黒い画集 あるサラリーマンの証言 / 小林桂樹
黒い画集 あるサラリーマンの証言
/堀川弘通
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(8)
解説・ストーリー
『狙撃』の堀川弘通監督が、松本清張の短編「証言」を映画化したサスペンス。『ゼロの焦点』『砂の器』の橋本忍が脚本を担当。
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「黒い画集 あるサラリーマンの証言」 の解説・あらすじ・ストーリー
解説・ストーリー
『狙撃』の堀川弘通監督が、松本清張の短編「証言」を映画化したサスペンス。『ゼロの焦点』『砂の器』の橋本忍が脚本を担当。
「黒い画集 あるサラリーマンの証言」 の作品情報
「黒い画集 あるサラリーマンの証言」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ
黒い画集 あるサラリーマンの証言の詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
97分 |
日本語 |
1:ドルビーデジタル/モノラル/日本語
|
レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
|
TDV19250R |
2009年10月02日
|
在庫枚数 |
1位登録者: |
2位登録者: |
9枚
|
0人
|
0人
|
黒い画集 あるサラリーマンの証言の詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
97分 |
日本語 |
1:ドルビーデジタル/モノラル/日本語
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レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
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TDV19250R |
2009年10月02日
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在庫枚数 |
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ユーザーレビュー:8件
煮え切らない男
繊維会社の課長・石野。大卒、勤続20年、42歳。
二人の子供がいる平凡な家庭。愛人あり。
ある日、向島の愛人のアパートからの帰り、自宅近所のご主人(保険勧誘員)に、ばったり出くわす。そこで、言葉は交わさず、会釈のみを交わす・・・そこから、石野の人生が破綻へと向かっていく。
翌日、向島界隈で若妻が殺されるという事件が新聞に。状況証拠から、犯人として、近所のご主人が容疑者に。しかし、事件の時間、男は道で石野とあったことを話し、アリバイを主張。
それを確認するために、警察が石野に事情聴取するが、会ったことを話すと自分が愛人と会っていたことがばれてしまう為、石野は会っていないと嘘の供述。
死刑になるかもしれない男のことより、自身の保身のみを考える石野の煮え切らない行動に、とてもイライラさせられる。
しかし、その石野も別の事件で同じような立場に立たされ・・・。
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4人の会員が気に入ったと投稿しています
清張の技法@ 「1テーマ・1短編」
映画として、秀作です。
原作を先に読んでいましたが、脚本(橋本忍)は、とても忠実になぞられています。
原作が発表されたのは、「週刊朝日」1958年(翌年『黒い画集2』の中の一編として刊行)。
朝鮮戦争(1950〜1953)に伴う軍需景気が日本経済に急激な浮揚をもたらし、高度経済成長が始まった時代が、この作品の背景になっている。
