映像詩　里山　〜劇場版〜

いまやこんな里山が減ってきている！？
ちなみに俺の家の近くの山には空き缶と雑誌が散乱しています！

大自然を征服しようとした人間の実話を描いた「イントゥ・ザ・ワイルド」では一人の人間が自然に呑み込まれて最後を迎える話だったのですが、
これはその逆といえるのでしょうか。人間によって伐採される木の話。
でも、木の伐採が終わりを意味するのではなく、里山と言う自然を再生させる始まりだという話で、一年間の営みを通じて人間が定期的に木を伐採することが
自然の営みの一部となっているのが分かるのです。
言わば，人間対自然という次元なのではなく，両者が渾然一体となって自然を形成している姿を根気よくカメラが捉えていくのです。
さすが、NＨK。１５年を一つのサイクルとして伐採から再生までを繰り広げる里山の自然を四季の中で美しくカメラで切り取っていってくれています。
子ども向けにカブトムシの話が夏のシーンで出てくると思えば、サナギ時代にイノシシに食われる話など，自然界の厳しい生存競争も少し織り交ぜながら、
人間に支配される自然ではない人間との約束の上で与えられた自然の多様性に脱帽です。もはや人間の営みも里山の中では自然の一部となっているのです。
人間が文明のもたらす利便性に溺れ切ってその営みを忘れてしまったとしたら，この里山という自然がなくなってしまうのかと思うと、寂しい気もします。
でも、この作品を通じて里山が世界的に認識されたということは、こういった自然を素晴らしい，残さなければならない、と感じている人々が多いのだということ・・・。
ぜひ，この作品を観て自然保護を声高に叫ぶより、自然の一部となって生活を融合させる人生の有意義さを感じ取っていただきたい。
（やまおやじ、語る）

う〜ん、地方に移って呑気な田舎暮らしをしたいと常々思っているが、実行するのはそう簡単ではない...
ここに映っているのは、都会住民の視線で眺めたとくによい部分の風景だろう。だから映像詩という作品としてはすばらしい。
でも、よく言われるとおり、地方村落での濃密な人間関係とか地域社会の特殊なしきたりとか都会人にはなかなか馴染めない部分があって、そこのところは映ってないわけだから、これは現実の絵なんだけどやはりファンタジーなんだな。
それでも、自然と共生する農的生活はもっと見直されていいはずで、地方部に住むみなさんもこれまで来た村社会を残したいというだけでなく、なんかこう若い世代が関心を向けるようなよい工夫が考えられないものだろうか。

情感溢れる映像と音に魅せられましたが、ナレーションが雰囲気を崩しているような・・・。基本、子供向けなんですかね。

ＮＨＫの自然物のドキュメントとして、もう少し期待していましたが、やや物足りない気分です。
風邪をこじらせて、肺炎を併発して、会社を休んでいる時に鑑賞したものですから、やや疲れていたので感受性が鈍っていたのかも？？？

我が故郷の島の山や畑も、今は荒れていると聞いていますが・・・
今年の夏には母を連れて故郷に帰ってみようと思いました。