重力ピエロ

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重力ピエロ / 加瀬亮

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「重力ピエロ」 の解説・あらすじ・ストーリー

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解説・ストーリー

切なくも感動的な一家族の絆を、独特のスタイリッシュな文体で軽やかに綴った伊坂幸太郎の同名ミステリーを実写映画化。仙台を舞台に、連続放火事件の謎を追う兄弟が、やがて家族にまつわる哀しい過去と向き合っていくさまを家族の愛を軸に描く。泉水と春は、優しい父と今は亡き美しい母の愛情に包まれて育った仲の良い兄弟。兄の泉水は遺伝子の研究をする大学院生。一方、街中で落書き消しの仕事をしている弟の春。彼らが暮らす仙台市内は、頻発する連続放火事件に揺れていた。あるとき春は、放火現場の近くに必ず謎のグラフィティアートが描かれていることに気づく。事件との繋がりを直感した春は、泉水を誘って夜の街で張り込みを開始するが…。

「重力ピエロ」 の作品情報

作品情報

製作年: 2009年
製作国: 日本

「重力ピエロ」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ

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1〜 5件 / 全154件

伝う

投稿日:2010/03/02 レビュアー:ビンス

春が二階から落ちてきた。
小説と同じセリフで始まる物語。
言葉にならない感情がこみ上げてくる。
その美しさ。
映像の持つ愛しさ。
いつまでも大切に心の中に留めておきたくなるようなシーン。
ヒラヒラ舞う桜と相まって、ボクの目から涙が落ちてくる。
映像に寄り添う旋律も美しすぎる。
この冒頭のシーンから物語が終わるまで、この愛しさに何度泣かされただろう。
何度涙が落ちてきた事だろう。
その喜び。
本当に幸せなら重力さえも感じなくなって・・・・
母は言う。
しかし観てるボクは、重力に感謝しなければならない。
幸せで、愛しくて流れ落ちてくる涙。
重力の成し得るステキな一筋の滝。
静かに、優しく頬を伝う。
素晴らしき家族の在りかたを目の当たりにした幸福を、ボク自身に触れて知らせてくれる滝。
その温度。
一番心地良い温度。
重力よ、ありがとう。

伊坂さんの作品らしい気の利いたセリフ。
オサレなセリフ。
映画では控えめです。
それがより現実的で、だからこそ時折放たれるステキなセリフにリアリティとファンタジーが共存しているような気がしました。
あり得ない。
あり得る。
その境界線をユラユラするような物語。
あり得ないような家族は、誰もがあり得て欲しい家族で。
あり得てはいけないことから、消し去る事が容易ではない強い愛が息吹き、育っていく。
どの役者さんも見事と言うしかない。
でもって小日向さんは反則です。
あんなのズルい(笑)
泣かせて笑わせて・・・この感情泥棒♪
毎回印象が違う加瀬さん。
今回もお見事。
イチオシの岡田君。
いつ見ても魅力的だ。
春は岡田君以外はあり得ない。
そう、強く思わせる。

お父さんの、お母さんの、お兄ちゃんの、そして春の。
全ての考え方が愛しい。
全ての答えが愛しい。

愛が伝うのも絆が伝うのも、血のせいではない。
どうしようもなく相手のことが好きだからだ。
どうしようもなく相手のことを守りたいからだ。

「陽気な〜」「死神の〜」「フィッシュ〜」と観てきたけど、コレが一番好きです。

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24年前の真実と家族の絆 ネタバレ

投稿日:2009/10/26 レビュアー:ミルクチョコ

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伊坂幸太郎の同名小説を映画化したミステリーです。
7年前に、母を事故で亡くしてた兄泉水(加瀬亮)と、弟春(岡田将生)は、彼らの住む地域で放火事件が連発していました。
泉水は、街の落書き消しの仕事をしている春から、一連の放火事件は必ず自分が消したグラフィックアートの近くで、起きていると聞かされ、落書き犯人の意図が隠されていると主張する春に誘われ、放火探しに乗り出すところから、24年前に彼らの家族に起きた悲しい過去と向き合う話に発展していきます。

