ジャガーノート

店舗で「発掘良品　映画通が選んだ面白い映画」
という企画があって、何気なく見てたところ、
本作にアンソニーホプキンスが出ていたので借りてみました。

英豪華客船ブリタニック号に７つの爆弾を仕掛けたという
「ジャガードノート」と名乗る男からの電話があった。

リミットは20時間。さあ、どうなるか・・・

という内容ですが、
正直、リミットまで20時間ということもあってか、
前半は切羽詰った感が感じられずかなりスローな感じ。

爆弾処理班がやってきてからの後半は
地味〜な感じながらもハラハラできてよかったです。

派手な爆破シーンはそんなにないんですが、
爆弾処理の緊迫感、迫るリミット、
のおかげで心理的なハラハラ感が体感できた。

作品解説に書いてあったんですが、
今でこそよく見かける、爆弾処理の
「赤（のコード）を切るか、青（のコード）を切るか」の
犯人との探りあい、
本作が最初に描いた、と言われているそうです。


派手さはなくとも、地味にドキドキしたい方、ぜひ♪

※刑事役のホプキンス、なかなかかっこいいです。

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　少し前にTSUTAYAの新聞全面広告でこの『ジャガーノート』が出ていてびっくり。70年代半ばの映画がいまこんなに大きく扱われることがあろうとは。FOXのセル版の外装にはカルト・コレクションとあるんですけど、これカルトですか？　あまり有名じゃないということでそう言われるのかもしれませんが、公開時に観ているクチとしては「そうかな？」と思います。
　すごい面白いわけではないですが、フツーに面白いサスペンス映画です。地下鉄をジャックした秀作『サブウェイ・パニック』なども同時期で、こういう大きな仕掛けの犯罪サスペンスやパニック映画の流行は、ベトナム戦争や過激派テロによる社会不安を背景としているのでしょう、ビートルズ映画を撮ってきたリチャード・レスターは時代をつかむのがうまいですからね（もっとも、このあとどんどん適当になっていったような気がしますが……）。
　リチャード・レスターらしいイングランドな皮肉が随所でいいスパイスになっています。タイタニックの姉妹船と同じ名のブリタニック号が出航するところから映画は始まるのですが、船と岸に無数につながれた紙テープの扱いが面白いです。よくこういうシーンでは涙の別れの象徴として使われますが、レスターはわざわざ船と岸の双方での「紙テープの片づけ」作業を映し出すのです。それも安っぽく汚らしく。ハリウッドの作り手なら、そういう裏側は描かずに、ここは美しく盛り上げたほうが後のサスペンスとの落差が大きいと考えて、うまくまとめてしまうところでしょうが。
　その後も、海は荒れ、船酔いする人が続出し、料理が大量に廃棄されたり、船内イベントがちっとも盛り上がらない様子を淡々とスケッチ風に描き出します。ちょっと『マッシュ』のようにところどころ虚しく流れる船内放送や、イベント司会の芸人らしき肥った男の空回りがおかしい。あまり役に立たない船長オマー・シャリフはそんな揺れる船内でいきなり女性客といい仲になっているし笑。実を言うと、僕はこの映画のこういう不真面目なところが大好きです。
　ほんとうの客船を使っている撮影もなかなかスケールが大きくて楽しめます。爆弾解体のプロ、リチャード・ハリスとデヴィッド・ヘミングスがやってきてからは、爆弾処理を巡るサスペンスが中心となって飽きさせません。しかし久しぶりに見直すと、爆弾の仕掛けとその解き方も、緻密なようでいて結構いい加減だなあと思いました。振動感知スイッチや露光によるスイッチなどは面白いと思いましたが、前面のトラップの後、側面を開けると目の前に赤と青の線が！　大人になると、こういうのがちょっとアラに見えてきます。
　いずれにしても本作はリチャード・ハリスの映画です。最近は『ハリー・ポッター』なんかでも健在ぶりを示しているみたいですが、もともと舞台俳優だったと記憶します。本作や『カサンドラ・クロス』『オルカ』『ワイルド・ギース』など、このころはパニック、アクション映画によく出ていました。僕が好きだったのは、それより少し前の『馬と呼ばれた男』や『荒野に生きる』のような西部劇。本作でも、爆弾を解体した後の仕草なんかとても素晴らしいと思います。ハリスに比べると、まだ若いアンソニー・ホプキンスの演技のなんと頼りないことでしょうか。
　そういえば、リチャード・ハリスがいたから僕はアンソニー・ホプキンスが特別好きではないのかもしれません。65点。

残念

　実は大昔に観たことがあるんですね。その時も面白いと思いましたが、今観ても非常に良い映画です。普通の映画に有るような枝葉の部分を排除した、骨太のストーリー、そして犯人の割り出しの部分は必要最小限にして、爆弾処理に焦点を絞った画面、観るものを釘付けにしてしまいます。ＶＦＸなど殆ど無しで、ここまで観せることができるのは、ひとえに脚本の素晴らしさと監督の力量だと思います。ドラム缶の側面の蓋を外すのに、一つ一つネジを外していきます。その時のネジのアップ、ただのネジの画だけで、あれだけの緊張感を醸し出すのはさすがでした。また、オマー･シャリフの会話など、セリフの一つ一つが洗練されてました。

　この頃のリチャード・ハリスはキャリアの中で絶頂に有ったのではないでしょうか。この頃の映画で彼をよく見ました。彼が出てることで、画面が締まります。

　ラストは予測できるものでしたが、それでも、この映画の素晴らしさを損なうものではなかったです。昔の作品なので、のんびりしているところは有りますが、爆弾との戦いという緊張感を上手く描いた良作だと思います。

１９７４年の時点ですでに爆弾処理班ものの作品があることに正直驚いた。
リチャード・ハリスの大きなガタイを生かすことなく終始屈ませての粘っこい演技が印象的でもある。二枚目ではないのだがどうも存在感がある。話す台詞も終始アイロニカルで魅力的だ。船長の愛人？役の女性は刹那的に生きている分、この男とウマが合っただろうと思わせる。ボーイや乗組員の何気ない台詞から当時の人種差別や社会情勢などがわかり非常に興味深い。
手持ちカメラの臨場感が観る者をヒリヒリさせる『ハート・ロッカー』。この作品をみたときの衝撃ははかりしれない。しかし、これに匹敵するほどの作品がですでに７４年にできていたのだからイギリス文化の早熟さに驚くほかはない。
犯人の動機もうなづかせるに十分だ。タイタニックを髣髴とさせる豪華客船（実はオンボロ）から見えるイギリス政府の狡猾さ、格差社会を浮き彫りにしている。
あの素敵なホプキンス〜。『マジック』に出演する３年も前の作品だなんてこれにも驚く。
目がうす青くて若い。癖のない普通の男性を演じているのを初めてみました。