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ミルク / ショーン・ペン

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「ミルク」 の解説・あらすじ・ストーリー

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解説・ストーリー

自らゲイであることを公表し、ゲイをはじめあらゆるマイノリティの社会的地位向上のために立ち上がった伝説の活動家ハーヴィー・ミルクの波乱に富んだ後半生を、名優ショーン・ペンの熱演で描く感動の伝記ドラマ。監督は「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」のガス・ヴァン・サント。1972年、ニューヨーク。金融業界で働いていたハーヴィー・ミルクは、20歳も年下の青年スコット・スミスと出会い、恋に落ちる。2人は変化を求めてサンフランシスコに移住し、カメラ店を始める。陽気なミルクの人柄が多くの人を引き寄せ、いつしか店は同性愛者たちの社交場となっていく。それにつれてミルクは、社会的弱者の問題改善に取り組み、政治に目覚めていく。

「ミルク」 の作品情報

作品情報

製作年:

2008年

製作国:

アメリカ

原題:

MILK

受賞記録:

2008年 アカデミー賞 主演男優賞
2008年 NY批評家協会賞 作品賞
2008年 LA批評家協会賞 男優賞

「ミルク」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ

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伝説のゲイの政治家 ネタバレ

投稿日:2009/10/13 レビュアー:ミルクチョコ

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

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70年代のアメリカで同性愛者の権利獲得に尽力したゲイのハーヴェイ・ミルク。サンフランシスコの市政執行委員となった彼が同僚の手で市長と共に暗殺されるまでの8年間に焦点を当て、その人生と活動を描いた実話ドラマで、アカデミー賞主演男優賞と脚本賞を受賞しています。

アメリカの社会は、どうしてもキリスト教プロテスタントとしての影響は根強く、同性愛者は、神の摂理に反する者として、長い間白眼視されていたところにあると思います。
同性愛者の性行為を犯罪とする州法を米最高裁が無効としたのは、つい最近2003年、ミルクが殺されてから25年も経ってからのこと。彼らが普通の人間として生きようとした道のりは、当時まだ半ばだったことが分かります。

何より素晴らしいのは、監督のマイノリティを見つめる優しい視線がこの映画の根底にあると思います。ミルクが目指したものは、一人の人間として、同性愛者としての最低限の権利なのでしょう。主人公を演じたショーン・ペンの過剰までな演技は、崖っぷちに追い込まれた彼が身もだえする様が伝わって来るようです。その哀しみをカメラはそっと寄り添っているかのようでした。

冒頭、暗殺される前のミルクが過去を振り返って、回想を録音していくところから物語は始まり、8年前のNYでビジネスマンとして働いていた彼が、カミングアウトして、恋人と一緒にサンフランシスコの街にやって来て、カメラ店を開き、彼らの私生活が微細に描かれているところは、ちょっと驚いてしまいまいます。

そして、同性愛者を認める言葉、「君をリクルートしたい」
彼が一番欲しかった言葉なんだと思います。
そして彼らの同じ悩みを抱える人たちの希望になりたかった彼を見ていると、ゲイとか関係なくて、人間として自分の気持ちに正直に生きたいという思いにじ〜んとなってしまいました。
ラスト、実物のミルクが出てくるとさらにその気持ちが募ります。

サンフランシスコに行った時に、スキンヘッドに方耳ピアスのペアの大集団を見た時は、何のことだかさっぱり分からず、後でその事を聞いて、あそこの街はそういう歴史があったんだと今更ながらに思いました。

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政治活動はこうやるんだ。 ネタバレ

投稿日:2010/06/11 レビュアー:港のマリー

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 ガス・ヴァン・サントは「マイ・プライベート・アイダホ」「エレファント」「グッド・ウィル・ハンティング」を見たが、あまりの繊細さ、優しさが軟弱にうつり、「骨太の映画」があるのならこれらは「骨細」だと、いまひとつ乗れないでいた。
 ところがこの「ミルク」は言いたいことが明白で力強い一面もありなかなか面白かった。