この作品の主人公も、東京・丸の内の大手繊維会社の課長であり、愛人を囲うくらいの経済的な余裕をもつサラリーマンだったわけである。
彼の会社もその後、オイルショックで、80年代前半に、生産業する素材を変換せざるをえなくなる。早期に成功した企業(T)と、失敗し、今はない企業(Y)などがある。
映画は、DVDジャケットや、DVDの特典資料のカラーポスターが紛らわしいが、白黒映画であり、まさにそのトーンが今、鑑賞する際にもふさわしいと思った。
原作が発表された時代を再現するには、ふさわしい。
この原作は、その後、1962年(NHK)、1965(関西テレビ)でTV映像化されているが、その後はない。これは賢明な判断であるかもしれない。
脚本化・映像化にあたり、原作の時代を、直近の現代に変えると、書割だけでなく、人の心まで変化させねばならない。
ある殺人事件の容疑者(実は犯人ではない)のアリバイを証言すると、自分の身が危うくなってしまう。それは、愛人の住むアパート付近の路上で、お互いのすれちがい、という偶然による。知らぬ顔して通りすぎればよかったのだろうが、頭を下げ合ってしまう。
主人公のサラリーマンは、会社の部下であった女を秘かに退かせ、自宅(大森)、会社(丸の内)とは方向違いの新大久保に妾宅を設ける。そこへ行く日は、渋谷で映画を見て、食事もしてきたことにして帰宅する。四角形の行動範囲である。
殺人が起こったのは、向島。これも方向違いである。五角形。
しかし、容疑者になった男(主人公と同じ大森の近隣住人)が、保険会社の外交員で行動範囲が広かったことが誤算であった。そして二人は、家の近所で会っても挨拶くらいしかしない関係であった。
希薄な関係の意外な場所での接点が、お互いの人生の岐路を決めるアリバイを成立させるか否かという点が、松本清張の小説の構想の鋭さだ。
清張の小説、とくに短編小説は、作者自身が「1テーマ・1作品」。それが成功するかどうかのポイントと言っている。主題を可能な限り、簡潔、純粋にすることで、短編小説の面白さを効果的にするということらしい。
この「証言」の場合も、それが成功していると思う。
サラリーマン(課長)は、渋谷で見た映画(二本立て)のストーリーを完璧に学習し、かれ自身の「アリバイ」は成立し、容疑者の男(この男もサラリーマンだが)のアリバイ証明は絶望的に思われた……。
綻(ほころ)びは、意外なところから開けてくる。
ここにも、清張らしい、皮肉な視点を感じるが、冤罪を成立させなかったことに、作家の道義を感じた。
この時代のサラリーマンは、普通の長ネクタイと、蝶ネクタイを使い分けしていたのだ。
蝶ネクタイは、クールビズなのかなと思ったが、どうもそうではないらしい。
現代の蝶ネクタイは、水商売、バンドマン、下手な第九合唱団のようなイメージであるが、戦前のヨーロッパ、たとえば「名探偵ポワロ」を見ると、正装が蝶ネクタイであったようだ。
今、僕らのようなサラリーマンが締めている長ネクタイは、じつに苦しいものですね。
首を締めて、長い先を相手に首輪の綱のように持たれたら、格闘できない。
蝶ネクタイのほうが、格闘向きで、お洒落ですもの。
ネクタイに関しては、もう少し調べてみようと思っている。
課長を演じる、小林桂樹の名演が光る。
本妻を演じる、中北千枝子も、のんきそうで鋭い、主婦が似合っている。
課長も、この本妻が怖くて、浮気もし、証言拒否をしたのだ。
愛人を演じる、原知佐子。肢体が魅力的だ。
証言を拒否される保険外交員を演じる、織田政雄。「眼の壁」でも悲劇的な役だった。
その妻を、菅井きんが演じている。
監督:堀川弘通 脚本:橋本忍 撮影:中井朝一
すべて名匠。
目立たなが、品が良い音楽を書いたのは、池野成(いけのせい 1931〜2004)。
北海道札幌市出身。
東京音楽学校で、伊福部昭に師事。『ゴジラ』第一作(1954年)で、伊福部のアシスタントを務めた。
吉村公三郎『夜の河』、川島雄三『雁の寺』、今井正『越後つついし親不知』、山本薩夫『にっぽん泥棒物語』『白い巨塔』、三隅研次『剣』、吉田喜重『女のみづうみ』など、50年代から60年代の日本映画の名匠の代表作の映画音楽を作曲。
