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トウキョウソナタ / 小泉今日子

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「トウキョウソナタ」 の解説・あらすじ・ストーリー

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解説・ストーリー

鬼才・黒沢清監督が、香川照之や小泉今日子ほか共演で手掛けた家族ドラマ。リストラされた父、ドーナツを作っても食べてもらえない母、米軍に入隊する兄、こっそりピアノを習う弟。ちぐはぐな4人家族が、紆余曲折を経て一筋の光明を見出すまでを紡ぐ。

「トウキョウソナタ」 の作品情報

作品情報

製作年:

2008年

製作国:

日本/オランダ/香港

「トウキョウソナタ」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ

キャスト・スタッフ

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1〜 5件 / 全64件

ユックリと沈んでいく世界の中で

投稿日:2009/03/27 レビュアー:JUCE

 一般的にはホラー映画の監督というイメージがつきまとう黒沢清監督。でもその作品群を見ているとどうも「ホラー」という響きはしっくりときません。確かに一般的なホラーに分類される作品もありますが、監督の作品群に共通するのは「恐怖」あるいは「恐れ」という方が近いのかもしれません。
 時にその「恐怖」や「恐れ」が未知なるものであったり、自分のアイデンティティの喪失、自分の潜在意識に眠るもの、あるいは先の見えない未来であったりするのです。

 今回の『トウキョウソナタ』は黒沢清らしからぬ家族の物語。『ニンゲン合格』も家族の物語でしたがそれ以来でしょう。しかも実質的な主人公は子ども。これははじめてのはず。毎回作品をつくるたびに何らかのチャレンジを行って来た監督ですが、今回もそれまでの黒沢路線から大きく飛躍するチャレンジを打ち出して来ました。
 ただそ『LOFT』などのように実験色が強く、一般的には受け入れにくい方向へのシフトでは無く、そうした黒沢節を上手く背後に潜ませながら、一般的にも分かりやすい方向へ持っていくという、パッと観た目にはアクの無い作品のように思える仕上がりになっています。私自身見終わったすぐはえらく黒沢監督も丸くなったなという印象を受けたのですが、少し時間が経ってくるとやっぱり一筋縄ではいかない監督だなという点が見つかってきます。

 『トウキョウソナタ』何故「東京」が「トウキョウ」になっているのかと言うとこの物語厳密には架空の世界のお話です。まるっきり現実の日本や東京のお話では無く、現実と「ニアイコール」な世界です。今時あんな不便な職安も無いし、配給で昼食を配る場所も無く、アメリカ軍に日本人が志願するという法律もありません。勿論小学生を留置場に入れることも無いでしょう。これらはあくまで「トウキョウ」での設定です。
 この架空な設定によって舞台は東京というローカルな輪郭を失い、グローバルな普遍性を醸し出しています。

 この作品でもやはり「恐怖」が描かれています。その恐怖は不景気が引き起こす恐怖。とても身近な恐怖です。まさに今の世の中を反映した作品で、今回の恐怖はこれまで黒沢作品を受け付けられなかった方にもすんなりと受け入れられるのではないでしょうか。

 社会全体もそして個人もユックリと沈んでいく中で、その中からなんとか浮かび上がろうとするある家族の物語を描いていますが、黒沢作品では初めてとも言える場内から笑いが聞こえるコミカルな部分もあり、そしてラストでは涙する場面もありとこれまでの黒沢作品ではあまり無かった要素もタップリと味わえます。 初めてといえば、ファーストカットにドリーしているカットを使うのも初めてではないでしょうか。実はこのドリーするファーストカットで新たな挑戦をするぞという黒沢監督の意気込みが感じられました。

 バラバラだった家族は個々がそれぞれの形で「死(あるいはそれに近いもの)」を経験することで再生する、あるいは再び家族としての吸引力を取り戻していきます。
 映画の中で『犬猫』でも出てきたようなYの字住宅街の道路が繰り返し使われています。ただしこのYの字は家への帰り道でしかカットしては使われていません。「必ず別々の目的地に行っていても、家(家庭)へ戻ってくる時にはまたひとつになる」ということの象徴のようでした。