この作品のキーは、遺伝子です。
これは、二人の父親の血の繋がりと、たとえ血は繋がらなくても、家族の繋がりとは?を問い、本当は逃れられない悲しい宿命に苦しむ家族の物語であるのですが、それでも前向きに生きようとするその絆に、いつも優しい眼差しで二人を見守る父の人間味ある言葉が良かったです。

小日向演じるお父さんが格好いいです。彼は朴訥とした素朴なところが魅力的なのですが、家族の危機に立ち向かう時には、ひるまない人間的な大きさにが、びっくりしてしまうほどです。
しかし、彼も人間、満面の笑みの下には常に悲哀感をも感じてしまうのでした。弱さをちらほらと見せ、悩みぬくそこがまたいいのですよね。
「神様に聞いてみたが、自分で考えろと言われた」
「楽しそうに生きていれば、地球の重力なんて消せるんだよ」
外見は優しくて、線の細い男達の根底にあるものは、芯の強さ、または強くあろうとする姿がほろりとさせるのでした。

父親の人間の大きさが、家族を遺伝子以上に結びついていると感じました。

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俳優たちは良いけれど、脚本家と監督は殴ってやりたい。 ネタバレ

投稿日:2010/01/19 レビュアー:ロキュータス

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うーん、ぼくには、だめでした。

俳優陣は拍手してもいいでしょう。
特に岡田将生は中年男のぼくが観ても、特筆ものの、りりしい美青年。  

しかしこの映画が言っていることは、ぼくには奇怪に思えます。
途中まではものすごく良くて、これはいいかもと思っていたら、途中から失笑、最後はものすごく不愉快さが残りましたね。 
気になったので、原作の小説も読んでみて、時間を置いてもう一度観ました。
その結果、脚本の相沢友子と監督の森淳一を殴ってやりたくなりました。

(以下、重大なネタばれ) 
レイプ犯で生物学上の父・葛城(渡部篤郎)は自我の持つ欲望を満たすだけで、超自我が(社会のモラルも、神も何も)ない男です。
ですから何の畏れもなく、レイプを「青春の1ページ」とうそぶく。

では、対比してこの兄弟、親子はどうでしょうか。
ものすごく自己完結の世界に見えてしようがない。

事件は親子と春を慕うストーカーの夏子、葛城との間だけで語られています。
落書き、放火、殺人まで起こっているのに、警察や社会というものの存在感が実に希薄です。

原作では放火に激怒しているビジネスホテルの男の存在があります。
ぼくも職場を放火され、自動販売機3台が丸コゲになったのを経験したことがあります。
幸いボヤでしたが、それでも憤怒を覚え、犯人見つけたら半殺しにしてやろうと思いました。
この映画、放火の後始末はどうするの?  

両親が春を産む決意をし、手を握るところで、教会を映して暗示されますが、この映画の考え方というのはキリスト教の考え方なんでしょうか?   原作とはずいぶん違う。
ぼくはクリスチャンではないし、また、どんな宗教についても無知だし、信仰と呼べるほどのものは何もない人間です。
この映画で言う「神様」がわからないのは、だからなのでしょうか。

この映画で「神様」が持ち出されるのは2回。

1度目は母親の死の後、父親が息子たちに春の出生の際の自分の気持ちを語る時。
「母さんが妊娠したことを知らされたとき、とっさに神様に相談した」
「思い違いかもしれないが、頭の中で(神様の)どなり声がした “自分で考えろ”って」

えっ、ほんとに神様が言ったの?  息子たちは何の疑問も抱かず、しんみりと聞いて信じるの?
特に、出生の秘密を知らされてショックな春は、思い違いかもしれないような話をされて、納得するの?