勉強不足で知らなかった。いい作品が多いので、再見のときは、音楽に注目していこう。
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3人の会員が気に入ったと投稿しています
脚本の素晴らしさ、見ごたえのある演出
投稿日:2019/05/18
レビュアー:趣味は洋画
黒い画集 あるサラリーマンの証言(1960年、日本・東宝、モノクロ97分)
松本清張原作「黒い画集」の中の一編「証言」を映画化、脚本は橋本忍。
「ちゅく」さんが ‘映画として、秀作です’ と述べられているように、日本映画の神髄を観たようだ。
特に、脚本の素晴らしさはさすがで、起承転結のそれぞれに捻りが加味されており、ラストまで一気に見せる。実に見ごたえのある日本映画だ。
昭和34年、東京・丸の内。
中堅企業「東和毛織株式会社」の管財課長、石野(小林桂樹)は42歳。大卒20年で7万5千円(税込)の給料を貰い、妻邦子(中北千枝子)と子供2人をもつ一家の主。
上司(部長)からも目をかけられ、このまま無難に仕事をこなせば次期部長の座もみえてくる。
石野には別の顔があった。
部下の女性社員、梅谷千恵子(原知佐子)を愛人として新大久保に住まわせていたのである。
7月16日。いつものように仕事を済ませた石野は、近くでビールを1杯空けると、パチンコ屋に立ち寄る。(ペギー葉山の「♪南国土佐を後にして」の曲がかかっている)そして千恵子の住むアパートへ。
一時を過ごしての帰途、彼は新大久保駅の近くで、保険外交員をしている杉山(織田政雄)と出くわし、頭を下げられたから返礼した。杉山は石野の近所に住んでいた。
翌朝、新聞記事で、向島で若妻殺しの事件があった旨を知った石野は、後日、会社に奥平刑事(西村晃)の訪問を受ける。あの夜、新大久保で杉山に会ったか否かを問われた石野は、千恵子との関係が露呈するのを恐れ、会っていないと答えた。事件の容疑者となっていた杉山は、その夜、逮捕される。
石野は、妻邦子や刑事、検事、そして自宅に訪ねてきた杉山の妻(菅井きん)と弁護士らに対し、「あの夜のあの時間は、渋谷で2本立ての映画を観ていた」と一貫して答え、証言を翻さない。
裁判に出廷した石野は、嘘の証言で乗り切り、元の日常に戻った、...かにみえた。
だが、意外なところから綻びが出てくる。
自業自得、自分が蒔いた種、天に向かってはいた唾は、そのまま自分に落ちてくる、身から出た錆...
石野には様々な言葉が思い浮かぶ。
浮気は必ずバレるし、悪事は結局自分に降りかかるのだ。
そんな身勝手な男、石野を小林桂樹が淡々と演じている。彼はサラリーマンの役がよく似合う。
奥平刑事を演じた西村晃は、相変わらずの好演で、当時ひっぱりだこの俳優サンだったことが想像できる。杉山の妻を演じた菅井きんの演技も見事で、夫の無実を信じ、石野に対し、泣き伏しながら証言を求める姿は真に迫るものを感じた。
石野が証言した、‘渋谷で2本立ての映画を観ていた’ の、2本の映画であるが、「西部の嵐」と「パンと恋と夢」であるという。本当にそういったタイトルの映画が存在したのかと興味が湧き、調べてみた。
実在した。
前者は1936年のアメリカ映画、後者は1953年のイタリア映画であった。(ともに未見)
ラストに語られる、一人のサラリーマンの独り言が虚しい。
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黒い画集 あるサラリーマンの証言
投稿日:2014/11/08
レビュアー:片山刑事
※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
レビューを表示する
1960年に作られた作品で、高度経済成長期の日本のサラリーマンを見れるってだけで面白いです。主人公は42歳の課長で月給5万ってのが驚きです。しかもこの男、妻子がいて愛人まで囲っている。物価どうなってんだと思うオープニングでした。
