ゼア・ウィル・ビー・ブラッド

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ゼア・ウィル・ビー・ブラッド / ダニエル・デイ=ルイス

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「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」 の解説・あらすじ・ストーリー

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解説・ストーリー

「マグノリア」のポール・トーマス・アンダーソン監督が名優ダニエル・デイ=ルイスを主演に迎え、石油を掘り当てアメリカンドリームを実現した男の欲望と裏切りの人生模様を骨太に描く一大叙事詩。原作は、社会派作家アプトン・シンクレアが27年に発表した『石油!』。20世紀初頭。一攫千金を夢見る山師の男ダニエル・プレインヴュー。孤児を自分の息子H.W.として連れ歩く彼は、ある日ポールという青年から自分の故郷の土地に油田があるはずだとの情報を得て、西部の町リトル・ボストンへと向かう。そして、すぐさま土地の買い占めに乗り出す。そんな中、ポールの双子の兄弟でカリスマ牧師のイーライが、ダニエルへの警戒を強めていく。

「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」 の作品情報

作品情報

製作年: 2007年
製作国: アメリカ
原題: THERE WILL BE BLOOD
受賞記録: 2007年 アカデミー賞 主演男優賞
2008年 ベルリン国際映画祭 銀熊賞(監督賞)
2007年 ゴールデン・グローブ 男優賞(ドラマ)
2007年 NY批評家協会賞 男優賞
2007年 LA批評家協会賞 作品賞

「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ

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血や水よりも、石油が濃いのか? ネタバレ

投稿日:2008/10/04 レビュアー:こんちゃん

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 まあ、確かに重いですなあ。映画として観るのなら、ダニエル・デイ=ルイスやポール・ダノの役作りや、ポール・トーマス・アンダーソンの演出(荒涼たる映像やアルトマンを彷彿させる長廻し等々)など見所たっぷりなのでしょうが、なんせストーリーが重苦しいし、登場人物の誰にも共感できないのでつらいです(笑)

 エゴイズムと欲望の権化達が跳梁跋扈する中でダニエルの息子(実際は息子ではないのですが)HWが登場している画面だけ、ちょっと安らげます。最終的に彼がダニエルと袂を分かつのも当然だし、それを見てほっとしたのですね。

 勝王さんがおっしゃるようにアメリカの成り立ちという面で、多分に暗喩的な描写があります。アカデミーで作品賞を獲得できなかったのは、アメリカ資本主義を否定するようなその辺に対する批判的な目なんでしょうかね。まあ、最近のアカデミー賞はつまんないと思ってるので、どうでもいいっちゃあいいんですけど・・・。
 一攫千金の富を追い続け、息子さえも交渉のための道具としてしか考えないダニエルが幸せだったのかどうかは、通常の感覚の人間から見れば明らかです。家族に恵まれず、誰も信じられず、心を開く友人もいない。いくら金を持っていたとしてもそんな状況は嫌ですよねえ。 
 あ〜、よかった。大金持ちじゃなくて(負け惜しみかよ!)
 ダニエルは本当は、何よりも家族を欲していたのかも知れません。HWに対する態度の中に見え隠れする本心があったような気がするんですよね。結局、HWは自分を裏切ったのだと罵るのですが、彼にそうではない何かを期待していたからこその怒りだったのではないかと思いたいです。
 人を信じられない。誰かを愛することが出来ないと言うダニエルが、最後イーライとの確執の後叫ぶ、
「終わりだ!」
と言う言葉は、実は彼が誰よりも人の愛に飢え、それを渇望していた証なんじゃないかと思うのです。
 欲望を仲介とした偽家族は、決して本当の意味での血族にはなりえないのです。

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★★★★☆ セックスとドラッグ抜きでアメリカを見つめる ネタバレ

投稿日:2008/11/17 レビュアー:ガラリーナ

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「ノーカントリー」はもちろん、「ダークナイト」もしかりで、「悪」を巡る大作が、今年のアメリカ作品では目立ちました。邦画もですが、2008年の映画は豊作の年と言えるのではないでしょうか。重厚で見応えのある作品に恵まれた年のような気がします。