 黒沢作品が好きな人も、・・・いや嫌いな人にこそお勧めしたいすばらしい作品です。

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素晴らしい、これは傑作。 ネタバレ

投稿日:2009/06/25 レビュアー:MonPetit

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「トウキョウ」この響きは無機質な匂いがして本作を全て言い表してるようだ。やはり
、タイトルというものは大事である。そこからメッセージめいたものを感じ取れるのだが
私達が生きている時間とほんのちょっとだけ離れたとこにあるもののそれは平行線で
ありそれをリアルと呼ぶのだと思う。私達は建前やしがらみの中でいきている。(見て
見ぬふりとも言える)リアルはすぐそこにあるのにだ。トウキョウソナタはそのリアルを
至ってシンプルにそのまま表現している。一見、突拍子もない出来事のように見えて
なんら違和感を感じないところにその答えは隠されている。ひとつひとつの出来事に
フォーカスするよりもこの世界感を味わったほうがこの作品は正解のような気がする。

父親が悪役(本作では善も悪もないんだけど、とりあえず。。。)になってはいるんだ
けど、世間の父親が見たとき彼を全否定できる人はそうはいないはずだ。無機質な
世界感の中で不釣合いな生と死を見事に溶け込ませた脚本と演出は賞賛に値する
出来栄えだった。冒頭から完全に適度につかまれっぱなしであった気持ちは最後ま
で解放されることもなく、「せつない」という言葉を使いたくなる一歩手前の状態。
この気持ちはハッピーエンドを敢えて並べたぐらいでは解放されるわけもなく、次男
のピアノを聴かされてゆっくりとゆっくりと現実に戻されたに過ぎなかった。「トウキョ
ウ」でリアルからつれていかれ「ソナタ」で戻されたのか。なんとも憎いタイトルでは
ないだろうか。

私が今までにみた邦画の中で間違いなく1、2位を争うすばらしい作品。本当に驚
いてます。こんな作品をつくれる人たちがいるんだって。傑作って言葉を邦画に対し
て初めて使ったような気がする。観なきゃ損です。

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秘密を抱えた普通の家族がぶつかり合う不協和音 ネタバレ

投稿日:2009/04/09 レビュアー:ミルクチョコ

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第61回カンヌ映画祭「ある視点」部門審査員賞受賞作。
シニカルな笑いを織り交ぜた家族の崩壊と再生のドラマです。

あまりこの監督の映画を見ていなかったのですが、その独特な世界観がどうもねぇと思っていたのですが、ある人の推薦により見て見ました。本作はかなり明快で面白かったです。ご推薦下さった方有難うございます。

東京郊外の一軒家に暮らす佐々木家。父親竜平(香川照之)がリストラされても家族に言い出せずに、会社に行くふりをしてハローワークに通い続け、しかし家では威厳を保ち続けようとしています。
父親がご飯を食べ始めなければ、箸を付けてはいけないようで、他の家族はそれをずっと待っています。竜平はその時間を楽しむかのようにゆっくりとビールを飲み干します。これが彼の考える父親の威厳なのでしょうか?そもそもこれが昭和の父親像なのでしょうか?

長男は、バイトに明け暮れて留守がちな大学生で、手ごたえのない日常に退屈して突然米国軍への入隊を志願し、小学校6年の次男は、両親に内緒で給食費を使ってピアノを習い始めるという、それぞれが秘密を持ち、悩みを外に吐き出すことの出来ない家族。しかし、見た目は何ら変わりのない普通な家族。

内情は、同じくリストラされた同僚から無職なのをバレないようにするノウハウを教えてもらったり、長男は米国軍の入隊志願書のサインを巡って、父親と大喧嘩、次男はピアノ教師から音楽大学の付属中学校への進学を勧められても、両親に言い出せない、妻は泥棒との逃亡の途中で再就職した夫と鉢合わせをしたりと、ちょっとリアリティに欠ける部分もあるのですが、不協和音でぶつかり合い、それぞれの家族が落ちていって崩壊していく辺りが、アカルイミライを彷彿とさせます。