愛人と密会しているところ、隣人の保険外交員に見られてしまう。その後、保険外交員に殺人の容疑がかかって容疑者が「事件の時間、主人公と会った」と証言したので。主人公がもし会ったと言えば、愛人がいることがばれてしまうので嘘をついてしまう。
その後の主人公が追い詰められる妄想が広がっていく様子は、自分を守るために嘘をついてさらに追い詰められている負の連鎖が続いてしまいにはさらに殺人事件が起きて、その容疑が……。とまさに因果応報の映画で、95分ノンストップで話が転がっていくので面白かったです。最初の嘘が、まさか自分に同じことが起こるという流れ。そこに至るまでの過程がよくできていて、1つの嘘がどんどんと波紋を広げていく様子が映画的でよかったです。
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黒い画集
投稿日:2009/11/16
レビュアー:hagi
身につまされるストーリーで心当たりがある御仁も少なからずいるのでは。許されないと思いながらも逢う瀬を重ねているが、いつの日か会社や家族に知れてすべてを失うという恐怖感がつきまとう。それでも分別があるはずである中年が何故女性に溺れていくのか。しかし考えてみると、現代人はその恐怖感さえも持ち合わせていないのでは。昔の人の心の清らかな純粋さに敬意さえ感じる。
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ユーザーレビュー
煮え切らない男
投稿日
2009/11/19
レビュアー
あんず
繊維会社の課長・石野。大卒、勤続20年、42歳。
二人の子供がいる平凡な家庭。愛人あり。
ある日、向島の愛人のアパートからの帰り、自宅近所のご主人(保険勧誘員)に、ばったり出くわす。そこで、言葉は交わさず、会釈のみを交わす・・・そこから、石野の人生が破綻へと向かっていく。
翌日、向島界隈で若妻が殺されるという事件が新聞に。状況証拠から、犯人として、近所のご主人が容疑者に。しかし、事件の時間、男は道で石野とあったことを話し、アリバイを主張。
それを確認するために、警察が石野に事情聴取するが、会ったことを話すと自分が愛人と会っていたことがばれてしまう為、石野は会っていないと嘘の供述。
死刑になるかもしれない男のことより、自身の保身のみを考える石野の煮え切らない行動に、とてもイライラさせられる。
しかし、その石野も別の事件で同じような立場に立たされ・・・。
清張の技法@ 「1テーマ・1短編」
投稿日
2015/01/12
レビュアー
ちゅく
映画として、秀作です。
原作を先に読んでいましたが、脚本(橋本忍)は、とても忠実になぞられています。
原作が発表されたのは、「週刊朝日」1958年(翌年『黒い画集2』の中の一編として刊行)。
朝鮮戦争(1950〜1953)に伴う軍需景気が日本経済に急激な浮揚をもたらし、高度経済成長が始まった時代が、この作品の背景になっている。
この作品の主人公も、東京・丸の内の大手繊維会社の課長であり、愛人を囲うくらいの経済的な余裕をもつサラリーマンだったわけである。
彼の会社もその後、オイルショックで、80年代前半に、生産業する素材を変換せざるをえなくなる。早期に成功した企業(T)と、失敗し、今はない企業(Y)などがある。
映画は、DVDジャケットや、DVDの特典資料のカラーポスターが紛らわしいが、白黒映画であり、まさにそのトーンが今、鑑賞する際にもふさわしいと思った。
原作が発表された時代を再現するには、ふさわしい。
この原作は、その後、1962年(NHK)、1965(関西テレビ)でTV映像化されているが、その後はない。これは賢明な判断であるかもしれない。
脚本化・映像化にあたり、原作の時代を、直近の現代に変えると、書割だけでなく、人の心まで変化させねばならない。
ある殺人事件の容疑者(実は犯人ではない)のアリバイを証言すると、自分の身が危うくなってしまう。それは、愛人の住むアパート付近の路上で、お互いのすれちがい、という偶然による。知らぬ顔して通りすぎればよかったのだろうが、頭を下げ合ってしまう。