 最後の悲劇よりもパートナーと移り住んだサンフランシスコで、ゲイへの差別やありのまま生きることの困難を政治の場で解決しようと、大胆に生き方をチェンジし仲間を集めて果敢に行動したその過程を見るべきなのだろう。政治的に生きるとはどういうことかということを。
 私生活に閉じこもらないこと、自分だけが悪い、おかしいと思わないこと、心を開いて語りかけること、そうやって同じ境遇の人間たちを引き寄せコミュニティを形成する。ミルクの包容力はすばらしい。次は自分たちの集団の要求を実現するために政治の場に代表を送り込む。中心にいるのはミルクだが、彼がリクルートしたブレーンたちも実行部隊も実に生き生きと働いている。多少美化されすぎているきらいもあるが、ベトナム反戦運動、公民権運動と若い世代が政治に燃えた70年代の熱気をよく伝えていた。

 政治家としてのミルクはしたたかだった。人たらしの術は天性のものらしいが支持拡大のためには犬の糞まで拾い、暴動を止めるパフォーマンスを画策し、法案成立のため根回し裏取引も怠らない。痛快だったのは超保守派の政敵を討論の場に引っ張り出し論破してしまった場面。敵を研究し敵から学ぶことこそ政治的な生き方。あんなやつ気分が悪いと、拒否するだけでは結局負ける。
 もちろん根底で政治家ミルクを支えたのは、人間は皆自由であり平等に遇されるべきだという、アメリカ合衆国建国の理念だった。差別は感情、しかも生理的といってもいい非合理的な情動に根を張るものであり克服は難しい。しかし敢えて理念を武器に挑戦した。
 ゲイの解放者としてだけではなく民主主義の闘士としても立派ではないか。

 政治に生きて失ったものもある。恋人との二人だけの静かな生活、身の安全。恋人たちは去っていったがミルクは歩みを止めない。私はもっと大勢のひとを抱きしめなければ。ラスト、トスカを上演中のオペラハウスを窓の外にもってきたのはサントらしかった。ミルクは身投げをするトスカというより、処刑されるカヴァラドッシだろう。「いまほど人生を愛おしいと思う時はない」と星空に最後の命の輝きを歌い上げる画家のように、ミルクも最後まで優しく光る星だった。

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ゲイであることが特別でないことが特別なんだ!

投稿日:2010/05/14 レビュアー:KASPAR

傑作『エレファント』のガス・ヴァン・サント監督の新作ということで劇場公開時から気になっていた『 MILK ミルク 』を観ました♪

ふむふむ(・〜・。)・・・上手い!!!とにかく上手い!!!ガス・ヴァン・サント監督がここまで正攻法の映画でここまで完成度の高い映画が撮れるとは!!!サスガっすねー(°∀°)b

□■□■□

ハーヴェイ・ミルク氏の物語である以上はゲイというのはどーやっても切り離せないんやけど、"ゲイを扱った映画であってもゲイが主題の映画であってはならない"という繊細な部分が非常に上手く表現されてるんやないやろか?・・・ってこの文章がぜんぜん上手くないんで伝わりにくいやろけど(´д`lll)

同性愛を扱った映画はアート系の素晴らしい映画が多くて、それはそれで否定するわけでは無いんやけど、"特別でない"ことを"特別な表現"で描いてしまうと観てる側はどーしても"特別なもの"として観てしまう・・・

表現者(アーティスト)として特別な才能を持つガス・ヴァン・サント監督が、正攻法の手法を用いて"人間ドラマ"として真正面からこの作品を仕上げたことは、非常に重要で途轍もなく凄いことなんよねー(°∀°)b

特別な表現や手法を使わずにこんなにも素晴らしい作品に仕上げてあるからこそ、この映画は"特別"なんよねー!!!

□■□■□

えーっと・・・この文章で伝わってるんやろか(;^_^A

とりあえず、この映画で唯一アーティストとしてのガンスヴァンサント監督の表現が見れるラストシーンの美しさは必見です(°∀°)b

個人的満足度 75点! オススメ度 80点!

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ハーヴェイとスコット

投稿日:2013/03/27 レビュアー:まみもぉ

続、ショーン・ペン鑑賞。
ハーヴェイ・ミルクをショーン・ペン? とても違和感あってパスした作品でした。
『リチャード・ニクソン・・』の4年後ですが、こちらの方がペンさん、はるかに若く見えました。
若いだけでなくごく自然に同性愛者でした。
なりきっている感も演じてる感もゼロ。
男性の体で、動き、物腰、話し方すべてが柔らかで、でも決して”女性的”ではない。
同性愛者でした。
ですから、40歳になる日のスコットとの出会い方、交り方もとても自然。
そのスコット・・・ジェームズ・フランコ。口髭がよく似合っていて美しい!!
このふたりの関係がとてもよかった。
政治家としてハーヴェイ・ミルクが先陣を切ってした事、成し得た事、
彼を支持した人々のエネルギーの盛り上がり、
実写映像もあってわかりやすく70年代のパワーと共に伝わってきました。
けど、私にはハーヴェイとスコットのふたりの物語でした。
ガス・ヴァン・サント監督だから広げられただろう、歴史的人物の自伝の枠を楽しめました。