そして、私が気になったのは、小泉今日子演じる妻です。
彼女は、壊れゆく家族を穏やかに包み込むという形で、この家族の外側にいるような気がします。
後半、突然降りかかってきた不幸にも堂々としていて、今の生活から逃げ出したいという気持ちがあったのではないでしょうか?
泥棒と共に一夜を過ごしたことで、何か吹っ切れたように思います。車を飛ばす彼女が爽快でした。
家族がそれぞれに、失敗し、何とか手探りで成功への道を掴もうとしているのに対して、彼女はその家族たちが戻ってくるのを見守っていたように思えます。
「家族の再生」が決して簡単なことではないことは、分かります。しかし、その道を照らす意味を込めたラストのピアノ曲「月の光」が不協和音から、協和音に変わると思われるエンディングに救われました。

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あなたに何ができますか? ネタバレ

投稿日:2009/09/06 レビュアー:裸足のラヴァース

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さて切り返しとゆうと この「トウキョウソナタ」でもやはりいつまでたっても主要な会話での切り返しがなされないで あれあれと思ってしまうのだけど 遂にとゆうか小泉今日子と長男が居間で会話するシーンに正面からの切り返しが行なわれる それは勇者の赤いバッヂをもらいに アメリカ軍に志願する長男との会話である つまりこの映画で初めて意志ある日本人が出てくるシーンに確信的に使われるのである

なかなか恐い映画なのです ボクはこの映画は津田寛治ですね 小泉政権の成れの果ての地獄を津田が静かに熱演しているのです たしか黒沢清はリーマン経験はないと思うんだけど これほど恐い社会派ホラーを撮れた事に驚きを禁じえません 香川照之に あなたに何が出来ますかと問う 若い面接官 こんなやつらが跋扈する企業社会にいつからなってしまったのでしょうか そこにあるのはブラフと虚勢だけ 労働者の連帯などどこにも有り得ません まあ日本人民の自業自得ではありますけどね 突如の民主党支持でこうして歴史はあるとき反転するんですよね 若い人には経験のないことでしょう ボクは民主党支持者じゃないけどね

さてそうした現在の労働市場の惨劇を家族ドラマと絡めて 黒沢はどうまとめるかとゆうと これがドビュシーなんですね なんと柔でストレートとゆうご意見は多いんでしょうが 厳しい芸術家の現状認識として貴重であります ラストにかけて小泉の失踪と 二人の子供の脱走が平行モンタジューされます フランス映画のこれはノリ まずは「大人はわかてくれない」へのオマージュ 小泉に当たる光って「緑の光線」でしょW 役所浩司が楽しく演じている強盗はシャブロールの「二重の鍵」などに登場する秩序紊乱者のジャンポルベルモンドみたいな役割でしょう 堂々と海に到着 ふむふむ このフランス映画への唐突な回帰は 黒沢清の改めての芸術表現への決意表明でしょう 仕事を主題としての映画で最後に映画作家の意志がはっきり刻まれていることに感動しますね

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砂漠

投稿日:2009/09/17 レビュアー:ビンス

砂漠。
砂漠だ。
果てしない砂漠だ。
砂漠にボクは一人だ。
砂漠に私は一人だ。
歩いても、歩いても。
広がるのは砂漠。
そのうち砂に足取られ。
身動きできなくなっていく。
次第に沈む我が体。
次第に沈む我が心。
だんだん、だんだん。
ゆっくり、ゆっくり。
少しずつ沈んでいく。
少しずつ死んでいく。
喉の渇きを訴えても・・・
その声は砂に掻き消される。
あれ?・・・
そもそも渇きを訴えたっけ・・・・・
そのうち口にも砂が入り込み。
そのうち渇きを忘れていく。
深く、深く。
果てしなく、果てしなく。
今日もボクは沈んでいく。
今日も私は沈んでいく。

