陽のあたる教室

熱血教師ものの逆ヴァージョン的なストーリーなのかと思ってましたが、
熱血生徒も登場せず、勝手にイメージしていたのとは違ってて
「あ・そういう話じゃないのか」とちょっと意外な気持ちでした。

一所懸命練習する生徒は登場しますが、
そのエピソードを掘り下げたり引っ張ったりするわけでもなく、
いくつかのエピソードを挟みながら、特に大きな盛り上がりもなく
ストーリーは進んでいきます。
小さい感動はいくつかありますが、
時間もポン…ポン…という感じで飛びながら進んで
いつのまにか３０年経ってます。
音楽教師が天職になった決定的なエピソードはなかったと思います。
いろいろな積み重ねなんでしょうね。

そして、このまま淡々と終わるんだろうなーと思ってました。
なのに、
まさかラストにこんなに泣かされることになろうとは、予想外でした。
夕焼け色の髪の少女が再登場してからは、もうまったく涙が止まりませんでした。

不本意ながらついた職業とはいえ、仕事には誠実。
ひとりの音楽家として音楽のこととなると、いい加減にはできないのか。
それとも彼の性格がすべてに対して真面目ということなのか。
ともかくそんな彼の姿勢が生徒たちにも伝わり、
ひとつひとつの音符を作っていた。
それらがいつのまにかひとつのシンフォニーになっていた。

人生、思い通りにならないことやつまづくようなことがあっても
真剣に立ち向かっていけば、
報われる日が来るのだと教えられた気がします。
ひとつひとつのエピソードも音符で、
彼の人生がシンフォニーとも言えるのではないかと思いました。

　邦題だけ知っていて、この映画もまた、最近観た『マクファーランド』のように、恵まれない or 落ちこぼれの生徒たちが個性的で熱意ある先生と出会って、共に何かをやり遂げる類の話だろうと思っていた。けれど実際は、音楽と共に真摯に生きたひとりの高校教師の30年間を描いた映画だった。（同時に素晴らしい音楽映画でもある。）

　消去法的選択でしぶしぶ高校の音楽教師となったグレンは、試行錯誤するうちに教える楽しさを知り、教師として研鑽を積み、オーケストラ、マーチングバンド、ミュージカルショーと、次々と成果を上げていく。一方、家庭にあっては、ハンディキャップを持つ息子に寄り添えず関係に悩み、妻とも対立するが、やがて息子を通して音楽は万人に開かれているのだと悟り、父親としても夫としても成長していく。

　このようなひとりの無名の音楽教師の30年間が、音楽やファッションの変遷と共に、折々の事件やニュースを織り交ぜながら、むしろ地味に描かれているのだが、教師冥利に尽きる終盤のクライマックスが、それを補って余りある。人の心に深く刻まれ、人生と共にある音楽の素晴らしさが最後シンプルに伝わってきて、感激で胸がいっぱいになる。

教師と言う職業はやはりすばらしい職業だと思う。
僕自身もノートの字を褒められ、パズルのように楽しむ算数を教えられ、物語の作者の気持ちになるコツを示され、不良との付き合い方を伝授され、ビンタが痛いことを教わった。だから今のまあまあ大好きな自分がいる。

マスコミや一部の大人は「最近の教員の質が下がって・・・」なんて無責任なことを言うけど、全てが子供の成長にとって必要な事なんです。教員の皆さん、批判や逆境にめげずにがんばってください。
　※たまにはこんなファンタジーを見て心を和ませて。
それから世のお父さんお母さん、子供の前で教師批判はやめるように。でないと僕のように教師への道を無意識に閉ざす子供もいますから。教師への理解と尊敬が結果的に子供たちを良い方向に導きます。

借金だらけで少子高齢化した日本を救えるのは、教育以外に方法は無いんですよね。

「音楽＋ヒューマンドラマ」でシャインの次に好きな作品です！
1995年？レンタルビデオでみて、もう一度みたかった作品です。や〜っとレンタルDVDがでてほんとうれしい。