人としての互いを敬い慈しむあう愛情の有り様がすてきでした。
愛する人を独占できない苦しみと相手への思いやりゆえ離れていって、でも愛情はそのまま。
ですからふたりが再会して出会った時の話しをするシーンは、その後のことがわかっているだけにせつない。
ジェームズ・ブランコの美しさが眩しかったです。
実際のスコットも美しい好青年で驚きました。
ラスト、役者と実在人物の写真が流れますが、どなたも似ています。
実在のハーヴェイ・ミルクとショーン・ペンは、でも、似ているわけではないのですが、
同じに見えました。ショーン・ペンだから。でしょうね。
揺れるキャンドルライトのような俳優さんです。



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『ダーティー・ハリー』の街の市政執行委員 ネタバレ

投稿日:2009/11/16 レビュアー:ロキュータス

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『ダーティー・ハリー』はサンフランシスコを舞台に大ヒットしたアクション映画ですが、ある緊張するシーンでそれを緩和し笑いを誘う形で、一人のゲイの青年が出てきます。 
自らをアリスと名乗ってました。

そのことと直接には何も関係ないけれど、映画の公開の次の年1972年ハーヴェイ・ミルクはニューヨークからこの街へやって来ました。 もう40歳を過ぎていたし、そのときはまだ無名でした。

暴行を受けてもサンフランシスコ市警は保護してくれるどころか、むしろ警察による暴力もあったし、風俗を乱すものとゲイがみなされ生存が脅かされることに憤りを覚えて、彼は市政執行委員の当選をめざしました。

アメリカの自治制度は、各地によってさまざま。
サンフランシスコ市の市政執行委員というのは一般の市会議員よりも人数も少なく、権限も強そうです。
単に予算を審議したり条例を作ったりだけでなく、企業における役員のように、行政の運営・執行にも発言権があるのかな?

その政治活動の成熟の過程が見ていて面白い。
長髪、ひげ、ラフな服装から、髪を切りスーツを着て「見た目」を受け入れやすいものにする。
論点を簡潔に、明瞭にして繰り返す、お決まりのフレーズも浸透させる。
暴動を整然としたデモにして暴発を防ぎ、一方で要求が拒否されれば暴動になることをちらつかせる「ピースメーカー」ぶり。
トラック運転手の労働組合から中国系・黒人までの連携「ギブ・アンド・テイク」
アメとムチは体制側の専売特許でなく、ムーブメントの側も有効という、あたりまえだが意外におろそかにされるしたたかさがあります
権力獲得、行使を罪悪視せず、積極的に建設的に力を使って世の中を変えようとした。
政治活動として極めてまっとうですね。

ショーン・ペンはすばらしかったと思います。
若いころはマドンナの元DV亭主というイメージで嫌いだった。
『デッドマン・ウォーキング』あたりで観なおしたものの、「マッチョなオレ様」ぶりが強くて作品によっては今でもだめです。
彼を好きになれない人は少なくないように思います。
でも「アクの強い嫌われ者」だからこそハーヴェイ・ミルクを演じるのに適役なのではないでしょうか。

何か知らんけどこいつ嫌い、という偏見を見直し、認知や共感と尊敬に代わっていったのが、ミルクが世に受け入れられた過程と重なると感じるからです。

この映画で好感を持ったのは、ミルクも私生活を描き人間的な弱さも描いてるし、ダン・ホワイトの描写に抑制が効いていた点です。 
ダン・ホワイトはアニタ・ブライアントのような激しい反ゲイの唱道者でもないし、市議会でも「取引」してそれなりに共存しようとしていた。

しかしボタンのかけ違いから関係が行き詰っていった。
関係の悪化から、思い込みが強くなり凶行に及んだのだと思います。
自分とはかけ離れたはみ出し者、ならず者が起こした凶行ではなく、「普通」の男が行き詰って起こした問題だからこそ、根も深いと感じました。

個人的な経験から言うと、自分では寛容で偏見などないと思いがちですし、思いたいですが、相手との関係がまずくなると、相手の属性への偏見が顔を出し、思い込みが強くなります。
自分の偏見に自分で驚かされることもしばしば。    気をつけないといけません。