主人公のサラリーマンは、会社の部下であった女を秘かに退かせ、自宅(大森)、会社(丸の内)とは方向違いの新大久保に妾宅を設ける。そこへ行く日は、渋谷で映画を見て、食事もしてきたことにして帰宅する。四角形の行動範囲である。
殺人が起こったのは、向島。これも方向違いである。五角形。
しかし、容疑者になった男(主人公と同じ大森の近隣住人)が、保険会社の外交員で行動範囲が広かったことが誤算であった。そして二人は、家の近所で会っても挨拶くらいしかしない関係であった。
希薄な関係の意外な場所での接点が、お互いの人生の岐路を決めるアリバイを成立させるか否かという点が、松本清張の小説の構想の鋭さだ。
清張の小説、とくに短編小説は、作者自身が「1テーマ・1作品」。それが成功するかどうかのポイントと言っている。主題を可能な限り、簡潔、純粋にすることで、短編小説の面白さを効果的にするということらしい。
この「証言」の場合も、それが成功していると思う。
サラリーマン(課長)は、渋谷で見た映画(二本立て)のストーリーを完璧に学習し、かれ自身の「アリバイ」は成立し、容疑者の男(この男もサラリーマンだが)のアリバイ証明は絶望的に思われた……。
綻(ほころ)びは、意外なところから開けてくる。
ここにも、清張らしい、皮肉な視点を感じるが、冤罪を成立させなかったことに、作家の道義を感じた。
この時代のサラリーマンは、普通の長ネクタイと、蝶ネクタイを使い分けしていたのだ。
蝶ネクタイは、クールビズなのかなと思ったが、どうもそうではないらしい。
現代の蝶ネクタイは、水商売、バンドマン、下手な第九合唱団のようなイメージであるが、戦前のヨーロッパ、たとえば「名探偵ポワロ」を見ると、正装が蝶ネクタイであったようだ。
今、僕らのようなサラリーマンが締めている長ネクタイは、じつに苦しいものですね。
首を締めて、長い先を相手に首輪の綱のように持たれたら、格闘できない。
蝶ネクタイのほうが、格闘向きで、お洒落ですもの。
ネクタイに関しては、もう少し調べてみようと思っている。
課長を演じる、小林桂樹の名演が光る。
本妻を演じる、中北千枝子も、のんきそうで鋭い、主婦が似合っている。
課長も、この本妻が怖くて、浮気もし、証言拒否をしたのだ。
愛人を演じる、原知佐子。肢体が魅力的だ。
証言を拒否される保険外交員を演じる、織田政雄。「眼の壁」でも悲劇的な役だった。
その妻を、菅井きんが演じている。
監督:堀川弘通 脚本:橋本忍 撮影:中井朝一
すべて名匠。
目立たなが、品が良い音楽を書いたのは、池野成(いけのせい 1931〜2004)。
北海道札幌市出身。
東京音楽学校で、伊福部昭に師事。『ゴジラ』第一作(1954年)で、伊福部のアシスタントを務めた。
吉村公三郎『夜の河』、川島雄三『雁の寺』、今井正『越後つついし親不知』、山本薩夫『にっぽん泥棒物語』『白い巨塔』、三隅研次『剣』、吉田喜重『女のみづうみ』など、50年代から60年代の日本映画の名匠の代表作の映画音楽を作曲。
勉強不足で知らなかった。いい作品が多いので、再見のときは、音楽に注目していこう。
脚本の素晴らしさ、見ごたえのある演出
投稿日
2019/05/18
レビュアー
趣味は洋画
黒い画集 あるサラリーマンの証言(1960年、日本・東宝、モノクロ97分)
松本清張原作「黒い画集」の中の一編「証言」を映画化、脚本は橋本忍。
「ちゅく」さんが ‘映画として、秀作です’ と述べられているように、日本映画の神髄を観たようだ。
特に、脚本の素晴らしさはさすがで、起承転結のそれぞれに捻りが加味されており、ラストまで一気に見せる。実に見ごたえのある日本映画だ。
昭和34年、東京・丸の内。
中堅企業「東和毛織株式会社」の管財課長、石野(小林桂樹)は42歳。大卒20年で7万5千円(税込)の給料を貰い、妻邦子(中北千枝子)と子供2人をもつ一家の主。
上司(部長)からも目をかけられ、このまま無難に仕事をこなせば次期部長の座もみえてくる。
石野には別の顔があった。
部下の女性社員、梅谷千恵子(原知佐子)を愛人として新大久保に住まわせていたのである。
