他者との共存を前提にした社会である。本作品は、その“夜明け前”を描いた作品ということだ。つまり、テイラーが見た猿類の社会とも違う。立法者の話しに飽きて、戯れるチンパンジーと人間の子供の姿がチラリと映るが、監督さんが一番撮りたかったのは、あの一瞬ではないかと思えるのだ。それほど、本作品は思索的だった。（法による規範と個人の感情にまで言及したＳＦアクション映画を、私は他に知らない）

監督は『征服』に続いてＪ．リー・トンプソン。そのため、前作との親和性が高く、まるで、前編と後編のようなテイストだった。
音楽はレナード・ローゼンマンがつとめた。思索的なテイストなのは、たぶんに音楽の影響があるだろう。迷いがなく、作品のテーマをよく顕在化させていたと思う。

シーザー役は、ロディ・マクドウォールが続投。本作品での演技も見事だった。
バージルを演じたのは、ポール・ウィリアムズ。本業は歌手・作曲家のようだが、私たちの世代には『ファントム・オブ・パラダイス』の印象が強い。ブライアン・デ・パルマ監督の珍品だ。『トランザム7000』にも出ていたっけ。

単なるＳＦアクション映画でないことは、意外なキャスティングからも読み取れる。
ジョン・ヒューストン監督が“立法者”として出演している。『マルタの鷹』などオールドファンには有名な監督さんだが、晩年はカメラの前に立つことも多かった。
チョイ役でジョン・ランディス監督も出演している。ちゃんとクレジットされている。マイケル・ジャクソンの『スリラー』が有名だが、やっぱり『ブルース・ブラザーズ』が一番だろうなぁ。監督デビュー前は、脚本を書きながらチョコチョコ端役で出演して日銭を稼いでいた苦労人だ。

酷評されることの多い作品だが、私はシリーズのラストを飾るに相応しい出来映えだと思う。戦闘シーンも詩的だ。「低予算だ」とか「やっつけ仕事だ」とか、口さがない人たちの心ない声に、シーザーの像は涙を流したに違いない。

オススメ！

本シリーズは２作目以降がどれだけ面白さをつないでいけるかアイデアが勝負だったと思う。２作目は続編請負人テッドポストだったが1作目のムードは引き継いだがミュータントという地底人が出てきて荒唐無稽っぽくなってきた。それでも３作目は視点を変えて猿の側から過去の人間社会に戻るというアイデアはうまいこと考えたドンテイラー作だった。そして生き残った猿が成長して暴動を起こすＪリートンプソン第４作も再び猿が大量出演して独特のムードを出してこれはそれなりに良かった。ともあれ２〜４作目は賛否あるかもしれないがそれなりに皆良かったのだ。ところが最後の最後、締めを飾る本作は全くの見所のない駄作になってしまった。こじんまりとして小さくまとまっちゃってラストにしては寂し過ぎる。この脚本の時点で既に失敗ではあったと思うがそれでも何で１人１作の受け持ちリレーだったのを４作目のＪリーソンプソンを続投させたのか。後に「エイリアン」シリーズもやった様に１人１作にしてその個性を競ってほしかった。

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ふ〜っ。。。やっとたどり着いたこの完結編。
なんか自分が毛深くなってきた錯覚さえします。
サルなの〜に〜、おわか〜れです〜か〜、って気分にはなりません。
サルなの〜に〜、5作もです〜か〜、って気分です。
いい加減、疲れました。

うろ覚えですが、確か西暦2600ごろのオサルが昔話として
21世紀初頭の伝説のオサル、シーザーの物語を
ちびっ子たちに聞かせている、という設定。
聖書とか読み聞かせてるノリです。

はっきり言って面白くないんですコレ。
もうサルはいいよ、って感じです。

ほとんどなんでもあり状態で、
いつの間にかどのオサルも英語話せるようになってるし、
科学者みたいなオサルまで出現してます。
あの一揆からそんなに経ってない設定なのに。
放射能汚染とかの影響も、無視はしないけど、
気にしない気にしないってノリです。
そしてまたまた戦争。しかもショボイんです。

まあ、未来は変わったってことで一件落着ということでしょうか。
サルとヒトの平和な共存社会の実現。
後世のサルたちから見れば、
シーザーは神みたいな存在ですから、
その息子のコーネリアスの死には
キリストの贖罪的な意味があるんでしょうか。
とにかくサルとヒトの和解は成立したみたいです。

第一作や第二作等と比べてなんとなく全体的に盛り上がりが無かったような気がする。
それと吹き替えが無かったので目を話せなかった。（吹き替え版なら何かしながらでも気軽に見れると思う）

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わざわざ１本の作品を作る必要性があったのか？
４作目のエンディングとして、圧縮してくっつければよかったのに。
シーザーが未来を変えたことを伝えたかったのか？
確かに１作目との違いは、チンパン・オラウータン・ゴリラｖｓ．人間だった。
ラストは、チンパンと人間が仲良くオラウータンが仲良く講義を聴いていた。

ところで、遺跡にいた「人間」の生き残りは、ミュータントだっただろうか？
単に放射能にやられ、じわじわ死んでいくだけのものだった。
侵略しようとし、シーザーにやられた。
・・・意味不明・・・。

近未来を意識して作った割りに、写真＋音声のジーラたちのビデオ。
スター・ウォーズで悪者が出てくるときみたいな立体感のあるバーチャルな想像ができなかったのだろうか？
年代もあると思うけど、当時でも動画が当たり前だったのだから、なんとか、工夫して欲しかった。
（痔の薬のＣＭを思い浮かべちゃったよ）

約１２年でリザを始め、他のおサルたちも会話能力を身につけた。
すごいことなんじゃないのか？？

なんだか、あれよあれよという間に終わってしまった。
遺跡がかなり安っぽかったなと思ってから、食事をしながらのんびり鑑賞できるような作品で、
意地で最後まで見たものの、最高に疲れる作品だった気がする。
再度１作目が見たくなった。
古い、アナログ感があるけれど、作りこまれた感じがするあの作品を、もう一度みたい。

最後に、シーザーの銅像が涙（らしいもの）を流した。
人間とおサルが仲良く暮らしているのが悲しいのか、それともうれし泣きなのか、
本当に疑問の多い中途半端な作品だった。