原作では、この話は父と泉水との会話で、春に対してのものではない。
泉水は「信仰もないくせに」と言い、父もそれを認める。
声が聞こえたという父に「あったのかよ」と笑う
「神様の”自分で考えろ”ってな、そういうどなり声がしたんだ」という父に「(そんな神様)無責任きわまりないじゃないか」とふきだして、突っ込んでいる。 

これが本人に言うとなると意味も重みもぜんぜん変わってくる。
自分の出生の意味を悩む者には、ほんとうに神が言ったかどうか、人間が神の名を騙って自論を正当化させるかどうかは重大事ではないだろうか。

本人に「産むかどうかを神様に”自分で考えろ”と言われた」というのは父として無責任極まりないのではないか。 神が無責任なのではなく。
「自分が産むと決めた。 おまえは私の子どもだ 」と言いたいのだろうが、それでも春は思うのではないか。
「どうして、両親はこんな苦しい境遇に自分を産んだのだろう」
「自分の出生の責任は、手に負えないこととして、神に放棄されたのではないか」と。

昔、書き手は忘れたが、クリスチャンの方のエッセイを読んだことがあります。
うろ憶えですが
「人間がこの世に生に受けるのは、神の業、ないしは自然の摂理によるものである。  
そして、なぜその境遇で自分は生まれたか、何のために生まれたか、など、神は人間にいちいち説明などしない。 それは神の領域で、沈黙するのみである。
そして子に親は選べない。だから自らの出生について、人間には責任がない。  
自分の選択の余地の無いことに、責任は負いようがない。」
そこから、親の罪や自分の出生を引け目に思うことはないという考えが出てきます。

一方「生きていくとは、神が与えた設定、命題に応えていく(respond)ことであり、人生は人間の自由裁量で選択の余地があるからこそ、責任(responsibility)が出てくるのであって、行為の責任を後から神に求められるのだ」というのです。

”自分で考えろ”と神に言われるか、神が何も言わないから自分で考える、は違う。
何も言わない(声がしない)は、存在しない、とも違う。

(つづく)

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疑問符が宙を舞い ネタバレ

投稿日:2010/02/08 レビュアー:AVANZSUR

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伊坂作品だとどうしても「アヒルと鴨〜」と比較してしまうんですが、本作はミステリーとしても人間ドラマとしても余りに中途半端に描き過ぎたために謎解きの面白さも、登場人物の行動に共感する事も出来ず未消化感だけが残ります。
人間形成は遺伝か環境か、放火事件とグラフィックアートの符号、家族の過去等、面白い具材を揃えながら上手く料理出来ませんでしたね。
大体、あんな風な事情で出来た子供に真実を告げる必要性が理解不能だし、最後の犯罪で何が解決したんだろ?・・・まるでリアリティ無いし、疑問点のオンパレードです。
個人的には絵空事的な家族愛物語としか感じ取れませんでした。

しかし渡部篤郎はTV版「白夜行」同様、性格破綻したサイコチックな悪役ぶりが板についてきましたね。

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家族をつなぐもの ネタバレ

投稿日:2009/10/03 レビュアー:パープルローズ

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とてもよかったです。2度ほど泣いてしまいました。
放火とDNAに関するの謎解きがやや中途半端かもしれませんが、謎解きよりも家族のあり方に比重の置かれたストーリーになっていますし、親子の絆は遺伝子などというただの塩基の配列ではなく、信頼から生まれるということを語るには充分だったと思います。

泉水と春、父親の違う兄弟に加瀬亮と岡田将生という配役も、小日向文世、鈴木京香の両親という配役もよかったです。
岡田くんはほんとにきれいな顔立ちでほれぼれしてしまいましたが、「天然コケッコー」の子だったのですね!今後も期待です。

強姦魔の渡辺篤郎、これがまた憎たらしい。
「強姦はなぜいけないのか?」「青春の1ページ」というせりふには、ほんとに吐き気がしそうでした。
それにしても、あんな目にあって、それでも授かった命を育てていくにはどれだけの決意がいったことでしょう。生まれた子供が背負っていかなければならないものの重さも、どれほどだったでしょう。