さて、「ブギーナイツ」「マグノリア」ですっかりやられた私ですが、今作のポール・トーマス・アンダーソン監督は敢えてドラッグとセックスを封印して、アメリカを描こうとした。その代わりに持ってきた題材が「石油」なのでしょう。

人間不信の男がばったばったと周りの人間を地獄に突き落とす物語かと思っていたら、予想を裏切られました。ダニーよりも、むしろポール。イーライを演じるポール・ダノがきっちりタイマン勝負を張っています。油田をバックに人々の神たらんとした男と、イカサマ宗教をバックに神たらんとした男のガチンコ対決に酔いました。「リトル・ミス・サンシャイン」でもニーチェに傾倒する寡黙な青年を演じていましたが、本作のキレっぷりは見事です。中盤、出番は少なくなるにも関わらず、ラストまでこのタイマン勝負は続きます。それは、スクリーンに映らなくとも、ダニエルが常にイーライの影に脅え、イーライを凌ぐために、己を奮い立てているのがびんびんに伝わってくるからです。もちろん、それを感じさせるダニエルの演技もすばらしいのですが。

「ノーカントリー」にしろ「ダークナイト」にしろ、善をあざ笑うかのような悪の存在を浮き彫りにしていますが、それは何かと対立的に描かれています。「ノーカントリー」では、なす術もない保安官がおり、「ダークナイト」では自己犠牲により立ち向かうバットマンがいます。しかし、本作では欲と欲との壮絶なぶつかり合いが延々と繰り広げられ、最後にはまるで子供のケンカのごとき殴り合いによる共倒れで終焉を迎えます。私はこのエンディングにおいて「ノーカントリー」で味わった虚脱感は感じませんでした。むしろ、ひとつの時代が幕を閉じた、これにてお終い、と言う印象です。

それは、このダニエルという男が私には終始嫌な奴に思えなかったことも大きいかも知れません。体を張って油田を掘り起こし、意地と虚栄で企業の差し向けるネクタイ族と対抗し、駆け引きの道具とはいえ幼子を引き取って育てたダニエルという男の人生。開拓者とも言うべきそのバイタリティに私はとても引きつけられました。しかし、そんな彼も最終的には自らの手を血に染めて、ケリをつける。それは決して褒められたケリの付け方ではないのですか、金も名誉も手に入れた人間が結局何者かに怯え続け、己の手を血に染めねば解決できぬ人間の業のようなものをまざまざと感じさせられるのです。油田の掘削シーンを始め、広大なアメリカの大地で繰り広げられる壮大な人間物語。存分に堪能しました。

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失われたものは あまりに大きい ネタバレ

投稿日:2008/08/01 レビュアー:ミルクチョコ

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実在の石油王をモデルにした小説を基に、石油に夢を懸けた男が次第に狂気を帯びていく姿が描かれています。
アカデミー賞の作品賞を「ノーカントリー」に持っていかれたものの、ダニエル・デイ・ルイスは役作りに2年間も費やし、どす黒い欲望をもつ石油王を迫力たっぷりに演じ、見事に主演男優賞を獲得しています。
もちろん、この男は好きにはなれないけれども、「ノーカントリー」の全く血の通っていない男よりずっとましです。

主人公のダニエルは、母親が家出し、別れた妹と腹違いの弟がいたようなのですが、時折見せる表情からは、寂しさを感じさせます。彼をここまで非情な男にしたのは、恐らく、血縁に恵まれなかったからではないでしょうか?