キャンドルを持った人たちによる市長とミルク追悼の行進は感動的でした。
(残念ながらこの後、ダン・ホワイト裁判への抗議の「ホワイト・ナイトの暴動」も行われますし、80年代エイズ感染の初期には同性愛者への偏見が助長されましたが・・・。)
その行進の中には「アリス」もいたことでしょう。

ダン・ホワイトはサンフランシスコ市警に勤めていましたから、ハリーの元同僚ということになります。
そうした虚構と現実がないまぜになって、むしろ身近でリアルに感じました。

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ミルク

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伝説のゲイの政治家

投稿日

2009/10/13

レビュアー

ミルクチョコ

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70年代のアメリカで同性愛者の権利獲得に尽力したゲイのハーヴェイ・ミルク。サンフランシスコの市政執行委員となった彼が同僚の手で市長と共に暗殺されるまでの8年間に焦点を当て、その人生と活動を描いた実話ドラマで、アカデミー賞主演男優賞と脚本賞を受賞しています。

アメリカの社会は、どうしてもキリスト教プロテスタントとしての影響は根強く、同性愛者は、神の摂理に反する者として、長い間白眼視されていたところにあると思います。
同性愛者の性行為を犯罪とする州法を米最高裁が無効としたのは、つい最近2003年、ミルクが殺されてから25年も経ってからのこと。彼らが普通の人間として生きようとした道のりは、当時まだ半ばだったことが分かります。

何より素晴らしいのは、監督のマイノリティを見つめる優しい視線がこの映画の根底にあると思います。ミルクが目指したものは、一人の人間として、同性愛者としての最低限の権利なのでしょう。主人公を演じたショーン・ペンの過剰までな演技は、崖っぷちに追い込まれた彼が身もだえする様が伝わって来るようです。その哀しみをカメラはそっと寄り添っているかのようでした。

冒頭、暗殺される前のミルクが過去を振り返って、回想を録音していくところから物語は始まり、8年前のNYでビジネスマンとして働いていた彼が、カミングアウトして、恋人と一緒にサンフランシスコの街にやって来て、カメラ店を開き、彼らの私生活が微細に描かれているところは、ちょっと驚いてしまいまいます。

そして、同性愛者を認める言葉、「君をリクルートしたい」
彼が一番欲しかった言葉なんだと思います。
そして彼らの同じ悩みを抱える人たちの希望になりたかった彼を見ていると、ゲイとか関係なくて、人間として自分の気持ちに正直に生きたいという思いにじ〜んとなってしまいました。
ラスト、実物のミルクが出てくるとさらにその気持ちが募ります。

サンフランシスコに行った時に、スキンヘッドに方耳ピアスのペアの大集団を見た時は、何のことだかさっぱり分からず、後でその事を聞いて、あそこの街はそういう歴史があったんだと今更ながらに思いました。

政治活動はこうやるんだ。

投稿日

2010/06/11

レビュアー

港のマリー

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 ガス・ヴァン・サントは「マイ・プライベート・アイダホ」「エレファント」「グッド・ウィル・ハンティング」を見たが、あまりの繊細さ、優しさが軟弱にうつり、「骨太の映画」があるのならこれらは「骨細」だと、いまひとつ乗れないでいた。
 ところがこの「ミルク」は言いたいことが明白で力強い一面もありなかなか面白かった。

 最後の悲劇よりもパートナーと移り住んだサンフランシスコで、ゲイへの差別やありのまま生きることの困難を政治の場で解決しようと、大胆に生き方をチェンジし仲間を集めて果敢に行動したその過程を見るべきなのだろう。政治的に生きるとはどういうことかということを。
 私生活に閉じこもらないこと、自分だけが悪い、おかしいと思わないこと、心を開いて語りかけること、そうやって同じ境遇の人間たちを引き寄せコミュニティを形成する。ミルクの包容力はすばらしい。次は自分たちの集団の要求を実現するために政治の場に代表を送り込む。中心にいるのはミルクだが、彼がリクルートしたブレーンたちも実行部隊も実に生き生きと働いている。多少美化されすぎているきらいもあるが、ベトナム反戦運動、公民権運動と若い世代が政治に燃えた70年代の熱気をよく伝えていた。