「気休めも人を救う」とか、「楽しく暮らしていれば重力も消えてしまう」とか、原作のなかのいい言葉もうまく使われていたと思います。そういえば、原作にはゴダールの話がでてきて、それがおもしろかったのですが、さすがに映画のほうにはなかったですね。

ちょっと残念だったのはグラフィティアート。
春が「こんなのはアートじゃない。」といってたくらいなので、この程度なのかな。
でもそれだったら、「アート」の方も見たかったな。

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重力ピエロ

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伝う

投稿日

2010/03/02

レビュアー

ビンス

春が二階から落ちてきた。
小説と同じセリフで始まる物語。
言葉にならない感情がこみ上げてくる。
その美しさ。
映像の持つ愛しさ。
いつまでも大切に心の中に留めておきたくなるようなシーン。
ヒラヒラ舞う桜と相まって、ボクの目から涙が落ちてくる。
映像に寄り添う旋律も美しすぎる。
この冒頭のシーンから物語が終わるまで、この愛しさに何度泣かされただろう。
何度涙が落ちてきた事だろう。
その喜び。
本当に幸せなら重力さえも感じなくなって・・・・
母は言う。
しかし観てるボクは、重力に感謝しなければならない。
幸せで、愛しくて流れ落ちてくる涙。
重力の成し得るステキな一筋の滝。
静かに、優しく頬を伝う。
素晴らしき家族の在りかたを目の当たりにした幸福を、ボク自身に触れて知らせてくれる滝。
その温度。
一番心地良い温度。
重力よ、ありがとう。

伊坂さんの作品らしい気の利いたセリフ。
オサレなセリフ。
映画では控えめです。
それがより現実的で、だからこそ時折放たれるステキなセリフにリアリティとファンタジーが共存しているような気がしました。
あり得ない。
あり得る。
その境界線をユラユラするような物語。
あり得ないような家族は、誰もがあり得て欲しい家族で。
あり得てはいけないことから、消し去る事が容易ではない強い愛が息吹き、育っていく。
どの役者さんも見事と言うしかない。
でもって小日向さんは反則です。
あんなのズルい(笑)
泣かせて笑わせて・・・この感情泥棒♪
毎回印象が違う加瀬さん。
今回もお見事。
イチオシの岡田君。
いつ見ても魅力的だ。
春は岡田君以外はあり得ない。
そう、強く思わせる。

お父さんの、お母さんの、お兄ちゃんの、そして春の。
全ての考え方が愛しい。
全ての答えが愛しい。

愛が伝うのも絆が伝うのも、血のせいではない。
どうしようもなく相手のことが好きだからだ。
どうしようもなく相手のことを守りたいからだ。

「陽気な〜」「死神の〜」「フィッシュ〜」と観てきたけど、コレが一番好きです。

24年前の真実と家族の絆

投稿日

2009/10/26

レビュアー

ミルクチョコ

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伊坂幸太郎の同名小説を映画化したミステリーです。
7年前に、母を事故で亡くしてた兄泉水(加瀬亮)と、弟春(岡田将生)は、彼らの住む地域で放火事件が連発していました。
泉水は、街の落書き消しの仕事をしている春から、一連の放火事件は必ず自分が消したグラフィックアートの近くで、起きていると聞かされ、落書き犯人の意図が隠されていると主張する春に誘われ、放火探しに乗り出すところから、24年前に彼らの家族に起きた悲しい過去と向き合う話に発展していきます。

この作品のキーは、遺伝子です。
これは、二人の父親の血の繋がりと、たとえ血は繋がらなくても、家族の繋がりとは?を問い、本当は逃れられない悲しい宿命に苦しむ家族の物語であるのですが、それでも前向きに生きようとするその絆に、いつも優しい眼差しで二人を見守る父の人間味ある言葉が良かったです。