冒頭のセリフなしの20分間で、主人公の若き日の山師時代の場面は欲望に満ちた成り上がりぶりが伺え、映像の力というものを見せつけられます。

ダニエルは、孤児となってしまった同僚の息子を引き取り、本当の息子のように育てるのですが、息子を商売の切り札にするあたりや、利権の手段としての存在に扱うのには、驚いてしまいます。

そして、無神論者であるダニエルに対して、信仰宗教の牧師であるイーライ(ポール・ダノ)が登場します。
何とこの神父も、一皮剥けば、ダニエルと同じ若者なのです。
お金のためなら、平気で人を利用しようとする策略家としての資質は全く同じなのでした。
ダニエルと、宗教家イーライ、この二人の確執が本作の核の1つだと思います。

擬似的な息子と、偽者だった弟に時間を費やすことは、あったものの、結局自分以外は誰も信じられない。
対局的に出てくるイーライは自分自身の裏と表だったのではないでしょうか?コインの裏と表のように・・・
なので、衝撃のラストは、ダニエルとイーライが対になっていることが、くっきり分かるシーンでした。

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素晴らしい演技だとは思う。

投稿日:2012/02/09 レビュアー:ゆういちろう

エゴの塊のような映画。物語の主人公と主演俳優、ふた通りの意味で。

主人公のエゴとは“傲慢”と“強欲”のことだが、デイ=ルイスのエゴに関しては少し説明を。
この人の映画って(一部を除いて)「オレがこの作品を支える!」という雰囲気がものすごい。作品全体がデイ=ルイス汁100%という感じ。これって演技者として強烈なエゴイズムだと思う。
もちろん、並外れた演技力と存在感があるからこそで、人気スターのオレ様映画とはモノが違うんだけど。

本作もまさにそれ。デイ=ルイスは、オスカーに相応しい大熱演を見せる。
でも映画としては、正直バランスが悪い。役者の存在感ばかりが前に出て、本来語るべきモノが語られてない感じ。主人公が家を飛び出し金塊掘りになるまで、石油を掘り当てて実業家になる過程、成人していく息子との軋轢、加えて後半になって説明なく消える“仕事仲間”との関係等々。
省略されている部分にこそ、主人公のとめどなく肥大するエゴの理由を解くカギが、隠されているんではないだろうか。

DVD版で何人かの方が書かれている通り、アメリカという国を語っている作品であろうことは納得できる。でも、そのテーマ性ばかりが立って、ひとりの男の物語としては体を成してない気がするんだよなぁ。
観客の想像に委ねるといえば聞こえは良いけど、本作に関しては、単なる「不足」に感じてしまう。同じ年にオスカーを争った『ノーカントリー』が、説明を排することで主題を浮き彫りにしたのとは根本的に質が違うだろう。
いかに役者の演技が優れていても、それだけでは傑作に成り得ない。

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「映画力」あり

投稿日:2008/08/24 レビュアー:たんぽぽ

20世紀初頭カリフォルニア。
黙々と石油採掘をする男の姿。
それが、この主人公、ダニエル・デイ=ルイス演じるダニエル・プレインビューであります。
彼は、貪欲に石油の採掘が見込まれる土地を安く買占め、富と権力を得ていく。
この人物像が、なんとも強烈で、とにかく圧倒されっぱなし。
158分、怒涛のうちに過ぎてしまう、という感じでした。
金銭欲と権力欲のかたまり。
プライドが高く・・・。しかし誰も愛さないし、誰からも愛されない。
富を得れば得るほど、孤独が浮かび上がるように思います。
そんな彼が、最後に求めたのは肉親。
心の底では、やはりほんの切れ端でもいいから信頼とか、愛情とか、そういうものを欲していた。
だから、子供を育て、弟を受け入れた。
しかし、これらはやがて、裏切られてしまうわけです。
そこで、彼はついに壊れてしまう。

さて、このプレインビューと好一対なのがカリスマ牧師のイーライ。
牧師とはいいながら、彼も金銭欲、権力欲にまみれた俗物。
彼の教会では牧師の説教などというものではない、まさにショーが繰り広げられる。
プレインビューはすぐにも、イーライに自分と同じにおいをかぎつける。
この2人のやりとりが、またすさまじい。
まさしく、同類だからこその確執なのでしょう。
このために最後の狂った結末へと突き進む。

この作品に、息子H・Wの配置は重要ですね。
彼は、プレインビューが相手の信用を得るための道具の役割を担うのですが・・・。
彼は、事故前も事故後も、ひたすら父親の仕事をじっと見ている。
特に、事故後は余計に物言わぬ「目」となっている。
いつしか、プレインビューにはその視線がつらくなっていたのではないか。
まあ、映画ではそんなことは言っていませんが、想像してしまうのです。
それにしても、彼には良き伴侶も見つかって、
こんな環境でも、まっとうに育ったようで・・・、
オバサンは、ほっとしております・・・。