 政治家としてのミルクはしたたかだった。人たらしの術は天性のものらしいが支持拡大のためには犬の糞まで拾い、暴動を止めるパフォーマンスを画策し、法案成立のため根回し裏取引も怠らない。痛快だったのは超保守派の政敵を討論の場に引っ張り出し論破してしまった場面。敵を研究し敵から学ぶことこそ政治的な生き方。あんなやつ気分が悪いと、拒否するだけでは結局負ける。
 もちろん根底で政治家ミルクを支えたのは、人間は皆自由であり平等に遇されるべきだという、アメリカ合衆国建国の理念だった。差別は感情、しかも生理的といってもいい非合理的な情動に根を張るものであり克服は難しい。しかし敢えて理念を武器に挑戦した。
 ゲイの解放者としてだけではなく民主主義の闘士としても立派ではないか。

 政治に生きて失ったものもある。恋人との二人だけの静かな生活、身の安全。恋人たちは去っていったがミルクは歩みを止めない。私はもっと大勢のひとを抱きしめなければ。ラスト、トスカを上演中のオペラハウスを窓の外にもってきたのはサントらしかった。ミルクは身投げをするトスカというより、処刑されるカヴァラドッシだろう。「いまほど人生を愛おしいと思う時はない」と星空に最後の命の輝きを歌い上げる画家のように、ミルクも最後まで優しく光る星だった。

ゲイであることが特別でないことが特別なんだ!

投稿日

2010/05/14

レビュアー

KASPAR

傑作『エレファント』のガス・ヴァン・サント監督の新作ということで劇場公開時から気になっていた『 MILK ミルク 』を観ました♪

ふむふむ(・〜・。)・・・上手い!!!とにかく上手い!!!ガス・ヴァン・サント監督がここまで正攻法の映画でここまで完成度の高い映画が撮れるとは!!!サスガっすねー(°∀°)b

□■□■□

ハーヴェイ・ミルク氏の物語である以上はゲイというのはどーやっても切り離せないんやけど、"ゲイを扱った映画であってもゲイが主題の映画であってはならない"という繊細な部分が非常に上手く表現されてるんやないやろか?・・・ってこの文章がぜんぜん上手くないんで伝わりにくいやろけど(´д`lll)

同性愛を扱った映画はアート系の素晴らしい映画が多くて、それはそれで否定するわけでは無いんやけど、"特別でない"ことを"特別な表現"で描いてしまうと観てる側はどーしても"特別なもの"として観てしまう・・・

表現者(アーティスト)として特別な才能を持つガス・ヴァン・サント監督が、正攻法の手法を用いて"人間ドラマ"として真正面からこの作品を仕上げたことは、非常に重要で途轍もなく凄いことなんよねー(°∀°)b

特別な表現や手法を使わずにこんなにも素晴らしい作品に仕上げてあるからこそ、この映画は"特別"なんよねー!!!

□■□■□

えーっと・・・この文章で伝わってるんやろか(;^_^A

とりあえず、この映画で唯一アーティストとしてのガンスヴァンサント監督の表現が見れるラストシーンの美しさは必見です(°∀°)b

個人的満足度 75点! オススメ度 80点!

ハーヴェイとスコット

投稿日

2013/03/27

レビュアー

まみもぉ

続、ショーン・ペン鑑賞。
ハーヴェイ・ミルクをショーン・ペン? とても違和感あってパスした作品でした。
『リチャード・ニクソン・・』の4年後ですが、こちらの方がペンさん、はるかに若く見えました。
若いだけでなくごく自然に同性愛者でした。
なりきっている感も演じてる感もゼロ。
男性の体で、動き、物腰、話し方すべてが柔らかで、でも決して”女性的”ではない。
同性愛者でした。
ですから、40歳になる日のスコットとの出会い方、交り方もとても自然。
そのスコット・・・ジェームズ・フランコ。口髭がよく似合っていて美しい!!
このふたりの関係がとてもよかった。
政治家としてハーヴェイ・ミルクが先陣を切ってした事、成し得た事、
彼を支持した人々のエネルギーの盛り上がり、
実写映像もあってわかりやすく70年代のパワーと共に伝わってきました。
けど、私にはハーヴェイとスコットのふたりの物語でした。
ガス・ヴァン・サント監督だから広げられただろう、歴史的人物の自伝の枠を楽しめました。

