新　猿の惑星

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　未来の猿たちが２０世紀の地球にタイムスリップ！「猿の惑星」の設定を真逆にした本作、ジーラとコーネリアスという魅力的なキャラクターを主人公にすえて、人間社会に放りこまれた異分子の運命をスリリングに見せてくれる。

　「続・猿の惑星」があまりにもトホホだったので期待せずに見始めたら、１の雰囲気によく似せたアヴァン・タイトルから猿登場！タイトル！音楽！で、一気に７０年代アメリカの舞台が現れた。うわ〜、いいじゃん、このリズム！とワクワク。音楽が帰ってきたジェリー・ゴールドスミス、「猿の惑星」のスコアを生かしながら都会的なサウンドが加味されて実にカッコいいですねぇ。

　前半は一躍人気者になる２人（２匹？）の姿がややコミカルに描かれるが、後半は一転して命の危機にさらされる。ここからは１のアイデアをまんまひっくり返しただけなので、新味に欠けるのは否めない。が、一つだけ１とは全く違う仕掛けがほどこされていて、これがラストのオチへとつながっていくので、最後まで面白く観ることができた。

　ただ、聡明なはずのジーラが本作ではけっこうスットコドッコイで、あちこちでヘマをしでかしてそれが致命傷になるという、墓穴掘りまくりキャラにされてしまっていたのが、個人的には悲しかった。情が深くてとっても人間臭くてイイんだけど。・・・あれ、猿臭い、って言うのか？

「猿の惑星」のメイキングは面白い。そのなかで第一作が会社経営が傾いた２０世紀フォックスに大きな利益を与えたために、続編をという命令が出て、むりやり二作目を作らされて三作目を作らなくて良いようなオチにしたのにも拘わらず、三作目を作れという命令が出たというエピソードを紹介していた。客が入るのならいくらでも作るさ、というのは会社の論理である。そこでまた話をなんとかひねり出すことになったわけだが、その割にはこの三作目は面白い。一作目の猿と人間の立場の逆転が面白かった。この三作目では知能が人間並みに発達した猿がまだ人間が世界を支配しているところにやってくるから一作目を逆転させたアイディアが面白くしている。モンスターが都会にやってきて、人間によって滅ぼされるというパターンを踏襲しているのだが、こういう種類の映画でモンスターに同情してしまうように、この作品では現代社会にやってきたコーネリアスやジーラに同情してしまう。彼らが人間社会に放り込まれて戸惑う姿にいつしか哀れさも感じてしまうのだ。これでシリーズを打ち止めにすれば良かった。

結局3作目まで見てしまいました・・・
どんどん内容が薄くなっていくのが悲しい（笑）
でも次回作みろ！といわんばかりの終わり方。
わかりましたよ・・・観ますよ「征服・猿の惑星」

『猿の惑星』の３作品目。出来不出来は別にして、個人的には好きな作品だ。逃走劇に惹かれる体質だからかも知れない。或いは、初めて観たのが多感な年頃だったので、哀しい結末が心に残ったのかも知れない。

ミュータントと猿類との戦いでコバルト爆弾が発射され、地球は消滅してしまう。（『続・猿の惑星』）
その直前、コーネリアスとジーラらは宇宙船で地球を脱出。彼らが辿り着いたのは、1973年の地球だった。
人間たちは、チンパンジーが喋ることに驚きつつも受け入れる。彼らはマスコミによって一躍有名になるが、やがて地球の未来が“猿による支配”であることを知り、人間は態度を一変させる。コーネリアスとジーラは拘禁され、去勢されることが決まる。
しかし、周囲の変化に身の危険を察した彼らは、軍の施設から逃亡する。ジーラのお腹には赤ちゃんがいて、コーネリアスは２人を守ることに必死だった。……というお話し。

本作品最大の謎は「どうやってコーネリアスとジーラは宇宙船で地球を脱出したのか？」ということである。(笑)　湖に落ちた宇宙船をマイロ博士が修理した、と説明はされるが、「おいおい！A^^;」って感じである。然も、博士は早々に殺され、謎は謎のまま残されてしまう。
確かに、１作目でテイラーが乗って来た宇宙船は湖に不時着したが、船窓が割れて大量の水がなだれ込み沈んでしまったではないか。猿たちは大気圏を突破できるようなガラスを精製することが出来たのか？　彼らの集落を見る限り、そんな技術も設備も持っていたとは思えない。電子レンジ用の皿ですら作れないと思うぞ。ましてや、コンピュータが理解出来たとは思えない。そもそも発射台がないじゃん。
――私は、子供の頃から、この謎にとらわれている。(笑)

アクロバティックな展開でシリーズを続けてみせたのは、お見事。力業だ。おかげで、私たちは『征服』と『最後の…』を観ることが出来る。感謝。

ジーラ博士は引き続きキム・ハンターが演じ、コーネリアスにはロディ・マクドールが戻って来ている。この後、彼は本シリーズの顔となって行く。
マイロ博士はサル・ミネオ。
ジーラたちを逃がすサーカスの団長役としてリカルド・モンタルバンが登場し、強い印象を残している。

本作品を監督したドン・テイラーは、私には『ドクター・モローの島』や『ファイナル・カウントダウン』の監督として記憶されている。『オーメン２／ダミアン』なんてのもあった。
この方、昔は二枚目のハリウッド・スターで、映画『東の東』で山口淑子さんと共演している。昔、淀川長治さんが紹介していたのだが、まさかＳＦ映画の監督さんになっていたとは思わなかった。知ったのは、随分と後になってからのことである。監督業は晩年のことらしく、作品数は多くないが、どれも埋もれることなく今に続いている。『ファイナル…』も『ドクター・モロー…』もカルトとして愛されているのだから、幸せな監督さんだ。

軍の施設から逃げ出したジーラとコーネリアスは、ルイス博士らの手引きでサーカスに身を潜めることになる。サーカスの次の興行地はカリフォルニア。そこまで辿り着ければ、軍も警察も手の届かない森の奥で安息の地を築けるかも知れない。
ジーラは、サーカスで赤ちゃんを産み、マイロと名付けられる。しかし、幸せな時間も束の間だった。捜査の手がサーカスや動物園におよんだことを知り、彼らは再び逃亡の身となる。
……こうして物語は、クライマックスになだれこむ。

中盤はカルチャー・ギャップを描いたコメディのようだったが、ジーラが真相を語ってからはサスペンスに転じる。
迫害は、人類が繰り返して来た歴史だ。異民族を迫害し、異文化を破壊して来た。人種や宗教の違いによる差別は、いまも厳然としてある。
映画は、時代を映す鏡だが、迫害や差別を声高に糾弾しようとした70年代の方が、いまの観客より健全であったような気がする。

オススメ！

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　猿の惑星自体は、それほど派手な映画ではなく、メイキャップに金はかかっていてもスケールの大きなＳＦではない。第１作はテレビで深夜放送でみたが、これは結末を知らずに映画館でみるべきだった。

　さて、この第３作は、猿も数匹しか出てこないし、舞台が現代なので、さらに金がかかっていない。でも、続編としては、ドラマとして面白く、テレビで作ったドラマとしてみれば十分だと思う。このころ、日本でも「猿の軍団」というドラマが作られたが、メイクの技術は今も昔も変わっていないように思える。

　昔見たような気がするが、今ジェネシスを見た機会に見直してみると、このシリーズは傑作だと思う。