さて、この映画をさらに盛り立てているのは音楽。
ジョニー・グリーンウッドによるもの。
ボリュームが大きく不気味で不協和。
これが、不安を掻き立てる。
いつもながら、映画における音楽の力はすごいですが、ここではまた格別でした。

この映画を見た後の心境は、どう表現してよいものやら、
感動・・・というのともちょっと違う。
毒気に当てられて、放心状態。
そんな感じでしょうか。すごいもの見ちゃった・・・。
「映画力」あります。

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ゼア・ウィル・ビー・ブラッド

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血や水よりも、石油が濃いのか?

投稿日

2008/10/04

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こんちゃん

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 まあ、確かに重いですなあ。映画として観るのなら、ダニエル・デイ=ルイスやポール・ダノの役作りや、ポール・トーマス・アンダーソンの演出(荒涼たる映像やアルトマンを彷彿させる長廻し等々)など見所たっぷりなのでしょうが、なんせストーリーが重苦しいし、登場人物の誰にも共感できないのでつらいです(笑)

 エゴイズムと欲望の権化達が跳梁跋扈する中でダニエルの息子(実際は息子ではないのですが)HWが登場している画面だけ、ちょっと安らげます。最終的に彼がダニエルと袂を分かつのも当然だし、それを見てほっとしたのですね。

 勝王さんがおっしゃるようにアメリカの成り立ちという面で、多分に暗喩的な描写があります。アカデミーで作品賞を獲得できなかったのは、アメリカ資本主義を否定するようなその辺に対する批判的な目なんでしょうかね。まあ、最近のアカデミー賞はつまんないと思ってるので、どうでもいいっちゃあいいんですけど・・・。
 一攫千金の富を追い続け、息子さえも交渉のための道具としてしか考えないダニエルが幸せだったのかどうかは、通常の感覚の人間から見れば明らかです。家族に恵まれず、誰も信じられず、心を開く友人もいない。いくら金を持っていたとしてもそんな状況は嫌ですよねえ。 
 あ〜、よかった。大金持ちじゃなくて(負け惜しみかよ!)
 ダニエルは本当は、何よりも家族を欲していたのかも知れません。HWに対する態度の中に見え隠れする本心があったような気がするんですよね。結局、HWは自分を裏切ったのだと罵るのですが、彼にそうではない何かを期待していたからこその怒りだったのではないかと思いたいです。
 人を信じられない。誰かを愛することが出来ないと言うダニエルが、最後イーライとの確執の後叫ぶ、
「終わりだ!」
と言う言葉は、実は彼が誰よりも人の愛に飢え、それを渇望していた証なんじゃないかと思うのです。
 欲望を仲介とした偽家族は、決して本当の意味での血族にはなりえないのです。

★★★★☆ セックスとドラッグ抜きでアメリカを見つめる

投稿日

2008/11/17

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ガラリーナ

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「ノーカントリー」はもちろん、「ダークナイト」もしかりで、「悪」を巡る大作が、今年のアメリカ作品では目立ちました。邦画もですが、2008年の映画は豊作の年と言えるのではないでしょうか。重厚で見応えのある作品に恵まれた年のような気がします。

さて、「ブギーナイツ」「マグノリア」ですっかりやられた私ですが、今作のポール・トーマス・アンダーソン監督は敢えてドラッグとセックスを封印して、アメリカを描こうとした。その代わりに持ってきた題材が「石油」なのでしょう。

