顔のない天使

感動をお約束されたようなストーリーは、
観る前に何となく、少し抵抗を感じるのですが、
やっぱり観たくなってしまいます。

結局どんどん引き込まれて、泣くことになるのもわかっているのに。
泣きたくて観るのかもしれません。

敢えて整形手術を受けず、周りからの差別の中に身を置き、
交流というものを避け、何も語らなかったマクラウド。
それは、贖罪なのか。

チャックの質問に質問で応えるマクラウド。
「私が君に友情以外で触れたことがあったか。自分で考えろ。」


見失った顔。
偏見によって、引き離された友情。
けれど忘れない。
お互いに癒し合っていたふたりの、その思いを何も知りもせずに引き離した人たちなど、
誰も、ふたりの記憶に踏み入ることはできない。

見つけることができた顔。
声を出すこともなく、目線と目線で、掌をかざすだけで、
確かに語り合えるその友情は、
お互いに探し出すことができた。

やっぱりお約束どおり温められました。
すごく、「いいものを観た」感が残っています。

きっとそれは千と千尋の神隠しの「かおなし」かも・・・・

幸い、イントロダクションが無いため予備知識を持たず観られるのは良いと思います。
既成の事柄や特定の人物に対する先入観、偏見というものと観客自ら問答しながら
ストーリーを追う事も可能です。

人は、他から与えられた知識、情報といった既成の概念にとらわれる事が
とても楽であるのを学習してしまう傾向があります。
自ら何も考えずに済むからです。（苦悶回避です。）

また、人間社会の中にあるレッテル思考を端的に浮かび上がらせたとも言えます。

これは'93年のメル・ギブソン初監督作品、主演兼務。
「The man without a face」が原題で顔面を、いや、表情を半分失った男をギブソンが演じます。
本作がデビューという子役、ニック・スタールの印象も強く
その繊細な表現、ここでは満点でしょう。

今回、観たのは２度目ですが同じシーンで、やはり泣きました。
良い映画です。是非ご覧下さい。

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子供映画だとは知りませんでした。主役は子どもです。彼の思春期の荒波をつらつら描いた映画です。
メル・ギブソンは、潔癖な性格で堅過ぎる人間の元教師をしていますが、どうも入り込めませんでした。
というのは、実によくあるストーリーだからです。

白人ばかり出てきます。外見で差別するなという意味は、「怪我による傷跡」です。多くのことを「教え」てくれますが、小学校や中学校の公民の時間に学んだことのおさらいのようでした。

というのは映画の方で、原作は全く別のストーリーだと人から知りました。原作は深いそうです。
その原作から、メルの嫌う部分を除いた結果がこの映画となりました。
それで、子供向けのストーリーになったということです。なんとなく、意味が分かりますか？教師は実際に罪を犯していたのが原作なんです。ぐっとストーリーが厳しくなります、映画は甘甘という感じがします。

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戦死した父親と同じパイロットになるのが夢な12歳の少年チャールズは
母と姉・妹の3人で暮らしているが、母親は3回も結婚を繰り返していて
姉・妹とも父親が違い、性懲りもなく4度目の結婚をしようとしている。
姉が4歳の時にチャールズが生まれている為、姉の心の中には
母親を取られたという意識が根強く、姉はチャールズに冷たく当たっていた。
母親は男にだらしなく、姉とも不仲。
そんなチャールズに恒例の夏のバカンス先で奇跡の出会いが訪れ…。

家庭で居場所を見いだせないチャールズと
交通事故で顔の半分に火傷を負い
世間から身を隠しひっそりと暮らす元教師のマクラウド。
それぞれの心に負った傷や孤独感を互いに癒しながら、
友情を深めあっていく彼らの姿に、
教師と生徒の師弟愛と父親と息子の親子愛の両方を見た気がします。

マクラウドは教え子を自身が起こした交通事故で
死なせてしまった暗い過去があり、
周囲からは、その教え子を性的虐待してただの、
根拠のないレッテルを張られ、
そんな世間に嫌気が差して厭世的な生活を余儀なくされていたわけですが、
本当に人間って愚かな生き物で、その人物をよく知るわけでもないのに、
そういった根も葉も無い噂やマクラウドの様な外見などで
勝手にその人物像を決めつけてしまう…。
〜実際は原作ではマクラウドへの疑惑は
事実(虐待ではなく同性愛)だったようです。〜

それにしてもチャールズは複雑な家庭環境にいながらも
微かな父親の記憶を励みに頑張ってきたのに
父親の死にあんな秘密が隠されていたなんて…可哀想で。。
姉も反抗期なのか母親みたいに男関係が乱れていて…。
でも、姉はある程度物事の事情が解る歳だっただけに
そういった意味ではチャールズ以上に傷は深いのかもしれない。
だから反抗的な態度を取るのかな、と。

気のせいかもしれないけれど、
段々とマクラウドの火傷の傷が治ってきている様に感じたのですが、
それはやはりチャールズとの出会いで
彼の心の傷が癒されたからなのでしょうか。
それとも鑑賞していくうちにマクラウドの人となりが解り、
私の偏見の心が無くなったからでしょうか。

ラストシーンは静かな感動と共に清々しい喜びを感じました。
下手に泣かせようとしない控え目な演出に、
改めてメル・ギブソンの監督としての才能を感じます。
実は本作がメル・ギブソンの初監督作品なんですよね。
このラストシーン、実際に数年後(設定では4年後)に
撮影が行われたそうで、
あんなに可愛かった妹ちゃんが
ちょっとアララ〜なことになってて残念でした。。

ところで、チャールズ役のニック・スタールは
ターミネーター3でジョン・コナーを演じ、
大ブーイングされたそうですね。お気の毒ですｗｗ
少年時代はそれこそ、可愛らしいお顔をしてたのにね。