人としての互いを敬い慈しむあう愛情の有り様がすてきでした。
愛する人を独占できない苦しみと相手への思いやりゆえ離れていって、でも愛情はそのまま。
ですからふたりが再会して出会った時の話しをするシーンは、その後のことがわかっているだけにせつない。
ジェームズ・ブランコの美しさが眩しかったです。
実際のスコットも美しい好青年で驚きました。
ラスト、役者と実在人物の写真が流れますが、どなたも似ています。
実在のハーヴェイ・ミルクとショーン・ペンは、でも、似ているわけではないのですが、
同じに見えました。ショーン・ペンだから。でしょうね。
揺れるキャンドルライトのような俳優さんです。



『ダーティー・ハリー』の街の市政執行委員

投稿日

2009/11/16

レビュアー

ロキュータス

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

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『ダーティー・ハリー』はサンフランシスコを舞台に大ヒットしたアクション映画ですが、ある緊張するシーンでそれを緩和し笑いを誘う形で、一人のゲイの青年が出てきます。 
自らをアリスと名乗ってました。

そのことと直接には何も関係ないけれど、映画の公開の次の年1972年ハーヴェイ・ミルクはニューヨークからこの街へやって来ました。 もう40歳を過ぎていたし、そのときはまだ無名でした。

暴行を受けてもサンフランシスコ市警は保護してくれるどころか、むしろ警察による暴力もあったし、風俗を乱すものとゲイがみなされ生存が脅かされることに憤りを覚えて、彼は市政執行委員の当選をめざしました。

アメリカの自治制度は、各地によってさまざま。
サンフランシスコ市の市政執行委員というのは一般の市会議員よりも人数も少なく、権限も強そうです。
単に予算を審議したり条例を作ったりだけでなく、企業における役員のように、行政の運営・執行にも発言権があるのかな?

その政治活動の成熟の過程が見ていて面白い。
長髪、ひげ、ラフな服装から、髪を切りスーツを着て「見た目」を受け入れやすいものにする。
論点を簡潔に、明瞭にして繰り返す、お決まりのフレーズも浸透させる。
暴動を整然としたデモにして暴発を防ぎ、一方で要求が拒否されれば暴動になることをちらつかせる「ピースメーカー」ぶり。
トラック運転手の労働組合から中国系・黒人までの連携「ギブ・アンド・テイク」
アメとムチは体制側の専売特許でなく、ムーブメントの側も有効という、あたりまえだが意外におろそかにされるしたたかさがあります
権力獲得、行使を罪悪視せず、積極的に建設的に力を使って世の中を変えようとした。
政治活動として極めてまっとうですね。

ショーン・ペンはすばらしかったと思います。
若いころはマドンナの元DV亭主というイメージで嫌いだった。
『デッドマン・ウォーキング』あたりで観なおしたものの、「マッチョなオレ様」ぶりが強くて作品によっては今でもだめです。
彼を好きになれない人は少なくないように思います。
でも「アクの強い嫌われ者」だからこそハーヴェイ・ミルクを演じるのに適役なのではないでしょうか。

何か知らんけどこいつ嫌い、という偏見を見直し、認知や共感と尊敬に代わっていったのが、ミルクが世に受け入れられた過程と重なると感じるからです。

この映画で好感を持ったのは、ミルクも私生活を描き人間的な弱さも描いてるし、ダン・ホワイトの描写に抑制が効いていた点です。 
ダン・ホワイトはアニタ・ブライアントのような激しい反ゲイの唱道者でもないし、市議会でも「取引」してそれなりに共存しようとしていた。

しかしボタンのかけ違いから関係が行き詰っていった。
関係の悪化から、思い込みが強くなり凶行に及んだのだと思います。
自分とはかけ離れたはみ出し者、ならず者が起こした凶行ではなく、「普通」の男が行き詰って起こした問題だからこそ、根も深いと感じました。

個人的な経験から言うと、自分では寛容で偏見などないと思いがちですし、思いたいですが、相手との関係がまずくなると、相手の属性への偏見が顔を出し、思い込みが強くなります。
自分の偏見に自分で驚かされることもしばしば。    気をつけないといけません。

キャンドルを持った人たちによる市長とミルク追悼の行進は感動的でした。
(残念ながらこの後、ダン・ホワイト裁判への抗議の「ホワイト・ナイトの暴動」も行われますし、80年代エイズ感染の初期には同性愛者への偏見が助長されましたが・・・。)
その行進の中には「アリス」もいたことでしょう。

ダン・ホワイトはサンフランシスコ市警に勤めていましたから、ハリーの元同僚ということになります。
そうした虚構と現実がないまぜになって、むしろ身近でリアルに感じました。

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