人間不信の男がばったばったと周りの人間を地獄に突き落とす物語かと思っていたら、予想を裏切られました。ダニーよりも、むしろポール。イーライを演じるポール・ダノがきっちりタイマン勝負を張っています。油田をバックに人々の神たらんとした男と、イカサマ宗教をバックに神たらんとした男のガチンコ対決に酔いました。「リトル・ミス・サンシャイン」でもニーチェに傾倒する寡黙な青年を演じていましたが、本作のキレっぷりは見事です。中盤、出番は少なくなるにも関わらず、ラストまでこのタイマン勝負は続きます。それは、スクリーンに映らなくとも、ダニエルが常にイーライの影に脅え、イーライを凌ぐために、己を奮い立てているのがびんびんに伝わってくるからです。もちろん、それを感じさせるダニエルの演技もすばらしいのですが。

「ノーカントリー」にしろ「ダークナイト」にしろ、善をあざ笑うかのような悪の存在を浮き彫りにしていますが、それは何かと対立的に描かれています。「ノーカントリー」では、なす術もない保安官がおり、「ダークナイト」では自己犠牲により立ち向かうバットマンがいます。しかし、本作では欲と欲との壮絶なぶつかり合いが延々と繰り広げられ、最後にはまるで子供のケンカのごとき殴り合いによる共倒れで終焉を迎えます。私はこのエンディングにおいて「ノーカントリー」で味わった虚脱感は感じませんでした。むしろ、ひとつの時代が幕を閉じた、これにてお終い、と言う印象です。

それは、このダニエルという男が私には終始嫌な奴に思えなかったことも大きいかも知れません。体を張って油田を掘り起こし、意地と虚栄で企業の差し向けるネクタイ族と対抗し、駆け引きの道具とはいえ幼子を引き取って育てたダニエルという男の人生。開拓者とも言うべきそのバイタリティに私はとても引きつけられました。しかし、そんな彼も最終的には自らの手を血に染めて、ケリをつける。それは決して褒められたケリの付け方ではないのですか、金も名誉も手に入れた人間が結局何者かに怯え続け、己の手を血に染めねば解決できぬ人間の業のようなものをまざまざと感じさせられるのです。油田の掘削シーンを始め、広大なアメリカの大地で繰り広げられる壮大な人間物語。存分に堪能しました。

失われたものは あまりに大きい

投稿日

2008/08/01

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ミルクチョコ

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実在の石油王をモデルにした小説を基に、石油に夢を懸けた男が次第に狂気を帯びていく姿が描かれています。
アカデミー賞の作品賞を「ノーカントリー」に持っていかれたものの、ダニエル・デイ・ルイスは役作りに2年間も費やし、どす黒い欲望をもつ石油王を迫力たっぷりに演じ、見事に主演男優賞を獲得しています。
もちろん、この男は好きにはなれないけれども、「ノーカントリー」の全く血の通っていない男よりずっとましです。

主人公のダニエルは、母親が家出し、別れた妹と腹違いの弟がいたようなのですが、時折見せる表情からは、寂しさを感じさせます。彼をここまで非情な男にしたのは、恐らく、血縁に恵まれなかったからではないでしょうか?

冒頭のセリフなしの20分間で、主人公の若き日の山師時代の場面は欲望に満ちた成り上がりぶりが伺え、映像の力というものを見せつけられます。

ダニエルは、孤児となってしまった同僚の息子を引き取り、本当の息子のように育てるのですが、息子を商売の切り札にするあたりや、利権の手段としての存在に扱うのには、驚いてしまいます。

そして、無神論者であるダニエルに対して、信仰宗教の牧師であるイーライ(ポール・ダノ)が登場します。
何とこの神父も、一皮剥けば、ダニエルと同じ若者なのです。
お金のためなら、平気で人を利用しようとする策略家としての資質は全く同じなのでした。
ダニエルと、宗教家イーライ、この二人の確執が本作の核の1つだと思います。

擬似的な息子と、偽者だった弟に時間を費やすことは、あったものの、結局自分以外は誰も信じられない。
対局的に出てくるイーライは自分自身の裏と表だったのではないでしょうか?コインの裏と表のように・・・
なので、衝撃のラストは、ダニエルとイーライが対になっていることが、くっきり分かるシーンでした。