黒沢監督の作品では一番好きです。
ホラー映画より怖い。
胸を締め付けるような肌寒さ。
ただただ思考が取り残されるような不安感。
そして、すんばらしく素晴らしい。
最後の光は、砂漠に咲いた一輪の花。
その花を見た空が、あまりの美しさに涙を流した。
その涙が花びらに落ちて。
その雫が太陽に照らし出された光。
砂漠にも雨は降る。
砂漠にも花は咲く。
砂漠のヒトスジノヒカリ。
その光は自然と涙を零れさせる。
心を奮わせる。
心を潤していく。


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トウキョウソナタ

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ユックリと沈んでいく世界の中で

投稿日

2009/03/27

レビュアー

JUCE

 一般的にはホラー映画の監督というイメージがつきまとう黒沢清監督。でもその作品群を見ているとどうも「ホラー」という響きはしっくりときません。確かに一般的なホラーに分類される作品もありますが、監督の作品群に共通するのは「恐怖」あるいは「恐れ」という方が近いのかもしれません。
 時にその「恐怖」や「恐れ」が未知なるものであったり、自分のアイデンティティの喪失、自分の潜在意識に眠るもの、あるいは先の見えない未来であったりするのです。

 今回の『トウキョウソナタ』は黒沢清らしからぬ家族の物語。『ニンゲン合格』も家族の物語でしたがそれ以来でしょう。しかも実質的な主人公は子ども。これははじめてのはず。毎回作品をつくるたびに何らかのチャレンジを行って来た監督ですが、今回もそれまでの黒沢路線から大きく飛躍するチャレンジを打ち出して来ました。
 ただそ『LOFT』などのように実験色が強く、一般的には受け入れにくい方向へのシフトでは無く、そうした黒沢節を上手く背後に潜ませながら、一般的にも分かりやすい方向へ持っていくという、パッと観た目にはアクの無い作品のように思える仕上がりになっています。私自身見終わったすぐはえらく黒沢監督も丸くなったなという印象を受けたのですが、少し時間が経ってくるとやっぱり一筋縄ではいかない監督だなという点が見つかってきます。

 『トウキョウソナタ』何故「東京」が「トウキョウ」になっているのかと言うとこの物語厳密には架空の世界のお話です。まるっきり現実の日本や東京のお話では無く、現実と「ニアイコール」な世界です。今時あんな不便な職安も無いし、配給で昼食を配る場所も無く、アメリカ軍に日本人が志願するという法律もありません。勿論小学生を留置場に入れることも無いでしょう。これらはあくまで「トウキョウ」での設定です。
 この架空な設定によって舞台は東京というローカルな輪郭を失い、グローバルな普遍性を醸し出しています。

 この作品でもやはり「恐怖」が描かれています。その恐怖は不景気が引き起こす恐怖。とても身近な恐怖です。まさに今の世の中を反映した作品で、今回の恐怖はこれまで黒沢作品を受け付けられなかった方にもすんなりと受け入れられるのではないでしょうか。

 社会全体もそして個人もユックリと沈んでいく中で、その中からなんとか浮かび上がろうとするある家族の物語を描いていますが、黒沢作品では初めてとも言える場内から笑いが聞こえるコミカルな部分もあり、そしてラストでは涙する場面もありとこれまでの黒沢作品ではあまり無かった要素もタップリと味わえます。 初めてといえば、ファーストカットにドリーしているカットを使うのも初めてではないでしょうか。実はこのドリーするファーストカットで新たな挑戦をするぞという黒沢監督の意気込みが感じられました。

 バラバラだった家族は個々がそれぞれの形で「死(あるいはそれに近いもの)」を経験することで再生する、あるいは再び家族としての吸引力を取り戻していきます。
 映画の中で『犬猫』でも出てきたようなYの字住宅街の道路が繰り返し使われています。ただしこのYの字は家への帰り道でしかカットしては使われていません。「必ず別々の目的地に行っていても、家(家庭)へ戻ってくる時にはまたひとつになる」ということの象徴のようでした。