7月16日。いつものように仕事を済ませた石野は、近くでビールを1杯空けると、パチンコ屋に立ち寄る。(ペギー葉山の「♪南国土佐を後にして」の曲がかかっている)そして千恵子の住むアパートへ。
一時を過ごしての帰途、彼は新大久保駅の近くで、保険外交員をしている杉山(織田政雄)と出くわし、頭を下げられたから返礼した。杉山は石野の近所に住んでいた。
翌朝、新聞記事で、向島で若妻殺しの事件があった旨を知った石野は、後日、会社に奥平刑事(西村晃)の訪問を受ける。あの夜、新大久保で杉山に会ったか否かを問われた石野は、千恵子との関係が露呈するのを恐れ、会っていないと答えた。事件の容疑者となっていた杉山は、その夜、逮捕される。
石野は、妻邦子や刑事、検事、そして自宅に訪ねてきた杉山の妻(菅井きん)と弁護士らに対し、「あの夜のあの時間は、渋谷で2本立ての映画を観ていた」と一貫して答え、証言を翻さない。
裁判に出廷した石野は、嘘の証言で乗り切り、元の日常に戻った、...かにみえた。
だが、意外なところから綻びが出てくる。
自業自得、自分が蒔いた種、天に向かってはいた唾は、そのまま自分に落ちてくる、身から出た錆...
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浮気は必ずバレるし、悪事は結局自分に降りかかるのだ。
そんな身勝手な男、石野を小林桂樹が淡々と演じている。彼はサラリーマンの役がよく似合う。
奥平刑事を演じた西村晃は、相変わらずの好演で、当時ひっぱりだこの俳優サンだったことが想像できる。杉山の妻を演じた菅井きんの演技も見事で、夫の無実を信じ、石野に対し、泣き伏しながら証言を求める姿は真に迫るものを感じた。
石野が証言した、‘渋谷で2本立ての映画を観ていた’ の、2本の映画であるが、「西部の嵐」と「パンと恋と夢」であるという。本当にそういったタイトルの映画が存在したのかと興味が湧き、調べてみた。
実在した。
前者は1936年のアメリカ映画、後者は1953年のイタリア映画であった。(ともに未見)
ラストに語られる、一人のサラリーマンの独り言が虚しい。
黒い画集 あるサラリーマンの証言
投稿日
2014/11/08
レビュアー
片山刑事
※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
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1960年に作られた作品で、高度経済成長期の日本のサラリーマンを見れるってだけで面白いです。主人公は42歳の課長で月給5万ってのが驚きです。しかもこの男、妻子がいて愛人まで囲っている。物価どうなってんだと思うオープニングでした。
愛人と密会しているところ、隣人の保険外交員に見られてしまう。その後、保険外交員に殺人の容疑がかかって容疑者が「事件の時間、主人公と会った」と証言したので。主人公がもし会ったと言えば、愛人がいることがばれてしまうので嘘をついてしまう。
その後の主人公が追い詰められる妄想が広がっていく様子は、自分を守るために嘘をついてさらに追い詰められている負の連鎖が続いてしまいにはさらに殺人事件が起きて、その容疑が……。とまさに因果応報の映画で、95分ノンストップで話が転がっていくので面白かったです。最初の嘘が、まさか自分に同じことが起こるという流れ。そこに至るまでの過程がよくできていて、1つの嘘がどんどんと波紋を広げていく様子が映画的でよかったです。
黒い画集
投稿日
2009/11/16
レビュアー
hagi
身につまされるストーリーで心当たりがある御仁も少なからずいるのでは。許されないと思いながらも逢う瀬を重ねているが、いつの日か会社や家族に知れてすべてを失うという恐怖感がつきまとう。それでも分別があるはずである中年が何故女性に溺れていくのか。しかし考えてみると、現代人はその恐怖感さえも持ち合わせていないのでは。昔の人の心の清らかな純粋さに敬意さえ感じる。
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