十数年ぶりにみましたが、心に残っている作品なので覚えているんですよね。色あせず、再びこころ温まりました。

おすすめです！

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作曲家になることが夢だったが生活の為に
新設のジョン・F・ケネディ高校の音楽教師となった
グレン・ホーランド(リチャード・ドレイファス)の半生を描いた
ヒューマンドラマ。

1965〜1995年までの世相を反映した映像や音楽は
時代の流れを感じさせる。
使用された楽曲はベートーヴェンの交響曲第5・第7番、
バッハの『ト長調メヌエット』はじめ、
ガーシュイン、レイ・チャールズ、ジョン・レノンなど
いずれも素晴らしいものばかり。

主演のリチャード・ドレイファスは
劇中で演奏するピアノも吹き変えなしで担当。
ホーランドが音楽教師に就任してから退職するまでの
30〜60歳という幅広い年齢を特殊効果に頼らず
演じ分けていて素晴らしかった。

就任当初はホーランド自身も仕方なしに選んだ職業で
熱意も感じられず、 そういった雰囲気は生徒達にも伝わるから
彼らもまたホーランドに耳を傾けようとせず…。
そんな悪循環を打破しようと生徒目線の授業を展開すると
彼らの反応も一転、教えることの喜びを実感したホーランド。
熱血学園ものと思っていたらそれだけで終わらず、
やがて生まれた息子に先天性の聴覚障害が発覚するなど
シリアスな展開も。人生山あり谷ありだ。

命をかけて産んだ我が息子に障害があると知った
妻アイリス(グレン・ヘドリー)の絶望、苦しみが
観ている側にも伝わり、切なすぎて遣る瀬無い想いだった。
そしてどん底から這い上がり、
聾唖学校に進学させ自分も手話を習うなど
身を粉にして息子へ捧げるアイリスの母性愛が逞しかった。
そんな妻をよそにホーランドは逃げる様に仕事へ没頭、
次第にある教え子に恋愛感情をも抱き始め…。

男性より女性の方がいざとなったら立ち向かう逞しさが
本能的に備わっている様な気がする。
ホーランドがアイリスを裏切るのではないかと
ハラハラさせられたがそこはやっぱり大人。
長い人生色々あって時には
道を踏み外しかけたりすることだってある…
そうやって人は成長していくもの。
こうしてホーランドは生徒や妻、息子から
人生というものを学んでいく。

時は移り変わって1980年、
ジョン・レノンが暗殺され悲しみに暮れるホーランド。
聾唖である息子コール(ジョー・アンダーソン)に
この事件を伝えるも、はなから聾唖には解るまいといった態度。
その時息子の父親への想いが爆発する。
こんな自分にだって音楽くらい解る！
父親がビートルズ好きだということも…。

ホーランドはやっと自分がどれだけ
息子から目を背けてきたかを思い知らされたのだった。
音楽家である自分の息子が先天的に耳が聞こえない
という事実にショックを隠しきれないのは当然だし、
仕事と家庭の板挟みで逃げたくなるのも解らなくもないけど、
それでは息子を見放したも同然。
私も10代の頃は難しい時期があった。
その頃の親の腫れものに触るかの様な対応は
ホーランドと似たところがあり、
どうしてもっとぶつかってきてくれないのだろうかと思ったり…。
家庭においても学校においても教育には
人と人との真摯なぶつかり合い、対話が必要不可欠なのだ。

ホーランドがコールへ手話をしながら捧げた
ジョン・レノンの『Beautiful Boy』と
ラストのサプライズには感動の涙が止まらなかった。

作曲家の夢も最後まで叶うことなく、
音楽教師のまま退職の日を迎えたホーランド。
たとえ努力実らず夢に敗れることがあっても
悲観する必要などない。
物事には必ず何らかの意味があるのだ。
意味があってそうなったのだ。
そんなことをホーランドの半生から教わった気がした。