小日向演じるお父さんが格好いいです。彼は朴訥とした素朴なところが魅力的なのですが、家族の危機に立ち向かう時には、ひるまない人間的な大きさにが、びっくりしてしまうほどです。
しかし、彼も人間、満面の笑みの下には常に悲哀感をも感じてしまうのでした。弱さをちらほらと見せ、悩みぬくそこがまたいいのですよね。
「神様に聞いてみたが、自分で考えろと言われた」
「楽しそうに生きていれば、地球の重力なんて消せるんだよ」
外見は優しくて、線の細い男達の根底にあるものは、芯の強さ、または強くあろうとする姿がほろりとさせるのでした。

父親の人間の大きさが、家族を遺伝子以上に結びついていると感じました。

俳優たちは良いけれど、脚本家と監督は殴ってやりたい。

投稿日

2010/01/19

レビュアー

ロキュータス

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うーん、ぼくには、だめでした。

俳優陣は拍手してもいいでしょう。
特に岡田将生は中年男のぼくが観ても、特筆ものの、りりしい美青年。  

しかしこの映画が言っていることは、ぼくには奇怪に思えます。
途中まではものすごく良くて、これはいいかもと思っていたら、途中から失笑、最後はものすごく不愉快さが残りましたね。 
気になったので、原作の小説も読んでみて、時間を置いてもう一度観ました。
その結果、脚本の相沢友子と監督の森淳一を殴ってやりたくなりました。

(以下、重大なネタばれ) 
レイプ犯で生物学上の父・葛城(渡部篤郎)は自我の持つ欲望を満たすだけで、超自我が(社会のモラルも、神も何も)ない男です。
ですから何の畏れもなく、レイプを「青春の1ページ」とうそぶく。

では、対比してこの兄弟、親子はどうでしょうか。
ものすごく自己完結の世界に見えてしようがない。

事件は親子と春を慕うストーカーの夏子、葛城との間だけで語られています。
落書き、放火、殺人まで起こっているのに、警察や社会というものの存在感が実に希薄です。

原作では放火に激怒しているビジネスホテルの男の存在があります。
ぼくも職場を放火され、自動販売機3台が丸コゲになったのを経験したことがあります。
幸いボヤでしたが、それでも憤怒を覚え、犯人見つけたら半殺しにしてやろうと思いました。
この映画、放火の後始末はどうするの?  

両親が春を産む決意をし、手を握るところで、教会を映して暗示されますが、この映画の考え方というのはキリスト教の考え方なんでしょうか?   原作とはずいぶん違う。
ぼくはクリスチャンではないし、また、どんな宗教についても無知だし、信仰と呼べるほどのものは何もない人間です。
この映画で言う「神様」がわからないのは、だからなのでしょうか。

この映画で「神様」が持ち出されるのは2回。

1度目は母親の死の後、父親が息子たちに春の出生の際の自分の気持ちを語る時。
「母さんが妊娠したことを知らされたとき、とっさに神様に相談した」
「思い違いかもしれないが、頭の中で(神様の)どなり声がした “自分で考えろ”って」

えっ、ほんとに神様が言ったの?  息子たちは何の疑問も抱かず、しんみりと聞いて信じるの?
特に、出生の秘密を知らされてショックな春は、思い違いかもしれないような話をされて、納得するの?

原作では、この話は父と泉水との会話で、春に対してのものではない。
泉水は「信仰もないくせに」と言い、父もそれを認める。
声が聞こえたという父に「あったのかよ」と笑う
「神様の”自分で考えろ”ってな、そういうどなり声がしたんだ」という父に「(そんな神様)無責任きわまりないじゃないか」とふきだして、突っ込んでいる。 

これが本人に言うとなると意味も重みもぜんぜん変わってくる。
自分の出生の意味を悩む者には、ほんとうに神が言ったかどうか、人間が神の名を騙って自論を正当化させるかどうかは重大事ではないだろうか。