 黒沢作品が好きな人も、・・・いや嫌いな人にこそお勧めしたいすばらしい作品です。

素晴らしい、これは傑作。

投稿日

2009/06/25

レビュアー

MonPetit

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「トウキョウ」この響きは無機質な匂いがして本作を全て言い表してるようだ。やはり
、タイトルというものは大事である。そこからメッセージめいたものを感じ取れるのだが
私達が生きている時間とほんのちょっとだけ離れたとこにあるもののそれは平行線で
ありそれをリアルと呼ぶのだと思う。私達は建前やしがらみの中でいきている。(見て
見ぬふりとも言える)リアルはすぐそこにあるのにだ。トウキョウソナタはそのリアルを
至ってシンプルにそのまま表現している。一見、突拍子もない出来事のように見えて
なんら違和感を感じないところにその答えは隠されている。ひとつひとつの出来事に
フォーカスするよりもこの世界感を味わったほうがこの作品は正解のような気がする。

父親が悪役(本作では善も悪もないんだけど、とりあえず。。。)になってはいるんだ
けど、世間の父親が見たとき彼を全否定できる人はそうはいないはずだ。無機質な
世界感の中で不釣合いな生と死を見事に溶け込ませた脚本と演出は賞賛に値する
出来栄えだった。冒頭から完全に適度につかまれっぱなしであった気持ちは最後ま
で解放されることもなく、「せつない」という言葉を使いたくなる一歩手前の状態。
この気持ちはハッピーエンドを敢えて並べたぐらいでは解放されるわけもなく、次男
のピアノを聴かされてゆっくりとゆっくりと現実に戻されたに過ぎなかった。「トウキョ
ウ」でリアルからつれていかれ「ソナタ」で戻されたのか。なんとも憎いタイトルでは
ないだろうか。

私が今までにみた邦画の中で間違いなく1、2位を争うすばらしい作品。本当に驚
いてます。こんな作品をつくれる人たちがいるんだって。傑作って言葉を邦画に対し
て初めて使ったような気がする。観なきゃ損です。

秘密を抱えた普通の家族がぶつかり合う不協和音

投稿日

2009/04/09

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ミルクチョコ

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第61回カンヌ映画祭「ある視点」部門審査員賞受賞作。
シニカルな笑いを織り交ぜた家族の崩壊と再生のドラマです。

あまりこの監督の映画を見ていなかったのですが、その独特な世界観がどうもねぇと思っていたのですが、ある人の推薦により見て見ました。本作はかなり明快で面白かったです。ご推薦下さった方有難うございます。

東京郊外の一軒家に暮らす佐々木家。父親竜平(香川照之)がリストラされても家族に言い出せずに、会社に行くふりをしてハローワークに通い続け、しかし家では威厳を保ち続けようとしています。
父親がご飯を食べ始めなければ、箸を付けてはいけないようで、他の家族はそれをずっと待っています。竜平はその時間を楽しむかのようにゆっくりとビールを飲み干します。これが彼の考える父親の威厳なのでしょうか?そもそもこれが昭和の父親像なのでしょうか?

長男は、バイトに明け暮れて留守がちな大学生で、手ごたえのない日常に退屈して突然米国軍への入隊を志願し、小学校6年の次男は、両親に内緒で給食費を使ってピアノを習い始めるという、それぞれが秘密を持ち、悩みを外に吐き出すことの出来ない家族。しかし、見た目は何ら変わりのない普通な家族。

内情は、同じくリストラされた同僚から無職なのをバレないようにするノウハウを教えてもらったり、長男は米国軍の入隊志願書のサインを巡って、父親と大喧嘩、次男はピアノ教師から音楽大学の付属中学校への進学を勧められても、両親に言い出せない、妻は泥棒との逃亡の途中で再就職した夫と鉢合わせをしたりと、ちょっとリアリティに欠ける部分もあるのですが、不協和音でぶつかり合い、それぞれの家族が落ちていって崩壊していく辺りが、アカルイミライを彷彿とさせます。

そして、私が気になったのは、小泉今日子演じる妻です。
彼女は、壊れゆく家族を穏やかに包み込むという形で、この家族の外側にいるような気がします。
後半、突然降りかかってきた不幸にも堂々としていて、今の生活から逃げ出したいという気持ちがあったのではないでしょうか?
泥棒と共に一夜を過ごしたことで、何か吹っ切れたように思います。車を飛ばす彼女が爽快でした。
家族がそれぞれに、失敗し、何とか手探りで成功への道を掴もうとしているのに対して、彼女はその家族たちが戻ってくるのを見守っていたように思えます。
「家族の再生」が決して簡単なことではないことは、分かります。しかし、その道を照らす意味を込めたラストのピアノ曲「月の光」が不協和音から、協和音に変わると思われるエンディングに救われました。

あなたに何ができますか?

