バーナード・アンド・ドリス

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モーニングコーヒーなど片手に　「Ａ社とＢ社の株、ちょっと買っておいて」
その一声で、どれ程の総枚数を買い騰げていったのだろう。

なにしろ彼女は伝説の女相続人、20世紀中葉の米国においては
その資産は無尽蔵だったと言っても決して言い過ぎとはならない雰囲気である。

父親はシガレット（紙巻きタバコ）の大量生産機械の導入と卓越した経営戦略により
莫大な財を築いたジェイムズ・B・デューク。（デューク大学もこの家の名から）
一人娘だったドリスは僅か12歳にして、その遺産の全てを受け継いだ。
本作はドリス・デューク（1912ー1993）と晩年の彼女に仕えた執事バーナード・ラファティの物語。

ハワード・ヒューズの女版というか、絵に描いた資本主義を拡大鏡に映した様な暮らしぶりである。
ハワイの観光名所ともなっている‘シャングリラ（桃源郷）’という大邸宅も彼女が建てたうちの一つ。
そこには、かつて150人くらいの使用人がいたというが、その程度で驚く訳にはいかない。
そういう邸宅が他にも各地に５つもあったという。
部屋数も100以上というのはザラだろう、従業員もそれ以上は常備して必要があった。

朝食に出されたメロンが冷たいという理由だけで執事を即、解雇してしまう彼女が
一番問題を抱えていると思われたバーナードだけは何があっても手放さなかった。
アル中でヤク中でゲイの趣味を持ち合わせていたとしても・・・。

スーザン・サランドンとレイフ・ファインズの二人芝居。
Ｇ・スワンソン、シュトロハイムの狂気の格闘（サンセット大通り）や
ハワード・ヒューズの孤高の狂気が在る訳でもない。要するに濃い〜話じゃない。

ただ、「金のある不幸」（←大きなお世話だろうが）
この世の全てを金で買える（と思っている）ミスフォーチュン。
若さでさえ最新の美容技術で、多少は取り戻す事が出来るかも知れない。
けれど　＜見返りを求めない＞　人の情けと命だけは・・・

人生の晩期に生まれて初めて友人のように寄り添ってくれる執事と過ごした日々が描かれている。
それも、ただ淡々と。

お金というのは不思議なもので彼女ほどの財閥でも使い切れないという事は恐らく無いだろうと思える。
欲望への刺激がある限り、お金はいくらあっても足りないのである。

資本主義の権化と言えばそれまでだが、タバコ王の娘として生まれ、幼くして巨万の富を得た女性。
この人の死は何か20世紀の象徴が完全に幕を下ろした感がある、米国的・大量浪費経済の終焉という。

（もうひとつは「ヒットマンズ・レクイエム」）

スーザン・サランドンとレイフなのに未公開

話は面白かったけどな
レイフのゲイ姿も見られたし

今までは執事よりも主人のイメージだったけど
献身的に仕える姿も似合うなあ

黒のスーツ姿はいつも通りの彼なんだけと
明るい服を着ろと命令されてからの彼といったら・・・
まーみごとにわかりやすい変化

ゴージャスなガウン姿や
ばっちり化粧をして大きなイヤリング姿も披露

それだけで十分元が取れた気がします

特殊な環境の人にとって、優秀な人よりも少しでも心を許せる人がいいのかな。