本人に「産むかどうかを神様に”自分で考えろ”と言われた」というのは父として無責任極まりないのではないか。 神が無責任なのではなく。
「自分が産むと決めた。 おまえは私の子どもだ 」と言いたいのだろうが、それでも春は思うのではないか。
「どうして、両親はこんな苦しい境遇に自分を産んだのだろう」
「自分の出生の責任は、手に負えないこととして、神に放棄されたのではないか」と。

昔、書き手は忘れたが、クリスチャンの方のエッセイを読んだことがあります。
うろ憶えですが
「人間がこの世に生に受けるのは、神の業、ないしは自然の摂理によるものである。  
そして、なぜその境遇で自分は生まれたか、何のために生まれたか、など、神は人間にいちいち説明などしない。 それは神の領域で、沈黙するのみである。
そして子に親は選べない。だから自らの出生について、人間には責任がない。  
自分の選択の余地の無いことに、責任は負いようがない。」
そこから、親の罪や自分の出生を引け目に思うことはないという考えが出てきます。

一方「生きていくとは、神が与えた設定、命題に応えていく(respond)ことであり、人生は人間の自由裁量で選択の余地があるからこそ、責任(responsibility)が出てくるのであって、行為の責任を後から神に求められるのだ」というのです。

”自分で考えろ”と神に言われるか、神が何も言わないから自分で考える、は違う。
何も言わない(声がしない)は、存在しない、とも違う。

(つづく)

疑問符が宙を舞い

投稿日

2010/02/08

レビュアー

AVANZSUR

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伊坂作品だとどうしても「アヒルと鴨〜」と比較してしまうんですが、本作はミステリーとしても人間ドラマとしても余りに中途半端に描き過ぎたために謎解きの面白さも、登場人物の行動に共感する事も出来ず未消化感だけが残ります。
人間形成は遺伝か環境か、放火事件とグラフィックアートの符号、家族の過去等、面白い具材を揃えながら上手く料理出来ませんでしたね。
大体、あんな風な事情で出来た子供に真実を告げる必要性が理解不能だし、最後の犯罪で何が解決したんだろ?・・・まるでリアリティ無いし、疑問点のオンパレードです。
個人的には絵空事的な家族愛物語としか感じ取れませんでした。

しかし渡部篤郎はTV版「白夜行」同様、性格破綻したサイコチックな悪役ぶりが板についてきましたね。

家族をつなぐもの

投稿日

2009/10/03

レビュアー

パープルローズ

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とてもよかったです。2度ほど泣いてしまいました。
放火とDNAに関するの謎解きがやや中途半端かもしれませんが、謎解きよりも家族のあり方に比重の置かれたストーリーになっていますし、親子の絆は遺伝子などというただの塩基の配列ではなく、信頼から生まれるということを語るには充分だったと思います。

泉水と春、父親の違う兄弟に加瀬亮と岡田将生という配役も、小日向文世、鈴木京香の両親という配役もよかったです。
岡田くんはほんとにきれいな顔立ちでほれぼれしてしまいましたが、「天然コケッコー」の子だったのですね!今後も期待です。

強姦魔の渡辺篤郎、これがまた憎たらしい。
「強姦はなぜいけないのか?」「青春の1ページ」というせりふには、ほんとに吐き気がしそうでした。
それにしても、あんな目にあって、それでも授かった命を育てていくにはどれだけの決意がいったことでしょう。生まれた子供が背負っていかなければならないものの重さも、どれほどだったでしょう。

「気休めも人を救う」とか、「楽しく暮らしていれば重力も消えてしまう」とか、原作のなかのいい言葉もうまく使われていたと思います。そういえば、原作にはゴダールの話がでてきて、それがおもしろかったのですが、さすがに映画のほうにはなかったですね。

ちょっと残念だったのはグラフィティアート。
春が「こんなのはアートじゃない。」といってたくらいなので、この程度なのかな。
でもそれだったら、「アート」の方も見たかったな。

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