投稿日

2009/09/06

レビュアー

裸足のラヴァース

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さて切り返しとゆうと この「トウキョウソナタ」でもやはりいつまでたっても主要な会話での切り返しがなされないで あれあれと思ってしまうのだけど 遂にとゆうか小泉今日子と長男が居間で会話するシーンに正面からの切り返しが行なわれる それは勇者の赤いバッヂをもらいに アメリカ軍に志願する長男との会話である つまりこの映画で初めて意志ある日本人が出てくるシーンに確信的に使われるのである

なかなか恐い映画なのです ボクはこの映画は津田寛治ですね 小泉政権の成れの果ての地獄を津田が静かに熱演しているのです たしか黒沢清はリーマン経験はないと思うんだけど これほど恐い社会派ホラーを撮れた事に驚きを禁じえません 香川照之に あなたに何が出来ますかと問う 若い面接官 こんなやつらが跋扈する企業社会にいつからなってしまったのでしょうか そこにあるのはブラフと虚勢だけ 労働者の連帯などどこにも有り得ません まあ日本人民の自業自得ではありますけどね 突如の民主党支持でこうして歴史はあるとき反転するんですよね 若い人には経験のないことでしょう ボクは民主党支持者じゃないけどね

さてそうした現在の労働市場の惨劇を家族ドラマと絡めて 黒沢はどうまとめるかとゆうと これがドビュシーなんですね なんと柔でストレートとゆうご意見は多いんでしょうが 厳しい芸術家の現状認識として貴重であります ラストにかけて小泉の失踪と 二人の子供の脱走が平行モンタジューされます フランス映画のこれはノリ まずは「大人はわかてくれない」へのオマージュ 小泉に当たる光って「緑の光線」でしょW 役所浩司が楽しく演じている強盗はシャブロールの「二重の鍵」などに登場する秩序紊乱者のジャンポルベルモンドみたいな役割でしょう 堂々と海に到着 ふむふむ このフランス映画への唐突な回帰は 黒沢清の改めての芸術表現への決意表明でしょう 仕事を主題としての映画で最後に映画作家の意志がはっきり刻まれていることに感動しますね

砂漠

投稿日

2009/09/17

レビュアー

ビンス

砂漠。
砂漠だ。
果てしない砂漠だ。
砂漠にボクは一人だ。
砂漠に私は一人だ。
歩いても、歩いても。
広がるのは砂漠。
そのうち砂に足取られ。
身動きできなくなっていく。
次第に沈む我が体。
次第に沈む我が心。
だんだん、だんだん。
ゆっくり、ゆっくり。
少しずつ沈んでいく。
少しずつ死んでいく。
喉の渇きを訴えても・・・
その声は砂に掻き消される。
あれ?・・・
そもそも渇きを訴えたっけ・・・・・
そのうち口にも砂が入り込み。
そのうち渇きを忘れていく。
深く、深く。
果てしなく、果てしなく。
今日もボクは沈んでいく。
今日も私は沈んでいく。

黒沢監督の作品では一番好きです。
ホラー映画より怖い。
胸を締め付けるような肌寒さ。
ただただ思考が取り残されるような不安感。
そして、すんばらしく素晴らしい。
最後の光は、砂漠に咲いた一輪の花。
その花を見た空が、あまりの美しさに涙を流した。
その涙が花びらに落ちて。
その雫が太陽に照らし出された光。
砂漠にも雨は降る。
砂漠にも花は咲く。
砂漠のヒトスジノヒカリ。
その光は自然と涙を零れさせる。
心を奮わせる。
心を潤していく。


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