素晴らしい演技だとは思う。

投稿日

2012/02/09

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ゆういちろう

エゴの塊のような映画。物語の主人公と主演俳優、ふた通りの意味で。

主人公のエゴとは“傲慢”と“強欲”のことだが、デイ=ルイスのエゴに関しては少し説明を。
この人の映画って(一部を除いて)「オレがこの作品を支える!」という雰囲気がものすごい。作品全体がデイ=ルイス汁100%という感じ。これって演技者として強烈なエゴイズムだと思う。
もちろん、並外れた演技力と存在感があるからこそで、人気スターのオレ様映画とはモノが違うんだけど。

本作もまさにそれ。デイ=ルイスは、オスカーに相応しい大熱演を見せる。
でも映画としては、正直バランスが悪い。役者の存在感ばかりが前に出て、本来語るべきモノが語られてない感じ。主人公が家を飛び出し金塊掘りになるまで、石油を掘り当てて実業家になる過程、成人していく息子との軋轢、加えて後半になって説明なく消える“仕事仲間”との関係等々。
省略されている部分にこそ、主人公のとめどなく肥大するエゴの理由を解くカギが、隠されているんではないだろうか。

DVD版で何人かの方が書かれている通り、アメリカという国を語っている作品であろうことは納得できる。でも、そのテーマ性ばかりが立って、ひとりの男の物語としては体を成してない気がするんだよなぁ。
観客の想像に委ねるといえば聞こえは良いけど、本作に関しては、単なる「不足」に感じてしまう。同じ年にオスカーを争った『ノーカントリー』が、説明を排することで主題を浮き彫りにしたのとは根本的に質が違うだろう。
いかに役者の演技が優れていても、それだけでは傑作に成り得ない。

「映画力」あり

投稿日

2008/08/24

レビュアー

たんぽぽ

20世紀初頭カリフォルニア。
黙々と石油採掘をする男の姿。
それが、この主人公、ダニエル・デイ=ルイス演じるダニエル・プレインビューであります。
彼は、貪欲に石油の採掘が見込まれる土地を安く買占め、富と権力を得ていく。
この人物像が、なんとも強烈で、とにかく圧倒されっぱなし。
158分、怒涛のうちに過ぎてしまう、という感じでした。
金銭欲と権力欲のかたまり。
プライドが高く・・・。しかし誰も愛さないし、誰からも愛されない。
富を得れば得るほど、孤独が浮かび上がるように思います。
そんな彼が、最後に求めたのは肉親。
心の底では、やはりほんの切れ端でもいいから信頼とか、愛情とか、そういうものを欲していた。
だから、子供を育て、弟を受け入れた。
しかし、これらはやがて、裏切られてしまうわけです。
そこで、彼はついに壊れてしまう。

さて、このプレインビューと好一対なのがカリスマ牧師のイーライ。
牧師とはいいながら、彼も金銭欲、権力欲にまみれた俗物。
彼の教会では牧師の説教などというものではない、まさにショーが繰り広げられる。
プレインビューはすぐにも、イーライに自分と同じにおいをかぎつける。
この2人のやりとりが、またすさまじい。
まさしく、同類だからこその確執なのでしょう。
このために最後の狂った結末へと突き進む。

この作品に、息子H・Wの配置は重要ですね。
彼は、プレインビューが相手の信用を得るための道具の役割を担うのですが・・・。
彼は、事故前も事故後も、ひたすら父親の仕事をじっと見ている。
特に、事故後は余計に物言わぬ「目」となっている。
いつしか、プレインビューにはその視線がつらくなっていたのではないか。
まあ、映画ではそんなことは言っていませんが、想像してしまうのです。
それにしても、彼には良き伴侶も見つかって、
こんな環境でも、まっとうに育ったようで・・・、
オバサンは、ほっとしております・・・。

さて、この映画をさらに盛り立てているのは音楽。
ジョニー・グリーンウッドによるもの。
ボリュームが大きく不気味で不協和。
これが、不安を掻き立てる。
いつもながら、映画における音楽の力はすごいですが、ここではまた格別でした。

この映画を見た後の心境は、どう表現してよいものやら、
感動・・・というのともちょっと違う。
毒気に当てられて、放心状態。
そんな感じでしょうか。すごいもの見ちゃった・・・。
「映画力」あります。

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